【運命】と言われて困っています

桜 花音

文字の大きさ
35 / 46
5.サラちゃんのSOS

5-5

しおりを挟む
「ここ、だね」
 そうしてたどり着いたのは、静かな住宅街にあるお庭の広いお家だった。
 周りをコンクリート塀に囲まれていて中は見えないけど、どうなっているんだろう?

『ソーゴ!』
 どこからか様子を伺えないかと家の周りを歩いていたら、家の方からサラちゃんが飛んできた。
「サラ! おばあちゃんが動けないって言ってたけど、どうしたの?」
 サラちゃんは涙をいっぱい流して、蒼梧くんにしがみついた。

『そこ! 庭でね、いつもみたいにお花のお世話をしてたの。そしたらそのまま、動かなくなっちゃったの!』
「わかった。とりあえず、玄関の方に行こう」
『こっち!』

 サラちゃんに案内されて玄関の方へとまわる。
 コンクリート塀の間に玄関へと続く門があった。
 そこから覗いてみたら、玄関近くの花壇前で、おばあちゃんがしゃがみこんでいた。

「あっ!」
 思わず大声をあげたら、おばあちゃんがこちらを見た。
 突然なんて声をかけたらいいのかわからなかったけど、素直に聞いてみた。

「だっ、大丈夫ですか?」
 声をかけたら、おばあちゃんが恥ずかしそうに小さく笑った。
「あらまぁ。恥ずかしいところを見られちゃったわね。実は腰をやっちゃって、立てないのよ」
「えぇ⁉」
 やっちゃったって、どういうこと?
 わかんないけど、立てないっていうのは大変だってことはわかる。

「お邪魔します!」
 返事を待たずに玄関の門を開いて、庭にお邪魔する。
 おばあちゃんの近くに駆け寄れば、ホッとしたように笑ってくれた。

「大丈夫ですか? 救急車、呼んだ方がいいですか?」
 蒼梧くんが聞くと、おばあちゃんは首を横にふった。
「ありがとう。大丈夫よ。じっとしてたらそのうち治ると思ったのよ。でも、なかなかおさまらなくてね。もしよければ家の中に入りたいから、手を貸してもらえるかしら」
「もちろん。じゃあ、おんぶしますね。彩花、おばあさんを支えてあげて」
「うん」
 蒼梧くんが屈んでおばあちゃんをおんぶする体勢をとったから、彼の背に乗るお手伝いをしようと思ったけど、小柄なおばあちゃんでも支えようとすると、難しい。
 どうしよう……そう思っていたら、さっと影が動いた。

「え⁉」
 驚いてそちらを見れば愁人がおばあちゃんの肩を支えている。
「ほら、ばあちゃん。動くぞ」
 スムーズにおばあちゃんを支えて、蒼梧くんの背にのせてあげていた。
「な、なんで愁人がここに⁉」
 混乱するわたしをよそに、背中に重みを感じたからか、蒼梧くんがおばあちゃんに声をかける。
「よし、のったね。じゃあ立つよ」
 蒼梧くんがそっと立ち上がって、玄関へと向かうと、愁人が先に進んで玄関のドアをあける。
 二人の連携がスムーズすぎて、私はただ二人を眺めてしまっていた。

『アヤカ! なにぼーっとしてるの? アタシたちも行くよ』
「あ、うん」
 完全に置いてけぼりだったわたしに、サラちゃんが声をかけてくれたことで我に返り、二人の後に続いた。

「あぁ、ありがとうねぇ。ほっとしたわ。娘に連絡してきてもらうから、もう大丈夫よ。あなたたち、ありがとう」
「いいえ。身内の方に来ていただけるなら僕たちも安心ですから」
「ごめんなさいね。今、こんな状態だからなにもお構いもお礼もできなくて」
「そんなこと気にするなよ、ばあちゃん。もう無理すんなよ」
「えぇ、本当にありがとう」
 二人ともおばあちゃんを心配する気持ちが伝わってくる。
 本当、無事でよかった。
「あなたも、ありがとうね」
 そうわたしにも声をかけてくれたけど、わたし、何もしていないからそんなこと言われて慌ててしまう。
「いえ、わたし、なにもできなくて。その……お大事にしてくださいね」
「えぇ、本当にありがとう」
 おばあさんのその言葉を聞いて、わたしたちはお家を後にした。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

処理中です...