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第19話 王都からの刺客
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新しい仲間が増え、追放者ギルドの拠点は日に日に賑やかになっていた。朝はリナの朝食で始まり、昼は畑や鍛冶作業、薬草採取に汗を流し、夜はロディの歌を聴きながら焚き火を囲む。――まるで小さな村のような暮らしだ。
だが、その穏やかな日々に、黒い影が忍び寄っていた。
◇
ある晩。行商人が谷に駆け込んできた。
「カイルさん! 大変だ、王都から兵士が動いたらしい!」
「兵士?」
「いや……正規軍じゃない。どうやら“冒険者崩れの連中”を雇った刺客だと……。標的は“追放者ギルド”だって噂だ!」
仲間たちの顔がこわばる。リナが青ざめて言った。
「どうして……私たち、村を助けてるだけなのに」
「……目障りだからだろう」俺は低く答えた。「王都は“英雄譚”を独占したい。俺たちが人々の支持を得れば、その物語が揺らぐ」
セリウスが眼鏡を押し上げる。
「合理的ではありますね。権力者にとって、私たちのような存在は異物……」
「なら、叩き潰す気だ」グレンが大剣を握りしめた。
◇
その夜。谷を囲む森で、不審な気配を感じた。俺は皆を止め、声を潜める。
「来たな……」
闇の中から現れたのは、黒い鎧を着込んだ数人の男たち。顔を覆面で隠し、剣と短弓を構えていた。
「ここが追放者ギルドか。命が惜しければ解散しろ」
先頭の男が吐き捨てるように言った。
「ふざけるな! ここは俺たちの居場所だ!」俺は即答した。
すると男は冷笑を浮かべた。
「追放された者に居場所など不要だ。お前たちは“物語の邪魔”だ。だから消えてもらう」
◇
戦いは突然始まった。
「グレン!」
「任せろ!」
大剣が火花を散らし、刺客の剣を弾き飛ばす。リナは慌てて薬草を焚き、煙で視界を覆う。
「フィオ!」
「え、えいっ!」
炎の矢が飛び、刺客の足元で爆ぜた。驚いた敵が後退するが、すぐに矢が雨のように降ってきた。
「セリウス!」
「煙幕だ!」
瓶が割れ、白い霧が辺りを覆う。敵の視界が塞がれ、仲間たちが態勢を立て直す。
「退け!」俺は叫んだ。
刺客たちは撤退していったが、最後に言い残した。
「……次は容赦しない。王都はお前たちを潰す」
◇
敵が去った後、皆が肩で息をしていた。
「……本当に来たんだね、王都から」リナが震える声で言う。
「私たち……どうなるの?」フィオが怯えた目を向けてきた。
俺は皆を見回し、はっきり言った。
「大丈夫だ。段取りを間違えなければ、俺たちは負けない」
グレンが笑う。
「おう! 今度来たら、まとめて叩き潰してやる!」
セリウスは静かに頷き、エレナは「帳簿を守らなきゃ……!」と必死に羊皮紙を抱えていた。
◇
焚き火の炎を見つめながら、俺は心の奥で決意を固めた。
「追放者ギルドは、誰にも潰させない。俺たちの居場所は、俺たちで守る」
――谷に平穏は戻ったように見えたが、外の世界は確実に動き始めていた。
だが、その穏やかな日々に、黒い影が忍び寄っていた。
◇
ある晩。行商人が谷に駆け込んできた。
「カイルさん! 大変だ、王都から兵士が動いたらしい!」
「兵士?」
「いや……正規軍じゃない。どうやら“冒険者崩れの連中”を雇った刺客だと……。標的は“追放者ギルド”だって噂だ!」
仲間たちの顔がこわばる。リナが青ざめて言った。
「どうして……私たち、村を助けてるだけなのに」
「……目障りだからだろう」俺は低く答えた。「王都は“英雄譚”を独占したい。俺たちが人々の支持を得れば、その物語が揺らぐ」
セリウスが眼鏡を押し上げる。
「合理的ではありますね。権力者にとって、私たちのような存在は異物……」
「なら、叩き潰す気だ」グレンが大剣を握りしめた。
◇
その夜。谷を囲む森で、不審な気配を感じた。俺は皆を止め、声を潜める。
「来たな……」
闇の中から現れたのは、黒い鎧を着込んだ数人の男たち。顔を覆面で隠し、剣と短弓を構えていた。
「ここが追放者ギルドか。命が惜しければ解散しろ」
先頭の男が吐き捨てるように言った。
「ふざけるな! ここは俺たちの居場所だ!」俺は即答した。
すると男は冷笑を浮かべた。
「追放された者に居場所など不要だ。お前たちは“物語の邪魔”だ。だから消えてもらう」
◇
戦いは突然始まった。
「グレン!」
「任せろ!」
大剣が火花を散らし、刺客の剣を弾き飛ばす。リナは慌てて薬草を焚き、煙で視界を覆う。
「フィオ!」
「え、えいっ!」
炎の矢が飛び、刺客の足元で爆ぜた。驚いた敵が後退するが、すぐに矢が雨のように降ってきた。
「セリウス!」
「煙幕だ!」
瓶が割れ、白い霧が辺りを覆う。敵の視界が塞がれ、仲間たちが態勢を立て直す。
「退け!」俺は叫んだ。
刺客たちは撤退していったが、最後に言い残した。
「……次は容赦しない。王都はお前たちを潰す」
◇
敵が去った後、皆が肩で息をしていた。
「……本当に来たんだね、王都から」リナが震える声で言う。
「私たち……どうなるの?」フィオが怯えた目を向けてきた。
俺は皆を見回し、はっきり言った。
「大丈夫だ。段取りを間違えなければ、俺たちは負けない」
グレンが笑う。
「おう! 今度来たら、まとめて叩き潰してやる!」
セリウスは静かに頷き、エレナは「帳簿を守らなきゃ……!」と必死に羊皮紙を抱えていた。
◇
焚き火の炎を見つめながら、俺は心の奥で決意を固めた。
「追放者ギルドは、誰にも潰させない。俺たちの居場所は、俺たちで守る」
――谷に平穏は戻ったように見えたが、外の世界は確実に動き始めていた。
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