僕が死んだあと、あなたは悲しんでくれる?

いちみやりょう

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「俺は……、何十年も千景を想ってきたんだ。こんな爺さんになるまでずっと。あんたは、ずっと千景と居たんだろ。頼む、一目会わせてくれるだけでいいから」
「生憎ですが、私は大切な者以外への優しさや良心は持ち合わせておりませんので」

こちらを馬鹿にするように冷たく容赦のない冷たい目でそう言った。
それは取りつく島もない態度で俺は茫然自失になった。
今まで俺はこの時を待っていたのに、どうすることもできないっていうのか。
このまま千景に会えないままなら、俺は生まれ変わる必要なんて感じなかった。

「まぁ、落ち着く時間が必要でしょう。私は今日はもうこれで帰りますので、明日扉までご案内いたします。ああ、それから、この建物は出ない方がよろしいですよ。そういう決まりですから。先ほどの受付の者から説明されたとは思いますが」
「……分かった」

受付の鬼の話なんてまるで聞いてはいなかったけれど、千景に会う以外に大切なことがあるはずもない。俺がしおらしく返事をしたことで男は優雅に一礼して去っていった。

「そうだ……」

あの男が千景を妻と呼ぶということは、あの男が帰る場所に千景がいるんじゃないのか?
俺はそれに気がついて急いで男の後を追った。

何枚か扉を抜け出たそこは、俺たちが暮らしていた場所と変わらない。
青い空に白い雲が浮かんでいて、空は高く心地の良い場所だった。
ここに連れてこられた時とは全く違う風景だ。連れてこられた時は薄気味悪い建物だと思った赤も、こんな快晴の中なら清々しく見える。

あたりを見渡すと、遠くの方に銀髪の男が歩いているのが見えた。
俺は急いで男に近づき男に気づかれないように後をつける。
15分ほど歩き回ってついた場所は、外国の城のような建物だった。

男は大きな門をくぐり城の中に入っていった。

「あそこに……、あそこに千景がいるのか」

心臓が大きな音を立て、だんだん鼓動も早くなる。

広い庭はざっと見える範囲でも小学校の校庭がすっぽりとおさまりそうなほど広い。
けれどその端に日本ふうの墓が建っているのがミスマッチでやたらと目立っていた。


門の隙間から入り込み、庭の茂みに身を隠して、俺は千景が出てくるのを待つことにした。
そうして隠れている間、墓には色々な見た目のやつが墓参りをするのを見た。
それは人間みたいなのが多かったが鬼だったり、動物みたいだったりのやつも居て見た目は様々だが大体は俺より大きかった。

そいつらは口々に千景を褒める。
俺の知らない千景を知ってるそいつらがひどく恨めしかった。

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