レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野

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第5章 巨獣人の里編

第59話 巨獣神現る!

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「お? リーダーの魔法でも一発になっちゃいましたね!」

「あぁ、ありがとう! もうレベルも6000を超えたからね! ま、ここからが本番でしょ!」

 開始からまだ三時間。まだまだこれからだ。

「もう、ゆるして……」

「お願いだっ、こ、殺してくれぇ!」

 巨獣人たちはすでに精神まで屈服した。強気の者など一匹も残ってない。

「お前等さ、許しを請う人間を一度でも許したことあるの? ないだろ? じゃあ、文句は言えないよな?」

「はっはっは、その通りだよ! ソウ君! こいつらの為に煮え湯を飲まされ続けたんだ。僕たちのレベルのため、協力してもらおうじゃないか!」

「そうですよね! って、刀の真空波でも一発で倒せちゃうな。仕方がない。リーダー、半分ずつ殲滅したら、エリアリザレクションかけますね」

 リーダーの口は三日月のように鋭く曲がる。

「サンキュー! それで頼むよ」



 三日ほど経過した。俺のレベルはすでに8350に届いた。この巨獣人での現界が見えてきた所だ。

 リーダーも魔法は軒並み8300を超えている。

「いい調子ですよ! 早くもレベルが揃いました!」

「ふぅむ。少し張り合いがないなぁ。もっと手応えが欲しい所だ」

 リーダーは少し不満そうだ。巨獣人たちが生き返っても白目を剥き続けて、為すがままだからな。しょーがない。

 そんな時、腹に響く足音がズドドドッ! と響く。

「新たな巨獣人の群れか!? 何十匹いるんだ?」

「おっほー! 仕上げにはもってこいだねぇ! よし、行くぞ。ソウ君!」

「はいっ! リーダー!」

 押し寄せる巨獣人はまるで黒い波だ。足下が揺れるほどの地震を伴い、押し寄せてくる。

「あ、あれは?」

 奴らの目が赤く光っていた。

 以前見た、オーク達の目が同じ状態だった。オーク達は洗脳支配を受け、操られていたのだ。

「リーダー、あいつらは操られてる! ボスがいるはずだ!」

「ほぅ、それは興味深い! いずれにせよ、掃討作戦だ!」

 リーダーはガラス瓶のようなものを俺に投げつけた。

 パリン! と簡単に割れた瓶には液体が入っている。俺の体にその液体が着くと、まるで体に浸透していくように消え去った。

「こ、これは?」

「なぁに、軽い身体強化さ。試してみてくれ!」

 俺は刀に手を当て、振り抜いた。その速度は以前の比ではなかった。明らかにスピードが三割増し。いや、四割近いかもしれない。その衝撃波は黒い波を貫通し、どこまでも飛んでいった。その直線上にいた十数匹の巨獣人が折り重なるように倒れる。

 一匹を倒すのが精一杯だったのに。衝撃波がこれほど強くなるなんて! 俺は驚きのあまり、リーダーを見た。視線が合う。リーダーは無言で頷いた。

 バフの重要性はファンタズムスターズで嫌というほど見に染みていたが……。まさか、これほどとは……。

 刀を数振りしてみる。あっという間に、黒い波は静まり返った。

「すごい、全く疲れもない。抵抗感もない。ただただ自然にこれほどの威力が出るなんて!」

「僕はバフが得意だったからね! ここでも研究を重ねたんだ。ただ、戦士がいなかったからお蔵入りしてたのさ」

 リーダーは涼しい顔で言う。だが、これはそんな生やさしいものではない。きっと、想像を遙かに上回るほどの熱意と時間が費やされているはずだ。

 敵はあっという間に全滅した。だが、黒い霧が倒れた巨獣人達を覆っていく。

「ふむ、なんだろう。これは……」

 リーダーが訝しむ。その間に黒い霧は積み重なった巨獣人たちを覆い尽くした。

 現れたのは真っ黒な毛に覆われた、巨大な足。それが二本、霧から生えてきたかと思えば、あっという間に全身が現れた。

 巨大な体躯は巨獣人と同じだが、体に生えている毛は別物だ。艶が光り輝き神々しさを感じる。それに顔の額に付いている目。

 現界した黒い巨体はその三つ目でこちらを睨んできた。

「貴様等か。ワシを現界させたのは……」

「あぁ、そうだと言ったら?」

 リーダーは黒い巨体に相対しても全くひるまない。

「ワシはイービルジャイアントの神。ドラン。そなたらの名はなんと申す?」

「僕はリズ。彼はソウ、だ。で? アンタこれから何をするつもりでここに来たんだい?」

「グワッハッハッハッハッハ!」

 奴の笑い声だけでも服がビリビリと震える。恐らく相当の威圧をしてきているのだろう。ま、俺たちには効かないのだが。

「知れた事よ! この世界を破壊しつくすのだ!」

「なぜ、そんな事を……」

「知れた事よ。この世界のありとあらゆる魂を喰い尽くすのだ。そしてワシの魂と同化することにより、ワシはより生きながらえるのだ」

「つまり、この世界はアンタのエサということか?」

「そういうことだ。わかったなら大人しくするんだな。そうすればひと思いに消してやろう。なぁに、痛いのは一瞬よ」

「そうか。君の主張はわかった。だが僕はそれを受け入れない。よって君を滅ぼそうじゃないか」

 リーダーは胸を張った。髪をひらひらと揺らし、決意の眼差しをドランへ向けた。

 俺はその姿に見蕩れていた。その姿が美しかったからだろうか。頼れるリーダーが帰ってきたからだろうか。それとも……、

「グワッハッハッハッハ! ならば、まずは貴様から滅ぼしてやろう! この世界から永遠にな!」

「無理だね。だって、お前はこれから僕たちの経験値になるんだから」

 リーダーは駆けだした。そのスピードたるや、俺の目でも追いきれない。

 ホントに生産職かよ???

 そして、リーダーとドランの激闘が始まるのであった。

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