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第9章 勇者RENの冒険
第207話 ルシフェルの最後
しおりを挟むオレは走った。
『どうした? ニュート? 試合は終わって……』
『グレン。まだ終わっちゃいねえ! 奴は……、この位じゃ死ぬわけがねぇ!』
ブレスを浴びたルシフェルは壁に激突し、今や虫の息となっている。トドメを刺すには今しか無い。
ルシフェルの体が光輝きはじめた。
やはりな……。思っていた通りだ!
オレは宙高くジャンプし、刀を振り下ろした。
その刀は、今まさに回復をしようとしたルシフェルの体を真っ二つに切り裂いた。
「もう、これで回復も出来まい! オレの勝ちだ~~~ッッッ!!!」
オレの声に反し、会場は静まり返った。
「ニ、ニュートが、ルシフェルの体をド真ん中から叩き斬った~~~~~ッッッ!!! 勝者、ニュート~~~ッッッ!!!」
「ま……、まさかあの先輩が……負けるなんて……」
「一体、誰が予想したでしょうか!!! あの、天使界のレジェンド、ルシフェルが負けるなんて!!! 決勝は獣人族代表 RENと、蛇人族代表 ニュートに決まりました~~~ッッッ!!!」
『さて、グレンよ。勝者が決まった所でディナーといくか……』
『ふむ、だがその前にニュートよ。この戦い、本当によくやってくれた。感謝する』
『よしてくれ。まだ決勝が残っている。恐らくだが今日以上のタフな試合になるだろう……。明後日の試合に勝つためにも……』
オレは真っ二つになった黒い物体を、大きく口を開けて咥えこんだ。
もう半分の物体にはグレンを突き刺し、栄養補給をさせている。
ルシフェルだった物が、オレの胃袋にまで届くと、オレの体が光に包まれた。
そして、光が収まる頃、オレの背中から羽が生えているのだった。
***
(REN視点)
ふぅ~~~、っと長いため息が漏れた。
「これで……、ついに奴と戦える……」
どっとイスに座り、今後の試合について思考を巡らせていく。
あの二つに分かれた二本の刀。あれは魔剣の類だろう。それも恐らくだが、一回戦で消えたグレンなのではないだろうか? 刀という武器はこの世界では珍しい。何度もお目にかかれるものではないからな……。
あの魔剣であるグレンどうやったのかは知らないがニュートが手に入れ、さらに二刀流となっている。これは、またズールの力を借りて対策しなければならないな……。
オレはしばし考えをまとめると、ズールと共に控室を後にするのであった。
***
二日後。
神の国、アースガルドの北部にある深い森の中に古く半ば朽ち果てた神殿があった。
そこに白い法衣を着た男が、ウロウロと神殿の中でせわしなく歩いていた。
「全くなんて事だ……。生き残った神は何柱いるというのだ……。これだけ待っていても誰も来ないなんて……」
男は顎に手を当て、眉を寄せる。
すると、そこに近づく一つの黒い影があった。
「残念だが……、待ち人はこないぞ?」
突然の声に白いローブの男はビクッと体を震わせ、黒い影を見た。
「何者だ? 姿を現せ!」
「ふっ、お前らの企みは終わりだ。大人しくお縄につくがいい。さもなければ……」
「ふざけるなっ! 怪しい奴め! 大人しくしろだと? 今さら後に引けるものかっ!」
黒い影は、ふぅ~~~、と長いため息を漏らした。
「ならばどうする? オレを倒すか?」
「言われなくとも貴様如き、葬り去ってくれるわ!」
白い法衣の男は剣を抜いた。大きく長い刀身はその男と同等の長さもありそうだった。それに異様なまでの太さは明らかに人間界の者を相手にする為のものではない。
「この剣はイビルスレイヤー。魔界の者共を葬るために生まれた剣よ。こいつで貴様を斬り殺してくれるわ!」
深く被った白いフードから、口の端が釣り上がるのが見える。
「ゲスはどこまでいってもゲスか……。仕方がない。相手をしてやろう」
黒い影が少しずつ実体化していく。するとそこに現れたのは全身が黒い鎧に覆われた騎士だった。
「む? 貴様は……、黒騎士! い、生きていたのか?」
白いローブの男が驚いたような声を漏らす。
「まるで死ぬことが、当たり前のような言い方だな? 何か都合でも悪いのか?」
「ぬぅぅっ……、これから死ぬ貴様には関係ないことよ! 喰らうがいいっ! 神の怒りをっ!!!」
白いローブの男はその長大な剣を軽々と振り回し、黒騎士に襲いかかった。
「フンッ!!!」
イビルスレイヤーは黒騎士を横から真っ二つに斬るべく振り回された。
その衝撃で黒騎士の後方に立っていた柱が数本も砕け散る。
だが、そこに黒騎士の姿はなかった。
「その剣は大したものだ。だが……肝心の貴様の腕がなってないな」
白いローブの男の後方から声が響く。男が振り向くと、そこに黒騎士はいた。
「なにを~~~っ! ワシは数々の神々の中でも武闘派で知られている! 貴様如きにワシの剣が受けられるはずがないのだぁ~っ!」
激昂する白いローブの男と対象的に黒騎士は冷静だった。振り回される剣を確実に躱していく。
「やれやれ、やはりその程度なのか……」
黒騎士はアイテム袋から黒い剣を取り出した。
そして、イビルスレイヤーと交錯させると、イビルスレイヤーは一瞬にして真っ二つに折れてしまうのだった。
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