氷の騎士と契約結婚したのですが、愛することはないと言われたので契約通り離縁します!

柚屋志宇

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10話 離縁のとき

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「セルマ、どうしてなんだ!」

 私が離縁の話を切り出すと、ライナス様は血相を変えて狼狽えました。

「そういう契約だからです」

 私は淡々と必要事項を伝えました。

「ライナス様、こちらの離縁書にサインを」

 私はすでに身の回りの品を実家に送り、離縁してこの屋敷を出て行く準備を終わらせています。
 侯爵家で揃えてくれたドレスや宝飾品などの高級品は置いて行くことにしましたので、部屋に置いたままです。
 その旨は使用人たちに伝達済です。

 クレイトン侯爵家が莫大な資金援助をしてくださったおかげで、私の実家スタンリー伯爵家は持ち直しました。
 これ以上は望みません。

 二年経っても子が出来なかったということで、義両親クレイトン侯爵夫妻も私とライナス様の離縁をしぶしぶ承諾してくださっています。
 契約書にその旨が記載されているからです。

 それにやはり、二年しても子が出来なかったということで、クレイトン侯爵夫妻も思うところはおありでしょう。
 侯爵家の跡継ぎには養子を取るという手もありますが。
 やはりライナス様のお子様に、血のつながったお孫様にお会いになりたいことでしょう。

「さあ、ライナス様、サインを」

 離縁の準備は完了しています。
 後はライナス様に離縁書へのサインをいただくのみ。

「待ってくれ、セルマ。別れたくない!」

 この期に及んで、ライナス様は駄々をこねました。

 ライナス様のその言葉を、ある程度は予想していました。
 最後の半年間はやたらと私に絡んで来ましたからね。

 でも本当に私と結婚生活を続けたいなら。
 無駄に私に絡む前に、やることがあったはずです。

 最初の暴言を私に謝罪するとか。
 子が出来なかったら離縁するという結婚契約の条件を両家で再考するよう働きかけるとか。
 しかしライナス様はそういった必要なことを一切せず、ただ私の周囲をうろちょろするばかりでした。

 情状酌量の余地などありません。

「契約を破るのですか?」
「愛しているんだ!」

 愛することはないって言ったのに。
 何なのでしょう。

「そういった話し合いは、契約を履行した後にいたしましょう」

 私は微笑みながらライナス様にサインを求めました。

 とにかく離縁書にサインをもらわなければなりませんからね。

「契約による結婚は終わりました。クレイトン侯爵も離縁を承諾しています。もしライナス様が私との再婚を望むのであれば、クレイトン侯爵を説得していただかなければなりません」
「……解った……」

 ライナス様は離縁書にサインをしました。

 これでお別れです!
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