パラレルワールドの世界で俺はあなたに嫌われている

彼が負傷した隊員を庇って敵から剣で斬られそうになった時、自然と体が動いた。

「ジル!!!」

俺の体から血飛沫が出るのと、隊長が俺の名前を叫んだのは同時だった。
隊長はすぐさま敵をなぎ倒して、俺の体を抱き寄せてくれた。
「ジル!」
「……隊長……お怪我は……?」
「……ない。ジルが庇ってくれたからな」

隊長は俺の傷の具合でもう助からないのだと、悟ってしまったようだ。
目を細めて俺を見て、涙を耐えるように不器用に笑った。

ーーーー

『愛してる、ジル』

前の世界の隊長の声を思い出す。
この世界の貴方は俺にそんなことを言わない。
だけど俺は、前の世界にいた時の貴方の優しさが忘れられない。

俺のことを憎んで、俺に冷たく当たっても俺は貴方を信じたい。

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