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「お前には、生きる意味があんだよ」
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お互いに、好きだ、と告白した割には……普通に帰って来た。
普通に、俺の旅行の話とか、慶がバイトをクビになった話とか……
まぁ……外ってのもあったから、必要以上にくっ付いてるのも何だし……
帰宅したのは、12時前……
慶の体はすっかり冷えてて……すぐに風呂に湯をはって、先に慶を入らせた。
入ってる間に、何となくキッチンの辺りを見てみたが………キッチンを使ったような形跡は無くて、冷蔵庫の中も新しい何かを買って来た風でもない。
何食ってたんだ、アイツ……
そもそも、体に厚みがなくてすごく線が細いのに……ちょっと食わなかったら更に痩せるだろ、あの体型は…。
洗濯物だけは、干したのを畳んでて……やってた感がある。
1人で……泣きながら洗濯を畳んでたんだろうか、とか考えたら……今すぐ風呂に入って行って、裸だろうが何だろうが抱きしめてやりたい気分になる。
そんな事したら、脛蹴られるどころじゃないだろうから、止めとくけど……
とにかく、ここでアイツは1人泣いてたんだ…。
~~~~~~~~
俺が風呂から上がると、先に上がってた慶がポットに湯を沸かして、カフェオレを作ってくれた。
「侑利くんがやってるの見てたから、作り方覚えたんだ~」などと言いながら、得意気に作ってる。
カフェオレなんて誰でも作れるけどさ……何か、慶が作ってくれるのは、すんげぇ特別な感じがしてしまうから不思議だ。
ふぅ、と息を吐きながらソファに並んで座る。
ここに、こうやって座るのも……えらく久しぶりのような気がする。
3日しか離れてないのに……何週間も会って無かったような……そんな感じ。
慶は甘いのを飲んでるんだろう。
俺には甘さの無い物を。
何となく、無言で少し飲んだ。
「…眠くない?」
慶は、指先を温めるようにカップを両手で包むようにして持ってる。
「うん。……昼間、寝てるし……」
あ…そうだった…
コイツ……バイト中に爆睡したんだ。
そりゃ、何も知らなければ激怒されても仕方無い事だと思う。
会社のネームの入ったジャンパーを着て、会社の宣伝が入ったポケットティッシュが山ほど入ったカゴを抱えて、道端で寝てんだから…。
……だけど……
俺はやっぱり……怒る気にも、呆れる気にもなれなくて…。
…寝れたなら、良かった…って思ってしまう。
「慶…」
俺は、覚悟を決める。
今まで……聞かなかった事……
「ん?」
こちらへ向いた慶は、思いの外、俺が真剣な顔してるからか、少し不安そうに視線をグラつかせた。
「………話してくれねぇ?……お前が…どんな風に生きて来たのか」
慶が、動揺してるのが分かる。
手に持ったカップが、行き場を無くしてる。
「……お前が好きでさ……お前も俺を好きだって言ってくれてさぁ……俺、今すげぇ舞い上がってるけど……でも、やっぱり……お前の事、ちゃんと聞かないと……ダメだと思うんだ…」
慶の中にある葛藤。
俺に、話すか話さないか…。
「俺は、お前を受け止めたい……全部」
いつまでも……慶が苦しむのを見るのはイヤなんだ。
ほんの少しでも………楽になって欲しい。
それだけだよ。
ややあってから……慶は、コト、と静かにカップをテーブルに置いた。
決心したんだって、その横顔から分かった。
「……そうだね………もう……話さないとね…」
慶は、そう言うと、体を俺の方に向けて座り直し……緩く、長い息を1つ吐いてから、静かに話し始めた。
「…俺はね……実は…双子なんだ。……二卵性」
行き成り、意外。
兄さんが居たって言ってたけど…双子だったんだ…。
「俺の家はね……裕福じゃなくて、父さんと母さんは共働きで……結婚してからずっと何年も子供が出来なくて……調べたら、母さんの方がそういう…妊娠しにくい体質だったみたい……それでも、どうしても子供が欲しくて……夜も働いてお金貯めて、時間かけて病院で治療してたって、」
…デリケートな部分だし……そこは、その夫婦でしか分からないものがある。
どうしても子供が欲しい夫婦は沢山居るだろう。
「何年か治療続けて…やっと妊娠したのが、兄さんと俺」
そうか……
両親も、大変な思いしたんだな…
「だけどね………親が欲しかったのは、1人だけ」
…………え、
「治療で貯金もほとんど無くなって、もともと裕福じゃないのに、2人分のお金がかかるでしょ……1人だったら、その子に全部使えるのに……もう1人いたら倍かかっちゃうし……だから…弟の俺は……ほんとに、最初から……要らなかったみたい」
……ちょっと待てよ…
それだけ望んでやっと妊娠して……2人も自分達の所に来てくれたって、喜ぶのが普通じゃねぇの?
お金が倍かかるから1人で良かった、なんて……そんなの、勝手すぎるだろ…
「生まれた瞬間から……俺の事はすごく邪魔で……兄さんと同じ様には見れなかったみたいで……小さい時の事は知らないけど……幼稚園からは覚えてる……幼稚園の時は、父さんとも母さんとも話した事なくて……子供心に、自分は話しかけちゃいけないんだ、って思ってた」
……幼稚園なんてさ……親の事が大好きで引っ付いてたい時期だ…。
「小学校に入学しても……参観日とか発表会とかの時は、見に来るのは兄さんのクラスだけで……俺のところには一度も来なかった。……運動会で頑張っても、テストで良い点とっても……俺は、一度も褒められた事なくて………そもそも、話もして貰えないから、褒めて貰える訳無いんだけど…………兄さんが褒められるのが、羨ましかった…」
…ほんとに…そんな事あんの?
我が子だぞ…
「誕生日も………いつも、兄さんだけ連れてどっか行ってお祝いして来てた………俺は…誕生日は毎年、近くに住んでたじいちゃんちに預けられてた……俺ね、じいちゃんは大好きだったんだ」
慶の声が少し、軽くなった。
「じいちゃん、足が悪くてあんまり長くは歩けないんだけど、毎年、誕生日にはケーキ買って待っててくれてさ…どこまで買いに行ってんのかは知らなかったけど、毎年、違うケーキ用意してくれて…ろうそくもちゃんと歳の数用意してくれてさ………いつも嬉しそうに、おめでとう、って言ってくれた……俺が生まれた時、じいちゃんはすごく嬉しかった、っていう話も何回も聞かされた………俺、じいちゃんが居たらそれで良いや、って思うくらい、大好きだったんだ」
慶を認めてくれる人の存在。
それは、大きな救いだったんだろう…。
「高学年になって来たら……自分でも、だんだん分かって来た。……俺は愛されて無いって事。それまでは、もっと勉強を頑張ったら、とか、もっと走るの速くなったら、って思ってたけど……そうじゃなくて……俺の、存在自体を…嫌ってんだって分かった……親からそう言われる事もあったし、」
……親から言われる、って………子供に向かって、嫌いだ、って言うって事?
………信じらんねぇ…
「…中学に上がるのに合わせて、家を出ようって決めてた。……じいちゃんちに住ませて貰おう、って。じいちゃんも良いって言ってくれたし、じいちゃんちからなら学校も家から通うのと変わらない距離だったし、中学生になったら、じいちゃん1人ぐらいおんぶしてでも買い物にも行けるかな、とか…だから、早く中学に上がりたかった…………家を出る話をした時だけ……良いんじゃない、って母さんが言ってくれた…」
ふざけんな…
今まで無視しといて、出て行くって言った時だけ褒めるとか……無ぇわ…。
「でも……3月の頭にじいちゃんち遊びに行ったら……じいちゃんが…リビングで倒れてて…もう……死んでるって直ぐに分かった………すごく……辛かった……大好きだったから…っ、…ぅ、っ…」
突然、慶が泣いて喋れなくなった。
俺は、思わず手を伸ばして抱き寄せる。
「……苦しかったら……もう、話さなくて良いよ……」
背中を撫でてやる。
苦しそうな呼吸をしてるから…。
もう、無理に話さなくて良い……
慶の呼吸が整うまで、数分を要した。
慶は、緩く俺を押し返す。
「……全部話す………聞いてて欲しい…」
俺の目を見て、しっかりと言った。
「分かった……続き…話して」
うん、と頷くと、またポツリポツリと話し出す。
「……じいちゃんが死んで……結局、家出るのも無くなったから……親は…もっと俺が邪魔になったみたいで……中学に上がった頃から………殴られるようになった…」
始まった……
いつかは暴力が始まると思ってた………
「毎日じゃないけど……特に…父さんの機嫌の悪い日……兄さんが寝た後の時間に…俺の部屋に入って来て………1発殴って出て行く、とか…そんな感じのが続いて………辛かった……痛いし………」
…最低だな…
「中学卒業したら、すぐに家を出て、もう1人でやって行こうって思ってた。……高校は行けないだろうけど、余裕があったら後で夜間でも通信でも何でも良いから、それで勉強しようって思った……とにかく、家を出ようって決めてたんだ」
……俺も、賛成だよ、それは…。
もう、そんな家、居る必要ねぇよ。
「でもね……」
……まだ、何かあんだ…
「中3の10月にさ………通学で使ってたバスが、交差点で信号無視のトラックとぶつかる事故に遭っちゃって…」
よく考えると……その事故には、覚えがあった。
たまに通る道での大きな事故だったから、ニュースで言ってるのを気にして見た記憶がある。
事故後の現場の惨状が映し出されてて、「ひでぇな」って思ったのを覚えてる。
そのバスに、慶が乗ってたんだ…。
「何が起きたのか分からなかった……すごい衝撃と音と……何回転かした感じもしたし……一瞬、記憶も飛んでた………」
やっぱ…すげぇ事故だったんだ…
「気が付いたら……後部座席の方に転がってて…体中痛かったけど、俺は…大丈夫だった………でも……兄さんの姿が無くて……探したけど居なくて………だけど…外を見たら………何人か、投げ出されてて………そこに……兄さんも居て………急いで降りて行って、兄さんに声かけたけど……………動かなくて……ッ……」
重過ぎるよ……
慶に辛い現実が、余りにも多く圧し掛かってて………押し潰されそうになってたんだろうな、きっと。
「病院に運ばれたけど………即死だったって…」
……辛ぇな…。
でも……引っかかってる事があった。
慶は……
父さんと母さんと兄さんを亡くした、と言った。
……でも、この事故で亡くなったのは兄さんだけだ……。
まだ、きっとあるんだ。
慶を、苦しめ続けてる事が…。
「父さんと母さんが病院に来たけど……母さんはもう……何言ってるか分かんない状態で……分からない事叫びまくって……正気じゃ無かった………父さんも泣き崩れてた……俺は、擦り傷と打撲だけだったから、手当が終わって……看護婦さんが、俺を父さん達のところに連れてってくれたんだけど………俺は、その場で……父さんに殴られた……」
……慶がほんとに辛いのは……まだ、ここからなのかも知れない、って漠然と思った。
「お前が生きてたって仕方ない、って……」
その瞬間……体の底から、込み上げて来るものがあった。
怒り以外の何ものでもない。
どこまで傷付けんだ…
「母さんにも……何であんたじゃないの、って言われて………看護婦さん達は、俺を守ろうとしてくれたけど……親は…狂ったみたいに泣き叫んで………どうしようもなかった」
慶にはかけなかった愛情の全てを注いで来たもう1人の息子の死……
辛いのは分かる……
でも……やっぱり俺は、許せねぇよ。
「兄さんを連れて、家に帰ったけど………2人は兄さんが寝てる傍で座り込んで……俺は……その場に居る勇気が無くて……部屋にこもってた……」
どんな空気だったんだろうか……
慶は……どんな思いで居たのか……俺なんかには到底分からない。
「夜になって……下に降りて行ったら……2人はまだ、兄さんのところに座り込んでて…でも……俺を見た瞬間、父さんが行き成り殴りかかって来て………苦しくて……辛かった……………そしたら……母さんが突然暴れ出して……台所から包丁持って来て……あんたが生きてるって事は…こういう事だ、って………それで…………っ……」
まただ…。
慶の呼吸が少し速くなる。
小刻みになった呼吸に合わせて肩が上下してる。
きっと、一番………辛い場面なんだ…。
慶を苦しめてる……記憶。
「…母さんは自分で………首を、っ……包丁で切って、………っ、…」
慶の手が震えてる。
目からは涙がボロボロと落ちて………
もう………ほんとに話さなくて良い、って思った。
これで終わりだと、思ったから……
だけど…
「……母さんが…倒れて……う…動かなくなって…………父さんは…大声で何か叫んで…………母さんのところから……包丁、……持って……俺の方に……来た…から……っ、……怖くて…………揉み合いになって……倒されて………もう、ほんとに…………殺される…って…………思って…………っ、………っうぅ、」
苦しそうな、嗚咽。
真っ青で……倒れそうな顔……
震えてるその両手を強く握る。
「…父さんが……落とした包丁で…………俺は…………」
俺は……?
ちょっと待てよ………
「……父さんを…………刺した……………」
頭が真っ白になった。
慶が……父親を刺した…。
「………殺したんだ……」
……慶が……殺した…?
「……ぅ、……わぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」
行き成りだった。
慶が、頭を抱えて蹲った。
俺は思わず、その体をきつく抱きしめた。
体はずっと震えていて……
慶が……壊れてしまうと思った。
可愛くて、フワッとしてて、よく喋る、俺のど真ん中に居座ってる慶が……バラバラに砕け散ってしまいそうな気がした。
後悔してんだ………
刺してしまった事……
間違いなく正当防衛だろう。
そうしなければ、殺されてた。
「お前は……自分を守っただけじゃねぇか」
慶は、蹲ってた体を起こして、俺に強くしがみ付いて来た。
俺はそれを受け止めて、それ以上の力で抱きしめる。
……慶は……しばらく泣いた。
苦しそうな……絞り出すような…声。
落ち着いたのはだいぶ後…。
「……警察に電話したとこまでは………覚えてるけど………後は………覚えて無くて……」
俺にしがみついたまま……また、話し出す。
俺は、背中をずっと摩ってやった。
「………人と…話せるようになった時は………俺は、病院に居て…………警察病院の精神病棟…………ちょっと………ダメになっちゃって………入院してた……」
……精神病棟……
精神が………壊れない訳ねぇよ……そんな出来事……
「夢はね………いつも同じ…………次々死んでく…………兄さんが死んで……母さんが死んで………父さんの最後の顔が出て来て…………ずっと………母さんが言った……言葉がリピートしてて………周りが……血で真っ赤になってって……………」
いつも、そこで目が覚めるらしい。
俺も……そうなったら……寝ない事を選ぶと思う…。
「病院では………薬で…寝てた………でも、……目が覚める時はいつも……その夢で…………ほんとに…………もう……死にたかった…」
慶の口から、死ぬ、なんて言葉……聞きたく無いのに…………こんなに、すぐ隣に「死」という言葉を置いて生きて来てたんだ、って改めて思ったら………胸の奥がひどく痛くなった。
「………あんたが生きてるって事は、こういう事だって………………俺が…生きてる事が……死ぬほどイヤだった、って事でしょ…?」
…………会った事もない慶の両親が……許せなかった。
……立ち直れないような言葉を最後に言って、慶の目の前で死んで見せて………親が自分を殺そうと襲って来るのが、どんなに辛くて……どんなに、怖くて………どんなに………切ないか………
慶を抱きしめてる自分の手が震えてるのが分かった。
こんなに………怒りの感情を覚えた事が今までに無い。
だけど、両親はもう居なくて……慶は1人で……生きて来た…。
俺の中でぶつけようの無い怒りが……涙となって流れ出て来る。
やべぇ……止まんねぇ。
俺は、慶の肩口に顔を埋めて泣いた。
慶にも……きっと、泣いてるってバレてる。
でも……止まらない。
「……生きる価値も…意味も…無いと思ってた………そう…言われたから………………だけど……………ほんとは………高校にも行きたかったし……友達も欲しかった………1人じゃ無くて………誰かに………必要とされたかった…………これで死んだら…………俺って…………何だったの、って…………ただ……辛かっただけで………ほんとに…………意味の無い……人生になる、って……………もう少し………生きてみよう、って………思った……………そしたら………少しずつ………楽になって来て……薬が無くても、寝られる日が増えて……………3年目に……退院しても良いよ、って言われた……」
慶は、俺が泣いてるからか……俺の背中に手を回し……俺がやってるのと同じように背中を摩ってくれる。
……俺が……適当に過ごしてた時に………コイツは……必死で生きてたんだ……
1人で、生きて来た。
「慶………確かに、お前には……死ぬ、って道もあったと思う…………だけど……生きる道を選んでくれた事を……俺は……誇りに思うよ」
俺と、出会ってくれた事も……俺を、好きだと言ってくれた事も、全部…。
「お前は……俺には、すんげぇ価値がある…………だから………お前には、生きる意味があんだよ」
俺の背中を摩っていた手が止まり………俺の服を握りしめたのを背中で感じた。
「…………侑利くん……」
小さく呟かれた俺の名前。
力ずくで抱きしめてたのを、少し緩めて……久しぶりに顔を見る。
お互いに……ぐちゃぐちゃだ。
俺は、手の平で雑に自分の目から流れてた涙を拭った。
「……侑利くん…………大好きだよ……」
俺の目を見て、そう言った慶の……頭ごと引き寄せて…………
キスをした。
深く……長いキス。
普通に、俺の旅行の話とか、慶がバイトをクビになった話とか……
まぁ……外ってのもあったから、必要以上にくっ付いてるのも何だし……
帰宅したのは、12時前……
慶の体はすっかり冷えてて……すぐに風呂に湯をはって、先に慶を入らせた。
入ってる間に、何となくキッチンの辺りを見てみたが………キッチンを使ったような形跡は無くて、冷蔵庫の中も新しい何かを買って来た風でもない。
何食ってたんだ、アイツ……
そもそも、体に厚みがなくてすごく線が細いのに……ちょっと食わなかったら更に痩せるだろ、あの体型は…。
洗濯物だけは、干したのを畳んでて……やってた感がある。
1人で……泣きながら洗濯を畳んでたんだろうか、とか考えたら……今すぐ風呂に入って行って、裸だろうが何だろうが抱きしめてやりたい気分になる。
そんな事したら、脛蹴られるどころじゃないだろうから、止めとくけど……
とにかく、ここでアイツは1人泣いてたんだ…。
~~~~~~~~
俺が風呂から上がると、先に上がってた慶がポットに湯を沸かして、カフェオレを作ってくれた。
「侑利くんがやってるの見てたから、作り方覚えたんだ~」などと言いながら、得意気に作ってる。
カフェオレなんて誰でも作れるけどさ……何か、慶が作ってくれるのは、すんげぇ特別な感じがしてしまうから不思議だ。
ふぅ、と息を吐きながらソファに並んで座る。
ここに、こうやって座るのも……えらく久しぶりのような気がする。
3日しか離れてないのに……何週間も会って無かったような……そんな感じ。
慶は甘いのを飲んでるんだろう。
俺には甘さの無い物を。
何となく、無言で少し飲んだ。
「…眠くない?」
慶は、指先を温めるようにカップを両手で包むようにして持ってる。
「うん。……昼間、寝てるし……」
あ…そうだった…
コイツ……バイト中に爆睡したんだ。
そりゃ、何も知らなければ激怒されても仕方無い事だと思う。
会社のネームの入ったジャンパーを着て、会社の宣伝が入ったポケットティッシュが山ほど入ったカゴを抱えて、道端で寝てんだから…。
……だけど……
俺はやっぱり……怒る気にも、呆れる気にもなれなくて…。
…寝れたなら、良かった…って思ってしまう。
「慶…」
俺は、覚悟を決める。
今まで……聞かなかった事……
「ん?」
こちらへ向いた慶は、思いの外、俺が真剣な顔してるからか、少し不安そうに視線をグラつかせた。
「………話してくれねぇ?……お前が…どんな風に生きて来たのか」
慶が、動揺してるのが分かる。
手に持ったカップが、行き場を無くしてる。
「……お前が好きでさ……お前も俺を好きだって言ってくれてさぁ……俺、今すげぇ舞い上がってるけど……でも、やっぱり……お前の事、ちゃんと聞かないと……ダメだと思うんだ…」
慶の中にある葛藤。
俺に、話すか話さないか…。
「俺は、お前を受け止めたい……全部」
いつまでも……慶が苦しむのを見るのはイヤなんだ。
ほんの少しでも………楽になって欲しい。
それだけだよ。
ややあってから……慶は、コト、と静かにカップをテーブルに置いた。
決心したんだって、その横顔から分かった。
「……そうだね………もう……話さないとね…」
慶は、そう言うと、体を俺の方に向けて座り直し……緩く、長い息を1つ吐いてから、静かに話し始めた。
「…俺はね……実は…双子なんだ。……二卵性」
行き成り、意外。
兄さんが居たって言ってたけど…双子だったんだ…。
「俺の家はね……裕福じゃなくて、父さんと母さんは共働きで……結婚してからずっと何年も子供が出来なくて……調べたら、母さんの方がそういう…妊娠しにくい体質だったみたい……それでも、どうしても子供が欲しくて……夜も働いてお金貯めて、時間かけて病院で治療してたって、」
…デリケートな部分だし……そこは、その夫婦でしか分からないものがある。
どうしても子供が欲しい夫婦は沢山居るだろう。
「何年か治療続けて…やっと妊娠したのが、兄さんと俺」
そうか……
両親も、大変な思いしたんだな…
「だけどね………親が欲しかったのは、1人だけ」
…………え、
「治療で貯金もほとんど無くなって、もともと裕福じゃないのに、2人分のお金がかかるでしょ……1人だったら、その子に全部使えるのに……もう1人いたら倍かかっちゃうし……だから…弟の俺は……ほんとに、最初から……要らなかったみたい」
……ちょっと待てよ…
それだけ望んでやっと妊娠して……2人も自分達の所に来てくれたって、喜ぶのが普通じゃねぇの?
お金が倍かかるから1人で良かった、なんて……そんなの、勝手すぎるだろ…
「生まれた瞬間から……俺の事はすごく邪魔で……兄さんと同じ様には見れなかったみたいで……小さい時の事は知らないけど……幼稚園からは覚えてる……幼稚園の時は、父さんとも母さんとも話した事なくて……子供心に、自分は話しかけちゃいけないんだ、って思ってた」
……幼稚園なんてさ……親の事が大好きで引っ付いてたい時期だ…。
「小学校に入学しても……参観日とか発表会とかの時は、見に来るのは兄さんのクラスだけで……俺のところには一度も来なかった。……運動会で頑張っても、テストで良い点とっても……俺は、一度も褒められた事なくて………そもそも、話もして貰えないから、褒めて貰える訳無いんだけど…………兄さんが褒められるのが、羨ましかった…」
…ほんとに…そんな事あんの?
我が子だぞ…
「誕生日も………いつも、兄さんだけ連れてどっか行ってお祝いして来てた………俺は…誕生日は毎年、近くに住んでたじいちゃんちに預けられてた……俺ね、じいちゃんは大好きだったんだ」
慶の声が少し、軽くなった。
「じいちゃん、足が悪くてあんまり長くは歩けないんだけど、毎年、誕生日にはケーキ買って待っててくれてさ…どこまで買いに行ってんのかは知らなかったけど、毎年、違うケーキ用意してくれて…ろうそくもちゃんと歳の数用意してくれてさ………いつも嬉しそうに、おめでとう、って言ってくれた……俺が生まれた時、じいちゃんはすごく嬉しかった、っていう話も何回も聞かされた………俺、じいちゃんが居たらそれで良いや、って思うくらい、大好きだったんだ」
慶を認めてくれる人の存在。
それは、大きな救いだったんだろう…。
「高学年になって来たら……自分でも、だんだん分かって来た。……俺は愛されて無いって事。それまでは、もっと勉強を頑張ったら、とか、もっと走るの速くなったら、って思ってたけど……そうじゃなくて……俺の、存在自体を…嫌ってんだって分かった……親からそう言われる事もあったし、」
……親から言われる、って………子供に向かって、嫌いだ、って言うって事?
………信じらんねぇ…
「…中学に上がるのに合わせて、家を出ようって決めてた。……じいちゃんちに住ませて貰おう、って。じいちゃんも良いって言ってくれたし、じいちゃんちからなら学校も家から通うのと変わらない距離だったし、中学生になったら、じいちゃん1人ぐらいおんぶしてでも買い物にも行けるかな、とか…だから、早く中学に上がりたかった…………家を出る話をした時だけ……良いんじゃない、って母さんが言ってくれた…」
ふざけんな…
今まで無視しといて、出て行くって言った時だけ褒めるとか……無ぇわ…。
「でも……3月の頭にじいちゃんち遊びに行ったら……じいちゃんが…リビングで倒れてて…もう……死んでるって直ぐに分かった………すごく……辛かった……大好きだったから…っ、…ぅ、っ…」
突然、慶が泣いて喋れなくなった。
俺は、思わず手を伸ばして抱き寄せる。
「……苦しかったら……もう、話さなくて良いよ……」
背中を撫でてやる。
苦しそうな呼吸をしてるから…。
もう、無理に話さなくて良い……
慶の呼吸が整うまで、数分を要した。
慶は、緩く俺を押し返す。
「……全部話す………聞いてて欲しい…」
俺の目を見て、しっかりと言った。
「分かった……続き…話して」
うん、と頷くと、またポツリポツリと話し出す。
「……じいちゃんが死んで……結局、家出るのも無くなったから……親は…もっと俺が邪魔になったみたいで……中学に上がった頃から………殴られるようになった…」
始まった……
いつかは暴力が始まると思ってた………
「毎日じゃないけど……特に…父さんの機嫌の悪い日……兄さんが寝た後の時間に…俺の部屋に入って来て………1発殴って出て行く、とか…そんな感じのが続いて………辛かった……痛いし………」
…最低だな…
「中学卒業したら、すぐに家を出て、もう1人でやって行こうって思ってた。……高校は行けないだろうけど、余裕があったら後で夜間でも通信でも何でも良いから、それで勉強しようって思った……とにかく、家を出ようって決めてたんだ」
……俺も、賛成だよ、それは…。
もう、そんな家、居る必要ねぇよ。
「でもね……」
……まだ、何かあんだ…
「中3の10月にさ………通学で使ってたバスが、交差点で信号無視のトラックとぶつかる事故に遭っちゃって…」
よく考えると……その事故には、覚えがあった。
たまに通る道での大きな事故だったから、ニュースで言ってるのを気にして見た記憶がある。
事故後の現場の惨状が映し出されてて、「ひでぇな」って思ったのを覚えてる。
そのバスに、慶が乗ってたんだ…。
「何が起きたのか分からなかった……すごい衝撃と音と……何回転かした感じもしたし……一瞬、記憶も飛んでた………」
やっぱ…すげぇ事故だったんだ…
「気が付いたら……後部座席の方に転がってて…体中痛かったけど、俺は…大丈夫だった………でも……兄さんの姿が無くて……探したけど居なくて………だけど…外を見たら………何人か、投げ出されてて………そこに……兄さんも居て………急いで降りて行って、兄さんに声かけたけど……………動かなくて……ッ……」
重過ぎるよ……
慶に辛い現実が、余りにも多く圧し掛かってて………押し潰されそうになってたんだろうな、きっと。
「病院に運ばれたけど………即死だったって…」
……辛ぇな…。
でも……引っかかってる事があった。
慶は……
父さんと母さんと兄さんを亡くした、と言った。
……でも、この事故で亡くなったのは兄さんだけだ……。
まだ、きっとあるんだ。
慶を、苦しめ続けてる事が…。
「父さんと母さんが病院に来たけど……母さんはもう……何言ってるか分かんない状態で……分からない事叫びまくって……正気じゃ無かった………父さんも泣き崩れてた……俺は、擦り傷と打撲だけだったから、手当が終わって……看護婦さんが、俺を父さん達のところに連れてってくれたんだけど………俺は、その場で……父さんに殴られた……」
……慶がほんとに辛いのは……まだ、ここからなのかも知れない、って漠然と思った。
「お前が生きてたって仕方ない、って……」
その瞬間……体の底から、込み上げて来るものがあった。
怒り以外の何ものでもない。
どこまで傷付けんだ…
「母さんにも……何であんたじゃないの、って言われて………看護婦さん達は、俺を守ろうとしてくれたけど……親は…狂ったみたいに泣き叫んで………どうしようもなかった」
慶にはかけなかった愛情の全てを注いで来たもう1人の息子の死……
辛いのは分かる……
でも……やっぱり俺は、許せねぇよ。
「兄さんを連れて、家に帰ったけど………2人は兄さんが寝てる傍で座り込んで……俺は……その場に居る勇気が無くて……部屋にこもってた……」
どんな空気だったんだろうか……
慶は……どんな思いで居たのか……俺なんかには到底分からない。
「夜になって……下に降りて行ったら……2人はまだ、兄さんのところに座り込んでて…でも……俺を見た瞬間、父さんが行き成り殴りかかって来て………苦しくて……辛かった……………そしたら……母さんが突然暴れ出して……台所から包丁持って来て……あんたが生きてるって事は…こういう事だ、って………それで…………っ……」
まただ…。
慶の呼吸が少し速くなる。
小刻みになった呼吸に合わせて肩が上下してる。
きっと、一番………辛い場面なんだ…。
慶を苦しめてる……記憶。
「…母さんは自分で………首を、っ……包丁で切って、………っ、…」
慶の手が震えてる。
目からは涙がボロボロと落ちて………
もう………ほんとに話さなくて良い、って思った。
これで終わりだと、思ったから……
だけど…
「……母さんが…倒れて……う…動かなくなって…………父さんは…大声で何か叫んで…………母さんのところから……包丁、……持って……俺の方に……来た…から……っ、……怖くて…………揉み合いになって……倒されて………もう、ほんとに…………殺される…って…………思って…………っ、………っうぅ、」
苦しそうな、嗚咽。
真っ青で……倒れそうな顔……
震えてるその両手を強く握る。
「…父さんが……落とした包丁で…………俺は…………」
俺は……?
ちょっと待てよ………
「……父さんを…………刺した……………」
頭が真っ白になった。
慶が……父親を刺した…。
「………殺したんだ……」
……慶が……殺した…?
「……ぅ、……わぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」
行き成りだった。
慶が、頭を抱えて蹲った。
俺は思わず、その体をきつく抱きしめた。
体はずっと震えていて……
慶が……壊れてしまうと思った。
可愛くて、フワッとしてて、よく喋る、俺のど真ん中に居座ってる慶が……バラバラに砕け散ってしまいそうな気がした。
後悔してんだ………
刺してしまった事……
間違いなく正当防衛だろう。
そうしなければ、殺されてた。
「お前は……自分を守っただけじゃねぇか」
慶は、蹲ってた体を起こして、俺に強くしがみ付いて来た。
俺はそれを受け止めて、それ以上の力で抱きしめる。
……慶は……しばらく泣いた。
苦しそうな……絞り出すような…声。
落ち着いたのはだいぶ後…。
「……警察に電話したとこまでは………覚えてるけど………後は………覚えて無くて……」
俺にしがみついたまま……また、話し出す。
俺は、背中をずっと摩ってやった。
「………人と…話せるようになった時は………俺は、病院に居て…………警察病院の精神病棟…………ちょっと………ダメになっちゃって………入院してた……」
……精神病棟……
精神が………壊れない訳ねぇよ……そんな出来事……
「夢はね………いつも同じ…………次々死んでく…………兄さんが死んで……母さんが死んで………父さんの最後の顔が出て来て…………ずっと………母さんが言った……言葉がリピートしてて………周りが……血で真っ赤になってって……………」
いつも、そこで目が覚めるらしい。
俺も……そうなったら……寝ない事を選ぶと思う…。
「病院では………薬で…寝てた………でも、……目が覚める時はいつも……その夢で…………ほんとに…………もう……死にたかった…」
慶の口から、死ぬ、なんて言葉……聞きたく無いのに…………こんなに、すぐ隣に「死」という言葉を置いて生きて来てたんだ、って改めて思ったら………胸の奥がひどく痛くなった。
「………あんたが生きてるって事は、こういう事だって………………俺が…生きてる事が……死ぬほどイヤだった、って事でしょ…?」
…………会った事もない慶の両親が……許せなかった。
……立ち直れないような言葉を最後に言って、慶の目の前で死んで見せて………親が自分を殺そうと襲って来るのが、どんなに辛くて……どんなに、怖くて………どんなに………切ないか………
慶を抱きしめてる自分の手が震えてるのが分かった。
こんなに………怒りの感情を覚えた事が今までに無い。
だけど、両親はもう居なくて……慶は1人で……生きて来た…。
俺の中でぶつけようの無い怒りが……涙となって流れ出て来る。
やべぇ……止まんねぇ。
俺は、慶の肩口に顔を埋めて泣いた。
慶にも……きっと、泣いてるってバレてる。
でも……止まらない。
「……生きる価値も…意味も…無いと思ってた………そう…言われたから………………だけど……………ほんとは………高校にも行きたかったし……友達も欲しかった………1人じゃ無くて………誰かに………必要とされたかった…………これで死んだら…………俺って…………何だったの、って…………ただ……辛かっただけで………ほんとに…………意味の無い……人生になる、って……………もう少し………生きてみよう、って………思った……………そしたら………少しずつ………楽になって来て……薬が無くても、寝られる日が増えて……………3年目に……退院しても良いよ、って言われた……」
慶は、俺が泣いてるからか……俺の背中に手を回し……俺がやってるのと同じように背中を摩ってくれる。
……俺が……適当に過ごしてた時に………コイツは……必死で生きてたんだ……
1人で、生きて来た。
「慶………確かに、お前には……死ぬ、って道もあったと思う…………だけど……生きる道を選んでくれた事を……俺は……誇りに思うよ」
俺と、出会ってくれた事も……俺を、好きだと言ってくれた事も、全部…。
「お前は……俺には、すんげぇ価値がある…………だから………お前には、生きる意味があんだよ」
俺の背中を摩っていた手が止まり………俺の服を握りしめたのを背中で感じた。
「…………侑利くん……」
小さく呟かれた俺の名前。
力ずくで抱きしめてたのを、少し緩めて……久しぶりに顔を見る。
お互いに……ぐちゃぐちゃだ。
俺は、手の平で雑に自分の目から流れてた涙を拭った。
「……侑利くん…………大好きだよ……」
俺の目を見て、そう言った慶の……頭ごと引き寄せて…………
キスをした。
深く……長いキス。
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