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第37話「光と闇の最終決戦」
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森を覆う闇と砦を照らす光――その境界線で、最後の戦いが始まろうとしていた。
黒紋章と融合した司祭の影は異形の巨躯へと変貌し、背の翼を広げて夜空を覆う。目は燃えるように赤く輝き、吐き出す息は炎のような闇となって大地を焼いた。砦の石壁は崩れ、兵士たちの頬に熱風が叩きつけられる。
「これが……真の闇……!」
「こんなものに勝てるのか……!」
恐怖が兵の胸を締め付けた。しかし、その中心でアレンが剣を掲げて叫んだ。
「聖女と共にある限り、俺たちは負けない! 光を繋げ!」
その声に呼応し、兵士たちは剣や盾を掲げ、震える足を踏みしめた。
◇
リディアは砦の上に立ち、胸を押さえて呼吸を整えていた。身体はまだ衰弱しきっている。それでも彼女の瞳には強い意志が宿っていた。
「皆……どうか、私の光を受け取って」
胸の奥の炎が脈動し、砦全体に温かな輝きが広がった。兵士たちの剣に光が宿り、心臓に再び力が漲る。
「体が……震えない……!」
「聖女様の光だ……!」
希望が、絶望の隙間を塗り替えていく。
◇
闇の巨影が咆哮し、翼を振り下ろした。黒い暴風が砦を襲い、石と木を吹き飛ばす。兵士たちが押し潰されそうになったその瞬間、アレンが声を張った。
「俺が前に出る! 道を開け!」
光を宿した剣を振りかざし、暴風に立ち向かう。刃が黒雲を裂き、風が弾け飛んだ。兵士たちがその背に続き、砦の壁を死守する。
「押し返せ!」
「まだ戦える!」
◇
だが巨影は怯まない。闇を纏った両腕を振り下ろし、砦の石壁を粉砕した。兵士たちが瓦礫に押し潰され、悲鳴が響く。
「ぐああっ!」
「下がれ! 後方へ!」
砦全体が崩壊しかけた時、リディアの声が響いた。
「お願い……! まだ立って……!」
彼女の祈りに応えるように、光が崩れた壁を包み込み、倒れた兵士たちを守った。かすかな癒しが施され、呻き声が安堵の吐息へと変わる。
◇
アレンは振り返り、リディアを見据えた。
「その光があれば、まだ戦える!」
「でも……このままでは……!」
リディアの胸の光は再び暴れ、臨界の痛みを呼び覚ましていた。命を削る危うさが戻りつつある。それでも彼女は首を振り、涙を滲ませながら笑った。
「今度は……一人で背負わない。皆がいるから……!」
◇
森の奥から、司祭の影が嘲笑を響かせた。
「愚か者ども! 光を繋いだところで、闇は永遠に尽きぬ!」
その声に、リディアは震える声で返した。
「尽きないのは……闇じゃない。人の祈りと絆こそ、永遠に繋がるもの!」
胸の光が爆発するように輝き、砦全体を覆った。兵士たちが息を呑み、その力を剣に込めて叫ぶ。
「聖女様と共に!」
「闇を断つ!」
◇
光と闇が再び激突する。
黒雲が渦巻き、白銀の輝きが裂け目を走る。大地は揺れ、空は引き裂かれるように震えた。
最終決戦の幕は、ついに切って落とされた。
砦の上空で光と闇が激突し、夜空が昼のように明滅する。雷鳴のような轟音が響き、衝撃波が大地を裂き、崩れた石壁をさらに粉砕した。兵士たちはその中でも立ち続け、剣を握り締めて闇の化身へと向かっていった。
◇
アレンは最前線で剣を振るい、巨影の爪を受け止めた。火花のように光と闇が散り、衝撃で足元が割れる。だが彼は一歩も退かず、全身で押し返した。
「俺たちの未来を……渡すものか!」
背後から兵士たちが駆け寄り、光を纏った刃で巨影の脚を切り裂いた。闇が悲鳴を上げて揺らぎ、巨体がわずかに傾く。
「効いている! まだいける!」
「押せ! 押し返せ!」
希望の声が戦場を震わせた。
◇
一方、リディアは砦の中央で両手を広げ、胸の光を解き放っていた。兵士一人ひとりの剣にその輝きを分け与え、倒れた者の傷を癒やし、再び立たせる。だがその度に、胸の奥の炎は痛みを伴い、体力を削り取っていった。
「はぁ……はぁ……まだ……繋がなきゃ……」
「リディア様!」マリアが叫ぶ。「もう限界です! これ以上は……!」
「いいえ……限界なんかじゃない。皆が繋いでくれる限り……私は立てる!」
その声に呼応し、兵士たちはさらに声を張った。
「聖女様と共に!」
「俺たちが支える!」
光は揺らぎながらも確かに強さを増していった。
◇
森の奥で黒紋章を背負った司祭の影が嘲笑する。
「愚かな娘よ……光を撒き散らすほどに、その身を蝕むのだ!」
巨影が再び翼を広げ、闇の刃を雨のように降らせた。砦の屋根が崩れ、兵士が吹き飛ばされる。だがその瞬間、リディアの光が盾となって彼らを守った。
「守られている……!」
「まだ戦える!」
安堵の声と共に、兵士たちが再び立ち上がった。
◇
アレンは剣を握り直し、仲間たちに叫ぶ。
「司祭を断て! あの紋章さえ壊せば、この闇は消える!」
兵士たちが一斉に森へ突撃しようとしたが、巨影が立ちはだかった。黒い腕が大地を叩き、衝撃波で兵を吹き飛ばす。
「くそっ……!」
「まだ……倒れないのか……!」
絶望が広がりかけたその時、リディアの声が響いた。
「皆……信じて! 私が光で道を開く!」
◇
リディアは胸の奥の炎を両手に集め、砦の前方へと放った。眩い光の奔流が森へと道を描き、巨影の身体を裂いた。
「今だ! 進め!」
アレンが声を張り、兵士たちが雄叫びをあげて突撃した。光の道を駆け抜け、紋章のある森の奥を目指す。
◇
だが巨影も黙ってはいなかった。
裂かれた身体を闇で補いながら、さらに巨大な腕を伸ばし、兵士たちを押し潰そうと迫る。
「うわああっ!」
「避けろ!」
絶体絶命のその瞬間、リディアが叫んだ。
「お願い……まだ倒れないで!」
祈りの光が砦全体を覆い、兵士たちを包み込んだ。大地を叩いた巨影の腕は光に阻まれ、弾かれて大きく揺らぐ。
◇
兵士たちはその隙に光の道を駆け抜け、ついに黒紋章の目前に迫った。
「見えた……!」
「これを……壊せば!」
しかし、紋章の前に司祭が立ちはだかった。闇に呑まれた姿はもはや人の形をしていなかったが、その瞳には狂気の執念が宿っていた。
「来るがいい……この命、すべてを闇に捧げよう!」
闇の司祭との直接対決が、いま始まろうとしていた。
黒紋章の前に立つその姿は、もはや人ではなかった。骨と肉が闇に呑まれ、皮膚は黒い靄となって溶け落ち、両腕は異形の刃に変じていた。だが赤い瞳だけは爛々と燃え、狂気の執念に満ちていた。
「聖女よ……お前の光を呑み干して、この世を闇で満たしてやる!」
低く響く声が森全体を揺らし、兵士たちの足をすくませた。
◇
アレンが一歩前に進み、剣を構える。
「やれるものならやってみろ。お前を斬り伏せ、この紋章を砕く!」
光を纏った剣が白銀に輝き、司祭の闇の刃と激突する。火花が散り、轟音が森に木霊した。衝撃で木々が揺れ、兵士たちは必死に踏みとどまった。
「押せ! 司祭を退けろ!」
兵士たちが剣を振るい、影の残兵を斬り払う。
◇
リディアは胸の痛みに耐えながら、両手を広げて光を解き放った。
「皆の力を……繋げて……!」
その光は兵士たちの剣に流れ込み、刃がさらに強く輝く。闇に囚われた影は光に触れた瞬間、悲鳴をあげて消え去った。
「聖女様の光だ!」
「これで……勝てる!」
希望の声が戦場を満たす。
◇
だが、司祭は笑っていた。
「小娘……お前の光は確かに強い。だが代償は必ずお前の身を蝕む!」
闇の刃が大きく振り下ろされ、アレンを吹き飛ばす。地に叩きつけられた彼の周囲に砂煙が舞い、兵士たちが悲鳴をあげた。
「アレン様!」
司祭は続けてリディアに狙いを定め、闇を凝縮した矢を放つ。
「まずは聖女からだ!」
◇
その瞬間、マリアが身を挺してリディアを抱きしめ、盾となった。
「リディア様ぁっ!」
矢は光の障壁に弾かれたが、マリアは衝撃で血を吐き、地に崩れ落ちた。
「マリア!」
リディアの悲鳴が戦場に響いた。涙が頬を伝い、胸の奥の光が激しく脈打つ。
◇
アレンが瓦礫から立ち上がり、叫んだ。
「リディア! 怒りで自分を焼き尽くすな! 皆で……繋げ!」
その声にリディアは震える手を握り、涙を拭った。
「そう……私は一人じゃない。皆と共に……!」
胸の炎が静かに整い、強大な光となって砦全体を包み込んだ。
◇
司祭が咆哮する。
「ならば、この身をすべて闇に捧げる!」
彼の身体は完全に紋章と一体化し、巨大な黒き化身へと変貌した。背にはさらに大きな翼が生え、地を踏みしめるたびに大地が震える。
兵士たちが声を失う。
「これが……最終の姿……」
◇
リディアは涙を拭い、剣を掲げたアレンと視線を交わした。
「アレン様……皆……これが最後よ。光を繋げて!」
「分かった。ここで決着をつける!」
兵士たちが一斉に剣を掲げ、声を張った。
「聖女様と共に!」
「闇を断つ!」
◇
光と闇のすべてを賭けた最後の戦いが、今まさに始まろうとしていた。
黒紋章と融合した司祭の影は異形の巨躯へと変貌し、背の翼を広げて夜空を覆う。目は燃えるように赤く輝き、吐き出す息は炎のような闇となって大地を焼いた。砦の石壁は崩れ、兵士たちの頬に熱風が叩きつけられる。
「これが……真の闇……!」
「こんなものに勝てるのか……!」
恐怖が兵の胸を締め付けた。しかし、その中心でアレンが剣を掲げて叫んだ。
「聖女と共にある限り、俺たちは負けない! 光を繋げ!」
その声に呼応し、兵士たちは剣や盾を掲げ、震える足を踏みしめた。
◇
リディアは砦の上に立ち、胸を押さえて呼吸を整えていた。身体はまだ衰弱しきっている。それでも彼女の瞳には強い意志が宿っていた。
「皆……どうか、私の光を受け取って」
胸の奥の炎が脈動し、砦全体に温かな輝きが広がった。兵士たちの剣に光が宿り、心臓に再び力が漲る。
「体が……震えない……!」
「聖女様の光だ……!」
希望が、絶望の隙間を塗り替えていく。
◇
闇の巨影が咆哮し、翼を振り下ろした。黒い暴風が砦を襲い、石と木を吹き飛ばす。兵士たちが押し潰されそうになったその瞬間、アレンが声を張った。
「俺が前に出る! 道を開け!」
光を宿した剣を振りかざし、暴風に立ち向かう。刃が黒雲を裂き、風が弾け飛んだ。兵士たちがその背に続き、砦の壁を死守する。
「押し返せ!」
「まだ戦える!」
◇
だが巨影は怯まない。闇を纏った両腕を振り下ろし、砦の石壁を粉砕した。兵士たちが瓦礫に押し潰され、悲鳴が響く。
「ぐああっ!」
「下がれ! 後方へ!」
砦全体が崩壊しかけた時、リディアの声が響いた。
「お願い……! まだ立って……!」
彼女の祈りに応えるように、光が崩れた壁を包み込み、倒れた兵士たちを守った。かすかな癒しが施され、呻き声が安堵の吐息へと変わる。
◇
アレンは振り返り、リディアを見据えた。
「その光があれば、まだ戦える!」
「でも……このままでは……!」
リディアの胸の光は再び暴れ、臨界の痛みを呼び覚ましていた。命を削る危うさが戻りつつある。それでも彼女は首を振り、涙を滲ませながら笑った。
「今度は……一人で背負わない。皆がいるから……!」
◇
森の奥から、司祭の影が嘲笑を響かせた。
「愚か者ども! 光を繋いだところで、闇は永遠に尽きぬ!」
その声に、リディアは震える声で返した。
「尽きないのは……闇じゃない。人の祈りと絆こそ、永遠に繋がるもの!」
胸の光が爆発するように輝き、砦全体を覆った。兵士たちが息を呑み、その力を剣に込めて叫ぶ。
「聖女様と共に!」
「闇を断つ!」
◇
光と闇が再び激突する。
黒雲が渦巻き、白銀の輝きが裂け目を走る。大地は揺れ、空は引き裂かれるように震えた。
最終決戦の幕は、ついに切って落とされた。
砦の上空で光と闇が激突し、夜空が昼のように明滅する。雷鳴のような轟音が響き、衝撃波が大地を裂き、崩れた石壁をさらに粉砕した。兵士たちはその中でも立ち続け、剣を握り締めて闇の化身へと向かっていった。
◇
アレンは最前線で剣を振るい、巨影の爪を受け止めた。火花のように光と闇が散り、衝撃で足元が割れる。だが彼は一歩も退かず、全身で押し返した。
「俺たちの未来を……渡すものか!」
背後から兵士たちが駆け寄り、光を纏った刃で巨影の脚を切り裂いた。闇が悲鳴を上げて揺らぎ、巨体がわずかに傾く。
「効いている! まだいける!」
「押せ! 押し返せ!」
希望の声が戦場を震わせた。
◇
一方、リディアは砦の中央で両手を広げ、胸の光を解き放っていた。兵士一人ひとりの剣にその輝きを分け与え、倒れた者の傷を癒やし、再び立たせる。だがその度に、胸の奥の炎は痛みを伴い、体力を削り取っていった。
「はぁ……はぁ……まだ……繋がなきゃ……」
「リディア様!」マリアが叫ぶ。「もう限界です! これ以上は……!」
「いいえ……限界なんかじゃない。皆が繋いでくれる限り……私は立てる!」
その声に呼応し、兵士たちはさらに声を張った。
「聖女様と共に!」
「俺たちが支える!」
光は揺らぎながらも確かに強さを増していった。
◇
森の奥で黒紋章を背負った司祭の影が嘲笑する。
「愚かな娘よ……光を撒き散らすほどに、その身を蝕むのだ!」
巨影が再び翼を広げ、闇の刃を雨のように降らせた。砦の屋根が崩れ、兵士が吹き飛ばされる。だがその瞬間、リディアの光が盾となって彼らを守った。
「守られている……!」
「まだ戦える!」
安堵の声と共に、兵士たちが再び立ち上がった。
◇
アレンは剣を握り直し、仲間たちに叫ぶ。
「司祭を断て! あの紋章さえ壊せば、この闇は消える!」
兵士たちが一斉に森へ突撃しようとしたが、巨影が立ちはだかった。黒い腕が大地を叩き、衝撃波で兵を吹き飛ばす。
「くそっ……!」
「まだ……倒れないのか……!」
絶望が広がりかけたその時、リディアの声が響いた。
「皆……信じて! 私が光で道を開く!」
◇
リディアは胸の奥の炎を両手に集め、砦の前方へと放った。眩い光の奔流が森へと道を描き、巨影の身体を裂いた。
「今だ! 進め!」
アレンが声を張り、兵士たちが雄叫びをあげて突撃した。光の道を駆け抜け、紋章のある森の奥を目指す。
◇
だが巨影も黙ってはいなかった。
裂かれた身体を闇で補いながら、さらに巨大な腕を伸ばし、兵士たちを押し潰そうと迫る。
「うわああっ!」
「避けろ!」
絶体絶命のその瞬間、リディアが叫んだ。
「お願い……まだ倒れないで!」
祈りの光が砦全体を覆い、兵士たちを包み込んだ。大地を叩いた巨影の腕は光に阻まれ、弾かれて大きく揺らぐ。
◇
兵士たちはその隙に光の道を駆け抜け、ついに黒紋章の目前に迫った。
「見えた……!」
「これを……壊せば!」
しかし、紋章の前に司祭が立ちはだかった。闇に呑まれた姿はもはや人の形をしていなかったが、その瞳には狂気の執念が宿っていた。
「来るがいい……この命、すべてを闇に捧げよう!」
闇の司祭との直接対決が、いま始まろうとしていた。
黒紋章の前に立つその姿は、もはや人ではなかった。骨と肉が闇に呑まれ、皮膚は黒い靄となって溶け落ち、両腕は異形の刃に変じていた。だが赤い瞳だけは爛々と燃え、狂気の執念に満ちていた。
「聖女よ……お前の光を呑み干して、この世を闇で満たしてやる!」
低く響く声が森全体を揺らし、兵士たちの足をすくませた。
◇
アレンが一歩前に進み、剣を構える。
「やれるものならやってみろ。お前を斬り伏せ、この紋章を砕く!」
光を纏った剣が白銀に輝き、司祭の闇の刃と激突する。火花が散り、轟音が森に木霊した。衝撃で木々が揺れ、兵士たちは必死に踏みとどまった。
「押せ! 司祭を退けろ!」
兵士たちが剣を振るい、影の残兵を斬り払う。
◇
リディアは胸の痛みに耐えながら、両手を広げて光を解き放った。
「皆の力を……繋げて……!」
その光は兵士たちの剣に流れ込み、刃がさらに強く輝く。闇に囚われた影は光に触れた瞬間、悲鳴をあげて消え去った。
「聖女様の光だ!」
「これで……勝てる!」
希望の声が戦場を満たす。
◇
だが、司祭は笑っていた。
「小娘……お前の光は確かに強い。だが代償は必ずお前の身を蝕む!」
闇の刃が大きく振り下ろされ、アレンを吹き飛ばす。地に叩きつけられた彼の周囲に砂煙が舞い、兵士たちが悲鳴をあげた。
「アレン様!」
司祭は続けてリディアに狙いを定め、闇を凝縮した矢を放つ。
「まずは聖女からだ!」
◇
その瞬間、マリアが身を挺してリディアを抱きしめ、盾となった。
「リディア様ぁっ!」
矢は光の障壁に弾かれたが、マリアは衝撃で血を吐き、地に崩れ落ちた。
「マリア!」
リディアの悲鳴が戦場に響いた。涙が頬を伝い、胸の奥の光が激しく脈打つ。
◇
アレンが瓦礫から立ち上がり、叫んだ。
「リディア! 怒りで自分を焼き尽くすな! 皆で……繋げ!」
その声にリディアは震える手を握り、涙を拭った。
「そう……私は一人じゃない。皆と共に……!」
胸の炎が静かに整い、強大な光となって砦全体を包み込んだ。
◇
司祭が咆哮する。
「ならば、この身をすべて闇に捧げる!」
彼の身体は完全に紋章と一体化し、巨大な黒き化身へと変貌した。背にはさらに大きな翼が生え、地を踏みしめるたびに大地が震える。
兵士たちが声を失う。
「これが……最終の姿……」
◇
リディアは涙を拭い、剣を掲げたアレンと視線を交わした。
「アレン様……皆……これが最後よ。光を繋げて!」
「分かった。ここで決着をつける!」
兵士たちが一斉に剣を掲げ、声を張った。
「聖女様と共に!」
「闇を断つ!」
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光と闇のすべてを賭けた最後の戦いが、今まさに始まろうとしていた。
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一方、リディアを追放した王都は「虚無の呪い」に沈み、崩壊の危機に瀕していた。
これは、感情なき元魔王女が、人間社会をクールに観測し、やがて自らの存在意義を見出していく、静かで少しだけ温かい異世界ファンタジー。
彼女が最後に選択する《最適解》とは――。
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