ウォーキング・オブ・ザ・ヒーロー!ウォークゲーマーの僕は今日もゲーム(スキル)の為に異世界を歩く

まったりー

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奇跡のサードステップ

39歩目 エルフの事情

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「今日も雨だねぇ~」

「うぅ~」


唸り声の返事をもらい僕は空を眺めます、僕たちは森に入り後少しで目的地です、でもこの森はフェントマといってかなり深いんですよ、それに森に入ってから7日間ずっと雨が続いています。

お気づきでしょうか、僕は今歩いていません、馬車を運転しています。


「うぅ~アユム~すまん~」


後ろの馬車の中央広間でアマンダが寝ています、彼女は雨になった初日にレッドオーガと戦闘をして、その後体をよく拭かずに馬車を操作して体調を崩しました。

僕は言ったんだよ、自分の部屋に入ってシャワーを浴びて良く乾かすようにってね、でもこれくらいで良いとか言って済ませちゃった、そのせいで風邪を引いてしまったんだよ。


「アマンダは体調を治すのに専念して、きっと今までの疲れが出たんだよ、急な旅だし、村ではずっと頑張ってたんだからね」


馬車の操作を芋虫君自身に任せ、馬車に入ってアマンダの頭に乗っているタオルを替えました、芋虫君がテイムしたモンスターだから出来る事で助かってますよ。


「村ではこんなことは無かったのに、あれしきで体調を崩すなんて・・・ほんとにすまん」

「そんなに落ち込まないでよアマンダ、僕は気にしてないよ」


アマンダの頭を撫でながら笑顔でそう言いました、決して定番の「それは言わない約束でしょ」とかは言いません、アマンダがそんな状態ではありませんからね、凄く暗く落ち込んでるんです。


「アユム・・・出来ればでいいんだが、手を握っていてくれないか?」

「病気の時って不安になるよね、良いよアマンダ」


アマンダが目を瞑って手を布団から出してきました、辛そうだったので僕は手を握ってしばらく一緒にいました。


「さて、風邪の時はおかゆだけど、麦が主食だから麦粥でも作ろうかな」


アマンダが少しして眠ったので、僕はマップで見つけた小さな湖まで馬車を移動させました、そこで夕食の準備です、アマンダの為にお粥を製作しますよ。


「味は薄めにして、他には喉を通り易い物を・・・あらら?赤点に囲まれてる」


僕がお粥以外の食べ物としてリンゴをすりおろしていると、マップに赤点が現れました、それはモンスターではなく人みたいです、動きに統率制がありました、確実にこちらに敵意を向け湖を包囲しています、茂みに隠れて止まっていますよ。


「まだ様子見かな?でも表示が既に赤点だから臨戦態勢だよね」


僕と戦う意思がある場合、マップには赤点で表示されます、普通は青点です、それが既に赤なのでスラッチたちを召喚し、いつでも対応できる体勢になってもらいました、そしてしばらくして1つの赤点が動き茂みが揺れます、スラッチたちはまだ動きません。


「動くな!動くと余の仲間が一斉に矢を放つぞ!」


茂みから出てこないでそんな声がしました、声からして女性です、顔を見せないでまずは警告でしょう、僕は料理の最中なので手だけ動かしていますよ。


「きさま!動くなと言ったのが聞こえないのか!」

「申し訳ないけど、顔も見せない人の事よりも仲間が優先だよ、今馬車の中で苦しんでるんだ、料理を食べさせないと仲間が辛い思いをする、それが終わってからにしてくれる?」


僕は見えない人に言いました、そしてしばらく無言になり弓を構えた人が茂みから出て来たんです、その人は青い長髪の女性で耳が長かったです。


「エルフさんでしたか?」

「それがどうした!お前たち人種族は自分たち以外を認めんから攻撃するか?やれる物ならやってみろ!余たちは命尽きるまで戦うぞ」


弓を構えて凄い剣幕です、僕はきっと嫌な事があったんだねって思いながら、リンゴをすりおろします、準備が出来て食器をオボンに乗せエルフさんを見ます。


「僕は馬車に入りますが良いですか?」

「ふんっ!妙な真似をしたら死ぬと思えよ、余たちの矢は無数に飛んでくるぞ」

「分かってますよ」


エルフさんに返事をして馬車の中に入り、アマンダに食事を食べさせました、朝よりは顔色も良くなっています、だけどまだ調子は悪そうです、薬を飲んで寝て貰いました。


「さて、お待たせしましたエルフさん、ご用件をどうぞ?」


馬車から出ると女性以外に2人の男性エルフが増えていました、どうやら言い争いをしているみたいで僕に気づいてません、僕を待つべきだと女性が言っているのに、男性たちは無駄だからそこをどけと言っています、僕が声を掛けたことで、男性のひとりが女性を押しのけて指を差してきました。


「来たなきさま!大人しく食料を渡せ」


短髪の髪を逆立ててる男性エルフさんが怒りながら言っています、もう一人はおかっぱ風で、皆さん青髪です、おかっぱさんは無言で短剣を構え威嚇しています。

女性もそうだったけど、更に態度が悪そうで困ったよ。


「強奪はいけませんよエルフさん、まずは話し合いましょう」

「黙れ!きさまたち人種が良くしてることだろう、俺たちがどれだけ奪われたと思ってるんだ!」


短髪の男性が指に魔力を集め出しました、僕の前にスラッチたちが集まります、僕も応戦しないといけないのかと、武器を出す準備をします、でもそこで女性エルフさんが間に入って止めてくれましたよ。


「待ってください兄さん!」

「邪魔をするなイーシャ!忘れたのか、人種に俺たちは」

「忘れるわけない!でも彼女からは邪悪なモノを感じない、それに仲間を大切にしているじゃないか、それなら余たちと同じだ!」


男性を説得してくれて、僕は少しホッとしました、彼女って言ったのは後で修正してもらいますが、しばらく言い争いを見守ります、どうやら収まりそうです。


「分かった、お前がそこまで言うなら俺は何も言わん、だがなイーシャ!そいつから奪わなければ俺たちはお終いだぞ、良いな!」


男性はそんな言葉を言い残し森に消えて行きました、女性は森の方を見た後、下を向きちょっとガッカリしているみたいです、少しして僕の方を向きムスッとしています、僕は料理を作った場所に座り、女性を座るように誘うと短剣を構えて近づいて来たよ。


「妙な真似をするなよ、分かってるな」

「分かってますって・・・それで、どうして強奪なんてマネをしてるんですか?」


僕は事情を聞きました、仲の良かった人種族の隣国が急に襲ってきたそうです、女子供容赦なく虐殺され、何とかここまで逃げて来たそうです、エルフさんは手を震わせ悔しそうに話してくれました、僕は残っていたお粥をお皿によそってエルフさんに差し出しましたよ。


「人種族を代表して謝ります、すみませんでした、良かったらこれをどうぞ」


女性は警戒しながらもお皿を受け取り、匂いを嗅いだ後スプーンで少し口に入れました、長い耳を上下させて驚いています。


「少し薄味だが、美味いな」


エルフさんはそれだけ言って、すごい勢いで食べ始めました、余程お腹が空いていたんだろうね、僕はお皿を更に出してよそって用意します。


「森に隠れてる人もどうですか?お腹が空いていたら怒りっぽくなります、まずは冷静に話し合えるようにしましょうよ」


僕はアイテム欄に入っていた、焼いたオーク肉も出しました、それを薄くスライスしてキャベツで包み、お粥と一緒にエルフさんに渡したんです、キョトンとしてキャベツ巻きを見ていますね。


「こ、これを余たちに?」

「肉は食べれませんか?それなら他のを出しますよ」

「い、いや食べれるが・・・いいのか?」


エルフさんはかなり疑問みたいです、僕は当然良いですよって頷きます、そして彼女が森に手を振ると、女性エルフさんが7人出て来て食事を受け取っています、みんなマップで名前が分かりますが、タップして確認するまでもないくらい疲れた顔をしています、食べる勢いは皆さんすごかったです。
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