laugh~笑っていて欲しいんだ、ずっと~

seaco

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「俺は…………最悪だった」

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「楽しかったね~」


玄関に入るなり、明るい声で慶が言う。
さっきまでの、ちょっと微妙だった空気を変えようとしてんのが分かる。

「そだな、ショーも全部見れたしな」

俺もそれに乗っかってやる。

「やっぱり、俺は今日の一番はイルカかなぁ~」

フフッと笑って俺を振り返る。

男のクセに、可愛い顔で笑う。
初めて会った時から、思ってた。





「ね~、洗濯取り込もうか?」

晩ご飯の用意に取り掛かろうとしてた俺に、慶が言う。
そうだ、洗濯まだ取り込んで無かった。

「あー、頼む」

ベランダへ出る窓の鍵を開ける音が聞こえたけど、窓が開く音はしない。


「あー、あのー」

慶が遠慮がちに声を掛けて来る。

「何?」
「…パンツとかあるけど、いい?」

一瞬、「?」が浮かんでしまった。
何だ、その発言は。

「は?」

聞いてみるも、慶は至って真剣な顔。

「パンツ、見られたり触られたりするのイヤじゃないかなぁ、と思って…」
「え、そういうもんなの?」

俺の中にその考え無いわ。

「いや…思いついただけだけど…」

少し困ったように言ってるのが、何か可笑しくなって笑ってしまった。
女の子の下着なら分かるよ?そんなの勝手に見たり触ったりしたら犯罪級だし……

自分の下着にそんな事言われると思って無かった。

「お前、面白ぇな」
「笑わないでっ」

そう言い放って少し恥ずかしそうにベランダに出て行った。

何だよ、この、緩い時間。
…正直、心地良いなどと思ってる自分が居て…焦る。



慶は取り込んだ洗濯物を丁寧に畳み、ソファの上に置いた。
その後は少し手持無沙汰な感じで居たけど……少ししてキッチンへやって来た。

「俺も何か手伝える事ない?」

慶なりに、気を使ってんだろう。
じっと座って待ってるのは無理みたいだ。

「じゃあ、皿とか出してくれる?」
「はぁい」

……はぁい、って口癖かな。
スーパーでも言ってたな。

「どこ?」
「あー、そこのスライド引き出して」
「え?スライド?何それ?どれの事?」

頭の上に「?」が3つぐらい飛んでんだろ、今。


「お前……原始人か」


時代について来いよ。
今、だいたいスライドだぞ。

「ちょっと!原始人とか酷いんですけどっ」

引き出しを教えてやってる俺を、緩く蹴って来る。

「お前っ、蹴るなよ」
「原始人とか言うからだっ」

しょうもないやり取りだけど……何となく、それも大事な時間のように思えて、漠然と嫌いじゃないなって思った。


「そこに並べといて」

俺の指示通り皿を並べる。

俺は、はっきり言って、割と手際が良い。
ミートソースのパスタくらいなら、チャチャッと作れてしまう。

「ミートソース…売ってるソースでしか作った事ない」

皿に盛り付けてるパスタを眺めながら、慶がしみじみと言った。

「売ってるソースって、作るって言うか温めるだけじゃねぇの?」
「うん、まぁ、そうだね」
「偉そうに言うなよ」

それ、料理した事にカウントしてんの?

パスタとサラダを盛り付けて、完成。
「すごーーい」を連発してる慶は放っといて、冷蔵庫を開ける。

「酒飲むけど、お前どうする?」

飲んでみたいって言ってたから、一応声をかける。

「明日、バイトは?」
「入ってる」
「あー、じゃ、止めとくか?」

初めて酒飲んで、悪酔いしても何だし……
強いか弱いかも分かんないしな…

「1人だったら絶対飲まないけど、侑利くんが居るからちょっとだけ飲んでみる」
「何だよ、それ。俺が居るからって何」
「暴走しないように止めてくれるでしょ?」

どんだけ飲むつもりだよ。

慶が飲むなら、アルコール低めだな。
チューハイの中から、ピーチ味を選ぶ。

これなら、ジュース感覚だろう。
まぁ、ジュース感覚でどんどん飲んでも困るけど……

その暴走を俺が止めるんだな、きっと。


慶はもうダイニングのイスに座って待っている。
その前に、パスタとサラダを置いてやると「美味しそう~~」と嬉しそうな顔を向けて来た。

素直だね、そういうとこ。

ピーチのチューハイを少しだけグラスに入れて渡す。

「これなに?」
「チューハイ。弱いやつだからいけんじゃねぇ?」

ふ~ん、と手に取ったグラスの中身を匂う。

「わ、良い匂い~~」
「桃だよ」
「桃~~、すげ~~」

そうか?
すごい、も完璧口癖だな。

「じゃあ、食おうぜ」

慶の向かいに座る。

「わーい、いただきま~す」
「どうぞ」

いただきます、とか……1人で居たら絶対言わないし、……まぁ、言う人も居るだろうけど、俺はまず言わない。
誰かと飯を食いに行っても、特に誰も言わない。
「お疲れ~~」とか「かんぱ~~い」とかで、うやむやにしてるとこあんな…。

慶は、ちゃんとしてる。
きっと、それが慶の普通なんだろうけど……俺から見たら、すごく素直で汚れてないイメージ。

「んっ!!…すんごい美味しいじゃんっ!!」

慶が一口パスタを食べて、デカい声で言った。

「…声デカいよ、ビビるわ」

とか返すけど、内心ちょっと喜んでんだ。

「お店のパスタみたいっ」
「食った事あんの?」
「……いや…あんまり無いけど…」
「原始人だからな」

蹴られるの覚悟で言ってみると、予想通り、テーブルの下でまた足を蹴って来た。

「褒めるの止めるよ?」
「あぁ、ごめんごめん」

適当に謝って見せる。

「でも、何でこんなに料理上手なの?」
「別に上手じゃねぇよ。普通普通」
「えー、普通じゃないよぉ~。シェフだよシェフ」

またも、すごい、を連発しながら食べる。
そうやって、美味しいと言って食べてるのを見るのは、少なからず気分が良い。


「飲んでみよーかな」

慶がチューハイのグラスを持った。

「あー、一口飲んでみ?無理だったら止めとけよ?」

慶は、人生初だという酒を解禁した。


「んー…ん?…ぅ」

言葉にするときっと……「美味し~い…待てよ?…わ~ダメ~」みたいな感じかな。

「……最初は美味しかったけど…最後がすごくお酒!って感じ」

これでダメなら、きっと弱いぞ。
あんまり飲まない方が良いかもな。

「止めとくか?」
「これだけ飲む」

俺がグラスに注いでるだけは飲むらしい。

「無理すんなよ?明日に響くから」

チューハイの缶の3分の1ぐらい入れたかな。
量は大した事は無いけど……お酒ダメな人は一口でももうアウトだしね。

「うん、大丈夫」

慶は、初飲酒を少し嬉しそうに、またパスタを食べ始めた。



vvv…vvv…

俺も一口チューハイを飲んだ所で、携帯が鳴った。



あ、天馬だ。
……いきさつを説明しろとか言ってたな…。


『お前はいつになったら説明すんだ』


素直にごめん。
思いっきり忘れてた。


『悪い、忘れてたわ~』


ヘラッとした感じの文を返す。


『お前マジで泣かす』


こえーわ。


『明日は?』

埋め合わせ的に予定を聞く。
明日、慶はバイトだから、昼間は別行動だしちょうど良いだろう。

『別に良いよ』
『明日、説明する』
『まぁ、それなら許す』
『どうも。じゃあ明日。11時頃家に迎え行く。お前の方の報告もなっ』

ざっくりとしか聞いてねぇし。
短いやり取りを終わらせる。

「友達?」

慶はほとんど食べ終わってる。

「コインランドリーで会った時、車で居た奴。天馬って言って、俺の高校時代からの親友」

へぇ~、と興味有りそうな顔で話を聞いてる。

「仕事も一緒でさ、結局、ずっと一緒だわ」

高校時代の延長みたいな感じ。
そこに、巴流と大和が加わったけど……この2人も俺らと同じタイプの人間だ。

感性が似てるって言うのか………気が合うんだろうな。
偶然、歳も同じ。……だから、流行ってたものとかも共通してる事が多くて、何と言うかあんまり気を遣わなくて済む。




一通り、俺の周りの話をした。

俺らは、お互いの事をほとんど知らない。


一緒に住むのに、不自然だろ、それも。
ちょっとは知っておく必要がある。


「慶は、どんなだったの?」
「えっ、」

途端に困ったような顔をする。
その手の質問は、ほんとはして欲しくないんだろう。

俺が知りたい部分は、きっと慶にしてみたら、話したく無い……思い出したく無い部分だろうか…。


「俺は…………最悪だった」


最悪、か……

「長くなるから、また今度話すね」

本心は、話したく無いんだな。

「でも話しても…………嫌いにならないでね」
「え…」

慶は目を逸らしたまま。



「それぐらい、最悪…」



慶は一体……どういう生活をして来たんだろうか…。

慶は、無理矢理この話を終わらせるみたいに、残りのチューハイを一気に飲んだ。
やっぱり、後味がダメみたいだけど…。







洗い物は慶がやってくれた。
俺が料理したから、片付けは自分が、って言ってきかないから。

ま、助かるけどさ。

俺の料理は好評で「こんなに上手なら毎日食べたい」とか言うもんだから、単純に褒められて嬉しい俺は、洗い物をしてる慶を眺めながら、明日は何にしようか、などと漠然と考えたりしてる。

「酔ってない?」
「んー多分。ちょっとフワフワしてるけど」
「それ、酔ってんだよ」
「えっ、そうなの?」

……お前は酒を飲むべき人間じゃないよ、きっと。

「よしっ、完了」

タオルで手を拭きながら慶が俺を振り返る。

「お、さんきゅ。慶、先、風呂入って来いよ」
「え、後でいいよ、侑利くん、先入ってよ」
「俺、どうせ休みだしさ、お前明日バイトだろ?」

昨日はソファでそのまま寝てたしさ、今日はちょっと遠出したし……ゆっくり風呂に入って疲れを取ってくれたらいい。

「じゃあ……入ろかな」
「おー、どうぞ」

慶は、さっき買ったボディータオルを袋から出す。

「あ…そうだ、俺、寝る時の服持ってなくて」

そのまま寝てたんだな……家が無かったし…。

「あ、ちょっと待って」

俺は、寝室へ入り何着も持ってるスウェットの上下を持って来て、慶に渡す。

「これ、着な」
「ありがとう」

少しの事でもちゃんと礼を言う。
そういうちゃんとしてるとこ、けっこう好きなところだな、と思う。




慶が風呂に入ってる時間……
リビングに静けさが広がる。

シャワーの音が、遠くに聞こえる。

俺は、ソファに横になり全身で伸びをした。
久しぶりにちょっと遠出したからか、俺の少し疲れてる。

でも、それは怠い感じじゃなくて……何て言うか、充実感のある疲れ…かな。


そう言えば………

……慶は、寝る時の服どころか、普通に着る服も持って無いんじゃないか?
今までの慶を思ってみれば、下は少し明るい青のジーンズをいつも履いている。
まぁ、ジーンズなら毎日洗うもんじゃないから別に気にはならないけど……上の服に至っては、2種類しか知らない。
多分、その2種類をすごいヘビロテしてる。

下だって、ジーンズばかりって訳にもいかないだろうし……靴だって、同じスニーカーをずっと履いてて…しかもだいぶ傷んで来てたと思う。

……ちょっと……色々買い足す必要がありそうだな…。







「お先~」

ソファで横になってたら……少しうとうとしたのかも知れない…。
一瞬の…記憶がない。

リビングのドアが開いた音がして、その後聞こえた慶のフワッとした声で意識がはっきり戻った。

時計を見たら、20分くらいソファで横になってたようだ。

体を起こすと、脚やら腰やらがポキポキと鳴った。
それと同時に慶がソファの横に来たのが分かる。

「早いじゃん、もっとゆっくり入れば良いのに」

と言って慶を見やり、途端に……少しだけ、ドキッとした。

乾かしていない焦げ茶の髪が、目にかかるのがうっとうしそうに適当に左右にはらう。
首にタオルを引っ掛けて、さっきまで自分が着てた服を丸めて抱えてる。

俺が貸したスウェットの上下を着てるけど、とにかく細くて厚みが無いからか腰がブカくて少しずり下がり気味。

何となく、その緩い感じが……可愛いと思ってしまった。

「ゆっくり入ったよ。気持ち良かった」

にっこり笑って答える。

俺も立ち上がり、着替えを取って風呂に向かう。

「ドライヤー、洗面台にあるから使いな」

そう言って風呂に入る。
肩まで湯舟に浸かると、じりじりと体に入り込んで来るお湯の温度が心地良い。


少しして、慶が洗面台に来たのが音で分かった。
風呂と洗面脱衣が一緒になってるから、洗面を使いたい時に誰かが風呂入ってるとそうなる。

まぁ、マンションではよくある間取りだろう。
ドライヤーの音がしばらく続いた。


少しの後、その音が止んで……風呂から声をかける。

「慶、洗う服、そこのカゴに入れといて。ネットも要るなら使って良いから」

さっき、自分が脱いだ服をずっと抱えてた。
やり場に困ってんのかな、ってちょっと思ったから…。

「…良いの?」

遠慮がちに言う。

「え、何が?」
「洗濯、一緒に入れても…」

……何が引っかかってんの?

「え、良いよ」

少しだけ、沈黙。
何で、ここで沈黙なんだよ…。



「…ありがとう」


小さく聞こえた。

……礼を言われるような事ではない。
洗濯をカゴに入れとけって言っただけだ。

少しして……慶が脱衣所を出て行ったのがドアが閉まる音で分かる。

さっきの「ありがとう」は……少し、頭の片隅に残ったまま………










さてと……どう寝るか…。

遅い時間のバラエティ番組を何となく見てて、見た事無い若手芸人のネタに2人でハマって大笑いして、そこから話してたら、テレビ自体見ない慶の無知さが酷くてそれにまた笑って……

敢えて、真面目な話をしなかった。


しばらくは……慶の泣いた顔を見たくない。


さっきの洗濯の事だって、突っ込んで聞く事も出来たけど……何となく…また、慶を泣かせてしまうと思ったので、今聞くのは止めておいた。


で、けっこう時間も遅くなったんだけど……
服や日用品などは急にこうなっても何とかなるけど……ベッドと布団になると話が違う。

ベッドなんてもちろん俺が使ってるやつしかないし、布団だってお客様用の物を取り揃えてるような人間では無い。

……要するに、1人分足らない。


「あ、俺、ここで良いよ~」

慶がソファを指差す。

けど……俺もそうなんだけど、ソファより体の方が長いから足伸ばして寝れないし、ちょっと寝返りしたら落ちるしで、あんまり熟睡出来ない。
……たまに友達が来たらソファで誰かしらが寝る事になるけど、だいたい夜中に何回か落ちるか、朝床で寝てる。

俺のベッドはセミダブル。
身長179cm。
あとちょっとで180っていう俺の目標値に1cm足らず、ストップしてしまった。
その点、天馬は183あるから、なんだかんだ俺を見下げて来てたまにムカつくけど……まぁ、今はその話は良いとして……

ベッドは、ここでの生活が始まる前に家で使ってたシングルサイズのを持ち込んで使ってたけど、一昨年、思い立って今のセミダブルに買い替えた。

やっぱ、シングルだと窮屈で…。
部屋の広さからして、一回り大きめのベッドを置いても大丈夫だろう、と判断して。

結果、買い替えて良かった。
全然違う。


「あのさぁ……」
「んー?」

もう、ソファに上がろうとしてる慶に向かって言う。



「お前がイヤじゃ無ければ、2人でベッドで寝る?」

「えっ?」



シーーーーン……




シーーーーーーーン……





「いやいや、お前、何か言えよっ」


固まったまま黙り込んだ慶に向かって、一定の沈黙を過ごした後そう言った。



「えっ、…あの、えっと…」
「動揺しまくってんじゃねぇよ、こっちが恥ずかしくなるわっ」
「だって、侑利くんがっ、」
「俺が何だよっ」
「ベ、ベッドに誘うからっ」
「言い方変だぞっ」

ベッドに誘う、って言うなっ!!


また少し沈黙があって…、


「ふっ、」
「っ、」


目が合って同時に噴き出した。
何の言い合いだよって思ったら、何か可笑しくなった。

「あっはは、俺、どうなるの~って思った」
「バーカ、単細胞かっ」
「え?たんさい、」
「あー、原始人には難しかったかな」

むっ、と業とらしく怒って見せる。
原始人に異常に反応するじゃん。

「ほら、もう寝るぞ」
「あっ、待って」

リビングの電気を消して、寝室に行こうとする俺の後ろを慶が急いで付いて来る。



「わぁ~、寝室もキレイだね~」

一歩入って慶が感想を言う。
まだ、寝室は見て無かった。

「これ、何の匂い?」
「あー、香水かなぁ?」

俺は毎日ここにいるからあんまり分かんねぇけど。
香水も、香りが気に入ってずっと同じのを使ってるからなぁ…

「良い匂い。侑利くんもこの匂いしてるよ」
「そう?」
「うん」

他愛のない会話だけど、こんな風に一日中誰かと喋ってるなんて事無かったから、何か新鮮。
正直、彼女とも一緒には住んだ事無いしさ。

「ちょっと2人だと狭いけど、足伸ばせるしソファよりは良いだろ」

壁にくっ付けて配置してあるベッド。
壁側に俺が入って、布団を上げてやった。

「おじゃましま~す」

小さな声で言いながら、細くて薄い体を滑り込ませて来た。

「ベッド~~、気持ちいい~~」
「ははっ、そんな良いベッドじゃねぇよ?」
「ベッドと布団ってだけで良いのっ」
「あー、そっか」

今までは………公園とかで寝てたんだよなぁ、コイツ…。

手を伸ばしてベッドの横に置いてある小さなテーブルから電気のリモコンを取る。

「消すぞ」
「うん」

ピ、と微かな音がして、電気が落ちる。


真っ暗。


ふと、思った。


「慶、暗くて平気?」


水族館のクラゲのとこで慶が言った言葉を思い出していた。



「……真っ暗は、ヤダ」



直ぐに、小さな灯りを点けてやると、薄明りの中で慶がこっちを向いて「ありがとう」と言う。



可愛い奴。

俺は…お前をどういう風に見たら良いのか、分かんねぇわ。



「もう、寝るぞ」


考え出したらハマりそうで、もう思考を休ませる事にした。


「おやすみ」
「おぅ」


なんか、恥ずかしくて「おやすみ」とは返せなかった。

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