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「もう、半落ちじゃんね」
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ppppp…ppppp…ppppp…
携帯のアラームが鳴ってる。
いつもベッドサイドのテーブルに置いてる携帯を取ろうとして……俺と携帯の間に何か居るな、って思った。
何だっけ……確か………
これは……
慶だ。
そう思った瞬間、俺は完全に覚醒した。
まだ、取れずにいる携帯はずっと鳴ってる。
とりあえず、腕を伸ばし携帯を取ってアラームを止める。
慶の為にセットしたアラームだけど……当の本人は、しっかり寝てる。
アラーム意味ねぇじゃん。
はぁ、と1つ息を吐いて、改めて慶に向き直る。
俺の方に横向きになってて、全部は見えないけどきっと丸まってる。
焦げ茶の前髪の間から、閉じられた目が見える。
バイトの時間に間に合うようにセットした起床時間。
よく寝てるけど、起こしてやらないとな。
「慶、……慶」
呼んでみたけど……まだ動かない。
近くで見たら、まつ毛とか細くて案外長いんだな、とか……俺、朝からヤバい。
変態入ってるよ…。
「起きろ~」
人差し指で目にかかる前髪を払って、額を突っついてみる。
「…ん、」
ちょっと鬱陶しそうに少し眉間に皺を寄せる。
「慶、」
ツンツンしたまま呼んでみたら……もそもそ動いた後、薄く目が開いた。
重たそうなその瞬きに、少しだけ口元が緩む。
何回目かの瞬きの後、視線が少しずつ上に上がり……俺を捉えた。
「ぅ、わーーっ!」
急に起き上がった。
それもすごい勢いで。
「侑利くんっ!!」
「何だよっ」
俺も、お前の大声にビビったわ。
「お…おはよう」
「お…おぅ」
慶は、寝起きで焦ったのを鎮めようと軽く深呼吸してる。
……髪が有り得ないくらい跳ねてて……笑いそうになるのを堪えて言う。
「寝れた?」
「うん、侑利くんは?」
「爆睡」
「あはは、良かった」
ふわりと笑う。
朝から、緩い奴。
布団を捲り上げてベッドから降りリビングへ向かうと、また後ろから慶が付いて来る。
「じゃ、行って来るね」
「迷わねぇで帰って来れる?」
「大丈夫っ」
バイトに出て行く慶を玄関先で見送ってるところ。
笑顔でⅤサインを俺に見せる。
「終わるの何時?」
「5時」
「あ、そうだ、ちょっと待ってて」
俺は寝室へ戻り、クローゼットに置いてある棚の引き出しから合鍵を取り出す。
入居時に何本かくれたものだ。
「はい、これ」
慶の手に鍵を置いた。
「え?」
「ここの合鍵」
「良いのっ?」
「無くすなよ」
大事そうに握りしめて「うん」と頷く。
嬉しそうな顔してんじゃねぇよ……恥ずいわ。
「じゃあ、行ってきま~す」
先に外へ出て隙間から手を振って来る。
振り返してやってからドアを閉めた。
慶の足音が遠ざかって行く。
何となく、ベランダに出て……慶が出て来るのを待った。
エレベーターとか…ちゃんと乗れんのかな、アイツ…。
などと考えながら、下を眺める。
おっ、出て来たっ………やっぱ、遠くから見てもスタイルの良さが際立ってるわ…。
とか思ってたら、いきなりこっちを振り返ったから正直すげぇ焦った。
長い腕をブンブン振って来る。
周りに誰も居ないから良いけど、誰か居たら完全に変な奴だよ、お前…。
仕方なく、手を振って応えてやる。
俺が見てる、って思ったから振り返ったのかどうかは分からないけど……とりあえず、見えなくなるまで見送ってやった俺って、だいぶ優しいな…。
~~~~~~~~
「おっすー」
「おー」
気怠そうな挨拶とともに、助手席に乗り込んで来る天馬。
何か……この2日間の内容が目まぐるし過ぎて、天馬とも随分久しぶりな気さえして来る。
11時過ぎ。
昼飯にはまだ少し早い。
とりあえず車を走らせて…近くにあった大きな公園の駐車場に車を停める。
もう、天馬は、俺と慶の事が聞きたくて仕方無いんだろう。
すんごい興味津々な顔してるし…
「で?」
ほら来た。
「あ?」
そう返したら、軽く頭を小突かれた。
「あ?じゃねんだよ、早く報告しろよ~」
「お前も報告する事あんだろ?」
「お前のが先」
何で俺のが先なんだ、って思ったけど………天馬の表情から、俺を後回しには出来ない感がヒシヒシと伝わって来るから……諦めざるを得ない。
「何から…話したら良いのか」
「とりあえず、あの後、どうなったの?」
あの後、と言うは、コンビニの後だ。
公園に慶が居て、天馬とはそこで別れたから。
「あー、……慶、……あ、アイツ、羽柴慶って名前」
「ふ~ん、慶ちゃんね、オッケ」
軽いわ、お前。
「公園行ったら、泣いてた」
「え?」
「人生が上手く行かないって」
「人生って…若いんでしょ?」
「二十歳」
二十歳だけど……きっと、一生分泣いてんだろうな、って思う。
過去の事はまだ知らないけど…そんな気がする。
「死のうとしてたって」
「はぁ?」
天馬が驚いてる。
「どうやって死のうか考えてたって。……ずっと泣いててさ。多分……長い時間、あの公園に居たんだと思う」
昼間はまだ暑くて、車の窓を少し開けると、入れ替わりに、芝生の広場でボール遊びをしてる子供の声が聞こえて来る。
「送って行ってやろうと思ってさ、家まで。…そしたら……家が無いって言ってさ、」
「え、家が無いってどういう事?」
そうなるよな。
俺もそう思ったよ。
家が無い、なんて、衝撃的すぎるだろ?
アパートの家賃滞納してた事、大家さんが亡くなった事、バイトで濡れ衣着せられてクビになった事、アパート契約解消された事……
ざっくりと簡潔に話した。
「…それで、ずっと泣いてたんだ。…何なの、そのバイトの奴ら」
ちょっとイラッと来てるし。
俺もそう思ってるよ。
「俺もまだ、慶の過去は知らない。気にはなるけど……泣いてる顔見たくなくてさ……」
笑っていて欲しい、って思わされる。
「昨日、2人で水族館行ってさ……あいつ、本物のイルカ見るの初めてだって言ってた。…水族館ってさ、子供のうちに皆行くもんだと何となく思ってたんだ、俺。そしたらイルカ見る機会だってあるじゃん。………慶がどんな生活して来たのかは知らないけど………家族も居なくて…俺はずっと1人だった、って言った慶を………何かもう、1人の生活に戻したらダメなような気がしてさ……」
ずっと泣いて……毎日泣いて………また、死のうなんてバカな事考えて………ほんとに死んでしまうんじゃないか、って………心配になるんだよ。
「侑利、お前さぁ……」
天馬が真剣な顔で言う。
「好きでしょ……慶ちゃんの事」
天馬の言葉に何にも言えなくなる。
ただ、心臓が大きく鳴って、一瞬で体がカァッと熱くなった。
「違う?」
男前な顔して言うなっての!
「……分かんねぇ」
否定も肯定もしなかった。
「……気にはなるけど…好きかどうかって言われたら、」
「どうでも良い奴の事は、男だろうが女だろうが気になんないけどね、俺は」
天馬が恋愛マスターばりに言う。
「お前誰だよ」
今度は俺が小突いてやる。
「ちょ、マジいてぇ」
「とにかく、俺は報告終わり」
無理矢理終わらせた。
「でもさ、もう一緒に住んでんだし、侑利が慶ちゃんに落ちるの時間の問題だと思うわ」
「うるっせぇ」
もう1発お見舞いする。
「もう、半落ちじゃんね」
まだ言ってるし。
楽しみすぎだろ、お前は。
「でも、」
「もう1発殴られたい?」
「慶ちゃんにも侑利が必要なんじゃない?…じゃなきゃ、出てくでしょ。一緒には住めないよ」
殴ってやろうと準備してた手を、下ろす。
…慶にも、俺が必要?
……何だよ……ちょっと……気分良いじゃん。
そう言われて単純に嬉しいと思ってしまう俺も……慶の事言えないくらい単細胞かもな…。
「で、お前は?」
今度は俺が聞く番。
「あー、あの後ね」
俺が公園で侑利と会ってた頃、天馬は奏太と話してた。
今、2人は付き合ってんだから、上手く行った事は分かるけど……いきさつだよ。
「奏太に会った瞬間に……何か可愛いなって思った。今までBIRTHで会ってた後輩っていう存在の奏太とは違って見えた。…しばらく会って無かったからかも知れないけど、だから俺も、早く奏太に会って自分の感情を確かめたいって思ってたんだ」
待ってるのは、長かったと思う。
奏太泣いてたし。
「会って、とりあえず歩いて喋ってさ……そしたら、奏太って俺にすっげぇ気ぃ使ってばっかでさ」
そんな感じあるかもな、奏太は。
「俺と居るの楽しい?って聞いたらさ、楽しいって言うけど、めっちゃ緊張してて声とか震えてんの」
「あー」
「自分が全然出せてないって言うかさ…BIRTHで見てる奏太よりも、何か奏太らしくないって言うか………とにかく、俺が無理させてんだなって思った」
「無理?」
「俺の答え待ってる間に、色んな事考えて…………奏太にさ、」
「ん、」
「俺に嫌われたくないから、言いたい事も感情も沢山押さえつけてたって言われてさ、」
そう言えば慶も……昔の事を話しても、嫌いにならないで、と言った。
それが、慶にとって言いたい事では無いかも知れないけど……少なくとも、過去の話を聞いたからって、嫌いになる事は無いだろう。
どんな内容か分からないけど……漠然と、そう思える。
「俺に言いたい事って何、って聞いた」
「奏太、何て言ったの」
「僕がこんなに好きなの知ってて、今日会ってもまだ返事してくれなくて、そろそろ返事してくれないとどんな顔してたら良いか分かりませんっ!…って」
おいおい…あの奏太がちょっとイラついてるじゃん。
「だから、もう、返事した」
「何て言ったの?」
「いっちょ付き合うか、って」
ムードねぇな!!
「言い方あんだろ」
「あはは、まぁ、そんな感じ」
「奏太は?」
「固まってた」
「だろうね」
分かるわ…固まってる奏太。
「でも、実際、俺の事好きだって言われたらやっぱ考えるし見方も変わるしさ、こっちはそう思って無かったのに何か気になって来てさ……時間空けてその間、奏太の事を考えてたら、何してる時も頭のどっかに奏太が居るようになってさ……何か、奏太の罠にハマった感じ」
罠、ね…。
天馬を罠にハメるなんてすげぇよ、奏太。
俺はまさに……慶の罠にハマりかけてるのかも…とか思ってみたり…。
「付き合って今日で3日目だけど、奏太が嬉しそうにしてんの見てるのが嬉しくてさ。さっき、侑利が言った…泣いてる顔見たくないって気持ち、分かる」
好きな人には笑っていて欲しい……ってやつ?
「まぁ、とにかくそう言う事。俺も報告終わり」
言い終えて、天馬が一度窓を全開にすると、外から少し涼しい風が入って来る。
いつの間にか12時を過ぎていて、ボール遊びしてた子供達が帰った事にも気付いて無かった。
「飯でも行くか」
俺はまた、車を走らせる。
~~~~~~~~
ガチャガチャ、と玄関の鍵を回す音がする。
使い慣れない鍵でモタモタやってんだろう…
そのドアが開くより、俺がキッチンから玄関へ行く方が早かった。
ドアを開けて入って来た慶を、出迎えてやる。
「わ、びっくりした」
立ってる俺を見て、軽くビクついてる。
でも、すぐにフワッとした笑顔を向けて来た。
「ただいま~」
「…おかえり」
当たり前のやり取りなんだけど………慶は、何だかひどく嬉しそうな顔で…でも、恥ずかしそうに少し俯いて靴を脱ぐ。
「侑利くん、出かけなかったの?」
「や、出かけたよ」
洗面台へ向かい、手洗いとうがいしてる。
ほんとちゃんとしてるわ…。
「俺の方が早いと思った~」
とか言ってるのが、向こうから聞こえて来たけど、俺は先にキッチンへ戻り作ってた晩ご飯の続きに取り掛かる。
「あーっ、何か作ってる~」
嬉しそうに駆け寄って来た。
やっぱ慶がいると……何だか時間が緩い。
「何作ってんの?」
「今日は、唐揚げ」
俺は、唐揚げには結構自信がある。
店で何回か作ってお客さんに出してみたけど、いつも好評だ。
「唐揚げっ?わ~い」
子供みたいな喜び方……唐揚げ、好きみたいで良かったわ。
「侑利くんってほんと何でも作れるんだね」
何でもって、まだ、ミートソースのパスタと唐揚げしか作ってねぇけどな。
まぁ、でも、けっこう何でも作れるかも。
少なくともお前よりは作れるよ。
「揚がったら、飯にするぞ」
慶が帰宅してから揚げようと思ってた。
どうせ食うなら揚げたてじゃないとな。
「じゃ、俺、洗濯畳んでるね」
俺が、取り込んでソファにバサッと置いてた洗濯物を慶が畳む。
慶の畳み方があるようで、昨日畳んでくれてたのもいつもの自分の畳み方とは違ってて……そういうとこもいちいち新鮮な感じがして、嫌いじゃないって思った。
油の音が軽くなり、揚げ作業完了。
「慶、皿~」
「はぁい」
洗濯物を畳み終えた慶に言うと、急いで皿を取り出して並べる。
せっせと準備する慶を横目で見ながら、何でこんな奴が、死にたいくらい最悪な人生を送って来なきゃいけなかったのかって、まだ何も聞いて無いけど、何となく悔しさで一杯になる。
「さ、食うぞ」
慶の前に、ご飯と味噌汁とサラダを置いて、真ん中に唐揚げをドーンと置いてやる。
「すごーーーい」
今日も、すごい、の連発。
別に、すごくはねぇんだけどな…。
「いただきま~す」
まず、唐揚げから食べてる。
幸せそうな顔して食べるよね、お前って。
「マジで美味~~~い!!」
「声デカい」
「侑利くん、天才っ」
「ははっ、そりゃどうも」
お前ぐらい俺の飯褒めてくれる奴いねぇわ。
そんなに褒めてくれてたら、褒められなかった日だいぶ凹むじゃん。
「今日さぁ、ティッシュ配ってたらねっ、」
今日のバイトの報告してくれたり、道中の出来事を教えてくれたり、俺に今日何したか聞いて来たり……とにかく、よく喋る。
俺も、聞いたり、喋ったり、突っ込んだり、忙しいんだよ。
晩ご飯はきっちり完食してくれた。
ほんとに、キレイに。
「ふぅ~~、終わったぁ~~~」
今日も洗い物は慶がやってくれた。
良いって言っても、そこは聞かない。
ま、慶の中の居候ルールだろう。
慶のその声を合図に、冷蔵庫を開ける。
「明日はバイトあんの?」
「明日は休みだよ」
「お、じゃあ、何か飲む?」
俺は、ビールにしようと思うけど……慶はビールは無理だろうな…。
「お酒?」
「無理しなくて良いよ。カフェオレが良かったら作ってやるよ」
何て優しいんだ、俺。
「チューハイだったら飲めるかも」
「チューハイね」
何本か買ってある中から、今日は慶が自分でマスカットを選択。
ソファに座ってそれぞれに開ける。
「お疲れ」
「お疲れ~」
缶をコツッと合わせて、お互い一口飲む。
「どう?それ」
「うん、美味しい。やっぱり後味はお酒!って感じになるけど」
「無理すんなよ」
「うん、大丈夫」
何となく点けてたテレビのバラエティにまた2人で笑ってた。
酒を飲みながら、緩い時間を過ごす。
慶は、長い足を三角に折り曲げてソファの上で体育座りしてる。
チューハイは半分くらいは空いただろうか。
「あ、ちょっと待ってて」
俺はそう言うと、一旦寝室へ行って紙袋を持って戻った。
慶はその間、ずっと俺の動きを見てる。
「はい、これ」
俺がその紙袋をポンと慶の膝の上に落とすと、急いで両手で受け止めてこっちに向き直る。
「何?」
「開けてみ」
そう言うと、紙袋の中を覗き込み、手を入れて中身を取り出す。
「えっ、?……これ何?」
「…携帯」
慶が驚くのは想像出来た。
今日、携帯を1台契約して来た。
「…え、……なんで…?」
困惑してる。
「勝手に決めてごめん。……でも、やっぱ、必要だと思ってさ」
「…でも、…」
素直には受け取らない。
「やっぱさ……連絡取るじゃん、絶対。お前はバイト頑張って買うって言ってたけどさ……けっこう急ぐと思うんだ」
連絡つかないのは……ちょっと、落ち着かない気がしてさ。
「晩ご飯何が良い、とかさ」
慶の顔が少し歪んだ気がした。
泣かせるつもりはねぇんだよ。
「俺が…持ってて欲しくてさ……勝手に用意した」
携帯が入ってるケースごと握りしめて、少し俯いてしまった。
もしかしたら……ほんとにイヤだったのかも知れない…。
自分で買うって言ってたのに…。
余計な事だったかも知れない。
「…ごめんな」
俯いたままの慶に言うと、すぐに顔を上げる。
やっぱり…もう、泣く寸前の顔。
「…迷惑だった?」
俺の言葉に何度も首を振る。
その様子に、幾らか安心出来た。
「俺と……連絡取りたいって……思ってくれるの?」
「じゃなきゃ、買わねぇよ」
俺の言葉を待って、慶の目から涙が零れ落ちた。
…泣かそうと思ってやった訳でも言った訳でも無い…。
「侑利くん……」
「ん?」
「ありがとう…」
何か、心に響くんだ、コイツの「ありがとう」は。
ちょっと恥ずかしいのもあって、誤魔化すように慶の髪をワシャワシャと乱す。
慶も、急いで涙を拭いた。
「でもこれ、高かったんじゃないの?」
「今、安いのいくらでもあるからさ。これもそうだよ」
「…でも…」
「最新機種でも無いしさ」
ほんとに、そうだ。
今や、格安携帯なるものが何種類も出てて安さを競ってるから、慶が使うくらいの機能とプランなら驚くほど安く契約出来た。
だから、一切気にして欲しく無かったけど………慶の性格上、それは無理だな…。
でも、迷惑じゃなくて良かったって、心底思ってんだよ。
勝手に契約したからさ……結構賭けだったわ。
契約に付き合った天馬にも「お前、貢ぐタイプかっ」って、すんごい突っ込まれた。
「ハマってんじゃん、思いっきり」とも、言われた。
何とでも言ってくれ、と半ば諦めた。
中身は、真っ白の携帯。
何となく、慶には白かな、って思った。
その後は、俺の番号を登録して、必要な設定もしてやった。
慶みたいな原始人に使いこなせるか謎だけど…。
携帯のアラームが鳴ってる。
いつもベッドサイドのテーブルに置いてる携帯を取ろうとして……俺と携帯の間に何か居るな、って思った。
何だっけ……確か………
これは……
慶だ。
そう思った瞬間、俺は完全に覚醒した。
まだ、取れずにいる携帯はずっと鳴ってる。
とりあえず、腕を伸ばし携帯を取ってアラームを止める。
慶の為にセットしたアラームだけど……当の本人は、しっかり寝てる。
アラーム意味ねぇじゃん。
はぁ、と1つ息を吐いて、改めて慶に向き直る。
俺の方に横向きになってて、全部は見えないけどきっと丸まってる。
焦げ茶の前髪の間から、閉じられた目が見える。
バイトの時間に間に合うようにセットした起床時間。
よく寝てるけど、起こしてやらないとな。
「慶、……慶」
呼んでみたけど……まだ動かない。
近くで見たら、まつ毛とか細くて案外長いんだな、とか……俺、朝からヤバい。
変態入ってるよ…。
「起きろ~」
人差し指で目にかかる前髪を払って、額を突っついてみる。
「…ん、」
ちょっと鬱陶しそうに少し眉間に皺を寄せる。
「慶、」
ツンツンしたまま呼んでみたら……もそもそ動いた後、薄く目が開いた。
重たそうなその瞬きに、少しだけ口元が緩む。
何回目かの瞬きの後、視線が少しずつ上に上がり……俺を捉えた。
「ぅ、わーーっ!」
急に起き上がった。
それもすごい勢いで。
「侑利くんっ!!」
「何だよっ」
俺も、お前の大声にビビったわ。
「お…おはよう」
「お…おぅ」
慶は、寝起きで焦ったのを鎮めようと軽く深呼吸してる。
……髪が有り得ないくらい跳ねてて……笑いそうになるのを堪えて言う。
「寝れた?」
「うん、侑利くんは?」
「爆睡」
「あはは、良かった」
ふわりと笑う。
朝から、緩い奴。
布団を捲り上げてベッドから降りリビングへ向かうと、また後ろから慶が付いて来る。
「じゃ、行って来るね」
「迷わねぇで帰って来れる?」
「大丈夫っ」
バイトに出て行く慶を玄関先で見送ってるところ。
笑顔でⅤサインを俺に見せる。
「終わるの何時?」
「5時」
「あ、そうだ、ちょっと待ってて」
俺は寝室へ戻り、クローゼットに置いてある棚の引き出しから合鍵を取り出す。
入居時に何本かくれたものだ。
「はい、これ」
慶の手に鍵を置いた。
「え?」
「ここの合鍵」
「良いのっ?」
「無くすなよ」
大事そうに握りしめて「うん」と頷く。
嬉しそうな顔してんじゃねぇよ……恥ずいわ。
「じゃあ、行ってきま~す」
先に外へ出て隙間から手を振って来る。
振り返してやってからドアを閉めた。
慶の足音が遠ざかって行く。
何となく、ベランダに出て……慶が出て来るのを待った。
エレベーターとか…ちゃんと乗れんのかな、アイツ…。
などと考えながら、下を眺める。
おっ、出て来たっ………やっぱ、遠くから見てもスタイルの良さが際立ってるわ…。
とか思ってたら、いきなりこっちを振り返ったから正直すげぇ焦った。
長い腕をブンブン振って来る。
周りに誰も居ないから良いけど、誰か居たら完全に変な奴だよ、お前…。
仕方なく、手を振って応えてやる。
俺が見てる、って思ったから振り返ったのかどうかは分からないけど……とりあえず、見えなくなるまで見送ってやった俺って、だいぶ優しいな…。
~~~~~~~~
「おっすー」
「おー」
気怠そうな挨拶とともに、助手席に乗り込んで来る天馬。
何か……この2日間の内容が目まぐるし過ぎて、天馬とも随分久しぶりな気さえして来る。
11時過ぎ。
昼飯にはまだ少し早い。
とりあえず車を走らせて…近くにあった大きな公園の駐車場に車を停める。
もう、天馬は、俺と慶の事が聞きたくて仕方無いんだろう。
すんごい興味津々な顔してるし…
「で?」
ほら来た。
「あ?」
そう返したら、軽く頭を小突かれた。
「あ?じゃねんだよ、早く報告しろよ~」
「お前も報告する事あんだろ?」
「お前のが先」
何で俺のが先なんだ、って思ったけど………天馬の表情から、俺を後回しには出来ない感がヒシヒシと伝わって来るから……諦めざるを得ない。
「何から…話したら良いのか」
「とりあえず、あの後、どうなったの?」
あの後、と言うは、コンビニの後だ。
公園に慶が居て、天馬とはそこで別れたから。
「あー、……慶、……あ、アイツ、羽柴慶って名前」
「ふ~ん、慶ちゃんね、オッケ」
軽いわ、お前。
「公園行ったら、泣いてた」
「え?」
「人生が上手く行かないって」
「人生って…若いんでしょ?」
「二十歳」
二十歳だけど……きっと、一生分泣いてんだろうな、って思う。
過去の事はまだ知らないけど…そんな気がする。
「死のうとしてたって」
「はぁ?」
天馬が驚いてる。
「どうやって死のうか考えてたって。……ずっと泣いててさ。多分……長い時間、あの公園に居たんだと思う」
昼間はまだ暑くて、車の窓を少し開けると、入れ替わりに、芝生の広場でボール遊びをしてる子供の声が聞こえて来る。
「送って行ってやろうと思ってさ、家まで。…そしたら……家が無いって言ってさ、」
「え、家が無いってどういう事?」
そうなるよな。
俺もそう思ったよ。
家が無い、なんて、衝撃的すぎるだろ?
アパートの家賃滞納してた事、大家さんが亡くなった事、バイトで濡れ衣着せられてクビになった事、アパート契約解消された事……
ざっくりと簡潔に話した。
「…それで、ずっと泣いてたんだ。…何なの、そのバイトの奴ら」
ちょっとイラッと来てるし。
俺もそう思ってるよ。
「俺もまだ、慶の過去は知らない。気にはなるけど……泣いてる顔見たくなくてさ……」
笑っていて欲しい、って思わされる。
「昨日、2人で水族館行ってさ……あいつ、本物のイルカ見るの初めてだって言ってた。…水族館ってさ、子供のうちに皆行くもんだと何となく思ってたんだ、俺。そしたらイルカ見る機会だってあるじゃん。………慶がどんな生活して来たのかは知らないけど………家族も居なくて…俺はずっと1人だった、って言った慶を………何かもう、1人の生活に戻したらダメなような気がしてさ……」
ずっと泣いて……毎日泣いて………また、死のうなんてバカな事考えて………ほんとに死んでしまうんじゃないか、って………心配になるんだよ。
「侑利、お前さぁ……」
天馬が真剣な顔で言う。
「好きでしょ……慶ちゃんの事」
天馬の言葉に何にも言えなくなる。
ただ、心臓が大きく鳴って、一瞬で体がカァッと熱くなった。
「違う?」
男前な顔して言うなっての!
「……分かんねぇ」
否定も肯定もしなかった。
「……気にはなるけど…好きかどうかって言われたら、」
「どうでも良い奴の事は、男だろうが女だろうが気になんないけどね、俺は」
天馬が恋愛マスターばりに言う。
「お前誰だよ」
今度は俺が小突いてやる。
「ちょ、マジいてぇ」
「とにかく、俺は報告終わり」
無理矢理終わらせた。
「でもさ、もう一緒に住んでんだし、侑利が慶ちゃんに落ちるの時間の問題だと思うわ」
「うるっせぇ」
もう1発お見舞いする。
「もう、半落ちじゃんね」
まだ言ってるし。
楽しみすぎだろ、お前は。
「でも、」
「もう1発殴られたい?」
「慶ちゃんにも侑利が必要なんじゃない?…じゃなきゃ、出てくでしょ。一緒には住めないよ」
殴ってやろうと準備してた手を、下ろす。
…慶にも、俺が必要?
……何だよ……ちょっと……気分良いじゃん。
そう言われて単純に嬉しいと思ってしまう俺も……慶の事言えないくらい単細胞かもな…。
「で、お前は?」
今度は俺が聞く番。
「あー、あの後ね」
俺が公園で侑利と会ってた頃、天馬は奏太と話してた。
今、2人は付き合ってんだから、上手く行った事は分かるけど……いきさつだよ。
「奏太に会った瞬間に……何か可愛いなって思った。今までBIRTHで会ってた後輩っていう存在の奏太とは違って見えた。…しばらく会って無かったからかも知れないけど、だから俺も、早く奏太に会って自分の感情を確かめたいって思ってたんだ」
待ってるのは、長かったと思う。
奏太泣いてたし。
「会って、とりあえず歩いて喋ってさ……そしたら、奏太って俺にすっげぇ気ぃ使ってばっかでさ」
そんな感じあるかもな、奏太は。
「俺と居るの楽しい?って聞いたらさ、楽しいって言うけど、めっちゃ緊張してて声とか震えてんの」
「あー」
「自分が全然出せてないって言うかさ…BIRTHで見てる奏太よりも、何か奏太らしくないって言うか………とにかく、俺が無理させてんだなって思った」
「無理?」
「俺の答え待ってる間に、色んな事考えて…………奏太にさ、」
「ん、」
「俺に嫌われたくないから、言いたい事も感情も沢山押さえつけてたって言われてさ、」
そう言えば慶も……昔の事を話しても、嫌いにならないで、と言った。
それが、慶にとって言いたい事では無いかも知れないけど……少なくとも、過去の話を聞いたからって、嫌いになる事は無いだろう。
どんな内容か分からないけど……漠然と、そう思える。
「俺に言いたい事って何、って聞いた」
「奏太、何て言ったの」
「僕がこんなに好きなの知ってて、今日会ってもまだ返事してくれなくて、そろそろ返事してくれないとどんな顔してたら良いか分かりませんっ!…って」
おいおい…あの奏太がちょっとイラついてるじゃん。
「だから、もう、返事した」
「何て言ったの?」
「いっちょ付き合うか、って」
ムードねぇな!!
「言い方あんだろ」
「あはは、まぁ、そんな感じ」
「奏太は?」
「固まってた」
「だろうね」
分かるわ…固まってる奏太。
「でも、実際、俺の事好きだって言われたらやっぱ考えるし見方も変わるしさ、こっちはそう思って無かったのに何か気になって来てさ……時間空けてその間、奏太の事を考えてたら、何してる時も頭のどっかに奏太が居るようになってさ……何か、奏太の罠にハマった感じ」
罠、ね…。
天馬を罠にハメるなんてすげぇよ、奏太。
俺はまさに……慶の罠にハマりかけてるのかも…とか思ってみたり…。
「付き合って今日で3日目だけど、奏太が嬉しそうにしてんの見てるのが嬉しくてさ。さっき、侑利が言った…泣いてる顔見たくないって気持ち、分かる」
好きな人には笑っていて欲しい……ってやつ?
「まぁ、とにかくそう言う事。俺も報告終わり」
言い終えて、天馬が一度窓を全開にすると、外から少し涼しい風が入って来る。
いつの間にか12時を過ぎていて、ボール遊びしてた子供達が帰った事にも気付いて無かった。
「飯でも行くか」
俺はまた、車を走らせる。
~~~~~~~~
ガチャガチャ、と玄関の鍵を回す音がする。
使い慣れない鍵でモタモタやってんだろう…
そのドアが開くより、俺がキッチンから玄関へ行く方が早かった。
ドアを開けて入って来た慶を、出迎えてやる。
「わ、びっくりした」
立ってる俺を見て、軽くビクついてる。
でも、すぐにフワッとした笑顔を向けて来た。
「ただいま~」
「…おかえり」
当たり前のやり取りなんだけど………慶は、何だかひどく嬉しそうな顔で…でも、恥ずかしそうに少し俯いて靴を脱ぐ。
「侑利くん、出かけなかったの?」
「や、出かけたよ」
洗面台へ向かい、手洗いとうがいしてる。
ほんとちゃんとしてるわ…。
「俺の方が早いと思った~」
とか言ってるのが、向こうから聞こえて来たけど、俺は先にキッチンへ戻り作ってた晩ご飯の続きに取り掛かる。
「あーっ、何か作ってる~」
嬉しそうに駆け寄って来た。
やっぱ慶がいると……何だか時間が緩い。
「何作ってんの?」
「今日は、唐揚げ」
俺は、唐揚げには結構自信がある。
店で何回か作ってお客さんに出してみたけど、いつも好評だ。
「唐揚げっ?わ~い」
子供みたいな喜び方……唐揚げ、好きみたいで良かったわ。
「侑利くんってほんと何でも作れるんだね」
何でもって、まだ、ミートソースのパスタと唐揚げしか作ってねぇけどな。
まぁ、でも、けっこう何でも作れるかも。
少なくともお前よりは作れるよ。
「揚がったら、飯にするぞ」
慶が帰宅してから揚げようと思ってた。
どうせ食うなら揚げたてじゃないとな。
「じゃ、俺、洗濯畳んでるね」
俺が、取り込んでソファにバサッと置いてた洗濯物を慶が畳む。
慶の畳み方があるようで、昨日畳んでくれてたのもいつもの自分の畳み方とは違ってて……そういうとこもいちいち新鮮な感じがして、嫌いじゃないって思った。
油の音が軽くなり、揚げ作業完了。
「慶、皿~」
「はぁい」
洗濯物を畳み終えた慶に言うと、急いで皿を取り出して並べる。
せっせと準備する慶を横目で見ながら、何でこんな奴が、死にたいくらい最悪な人生を送って来なきゃいけなかったのかって、まだ何も聞いて無いけど、何となく悔しさで一杯になる。
「さ、食うぞ」
慶の前に、ご飯と味噌汁とサラダを置いて、真ん中に唐揚げをドーンと置いてやる。
「すごーーーい」
今日も、すごい、の連発。
別に、すごくはねぇんだけどな…。
「いただきま~す」
まず、唐揚げから食べてる。
幸せそうな顔して食べるよね、お前って。
「マジで美味~~~い!!」
「声デカい」
「侑利くん、天才っ」
「ははっ、そりゃどうも」
お前ぐらい俺の飯褒めてくれる奴いねぇわ。
そんなに褒めてくれてたら、褒められなかった日だいぶ凹むじゃん。
「今日さぁ、ティッシュ配ってたらねっ、」
今日のバイトの報告してくれたり、道中の出来事を教えてくれたり、俺に今日何したか聞いて来たり……とにかく、よく喋る。
俺も、聞いたり、喋ったり、突っ込んだり、忙しいんだよ。
晩ご飯はきっちり完食してくれた。
ほんとに、キレイに。
「ふぅ~~、終わったぁ~~~」
今日も洗い物は慶がやってくれた。
良いって言っても、そこは聞かない。
ま、慶の中の居候ルールだろう。
慶のその声を合図に、冷蔵庫を開ける。
「明日はバイトあんの?」
「明日は休みだよ」
「お、じゃあ、何か飲む?」
俺は、ビールにしようと思うけど……慶はビールは無理だろうな…。
「お酒?」
「無理しなくて良いよ。カフェオレが良かったら作ってやるよ」
何て優しいんだ、俺。
「チューハイだったら飲めるかも」
「チューハイね」
何本か買ってある中から、今日は慶が自分でマスカットを選択。
ソファに座ってそれぞれに開ける。
「お疲れ」
「お疲れ~」
缶をコツッと合わせて、お互い一口飲む。
「どう?それ」
「うん、美味しい。やっぱり後味はお酒!って感じになるけど」
「無理すんなよ」
「うん、大丈夫」
何となく点けてたテレビのバラエティにまた2人で笑ってた。
酒を飲みながら、緩い時間を過ごす。
慶は、長い足を三角に折り曲げてソファの上で体育座りしてる。
チューハイは半分くらいは空いただろうか。
「あ、ちょっと待ってて」
俺はそう言うと、一旦寝室へ行って紙袋を持って戻った。
慶はその間、ずっと俺の動きを見てる。
「はい、これ」
俺がその紙袋をポンと慶の膝の上に落とすと、急いで両手で受け止めてこっちに向き直る。
「何?」
「開けてみ」
そう言うと、紙袋の中を覗き込み、手を入れて中身を取り出す。
「えっ、?……これ何?」
「…携帯」
慶が驚くのは想像出来た。
今日、携帯を1台契約して来た。
「…え、……なんで…?」
困惑してる。
「勝手に決めてごめん。……でも、やっぱ、必要だと思ってさ」
「…でも、…」
素直には受け取らない。
「やっぱさ……連絡取るじゃん、絶対。お前はバイト頑張って買うって言ってたけどさ……けっこう急ぐと思うんだ」
連絡つかないのは……ちょっと、落ち着かない気がしてさ。
「晩ご飯何が良い、とかさ」
慶の顔が少し歪んだ気がした。
泣かせるつもりはねぇんだよ。
「俺が…持ってて欲しくてさ……勝手に用意した」
携帯が入ってるケースごと握りしめて、少し俯いてしまった。
もしかしたら……ほんとにイヤだったのかも知れない…。
自分で買うって言ってたのに…。
余計な事だったかも知れない。
「…ごめんな」
俯いたままの慶に言うと、すぐに顔を上げる。
やっぱり…もう、泣く寸前の顔。
「…迷惑だった?」
俺の言葉に何度も首を振る。
その様子に、幾らか安心出来た。
「俺と……連絡取りたいって……思ってくれるの?」
「じゃなきゃ、買わねぇよ」
俺の言葉を待って、慶の目から涙が零れ落ちた。
…泣かそうと思ってやった訳でも言った訳でも無い…。
「侑利くん……」
「ん?」
「ありがとう…」
何か、心に響くんだ、コイツの「ありがとう」は。
ちょっと恥ずかしいのもあって、誤魔化すように慶の髪をワシャワシャと乱す。
慶も、急いで涙を拭いた。
「でもこれ、高かったんじゃないの?」
「今、安いのいくらでもあるからさ。これもそうだよ」
「…でも…」
「最新機種でも無いしさ」
ほんとに、そうだ。
今や、格安携帯なるものが何種類も出てて安さを競ってるから、慶が使うくらいの機能とプランなら驚くほど安く契約出来た。
だから、一切気にして欲しく無かったけど………慶の性格上、それは無理だな…。
でも、迷惑じゃなくて良かったって、心底思ってんだよ。
勝手に契約したからさ……結構賭けだったわ。
契約に付き合った天馬にも「お前、貢ぐタイプかっ」って、すんごい突っ込まれた。
「ハマってんじゃん、思いっきり」とも、言われた。
何とでも言ってくれ、と半ば諦めた。
中身は、真っ白の携帯。
何となく、慶には白かな、って思った。
その後は、俺の番号を登録して、必要な設定もしてやった。
慶みたいな原始人に使いこなせるか謎だけど…。
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