ウォーキング・オブ・ザ・ヒーロー!ウォークゲーマーの僕は今日もゲーム(スキル)の為に異世界を歩く

まったりー

文字の大きさ
52 / 102
奇跡のサードステップ

52歩目 ドワーフ船の情報

しおりを挟む
トータス君の体が白く光り部屋を覆います、すごい効力の物なのでさすがに派手だと思いました、光が収まりトータス君の顔色が良くなっていました、マップでも確認して回復していましたよ。


「体が軽い・・・僕、もしかして治ったのかな?」


目を開けたトータス君が不思議そうです、アンシーは僕を見てきたので頷いておきました、アンシーはそれを見て涙を流します、そして我慢が出来なかったのかトータス君に抱き着いていきました、身体は健康になったけど筋肉は寝たきりだったので弱いままです、あまり力を入れると苦しいよって思いながら、僕は扉を開けお母さんたちを招きます、部屋に入ってきて説明する必要がない状況を見て二人も抱きしめに行きました、僕は何も言わず邪魔にならない様に部屋の外に出て待機です。


「いいなぁアンシーちゃんにトータス君、僕もああいった家族でいたかったよ」


そんな事を呟いて僕は少し涙を流しました、僕には無い幸せな暮らしです。


「でも僕だって今は負けてないよ、僕には仲間がいる、もうあんな思いはしなくていいんだ」


自分に言い聞かせる様に言葉に出します、僕はそれを何度も言ってアンシーたちが出てくるのを待ちます、目の赤い3人が出て来たはそれから20分後でした、僕は部屋に入って病気の詳細を話します。


「「「「癌?」」」」

「はい、トータス君の病気はそれでした、しかもかなり進行していてあぶない状態だったんです」


マップの詳細情報では余命3年と出ていました、持っていた特殊な薬草で治したと話し何を使ったのかは言いません、世界樹の雫はこの世界では伝説になってる物です、世界樹は昔に存在していました、でも今は枯れてしまい存在しません、なので作る事は出来ない物です。


「そ、それじゃ僕に使ってくれた薬って、凄く貴重だったんじゃ」

「トータス君、そこは気にしないで良いよ、アンシーもお2人もです、これは僕が勝手にしたことですからね」


念を押す感じで言いました、4人はそれでも何か言いたそうなので、僕は厨房を借りる事を条件に出し、更に料理を覚えてもらうように言います。


「で、ですがそれではお礼にはならないんじゃ」

「お父さん、それは考え方ですよ、僕は行商人です、村に特産品や売りが出来れば商品が手に入る、そうすれば僕は儲かるんです、その為に僕は他の村にも特産品を作り旅をしています」


僕は更に言います、作ると言っても僕は教えるだけ、それでも完成した商品の1パーセントの売り上げがギルドを通して入ってきます、作るのは村人が主体で僕はノータッチです、僕は気兼ねなく旅が出来ると話します。


「正直かなり儲かっています、楽して儲けたいだけなんですよ」


金の亡者と思ってもらえるようにワザと言いました、アンシーはそれを聞いてハッとした顔をします、僕がワザとしているのに気づいたみたいです、でも親御さん二人は金の亡者と分かりちょっと顔色を変えましたよ。


「分かってもらえたようですね、慈善事業なんて考えてません、お金の為なんです、お子さんを大切に育て村を安定させてください、そうすれば行商人がたくさん来て僕の売り上げになります」


黒い笑顔をして僕は部屋を出ました、ちょっとふたりの目が嫌でしたけど、これくらいしておかないと彼らが危険です、世界樹の雫はそれだけの品でほんとにまずいです。


「アンシーだけでも分かってくれればいいよ、情報が流れたら大変だもん・・・それに、親しくなったら別れるのも辛いしね」


ちょっと暗くなって僕はアマンダたちを部屋で待ちます、生産をして気分を切り替えてるんです、帰ってきた二人に暗い顔は見せられませんからね。


「アユム、お前なにかしただろ」


部屋に入ってきてアマンダが最初に発した言葉はそれでした、僕の顔を見て大体分かったようです、イーシャも分かったようで心配そうです、僕がいきさつを話すとアマンダが頭を軽くたたいてきたんだ。


「お前の悪い癖だぞアユム、助けたんだからそのまま感謝させておけばいいんだ、どうしてわざわざ嫌われようとする」


アマンダに怒られ、イーシャはやれやれって顔して僕の頭を撫でてきます、僕は別れるよりも嫌われた方がマシだと思ってるんですよ。


「なんだか悲しいわアユム、何か昔にあったの?」

「子供の頃ね、大好きだった人が僕の前からいなくなっちゃったんだ、その悲しみを知ってるから別れるのが辛いんだよ」


そのことを思い出し涙が流れます、イーシャが僕を抱きしめてくれました、とても暖かくて嬉しかったです。


「ほんとにバカねアユム!そんなにつらいのなら止めちゃえばいいじゃない!」

「そうだよね・・・でも僕は止まりたくないんだ、立ち止まるとその人に会えない気がする、もう一生会えないのにね」


そう言いながらイーシャに泣きつきました、アマンダもイーシャの上から抱きしめてくれていたみたいです、ふたりにしばらくそうしてもらい僕は落ち着きました。


「ぞれで・・・船の情報はどうだったの?」


鼻をすすってから二人に聞きました、ふたりからの情報は僕の予想通りで節約しているみたいです、目的が違うのだから僕たちの商品は買わないって事でしたよ。


「やっぱりお酒が本命なんだね」

「ああ、しかも悪い事によ、その船は酒を卸す為だけに来るんじゃないらしい、原料をこちらで安く買う為でもあるんだ、ブドウや麦を大量に買い付けて帰るらしいぞ」


それを聞いて納得です、この村ではパンが売ってません、魚ばかりなんですよ、僕としては嬉しかったですけど麦を全て売る予定で渋っているんです。


「っとなると、僕もそこら辺の商品を出すべきだね」


僕の意見に二人も頷いてくれました、そして丁度その時、部屋の扉がノックされたんです、アマンダたちに目配せして体勢を整えてもらいましたよ。


「カギは掛かってないのでどうぞー」

「失礼するよ」


僕たちが身構えている部屋に来たのは、どう見ても育ちの良い女性です、茶色い髪を僕と同じ位伸ばし凄く良い服を着ています、後ろには商業ギルドの制服に似た服の男が4人です、凄く強そうで服がピチピチでいかにも商人じゃないって体つきです。


「あんたたちが間抜けにも港で露店を出してた行商人だね」


綺麗な顔をして、いきなり毒を吐いて僕たちを見回してきます、その顔は僕たちをバカな連中だと思って呆れた顔です、部屋まで来たのだからそれを言う為に来たわけではないはずです、これは試しているのだと思いました、それが分からず怒っているアマンダたちに下がってもらうように伝え相手の出方を待ちます。


「やっぱりね、あなたたちすごく頭が良いのね、朝のあれはワザとかしら?」

「そんな事は良いんだよお嬢ちゃん、用件を言いな」


アマンダが僕に止められながらも率直に聞きます、後ろの男性たちが態度を気に入らないと指を鳴らして前に出てこようとします、女性がそれを止めてるけど、女性は良い笑顔をしていますね。


「良いわねあなた、わたくしそう言う素直な人嫌いじゃないわ、それじゃお言葉に甘えて言わせてもらうわ、あなたたち家の商会に協力しなさい、取り分は6・4にするわ、あなたたちが4の方ね」

「お前たち、お嬢様がここまで融通するのは異例なんだぞ、その意味が分かるな」


男性がお嬢様を高く上げお嬢様は胸を張ります、融通と言っていますけど取り分は少ないと思います、アマンダがそれを聞いて笑いそうです、イーシャは既に笑っていますね、それを見て男性たちがイラっとしたのか、また前に出ようとしたのでお嬢様がまた止めたよ。


「何がそんなにおかしいのかしら?」

「だって、ねぇアマンダ」

「おかしいに決まってるだろ、あんたが何処の誰か知らないが、もう少し相手を見た方が良いぜ、アユムに目を付けたのは・・・まぁすげぇとは思うけどな」


アマンダが勝手に僕のハードルを上げています、僕は自分が目立たない様にしているだけです、村人に嫌われるようにしているのもそうです、噂が流れないようにする為でもあります、平和にゆっくり旅をしたいんですよ。


「あなたもわたくしを甘く見ているのではなくて、わたくしを誰だと思っていますの!」


相手もさすがにイラっとしたのか、アマンダに言い返しています、でもアマンダは腕を組んで余裕ですよ。


「そんなの調べたさ、あんたはここの取引のほとんどを手中に収めてるサイエンス商会の娘だ、名前はサージュエルだろ?」


アマンダに名前を言われ、ちょっとだけ眉毛を上げました、でも表情はそのままです、そして後ろにいた男の1人がサージュエルさんに耳打ちしていますよ。


「そう・・・商業ギルドでは情報を止めてもらっていたけど、冒険者に聞いたのね」


サージュエルさんがやれやれって感じで答えると、アマンダが頷いて笑っています。


「冒険者でも口が堅い奴らばかりだったよ、なかなか骨が折れたぜ、だがちょいと高いここの売りをおごってやったんだよ、そうしたら護衛の仕事をしたとかぽろっと喋ってくれた、驚いたのはほとんどの冒険者がそうだったくらいだな、それだけ分かればあんたを推察するのは簡単だ」


お酒を飲むマネをしてアマンダが教えています、サージュエルさんが納得の顔をしていますね。


「大きな取引ですから護衛は100人くらい雇います、まさかそれだけの情報でわたくしだと辺りを付けるとは、甘く見ていたのはこちらだったという訳ね・・・分かったわ言い直すわよ、わたくしに協力しませんかアユムさん」

「良いですよサージュエルさん」

「「「「「!?」」」」」


今までのやり取りをぶった切るくらい、僕はあっさりと了承の返事をだします、ここにいた全員がガクって体勢を崩しました、僕は笑いそうです、ここは説明が必要でしょうね。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】 異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。 『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。 しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。 そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

処理中です...