48 / 279
本編
第47話『週末の予定』
しおりを挟む
芹花姉さんによって、俺達5人は窓際のテーブル席に案内される。
席順は窓側から高嶺さん、俺、華頂さん。テーブルを挟んで伊集院さん、中野先輩という並びに。高嶺さんと隣同士になるとは思っていたけど、結衣と華頂さんに挟まれる形になるとは思わなかった。キツくないし、これでもいいか。
「は~い、お水ですよ~。注文が決まりましたら、そちらのボタンを押してください。失礼いたします」
ニッコリとしながらそう言うと、母さんは俺達にお辞儀をし、カウンターの方へ歩いて行った。そんな母さんの後ろ姿を、伊集院さんと中野先輩はうっとりとした様子で見ている。これも聖母の力だろうか。
両隣に座っている高嶺さんと華頂さんと一緒にメニュー表を見ていく。
ここには久しぶりに来たけど、提供しているメニューの幅広さに感激する。食べてみたいメニューが多いから迷ってしまう。
華頂さんがメニュー表をめくると、ランチメニューが書かれたページに。通常のメニューよりも安いから、ここから選ぼうかな。
「悠真君と胡桃ちゃんは何にするか決めた? 私はこのカレー風のハンバーグドリアにしようかなって思っているんだけど」
「ドリアも美味しいよね。あたしはミートスパゲティを頼むよ」
「俺は……この後バイトがあるし、ご飯と味噌汁がある定食の中から選ぼうかな」
パンや麺類も好きだけど、ご飯と味噌汁を食べた後が一番調子いいから。
数分ほどして、みんなメニューが決まったので、高嶺さんが呼び出しのボタンを押す。すると、芹花姉さんがテーブルにやってきた。
「ご注文をお伺いしますっ!」
とびきりの笑顔で、芹花姉さんは元気に接客する。これなら、黄金色の天使と言われるのも納得だ。お客さんに絡まれたり、厭らしいことをされたりしないか心配だけど。
俺達はそれぞれ食べたいメニューを言っていき、姉さんと元々注文していた中野先輩の勧めでみんなドリンクバーセットにした。ちなみに、俺は豚の生姜焼き定食を頼んだ。
注文が終わったので、俺達はドリンクバーのコーナーへ向かう。ソフトドリンクはもちろんのこと、紅茶やコーヒーの種類も多い。普段はあまり飲まないジンジャーエールをグラスに注ぐ。
そういえば、小さい頃、芹花姉さんが俺のためにオリジナルドリンクを作ってくれたっけ。そういったときは大抵、家に帰ると気持ち悪くなって吐いたり、お腹を下したりと辛い思いをするけど。そんなことを思い出したら、別のテーブルで注文を取っている姉さんが黄金色の堕天使に見えてきた。
思い出を振り返ったりしていたから、俺が最後にテーブルに戻る。
「みんな、ドリンクを持ってきたね。4人にとっては初めての試験だったね。中間試験お疲れ様! かんぱーい!」
『かんぱーい!』
中野先輩のそんな号令の後、みんなとドリンクバー用のコップを軽く当てて、俺はジンジャーエールを一口飲む。美味しいな。
「毎度のこと、試験が終わった直後の時間っていいなぁ。今回みたいに、試験は金曜で終わるから凄く幸せに感じるよ」
「分かります! お昼前に終わりましたし、3連休のようにも感じますね」
「いいこと言うね、高嶺ちゃん。まさか、2年生最初の定期試験明けに後輩達と打ち上げできるなんて。あたしは幸せ者だ。それも一緒にバイトをすることになった悠真のおかげだよ。ありがとう」
そう言って、中野先輩は感慨深い様子でミルクティーを飲んでいる。その姿はいつになく大人っぽく感じられた。あと、お礼を言われると照れくさいな。
「実は今朝にクラスメイトの友達から打ち上げに誘われたんだけどね。悠真達の方が先に約束したからこっちに来たんだ。それに、クラスの子達とは明日遊ぶことになっているからね」
「そうなのですね。あたしはこの週末、家族で山梨の方へ温泉旅行に行く予定なのです。もちろん、みなさんにお土産を買ってくるのですよ」
「楽しみにしてるよ、伊集院ちゃん。温泉饅頭とか美味しいよね~」
中野先輩は伊集院さんの頭を優しく撫でている。先輩、温泉饅頭を買ってきてほしいのかな。俺と同じようなことを思ったのか、伊集院さんはクスッと笑って「はい」と言った。
「温泉いいね。今の時期でも、夜になると肌寒くなる日もあるし。いつか、悠真君と混浴したいな」
高嶺さんはゆっくりと俺に手を重ね、うっとりとした様子で俺のことを見つめてくる。
高嶺さんと混浴したら、興奮しすぎて俺を襲ってくるか、のぼせるかのどちらかになりそうな気がする。ドキドキして、俺がのぼせてしまうかもしれないが。
「面倒なことになりそうだから遠慮しておく」
「どんなことを想像したのかな? 髪や体を洗ったり、マッサージをしたり……まあ、色々なことをして悠真君がとっても気持ち良くなるように頑張るよ!」
その『色々』がとても恐いな。
高嶺さんとだと不安もあるけれど、華頂さんとならのんびりと混浴できそうだな……って、何を考えているんだ俺は。
華頂さんの方をちらっと見てみると、頬をほんのりと赤くしている華頂さんと目が合う。すると、華頂さんはすぐに目を逸らした。もしかして、高嶺さんが混浴の話をしたから、華頂さんも混浴のことを考えていたりして。
「千佳先輩が明日遊ぶってことは、悠真君も明日ってバイトはないの?」
「ああ。明日はなくて、明後日は朝から夕方までバイトだ」
「そうなんだ。胡桃ちゃんはどう?」
「あたしも明日はなくて、明後日はお昼過ぎから夜までバイトだよ」
「じゃあ、明日は3人で遊ぼうよ! どうかな?」
「ああ、いいぞ」
「あたしもいいよ。……あっ、提案があるんだけど。3人で『ひまわりと綾瀬さん。』を観に行かない?」
華頂さんが言う『ひまわりと綾瀬さん。』という作品は、女子高生同士の青春ガールズラブストーリー漫画だ。のんびりとした性格の緑化委員の前田と、イケメンで人気もある女子テニス部の綾瀬さんの2人が主人公であり、ヒロイン。綾瀬さんシリーズと言うファンもいる。アニメ化され、先週から劇場公開されているのだ。
もしかしたら、華頂さんは俺の家に来たとき、本棚に置いてある単行本を見つけたのかもしれない。
「俺も綾瀬さんシリーズは好きだし、アニメも気になっていたんだ。俺は行くよ」
「綾瀬さんの劇場公開始まったんだ! 私も好きな漫画だから一緒に観に行きたい!」
「じゃあ、決まりだね!」
高嶺さんも綾瀬さんシリーズの漫画を持っていたのか。そういえば、高嶺さんの本棚にも単行本があったような気がする。
あと、桐花さんが前に綾瀬さんシリーズが好きなんだよな。新刊が発売された直後に感想を語り合ったこともあった。桐花さんもきっと劇場へ観に行くだろう。
「ただ、1時間くらいの作品だし、映画館にも行きたいよね」
「そうだね。悠真君は何か希望はある?」
「ゆっくり楽しめるところがいいな。ごめん、具体的な場所が思いつかなくて」
「ううん、いいんだよ。じゃあ、どこに行くのかは私達に任せて。胡桃ちゃん、お昼ご飯を食べ終わったら明日のことを話そう?」
「うん!」
2人ともやる気満々のようだ。高嶺さんが任せてと言っているし、明日のことは2人にお任せするか。
「あらあら。つまり、明日は3人でデートをするのですね。お土産話を楽しみにしてますね」
「明日、友達と遊んでいるときに3人を見かけたら、こっそりと後をつけようかな」
明日は別行動の伊集院さんと中野先輩は楽しそうに話す。お土産話はいいとして、こっそりと後をつけられるのはいい気分じゃないな。
伊集院さんがデートと言ったからか、高嶺さんはニヤニヤし、華頂さんは恥ずかしそうにする。
「お待たせしました~」
芹花姉さんの声が聞こえたので、通路側を見ると、そこには姉さんの姿が。テーブルの近くには頼んだ料理を俺達5人が頼んだ料理を乗せたカートがあった。
芹花姉さんは俺達が頼んだメニューをそれぞれの目の前に置いていく。そんな姉さんを伊集院さん、中野先輩がうっとりとした様子で見ていた。ちなみに、2人はたらこスパゲティに日替わりランチのチキンステーキか。どっちも美味しそうだ。
「それでは、ごゆっくり。でも、悠真と千佳ちゃんはバイトがあるから遅れたらダメだよ」
そう言って姉さんはウィンクをする。小さく手を振って俺達のテーブルを後にした。
「それじゃ、いただこうか! いただきます!」
『いただきます!』
中野先輩の号令で俺達は昼食を食べ始める。
まずは味噌汁を一口。……あぁ、美味しいな。この温かさが試験疲れの体に沁みていき、安心する。
そして、メインの豚の生姜焼きを一口いただく。
「……うん、美味しい」
肉が柔らかくて、脂も程良く乗っていて美味しい。タレの味も俺好みだ。あぁ、ご飯がすすむな。
「良かったね、悠真君。このハンバーグドリアも美味しいよ。一口交換しない?」
「……きっと、そうなると思っていたよ。分かった」
高嶺さんの場合、同じものを頼んでも自分のものを俺に食べさせていたと思う。
「あ、あたしの頼んだミートスパゲティも食べていいよっ!」
いつもより少し大きな声で華頂さんがそう言うので華頂さんの方を見てみると、既に華頂さんが一口分のミートスパゲティをフォークで巻いていた。
「気持ちは嬉しいけど……いいのか? その……俺が口を付けても」
「……ゆう君ならいいに決まってるよ」
「……そうか。それなら、華頂さんとも一口交換するか」
「うんっ!」
華頂さん、とても嬉しそうだ。生姜焼きに興味があったのかな。それとも、高嶺さんのように俺と一口交換をしてみたかったのか。何にせよ、華頂さんから交換しようと言ってくれることが嬉しかった。
その後、高嶺さんと華頂さんと一口交換をした。そのときに伊集院さんと中野先輩にニヤニヤされながら見られたのが恥ずかしかったけど。ハンバーグドリアもミートスパゲティも美味しかった。
席順は窓側から高嶺さん、俺、華頂さん。テーブルを挟んで伊集院さん、中野先輩という並びに。高嶺さんと隣同士になるとは思っていたけど、結衣と華頂さんに挟まれる形になるとは思わなかった。キツくないし、これでもいいか。
「は~い、お水ですよ~。注文が決まりましたら、そちらのボタンを押してください。失礼いたします」
ニッコリとしながらそう言うと、母さんは俺達にお辞儀をし、カウンターの方へ歩いて行った。そんな母さんの後ろ姿を、伊集院さんと中野先輩はうっとりとした様子で見ている。これも聖母の力だろうか。
両隣に座っている高嶺さんと華頂さんと一緒にメニュー表を見ていく。
ここには久しぶりに来たけど、提供しているメニューの幅広さに感激する。食べてみたいメニューが多いから迷ってしまう。
華頂さんがメニュー表をめくると、ランチメニューが書かれたページに。通常のメニューよりも安いから、ここから選ぼうかな。
「悠真君と胡桃ちゃんは何にするか決めた? 私はこのカレー風のハンバーグドリアにしようかなって思っているんだけど」
「ドリアも美味しいよね。あたしはミートスパゲティを頼むよ」
「俺は……この後バイトがあるし、ご飯と味噌汁がある定食の中から選ぼうかな」
パンや麺類も好きだけど、ご飯と味噌汁を食べた後が一番調子いいから。
数分ほどして、みんなメニューが決まったので、高嶺さんが呼び出しのボタンを押す。すると、芹花姉さんがテーブルにやってきた。
「ご注文をお伺いしますっ!」
とびきりの笑顔で、芹花姉さんは元気に接客する。これなら、黄金色の天使と言われるのも納得だ。お客さんに絡まれたり、厭らしいことをされたりしないか心配だけど。
俺達はそれぞれ食べたいメニューを言っていき、姉さんと元々注文していた中野先輩の勧めでみんなドリンクバーセットにした。ちなみに、俺は豚の生姜焼き定食を頼んだ。
注文が終わったので、俺達はドリンクバーのコーナーへ向かう。ソフトドリンクはもちろんのこと、紅茶やコーヒーの種類も多い。普段はあまり飲まないジンジャーエールをグラスに注ぐ。
そういえば、小さい頃、芹花姉さんが俺のためにオリジナルドリンクを作ってくれたっけ。そういったときは大抵、家に帰ると気持ち悪くなって吐いたり、お腹を下したりと辛い思いをするけど。そんなことを思い出したら、別のテーブルで注文を取っている姉さんが黄金色の堕天使に見えてきた。
思い出を振り返ったりしていたから、俺が最後にテーブルに戻る。
「みんな、ドリンクを持ってきたね。4人にとっては初めての試験だったね。中間試験お疲れ様! かんぱーい!」
『かんぱーい!』
中野先輩のそんな号令の後、みんなとドリンクバー用のコップを軽く当てて、俺はジンジャーエールを一口飲む。美味しいな。
「毎度のこと、試験が終わった直後の時間っていいなぁ。今回みたいに、試験は金曜で終わるから凄く幸せに感じるよ」
「分かります! お昼前に終わりましたし、3連休のようにも感じますね」
「いいこと言うね、高嶺ちゃん。まさか、2年生最初の定期試験明けに後輩達と打ち上げできるなんて。あたしは幸せ者だ。それも一緒にバイトをすることになった悠真のおかげだよ。ありがとう」
そう言って、中野先輩は感慨深い様子でミルクティーを飲んでいる。その姿はいつになく大人っぽく感じられた。あと、お礼を言われると照れくさいな。
「実は今朝にクラスメイトの友達から打ち上げに誘われたんだけどね。悠真達の方が先に約束したからこっちに来たんだ。それに、クラスの子達とは明日遊ぶことになっているからね」
「そうなのですね。あたしはこの週末、家族で山梨の方へ温泉旅行に行く予定なのです。もちろん、みなさんにお土産を買ってくるのですよ」
「楽しみにしてるよ、伊集院ちゃん。温泉饅頭とか美味しいよね~」
中野先輩は伊集院さんの頭を優しく撫でている。先輩、温泉饅頭を買ってきてほしいのかな。俺と同じようなことを思ったのか、伊集院さんはクスッと笑って「はい」と言った。
「温泉いいね。今の時期でも、夜になると肌寒くなる日もあるし。いつか、悠真君と混浴したいな」
高嶺さんはゆっくりと俺に手を重ね、うっとりとした様子で俺のことを見つめてくる。
高嶺さんと混浴したら、興奮しすぎて俺を襲ってくるか、のぼせるかのどちらかになりそうな気がする。ドキドキして、俺がのぼせてしまうかもしれないが。
「面倒なことになりそうだから遠慮しておく」
「どんなことを想像したのかな? 髪や体を洗ったり、マッサージをしたり……まあ、色々なことをして悠真君がとっても気持ち良くなるように頑張るよ!」
その『色々』がとても恐いな。
高嶺さんとだと不安もあるけれど、華頂さんとならのんびりと混浴できそうだな……って、何を考えているんだ俺は。
華頂さんの方をちらっと見てみると、頬をほんのりと赤くしている華頂さんと目が合う。すると、華頂さんはすぐに目を逸らした。もしかして、高嶺さんが混浴の話をしたから、華頂さんも混浴のことを考えていたりして。
「千佳先輩が明日遊ぶってことは、悠真君も明日ってバイトはないの?」
「ああ。明日はなくて、明後日は朝から夕方までバイトだ」
「そうなんだ。胡桃ちゃんはどう?」
「あたしも明日はなくて、明後日はお昼過ぎから夜までバイトだよ」
「じゃあ、明日は3人で遊ぼうよ! どうかな?」
「ああ、いいぞ」
「あたしもいいよ。……あっ、提案があるんだけど。3人で『ひまわりと綾瀬さん。』を観に行かない?」
華頂さんが言う『ひまわりと綾瀬さん。』という作品は、女子高生同士の青春ガールズラブストーリー漫画だ。のんびりとした性格の緑化委員の前田と、イケメンで人気もある女子テニス部の綾瀬さんの2人が主人公であり、ヒロイン。綾瀬さんシリーズと言うファンもいる。アニメ化され、先週から劇場公開されているのだ。
もしかしたら、華頂さんは俺の家に来たとき、本棚に置いてある単行本を見つけたのかもしれない。
「俺も綾瀬さんシリーズは好きだし、アニメも気になっていたんだ。俺は行くよ」
「綾瀬さんの劇場公開始まったんだ! 私も好きな漫画だから一緒に観に行きたい!」
「じゃあ、決まりだね!」
高嶺さんも綾瀬さんシリーズの漫画を持っていたのか。そういえば、高嶺さんの本棚にも単行本があったような気がする。
あと、桐花さんが前に綾瀬さんシリーズが好きなんだよな。新刊が発売された直後に感想を語り合ったこともあった。桐花さんもきっと劇場へ観に行くだろう。
「ただ、1時間くらいの作品だし、映画館にも行きたいよね」
「そうだね。悠真君は何か希望はある?」
「ゆっくり楽しめるところがいいな。ごめん、具体的な場所が思いつかなくて」
「ううん、いいんだよ。じゃあ、どこに行くのかは私達に任せて。胡桃ちゃん、お昼ご飯を食べ終わったら明日のことを話そう?」
「うん!」
2人ともやる気満々のようだ。高嶺さんが任せてと言っているし、明日のことは2人にお任せするか。
「あらあら。つまり、明日は3人でデートをするのですね。お土産話を楽しみにしてますね」
「明日、友達と遊んでいるときに3人を見かけたら、こっそりと後をつけようかな」
明日は別行動の伊集院さんと中野先輩は楽しそうに話す。お土産話はいいとして、こっそりと後をつけられるのはいい気分じゃないな。
伊集院さんがデートと言ったからか、高嶺さんはニヤニヤし、華頂さんは恥ずかしそうにする。
「お待たせしました~」
芹花姉さんの声が聞こえたので、通路側を見ると、そこには姉さんの姿が。テーブルの近くには頼んだ料理を俺達5人が頼んだ料理を乗せたカートがあった。
芹花姉さんは俺達が頼んだメニューをそれぞれの目の前に置いていく。そんな姉さんを伊集院さん、中野先輩がうっとりとした様子で見ていた。ちなみに、2人はたらこスパゲティに日替わりランチのチキンステーキか。どっちも美味しそうだ。
「それでは、ごゆっくり。でも、悠真と千佳ちゃんはバイトがあるから遅れたらダメだよ」
そう言って姉さんはウィンクをする。小さく手を振って俺達のテーブルを後にした。
「それじゃ、いただこうか! いただきます!」
『いただきます!』
中野先輩の号令で俺達は昼食を食べ始める。
まずは味噌汁を一口。……あぁ、美味しいな。この温かさが試験疲れの体に沁みていき、安心する。
そして、メインの豚の生姜焼きを一口いただく。
「……うん、美味しい」
肉が柔らかくて、脂も程良く乗っていて美味しい。タレの味も俺好みだ。あぁ、ご飯がすすむな。
「良かったね、悠真君。このハンバーグドリアも美味しいよ。一口交換しない?」
「……きっと、そうなると思っていたよ。分かった」
高嶺さんの場合、同じものを頼んでも自分のものを俺に食べさせていたと思う。
「あ、あたしの頼んだミートスパゲティも食べていいよっ!」
いつもより少し大きな声で華頂さんがそう言うので華頂さんの方を見てみると、既に華頂さんが一口分のミートスパゲティをフォークで巻いていた。
「気持ちは嬉しいけど……いいのか? その……俺が口を付けても」
「……ゆう君ならいいに決まってるよ」
「……そうか。それなら、華頂さんとも一口交換するか」
「うんっ!」
華頂さん、とても嬉しそうだ。生姜焼きに興味があったのかな。それとも、高嶺さんのように俺と一口交換をしてみたかったのか。何にせよ、華頂さんから交換しようと言ってくれることが嬉しかった。
その後、高嶺さんと華頂さんと一口交換をした。そのときに伊集院さんと中野先輩にニヤニヤされながら見られたのが恥ずかしかったけど。ハンバーグドリアもミートスパゲティも美味しかった。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2026.1.21)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件
月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ!
『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』
壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。
陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!
みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!
杉藤千夏はツンデレ少女である。
そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。
千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。
徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い!
※他サイトにも投稿しています。
※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる