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第四十話 未来の選択
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断罪の舞台は殿下の勝利で終わるはずだった。だが結果は真逆――悪役令嬢と呼ばれた娘は俯かずに立ち、第二王子の隣で自由を選ぶと宣言したのだ。
王都の広間を揺らしたざわめきは、その夜、街の隅々にまで広がった。
――悪役令嬢は罪を拒み、自由を語った。
――第二王子は檻ではなく愛を示した。
――王太子の硝子の微笑は砕け、怒りを露わにした。
国はもはや、断罪という名の檻を受け入れなくなりつつあった。
◇
王宮の謁見の間。再び集められた重臣たちの前で、王太子殿下は怒りを隠さず叫んだ。
「クラリッサを捕えよ! 第二王子もろとも反逆者として処刑する!」
しかし、その声に重臣の一人が静かに反論する。
「殿下。罪なき娘を断罪すれば、民心は離れましょう。既に市井ではクラリッサ嬢を“自由の象徴”と称える声すらあります」
別の者も続ける。
「第二王子殿下の言葉に共鳴する若者も多い。殿下、このままでは国が裂けます」
殿下の硝子の微笑は消え、怒気に満ちた顔だけがそこにあった。
◇
「クラリッサ」
殿下が最後の説得とばかりに、謁見の間でわたしの名を呼んだ。
「まだ間に合う。兄弟の対立をやめたいのなら、今すぐ私に従え。檻に戻れば、すべて丸く収まる」
静寂が広がる。殿下の提案は、檻に戻ることと同義だった。
「いいえ、殿下」
わたしは扇を閉じ、真っ直ぐに言った。
「わたしは檻には戻りません。従うことが平和ではなく、自由を失うことこそ国を滅ぼします」
会場がざわめき、殿下の顔が怒りで紅潮する。
◇
「ならば、私が守ろう」
レオンハルトが一歩進み出た。深い緑の軍装に身を包み、その瞳は確かな光を宿していた。
「クラリッサは私の婚約者だ。檻ではなく、共に未来を選ぶ伴侶だ。……兄上、あなたの時代はもう終わりだ」
その声は重臣たちの心を揺らし、群衆の耳に届き、国の空気を変えていった。
殿下は叫ぶ。
「裏切り者め! 王位を狙うのか!」
「違う。私はただ、愛する人を檻から守る。それが結果として国を変えるなら、それもまた運命だ」
◇
重臣たちの議論は長く続いた。だが最終的に下されたのは、王太子殿下の権限の一部停止、そして第二王子派の台頭を認める決議だった。
王太子は怒りに震えながら退席し、エミリアは困惑の瞳でわたしを見つめていた。彼女は最後まで善意を信じていたのだろう。だが物語はもう変わってしまった。
◇
夜。屋敷の庭園で、わたしとレオンハルトは並んで月を見上げていた。
「終わった……のかしら」
「いいや、始まりだ」彼は微笑む。「あなたと共に歩む、新しい未来の始まりだ」
彼がわたしの手を取り、静かに口づける。その温もりが胸に広がり、涙が滲む。
「レオン……」
「クラリッサ。あなたが檻を拒んだから、私は自由を知った。ありがとう。これからは共に幸せを掴もう」
◇
机の上に白いハンカチを置き、窓から夜空を見上げる。
――悪役令嬢は断罪を越え、未来を掴んだ。
「わたしはもう、檻には戻らない」
その言葉は誓いとなり、雪の降る夜に消えていった。
――そして物語は、ヒロインよりも先に幸せを掴んだ悪役令嬢の、新たな章へと進んでいく。
王都の広間を揺らしたざわめきは、その夜、街の隅々にまで広がった。
――悪役令嬢は罪を拒み、自由を語った。
――第二王子は檻ではなく愛を示した。
――王太子の硝子の微笑は砕け、怒りを露わにした。
国はもはや、断罪という名の檻を受け入れなくなりつつあった。
◇
王宮の謁見の間。再び集められた重臣たちの前で、王太子殿下は怒りを隠さず叫んだ。
「クラリッサを捕えよ! 第二王子もろとも反逆者として処刑する!」
しかし、その声に重臣の一人が静かに反論する。
「殿下。罪なき娘を断罪すれば、民心は離れましょう。既に市井ではクラリッサ嬢を“自由の象徴”と称える声すらあります」
別の者も続ける。
「第二王子殿下の言葉に共鳴する若者も多い。殿下、このままでは国が裂けます」
殿下の硝子の微笑は消え、怒気に満ちた顔だけがそこにあった。
◇
「クラリッサ」
殿下が最後の説得とばかりに、謁見の間でわたしの名を呼んだ。
「まだ間に合う。兄弟の対立をやめたいのなら、今すぐ私に従え。檻に戻れば、すべて丸く収まる」
静寂が広がる。殿下の提案は、檻に戻ることと同義だった。
「いいえ、殿下」
わたしは扇を閉じ、真っ直ぐに言った。
「わたしは檻には戻りません。従うことが平和ではなく、自由を失うことこそ国を滅ぼします」
会場がざわめき、殿下の顔が怒りで紅潮する。
◇
「ならば、私が守ろう」
レオンハルトが一歩進み出た。深い緑の軍装に身を包み、その瞳は確かな光を宿していた。
「クラリッサは私の婚約者だ。檻ではなく、共に未来を選ぶ伴侶だ。……兄上、あなたの時代はもう終わりだ」
その声は重臣たちの心を揺らし、群衆の耳に届き、国の空気を変えていった。
殿下は叫ぶ。
「裏切り者め! 王位を狙うのか!」
「違う。私はただ、愛する人を檻から守る。それが結果として国を変えるなら、それもまた運命だ」
◇
重臣たちの議論は長く続いた。だが最終的に下されたのは、王太子殿下の権限の一部停止、そして第二王子派の台頭を認める決議だった。
王太子は怒りに震えながら退席し、エミリアは困惑の瞳でわたしを見つめていた。彼女は最後まで善意を信じていたのだろう。だが物語はもう変わってしまった。
◇
夜。屋敷の庭園で、わたしとレオンハルトは並んで月を見上げていた。
「終わった……のかしら」
「いいや、始まりだ」彼は微笑む。「あなたと共に歩む、新しい未来の始まりだ」
彼がわたしの手を取り、静かに口づける。その温もりが胸に広がり、涙が滲む。
「レオン……」
「クラリッサ。あなたが檻を拒んだから、私は自由を知った。ありがとう。これからは共に幸せを掴もう」
◇
机の上に白いハンカチを置き、窓から夜空を見上げる。
――悪役令嬢は断罪を越え、未来を掴んだ。
「わたしはもう、檻には戻らない」
その言葉は誓いとなり、雪の降る夜に消えていった。
――そして物語は、ヒロインよりも先に幸せを掴んだ悪役令嬢の、新たな章へと進んでいく。
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