レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野

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第5章 巨獣人の里編

第58話 祝福

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「そうだ、お礼に俺からもリーダーを祝福させてもらいますね!」

「ほぅ! ソウ君は祝福が出来るのかい!」

「えぇ。まぁ見ていて下さい!」

 俺の魔力を手に集め、リーダー触れる。魔力がリーダーのお腹に移動していき、彼女から白いオーラが凄まじい勢いで吹き上がった。

「おぉ! これは……、神聖魔法っていうのかい!」

「はい! 魔族って人たちに崇拝されたんですよ。そしたら大魔神って種族になってしまいまして。それで祝福が出来るようになったんです!」

「ほぉ! それは詳しく聞きたいな。ま、時間はあるんだ。よろしく頼むよ! あ、そうだ。刀をベルトに巻くのも大変だろう? 良かったら使ってくれたまえ。僕が創った自信作さ」

 リーダーの差し出したのは袋。だが、見覚えがある袋だ。

「これはもしや……?」

「気付いたかい? そうさ、アイテムが沢山入るんだ。既存のものは容量が少ない。時間で劣化する。整理しにくい。取り出す時に迷う。正直、あんなの使っていられないよ!」

「……っ! てことは……」

「あぁ、今言った性能を全て改修済みさ。僕の傑作だ!」

「そ、そんなの伝説級レアより凄い! SSSS級じゃないですか!」

「ま、使ってみてくれ! あと、改善点があったら教えてくれ。すぐに要望に応えてみせるよ!」

「さ、流石です。リーダー! マジ神! 凄い!」

 感涙ものだ! これほどのアイテムをくれるなんて! 気前良すぎ! 男前すぎる! 美少女だけど。

「ん? 何だ……、うおっ!」

 リーダーの顔が見開いた。

「どうしたんです?」

「いや、大魔神の加護の他、”大魔神に崇められし者”なんて称号が!」

「そりゃ、ますます凄い! で、効果はどんなでした?」

「む? これは……、闇魔法と風魔法が使えるようだ。それに、これはすごい!」

 リーダーが俺に抱きついた。そして、はしゃぐように喜ぶ。

「僕も加護が与えられるみたいなんだ!」

「うはっ! 凄すぎるぅ!」

 俺もリーダーもテンションMAX! お互い涙を流しながら抱き合った。

「お、俺。リーダーに着いてきて良かった!」

「僕もソウ君と出会えて良かった! 君のいないこの数年。永かった。永かったよ!!」

 そして、俺に新たな能力が追加されるのであった。



 さて、新たに得た能力を見る。錬金術、鑑定術、鍛冶術だ。

 先ほど、刀術も得たばかりなので、一気に四つも増えたわけだ。

「クックック」

 抑えようにも笑いが漏れる。

 これで楽しみが一気に増えた! いいぞ! 最高だ! もっとレベル! レベルを上げたいっっっ!

 沸き起こる衝動! とても抑えられない! こりゃ寝てる暇なんてない! 一刻も早く経験値! 経験値だ! フシュルルルルルゥゥゥ!

「どうやら、興奮を抑えきれないようだね?」

「そういうリーダーこそ、口が吊り上がってますよ?」

 リーダーは鋭く口角を上げ、目つきはまるで猛獣のようだ。

「一狩り行こうじゃないか? ソウ君」

「えぇ、ご一緒しますとも。リーダー」

 こうして、野に猛獣が放たれた。

 全力で木々の間を抜けていく。それにしもて以外だ。リーダーは生産職。移動で俺に着いてこれるとは思わなかったのだ。鑑定でレベルを見てみると9999だった。

 さすがリーダーだ。キッチリ仕上げる所は仕上げている。

 しかも、鑑定術、錬金術、鍛冶術も9999なんて!

 感涙ものだ!

 リーダーはやはり、この人をおいて他にはいない。なんとしてもリーダーを連れて、霞さんのいる世界へ帰りたい!

 そして! アルティメットハンターズの再結成だ!



 二匹の猛獣は丘の上から巨獣人の里を見下ろした。

「いたいた。くっくっくっく」

「奴らは僕たち人間の天敵。何も遠慮することはない」

 巨獣人たちにはこれまで天敵がいなかった。そのため、完全に油断しきっている。

「では、お先に失礼するよ」

 リーダーはまるで遊園地にでも出かけたかのような、華麗なスキップで里の中へ入っていった。

 巨獣人たちの視線が一気にリーダーへ集まった。

「な、なんじゃあ? リドリーが来たぞ!?」

「自分から喰い殺されに来たか! がっはっは!」

「頭がおかしくなってらぁ! すぐに楽にしてやっからよぉ!」

 バカな巨獣人共が一カ所に集まってくる。

 リーダーは神聖魔法を使った。ホーリーソードを凄まじい長さで出し、巨獣人を切りだす。

「あいだっ、な、なんだ? コイツ。変な魔法つかうぞ?」

 だが、堅い毛と皮膚に覆われた巨獣人にかすり傷をつけることしか出来ない。

「んー、最初だし。ソウ君のようにはいかないもんだな。それっ、ダークファイヤー! ウィンドカッター!」

「あちっ! てめぇ、俺を怒らせたな! どうなるかわかってんのかよ!」

「こんなしょぼい魔法、かすり傷にもならんわ! 踏み潰してくれる!」

 巨獣人たちの怒りは頂点だ。リーダー目がけてより密集した。

 その密集した巨獣人目がけて、俺も刀を振りまくる。真空波が生じ、巨獣人に当たる。ダメージになんてならない。鑑定術でしっかりと確認していく。だが、これで仕込みは完璧だ。

「いいよ! やっちゃってくれ! ソウ君!」

「はーい。じゃ、範囲で一気に行きますね! ヘルファイヤー!」

 まるで天まで昇るかのような黒い炎。太い炎の柱は里を飲み込み、全てのモノを燃やし尽くしていく。

 俺とリーダーはバリヤーの中からその様子を眺めていた。

「いやぁ、助かるねぇ! 捗るねぇ! 壮観だねぇ!」

「これで刀術と鑑定術はすぐに上がりそうですよ! 錬金と鍛冶は……、どうしようかな」

「まぁ、それについては後で教えてあげるさ! 効率のいいやり方も発見済みだからね!

 後は一ヶ月ほど作製周回すれば、すぐにカンストさ。それよりも素材収集のほうが大変でね。

 後は、僕の知ってるレシピなら教えてあげるよ。期待しててね」

「リーダー! 最高です! じゃさっさとレベル上げやっちゃいましょう! エリアリザレクション!」

 燃え尽きた巨獣人たちがまた起き上がる。そこへリーダーは魔法、俺は鑑定と刀で攻撃。

 そしてまたヘルファイアーで燃やす。後は流れだな。

 俺たちの闘いが始まった! リーダーの手際は控えめに言っても最高。まったく時間のロスを感じない。俺が刀と鑑定を当て終わる時には準備が整っているのだ。

 そのおかげもあって一周につき、十分とかからない。十数匹もの巨獣人を相手にしているにもかかわらず、だ。

 そして、時は流れていく。

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