氷の騎士と契約結婚したのですが、愛することはないと言われたので契約通り離縁します!

柚屋志宇

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07話 お飾りの妻の仕事

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 屋敷内別居をしながら、私はライナス様の妻としての表向きの仕事をこなしました。
 家政や社交などです。

 家政については、幸い使用人たちは皆、私に協力的でしたので助かりました。
 執事をはじめとする使用人たちは、皆、よく尽くしてくれました。

 社交も、義両親が好意的でしたので助かりました。

 クレイトン侯爵家が主催する夜会やサロンに、私はライナス様の妻として出席しました。
 もちろんクレイトン侯爵家の跡継ぎの妻として恥ずかしくない豪奢な装いで。

 義母であるクレイトン侯爵夫人がドレスを何着も用意してくださり、アクセサリーなども侯爵家にふさわしいものを揃えてくださいました。

 義両親は嬉々として、私を皆に紹介しました。
 私の評判は上々。

「セルマ様はとても教養が高くていらっしゃいますのね」
「さすがは歴史あるスタンリー伯爵家の娘さんですわ」

 私の実家スタンリー伯爵家は一言で言えば貧乏貴族でしたが。
 歴史はありました。
 そのため子供たちは伝統的な貴族教育をしっかりと受けておりました。
 とくに年配のご夫人たちには、私の振る舞いは好ましく映ったようです。

「スタンリー伯爵家はこんな美しい娘さんを隠していらっしゃったのね」
「こんな清楚で聡明な娘さんがスタンリー伯爵家にいらっしゃると知っていたら……。先を越されてしまいましたわ」

 スタンリー伯爵家に私という娘がいたことが、貴族社会にあまり知られていなかったのは、スタンリー伯爵家が経済的に苦しく、王都の社交界からは遠ざかっていたからです。

 両親や跡継ぎの兄が王宮の催しに出席するくらいでした。
 娘の私は、幼馴染のアーサーと結婚するのだろうと思われていたこともあり社交界には出ていませんでした。

「美しい花嫁を迎えられて、クレイトン侯爵家も安泰ですね」

 意外にも、私は容姿をよく褒められました。
 私の容姿は平凡の部類だと思うのですが。
 クレイトン侯爵家の財力で、ドレスでも宝飾品でも化粧品でも優秀な侍女でも、美しくなるために必要なものは何でも揃えることができましたので、それで私も磨かれたのでしょうか。

 美しさは、お金があればある程度は買えるものなのかもしれません。
 地味な私でも宝石の輝きを借りれば、輝けますもの。

 侯爵家の爵位の威光の輝きの部分も大きいかもしれませんね。

「クレイトン侯爵、そなたの息子は良い花嫁を迎えたな。教養も高い」

 王宮の夜会で、私は国王陛下にお褒めいただきました。

「セルマのおかげで鼻が高いよ」
「さすがね、セルマ」

 国王陛下へのご挨拶が終わると、クレイトン侯爵夫妻は私を褒めてくださいました。

 ライナス様は……国王陛下へのご挨拶が終わった途端に、さっさとどこかへ行ってしまわれたので、この場にはもういませんでした。
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