【運命】と言われて困っています

桜 花音

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4.サラちゃんの気持ち

4-5

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『アタシがどれだけソーゴのことスキで大切か、ポッと現れたアンタになにがわかるのよっ!』
「あ、いや……だって、瀬戸くんがわたしのこと<運命の人>なんて言ったから、わたしのことが嫌なんだよね?」
『そうよ! そうだけど、そうじゃない!』
「えぇ⁉ なにそれ……って、サラちゃん?」
 気づけばサラちゃんは大きな瞳に、涙をいっぱい浮かべてぽろぽろと零れていた。

『アタッ、アタシはずっとソーゴと一緒にいたの。ソーゴが望むことなら、ソレはアタシも望むことなの。だから、アンタを助けたのも、守護石のカケラを渡したコトだって、ソーゴの願いならイイと思ったの』
「サラちゃん……」
 小さな体を震わせて、サラちゃんはわたしのことを睨みつける。

『なのにアンタは! 守護石の大切さも、ソーゴの想いも、ナンにもわかってない! どれだけソーゴがアンタのコトを探していたか、会える日をどれだけ楽しみにしてたのか!』
 サラちゃんの感情の波がわたしに痛いくらいぶつかってくる。
 それとともに、気のせいか空気がピリッとするような……って。

 ――噴水の水が、波打ってる⁉

 風なんて吹いていないのに、噴水に溜まっている水が小さくちゃぷちゃぷと揺れている。
 これって、サラちゃん?
 でも、今までのイタズラとは違う。
 だって、普段はすぐにわたしに向かってきたもん。
 もしかして……無意識?

『ソーゴが大切にしているヒトが、ソーゴの気持ちをムシするなんて、ありえない! なのに、ソーゴの気持ちをわかってないアンタと仲良くしろなんて……』
「サラちゃん?」
『そんなの、できるわけないじゃないっ‼』
 サラちゃんの感情に合わせるように、噴水に溜まっていた水が、ぶわっと巻き上がっていく。

「え? ちょ……、なに、これ⁉」
 そのまま巻き上がった水は渦を巻きながら一本の柱みたいに伸びている。
 当のサラちゃんは、とうとう『うわぁぁぁんっっっ』と泣き出してしまった。
 もう言葉にはならないみたい。
 小さな身体の、どこからこんな大きな声が出るのか。
 こわれちゃいそうなくらいに泣いているサラちゃんを、どうにかしたくて、わたしはサラちゃんに近づいてそっと胸に抱きしめてみる。

『離して! アンタなんかダイキライッ!』
「うん、ごめんね」
『わかってないクセに、あやまらないで!』
「そうだね」
 サラちゃんが、こんなに感情をぶつけてくるくらい瀬戸くんが大切なんだってこと。
 軽い気持ちで言えるような【好き】で片づけられない気持ちだってこと。
 サラちゃんの気持ちは、わたしではわからないかもしれない。

「それでも、サラちゃんの気持ちをわかりたいし、今泣いているのがわたしのせいなら、ごめんねって言うことしかできないの」
 瀬戸くんが言う<運命>は、わたしには理解できない。
 でも、こんな全身で泣いているサラちゃんにできることは、素直に向き合うことだけだと思うから。
 少しでもサラちゃんが落ち着きますようにと、ちいさなちいさな身体をそっと包み続けた。
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