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第9章 勇者RENの冒険
第208話 決勝戦 REN VS ニュート 開戦
しおりを挟む「さぁ、いよいよ本日、決勝戦が始まろうとしております! 会場に集まった観客達も期待に満ちた顔つきで、試合が始まるのを今かと待ち望んでいることでしょう! 今日も実況は私、リサと、解説にはローファンさんにお越し頂いております!」
「こんにちは、紹介に預かりましたローファンです。本日もよろしくお願いいたします」
「さぁ、いよいよ決勝戦ですね! 獣人族代表REN対蛇人族代表ニュートというカードになりました!」
「まさかの組み合わせですよね。我々が優勝候補と思っていたイヴリスや、バハル、ギガースといった強者達がまさか負けるだなんて誰が予想出来たでしょうか? いかに世界が広いのかを思い知らされましたね」
「そうてすね! ですが、RENもニュートも相当な激戦を勝ち抜いて来ましたから、会場の皆さんもこの決勝戦には納得しているのではないでしょうか?」
「それはもう! 会場の興奮具合を見れば、皆さんのこの試合に向ける情熱が高ぶっているのは明白です! 私も昨日は寝付けませんでしたよ!」
「おっと? 話しているうちにどうやら舞台準備が整ったようです! いよいよ、決勝戦が始まります!」
「東の方角ッ! 獣人族代表! RENッッッ!」
***
オレは今、目もくらむような明るい花道を歩いている。
大歓声が鎧をビリビリと刺激し、観客達の立てる足音はオレの腹にズシリと響く。
だが、不思議と緊張はなかった。ゆうゆうと歩を進めて 花道に向かって歩いていた
「 獣人族 代表のRENが入場して参りました。まるで緊張した様子が見られません。ただ舞台を見つめています」
「さすがいい顔してますね! 体調も万全そうですし、これはいい勝負が期待出来るんのではないでしょうか?」
解説者の言う通り、体調は万全だ。ズールとの特訓で二刀流に対する対策もバッチリだ。ザッツにかけられた呪いを解くためにも、オレはニュートを倒さなければならない。
ふぅ、と大きくため息をつき、オレは舞台に足を踏み入れた。
反対側の花道をじっと見つめると、見覚えのある男が入場してきた。
「西の方角ッ! 蛇人族代表ッ!!! ニュートーーーッッッ!!!」
「さぁ、ニュートの入場です! あの二刀に分かれた刀を手に持ち、ゆっくりと歩いてきます! そして、準決勝で打ち破ったルシフェルを取り込んだ影響でしょうか! 背中には白い、6枚もの翼が生えています! これは試合にも大きく影響してくると思うのですが、ローファンさんはどう見ますか?」
「もちろん、影響は大きいでしょうね。ルシフェル先輩の6枚の翼は移動するときにも風を操り、通常の2枚翼の天使達よりも素早い移動をしていました! ニュートに生えている6枚の翼が飾りなんてことはあり得ません! 準決勝よりもパワーアップしたニュートが見られることは間違いありませんよ!」
「なるほど……、ただでさえルシフェルを打ち破った力を持っていたというのに、さらに強くなっている、というワケですか。これは激戦の予感がヒシヒシと伝わってきます!」
「そうですね。RENもジーク戦の最後に見せたあの刀を最初から持っていますし、ニュートとどういった戦いぶりを見せてくれるのか? 興味が尽きませんね!」
ニュートは神妙な面構えのまま、舞台に上がってきた。
オレの視線がニュートの視線とぶつかり合う。
奴はオレから一切、視線を外さない。
「二人が睨み合っている~~~ッ! 試合開始前から両者が燃え上がっているのがわかります!」
解説者の言葉と共に、会場のボルテージはどんどん増していく。
いつしか、歓声はこれまでで最高といえるほどに盛り上がっていた。
そんな会場とは裏腹にオレはニュートに対し、口を開く。
「会いたかったぞ。ニュート……」
「フンッ! オレは貴様なんぞに興味はない。だが、オレの前に立ちはだかるのであれば……、容赦はせんッ!」
「お前に興味などなくとも、オレには用がある! 獣人の国まで来てザッツへ懸けた呪い、それを解くためにオレはここまできたのだ!」
ニュートの眉がピクリと動く。
「ほぅ? あの時の獣人の知り合いか……。オレには成さねばならぬ使命がある。そのためにはある程度の犠牲も仕方なかろう」
「ある程度の犠牲だと? ザッツは今も意識不明のまま、眠っている。オレは……お前を倒し、必ずあの呪いを解いて見せる!」
「フンッ! 出来るものならやってみろ! オレは亜神2体と最強の天使をこの体に取り込んだ。オレの力はさらなる高みへと登ったのだ! 貴様など相手にもならんわ! 来い! 捻り潰してやる!」
『やはり……、話し合いにもならないか。ならば……奴を打ち倒すのみ!』
オレの心に炎が灯る。それとともに体から魔力が噴出した。
「オレは……お前を許さないッ!!!」
「決勝戦ッ! RENッ! VS ニュートッ! レディ………………ゴーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」
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