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8 捜索開始
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「待っていてくれたんですか」
「行方不明者が1人増えると困るからな」
「ありがとうございます。嬉しいです」
なんだかんだ言っても自分の受け持った生徒のことを大切に思っているところは、前の世界の時のエドガーと一緒に思えてやっぱり嬉しい。
先を歩く教官の後を歩きながら、耳を澄まし辺りを確認する。
俺は人より多少耳がいい方だからこう言う時に便利だ。
ちょっとした崖になっているところの下や、洞窟などを確認して歩いていると、負傷した訓練兵や雨に濡れ弱っている訓練兵が見つかった。
3、4人集めてはゴール地点へ連れていく作業を繰り返し、あたりはすっかり夜になった。
道に迷っている訓練兵が火の明るさによってくるかもしれないという事にかけてゴール地点に戻って夜を明かすよりも、ここで焚き火をして野宿をすることを選び、俺たちは早々に火を起こした。
鍋に水を入れて熊の干し肉をほぐしたものを隊長に渡すと文句も言わずに食べてくれた。
「さっきの、どう思う」
隊長は俺に話しかけたと言うよりは、独り言のような言い方でポツリと言った。
“さっきの”と言うのは、見つけた訓練生たちの話だ。
見つけた訓練兵はみんな一様に誰かに襲われたと語った。
それもみんな、後ろ姿しか見えなかったが黒い髪をしていたと証言していた。
「俺はやってないです」
「……とりあえず、交代で寝るぞ」
隊長は、ただ一言“そうか”とも言ってはくれなかった。
「はい。エドガー教官、お先にどうぞ」
「いや、お前も疲れているだろう。こうなったのも俺たち教官のミスなんだ。お前はゆっくり寝ろ」
「……わかりました。ではそうさせてもらいます」
俺が、いや、俺が、とラリーが続くことは好きではない。
そんなことをしても時間の無駄だからだ。
今は一刻も早く眠りについて、きっかり3時には目を覚まし、隊長にもちゃんと3時間寝てもらうことが先決だ。
だが、寝初めてしばらく経ってから目が覚めた。
目を開けると、木の幹にもたれかかって片膝を立てている隊長が見える。
どんな表情をしているのかまでは見えなかったが、なんだか、あの世界に戻ったみたいだ。
隊長の下で隊員をやっていた時は、こんな風に野営して、目を開けるといつもそこに隊長がいた。
だけど、この世界でのエドガー隊長にとっての俺は隊長の妹を殺し、訓練兵を襲って蹴落とす最悪な人間だった。
俺はそのまま時間が来るまで隊長を見つめて、交代の時間になってから隊長と見張りを交代した。
パチパチと爆ぜる火の中に、薪を入れつつ炎を眺めていると、スー、スーと隊長の微かな寝息が聞こえてくる。
やがてあたりは明るくなり始めて、隊長は目を覚ました。
「おはようございます、教官」
「ああ……おはよう」
俺はそのまま用を足してくると隊長に伝えてその場から少し離れた。
隊長との距離は20メートルくらい。
隊長から見えない位置でしようと大きな木の後ろに回ると、少し離れたところに黒い髪の毛が見えた。
あいつだ。
本当にいたんだ。
俺は興奮してそいつの後をバレないように追いかけた。
「行方不明者が1人増えると困るからな」
「ありがとうございます。嬉しいです」
なんだかんだ言っても自分の受け持った生徒のことを大切に思っているところは、前の世界の時のエドガーと一緒に思えてやっぱり嬉しい。
先を歩く教官の後を歩きながら、耳を澄まし辺りを確認する。
俺は人より多少耳がいい方だからこう言う時に便利だ。
ちょっとした崖になっているところの下や、洞窟などを確認して歩いていると、負傷した訓練兵や雨に濡れ弱っている訓練兵が見つかった。
3、4人集めてはゴール地点へ連れていく作業を繰り返し、あたりはすっかり夜になった。
道に迷っている訓練兵が火の明るさによってくるかもしれないという事にかけてゴール地点に戻って夜を明かすよりも、ここで焚き火をして野宿をすることを選び、俺たちは早々に火を起こした。
鍋に水を入れて熊の干し肉をほぐしたものを隊長に渡すと文句も言わずに食べてくれた。
「さっきの、どう思う」
隊長は俺に話しかけたと言うよりは、独り言のような言い方でポツリと言った。
“さっきの”と言うのは、見つけた訓練生たちの話だ。
見つけた訓練兵はみんな一様に誰かに襲われたと語った。
それもみんな、後ろ姿しか見えなかったが黒い髪をしていたと証言していた。
「俺はやってないです」
「……とりあえず、交代で寝るぞ」
隊長は、ただ一言“そうか”とも言ってはくれなかった。
「はい。エドガー教官、お先にどうぞ」
「いや、お前も疲れているだろう。こうなったのも俺たち教官のミスなんだ。お前はゆっくり寝ろ」
「……わかりました。ではそうさせてもらいます」
俺が、いや、俺が、とラリーが続くことは好きではない。
そんなことをしても時間の無駄だからだ。
今は一刻も早く眠りについて、きっかり3時には目を覚まし、隊長にもちゃんと3時間寝てもらうことが先決だ。
だが、寝初めてしばらく経ってから目が覚めた。
目を開けると、木の幹にもたれかかって片膝を立てている隊長が見える。
どんな表情をしているのかまでは見えなかったが、なんだか、あの世界に戻ったみたいだ。
隊長の下で隊員をやっていた時は、こんな風に野営して、目を開けるといつもそこに隊長がいた。
だけど、この世界でのエドガー隊長にとっての俺は隊長の妹を殺し、訓練兵を襲って蹴落とす最悪な人間だった。
俺はそのまま時間が来るまで隊長を見つめて、交代の時間になってから隊長と見張りを交代した。
パチパチと爆ぜる火の中に、薪を入れつつ炎を眺めていると、スー、スーと隊長の微かな寝息が聞こえてくる。
やがてあたりは明るくなり始めて、隊長は目を覚ました。
「おはようございます、教官」
「ああ……おはよう」
俺はそのまま用を足してくると隊長に伝えてその場から少し離れた。
隊長との距離は20メートルくらい。
隊長から見えない位置でしようと大きな木の後ろに回ると、少し離れたところに黒い髪の毛が見えた。
あいつだ。
本当にいたんだ。
俺は興奮してそいつの後をバレないように追いかけた。
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