【運命】と言われて困っています

桜 花音

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5.サラちゃんのSOS

5-3

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「ま、ちょっとしたアイドル状態だよな」
 ははっと愁人が笑って蒼梧くんの隣に行き肩をたたく。
「そんなのなりたいわけじゃないけどね」
 身長百五十センチのわたしより、ちょっと小さい愁人。
 一方、蒼梧くんはわたしたちよりずっと大きい。
 うちのパパよりは低そうだけど、それでも百六十は超えてるんじゃないかな?
 そんな蒼梧くんを、見上げる形で肩をたたく愁人の笑顔が、いつも以上に幼く見える。

「ところで、なんでお前ら学校では話さないのに、ここでこっそり会ってるんだ? やっぱデートか?」
「だから違うって言ってるでしょ!」
 愁人のヤツ、にやにや笑ってムカつく!
 絶対に面白がってるんだ。

「そういう松村くんと彩花も、仲良さそうだよね」
「ん? あぁ、腐れ縁だよ」
「幼なじみなの。家がお隣でね。幼稚園からずっと一緒なんだ」
 物心ついた時から傍にいるし、親同士も仲がいい。
 ちっちゃい頃は、お互いの家族と一緒に旅行とか、キャンプとか行ったもん。
 
「そっか。幼なじみなんだ」
「そういうこと。ま、俺はそろそろ自主練に戻るよ。彩花、ボール取って」
 愁人がわたしの足元を指さす。そこにはサッカーボールが置きっぱなしになっていた。
「近い距離なんだから、自分で取りにくればいいのに」
 ポンッと軽くボールを蹴ると、ボールは愁人の足元から少し外れてコロコロと転がっていく。
「へたくそ」
「うるさいっ!」
「へぇ~。彩花って松村くんとだと、そんな自然体に話すんだね」
「え? そりゃあ、付き合い長いし、今更気遣いとか、ねぇ」
 でも、そんな愁人ともこんな風に話すの久しぶりな気がする。
 お互い教室じゃ違う友達と話してるもんね。

『……ゴ。ソーゴォ!!』

 突然、サラちゃんの叫び声が聞こえた。
 ぐるっと見回すけど、サラちゃんの姿はどこにも見えない。
 蒼梧くんの方を見てみれば、同じような行動をしていた。

「サラ? どうしたの?」
 明らかにいつものサラちゃんじゃない。
 聞こえてくるのは、ヒィックとしゃくりあげる声ばかり。

「サラ、落ち着いて。なにがあったの?」
『たす、けて。おばあちゃんが、おばあちゃんがっ』
「おばあちゃん……?」
『動けないみたいなの。ジッとしてるのっ』
 動けない? どういう事だろう?
 それにおばあちゃんって、誰のこと?
 声だけが聞こえる状況だから、サラちゃんの不安な声がダイレクトに伝わってくる。 

『お願い、ソーゴ。おばあちゃんを助けて!』
「……わかった。とりあえず、そこに行くね」
 サラちゃんとやり取りしている蒼梧くんをみて、愁人が不思議そうな顔をする。

「なぁ、どうしたんだ? あいつ」
 当然だよね。愁人にはサラちゃんの声が聞こえないから、蒼梧くんが独り言を言っているようにしか見えない。
「わたしからはなんとも……それに今は説明してる暇はなさそう」
「なんだそれ。お前にはわかってるってこと?」
 なんて言ったらいいのかな。
 愁人の気持ちもわかるけど、今はそれよりサラちゃんの方が気になる。
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