7 / 14
07話 お飾りの妻の仕事
しおりを挟む
屋敷内別居をしながら、私はライナス様の妻としての表向きの仕事をこなしました。
家政や社交などです。
家政については、幸い使用人たちは皆、私に協力的でしたので助かりました。
執事をはじめとする使用人たちは、皆、よく尽くしてくれました。
社交も、義両親が好意的でしたので助かりました。
クレイトン侯爵家が主催する夜会やサロンに、私はライナス様の妻として出席しました。
もちろんクレイトン侯爵家の跡継ぎの妻として恥ずかしくない豪奢な装いで。
義母であるクレイトン侯爵夫人がドレスを何着も用意してくださり、アクセサリーなども侯爵家にふさわしいものを揃えてくださいました。
義両親は嬉々として、私を皆に紹介しました。
私の評判は上々。
「セルマ様はとても教養が高くていらっしゃいますのね」
「さすがは歴史あるスタンリー伯爵家の娘さんですわ」
私の実家スタンリー伯爵家は一言で言えば貧乏貴族でしたが。
歴史はありました。
そのため子供たちは伝統的な貴族教育をしっかりと受けておりました。
とくに年配のご夫人たちには、私の振る舞いは好ましく映ったようです。
「スタンリー伯爵家はこんな美しい娘さんを隠していらっしゃったのね」
「こんな清楚で聡明な娘さんがスタンリー伯爵家にいらっしゃると知っていたら……。先を越されてしまいましたわ」
スタンリー伯爵家に私という娘がいたことが、貴族社会にあまり知られていなかったのは、スタンリー伯爵家が経済的に苦しく、王都の社交界からは遠ざかっていたからです。
両親や跡継ぎの兄が王宮の催しに出席するくらいでした。
娘の私は、幼馴染のアーサーと結婚するのだろうと思われていたこともあり社交界には出ていませんでした。
「美しい花嫁を迎えられて、クレイトン侯爵家も安泰ですね」
意外にも、私は容姿をよく褒められました。
私の容姿は平凡の部類だと思うのですが。
クレイトン侯爵家の財力で、ドレスでも宝飾品でも化粧品でも優秀な侍女でも、美しくなるために必要なものは何でも揃えることができましたので、それで私も磨かれたのでしょうか。
美しさは、お金があればある程度は買えるものなのかもしれません。
地味な私でも宝石の輝きを借りれば、輝けますもの。
侯爵家の爵位の威光の輝きの部分も大きいかもしれませんね。
「クレイトン侯爵、そなたの息子は良い花嫁を迎えたな。教養も高い」
王宮の夜会で、私は国王陛下にお褒めいただきました。
「セルマのおかげで鼻が高いよ」
「さすがね、セルマ」
国王陛下へのご挨拶が終わると、クレイトン侯爵夫妻は私を褒めてくださいました。
ライナス様は……国王陛下へのご挨拶が終わった途端に、さっさとどこかへ行ってしまわれたので、この場にはもういませんでした。
家政や社交などです。
家政については、幸い使用人たちは皆、私に協力的でしたので助かりました。
執事をはじめとする使用人たちは、皆、よく尽くしてくれました。
社交も、義両親が好意的でしたので助かりました。
クレイトン侯爵家が主催する夜会やサロンに、私はライナス様の妻として出席しました。
もちろんクレイトン侯爵家の跡継ぎの妻として恥ずかしくない豪奢な装いで。
義母であるクレイトン侯爵夫人がドレスを何着も用意してくださり、アクセサリーなども侯爵家にふさわしいものを揃えてくださいました。
義両親は嬉々として、私を皆に紹介しました。
私の評判は上々。
「セルマ様はとても教養が高くていらっしゃいますのね」
「さすがは歴史あるスタンリー伯爵家の娘さんですわ」
私の実家スタンリー伯爵家は一言で言えば貧乏貴族でしたが。
歴史はありました。
そのため子供たちは伝統的な貴族教育をしっかりと受けておりました。
とくに年配のご夫人たちには、私の振る舞いは好ましく映ったようです。
「スタンリー伯爵家はこんな美しい娘さんを隠していらっしゃったのね」
「こんな清楚で聡明な娘さんがスタンリー伯爵家にいらっしゃると知っていたら……。先を越されてしまいましたわ」
スタンリー伯爵家に私という娘がいたことが、貴族社会にあまり知られていなかったのは、スタンリー伯爵家が経済的に苦しく、王都の社交界からは遠ざかっていたからです。
両親や跡継ぎの兄が王宮の催しに出席するくらいでした。
娘の私は、幼馴染のアーサーと結婚するのだろうと思われていたこともあり社交界には出ていませんでした。
「美しい花嫁を迎えられて、クレイトン侯爵家も安泰ですね」
意外にも、私は容姿をよく褒められました。
私の容姿は平凡の部類だと思うのですが。
クレイトン侯爵家の財力で、ドレスでも宝飾品でも化粧品でも優秀な侍女でも、美しくなるために必要なものは何でも揃えることができましたので、それで私も磨かれたのでしょうか。
美しさは、お金があればある程度は買えるものなのかもしれません。
地味な私でも宝石の輝きを借りれば、輝けますもの。
侯爵家の爵位の威光の輝きの部分も大きいかもしれませんね。
「クレイトン侯爵、そなたの息子は良い花嫁を迎えたな。教養も高い」
王宮の夜会で、私は国王陛下にお褒めいただきました。
「セルマのおかげで鼻が高いよ」
「さすがね、セルマ」
国王陛下へのご挨拶が終わると、クレイトン侯爵夫妻は私を褒めてくださいました。
ライナス様は……国王陛下へのご挨拶が終わった途端に、さっさとどこかへ行ってしまわれたので、この場にはもういませんでした。
242
あなたにおすすめの小説
もう演じなくて結構です
梨丸
恋愛
侯爵令嬢セリーヌは最愛の婚約者が自分のことを愛していないことに気づく。
愛しの婚約者様、もう婚約者を演じなくて結構です。
11/5HOTランキング入りしました。ありがとうございます。
感想などいただけると、嬉しいです。
11/14 完結いたしました。
11/16 完結小説ランキング総合8位、恋愛部門4位ありがとうございます。
あなたの言うことが、すべて正しかったです
Mag_Mel
恋愛
「私に愛されるなどと勘違いしないでもらいたい。なにせ君は……そうだな。在庫処分間近の見切り品、というやつなのだから」
名ばかりの政略結婚の初夜、リディアは夫ナーシェン・トラヴィスにそう言い放たれた。しかも彼が愛しているのは、まだ十一歳の少女。彼女が成人する五年後には離縁するつもりだと、当然のように言い放たれる。
絶望と屈辱の中、病に倒れたことをきっかけにリディアは目を覚ます。放漫経営で傾いたトラヴィス商会の惨状を知り、持ち前の商才で立て直しに挑んだのだ。執事長ベネディクトの力を借りた彼女はやがて商会を支える柱となる。
そして、運命の五年後。
リディアに離縁を突きつけられたナーシェンは――かつて自らが吐いた「見切り品」という言葉に相応しい、哀れな姿となっていた。
*小説家になろうでも投稿中です
【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!
月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、
花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。
姻族全員大騒ぎとなった
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
元婚約者様へ。私は決して復縁はいたしませんよ
柚木ゆず
恋愛
他国で開かれた世界的なピアノコンクールで最高位の賞に輝き、史上最年少で文化勲章を授与された伯爵令嬢ステラス。彼女にはかつて婚約者である侯爵家の嫡男ルーラルトに裏切られ傷つき、専属調律師であるザクターによって救われた過去がありました。
かつて策略によってステラスに好意を抱かせ、挙句心変わりをして捨てた元婚約者ルーラルト。そんな彼は――
「ステラス・レルアユス。俺が愛すべき人は、やはり貴方でした」
ステラスが一躍有名人になったと知るや、反省していると嘯き復縁を求め接触を始めたのでした。
また上手く振る舞えば、あの時のように簡単に騙せてヨリを戻せる。そう確信していたルーラルトでしたが、それは叶いません。
なぜならば、ステラスを公私で支える専属調律師のザクターにはとある秘密があって――
婚約者に値踏みされ続けた文官、堪忍袋の緒が切れたのでお別れしました。私は、私を尊重してくれる人を大切にします!
ささい
恋愛
王城で文官として働くリディア・フィアモントは、冷たい婚約者に評価されず疲弊していた。三度目の「婚約解消してもいい」の言葉に、ついに決断する。自由を得た彼女は、日々の書類仕事に誇りを取り戻し、誰かに頼られることの喜びを実感する。王城の仕事を支えつつ、自分らしい生活と自立を歩み始める物語。
ざまあは後悔する系( ^^) _旦~~
小説家になろうにも投稿しております。
戦場から帰らぬ夫は、隣国の姫君に恋文を送っていました
Mag_Mel
恋愛
しばらく床に臥せていたエルマが久方ぶりに参加した祝宴で、隣国の姫君ルーシアは戦地にいるはずの夫ジェイミーの名を口にした。
「彼から恋文をもらっていますの」。
二年もの間、自分には便りひとつ届かなかったのに?
真実を確かめるため、エルマは姫君の茶会へと足を運ぶ。
そこで待っていたのは「身を引いて欲しい」と別れを迫る、ルーシアの取り巻きたちだった。
※小説家になろう様にも投稿しています
白い結婚をご希望ですか? 良いですよ。私はジャガイモと筋肉を育てますので!
松本雀
恋愛
「……いいか、エルゼ。あらかじめ言っておくが、私は君を愛するつもりはない」
「願ったり叶ったりです! 実は私、国境警備隊に幼馴染の恋人がいまして。この結婚が決まった時、二人で『体は売っても心は売らない』って涙ながらに誓い合ったんです。閣下が愛してくださらないなら、私の貞操も守られます! ありがとうございます、公爵閣下!」
「……こいびと?」
◆
「君を愛するつもりはない」
冷徹な公爵ギルベルトが新婚初夜に放った非情な宣告。しかし、新妻エルゼの反応は意外なものだった。
「よかった! 実は私、国境警備隊に恋人がいるんです!」
利害が一致したとばかりに秒速で就寝するエルゼ。彼女の目的は、愛なき結婚生活を隠れ蓑に、恋人への想いを込めた「究極のジャガイモ」を育てることだった!
公爵家の庭園を勝手に耕し、プロテインを肥料にするエルゼに、最初は呆れていたギルベルト。だが、彼女のあまりにフリーダムな振る舞いと、恋人への一途(?)な情熱を目の当たりにするうち、冷徹だった彼の心(と筋肉)に異変が起き始めて……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる