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『お前の事ばっか考えてた』
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BIRTHに着くと、既にほぼ全員来てた。
10時半頃に来るつもりで起きてたんだけど、結局到着したのは今…11時半前。
予定より1時間遅く着いた。
と、言うのも……
リビングの俺に、寝室から声がかかり……行ってみたら、慶が「動けない」って言うもんだから…。
腰は痛いわ股関節は痛いわで「起き上がれない」「歩けない」「全身痛い」って、慶の世話に時間を費やしてしまったのが、遅くなった理由。
まぁ、そうさせたのは俺であって、嫌がる慶に風呂で2回目を要求したのも俺だから……そこは少し罪悪感あるわ…。
歩き方、すげぇ変でちょっとウケたけど…。
出て来る前に「早く慣れて貰わねぇと、する度にこうなられても困る」って言ったら「じゃあ今日もする?」とか笑顔でぶち込んで来やがった。
慶にハマってんな、とは思ってたけど……実際、昨日、もっと深い関係になって……正直、今俺は、もう慶が居ない生活なんて考えらんねぇって思うぐらいバカになってんなって、今朝起きて横で寝てる慶を見た時に気付いた。
頭ん中に慶が満タンすぎて……暴発しそうだわ…。
「…おぉ」
入り口を開けて、新しいBIRTH店内に思わず驚きの声が出た。
面影皆無っ!!
超オシャレ!!
「あっ、侑利―っ」
…一番に俺を見付けたのは巴流だった。
めっちゃ駆け寄って来たし。
「侑利―っっ」
「ぅわーっ」
そのままの勢いで飛び付いて来られ、よろけた挙句絡まってコケた。
「いっ、て、お前っ!!」
「侑利っ、会いたかったぞ」
「減速しろよっ」
「元気だったか?」
「ってか、いい加減退けよっ」
「可愛いな、お前はやっぱり」
噛み合ってねぇし。
答える気ねぇな…。
「ちょっと、何やってんの」
呆れた顔でやって来た大和が、俺と巴流にそれぞれ手を伸ばし引っ張って立たせてくれた。
「侑利の顔見たらつい」
「ついじゃねぇよ、バカ」
殴ってやった。
「おー、侑利来たか~」
桐ケ谷さんだ。
「あ、遅くなりました」
「あー、良いよ、時間適当ってなってただろ?」
店内はほんとに前の店の雰囲気とはガラッと変わってて、黒と赤を基調にちょっとアジアンテイストな感じになって……
「めっちゃ良いですね」
見渡してしみじみ言う。
「だろ?全員その反応だったわ」
「や、なりますって」
「黒赤がちょっと賭けだったけどな…これにして良かった」
「賭けだったんですか?」
「いやー、イメージ湧かねぇじゃん、実際見ないと」
賭けでこのリフォームをやってしまうとこが怖ぇし……
でも、顔の広い桐ケ谷さんだけに、建築関係にも仲の良い先輩がいるとかで、今回のデザインから施工まで全部頼めたらしくて、細かいとこまで注文を聞いてくれたらしい。
「とりあえず、備品の運び込みから頼むわ」
「オッケーです」
「12時で昼休憩だから」とヒラッと手を振って、桐ケ谷さんはまた続きの作業に戻って行った。
「侑利、落ち着いた?」
「え?」
大和にそう言われてちょっと焦った。
「予定変えてまで東京帰ったらさぁ……何かあったんだなって誰だって思うじゃん」
「そうだよ。俺がこんなに心配してんのに」
2人がそれぞれに言って来る。
そりゃ、そうだな……あんな帰り方して、翌日の2人からのLINEに答えはしたものの、詳しい事は報告していないまま、今に至る。
「…あぁ……ごめん」
声が小さくなってしまった。
「別に、謝って欲しくて言ってんじゃねぇよー」
申し訳無さそうに見えたんだろう……巴流が少し声色を上げて言う。
「侑利が苦しいんだったらヤダなって思ってさ」
「逆に言ったら、お前が幸せだったらそれで良い、って事だよ」
大和と巴流の様子が変だ…。
何か、男前モード出して来る…。
反応に困るんですけど…。
「まだ言えない?」
大和が、キラースマイルを向けて聞いて来る。
このクールな感じの笑顔に、何人の女がやられた事か……。
「そんな事ねぇよ」
ちょっとボソボソ言ってしまったけど……隠す事でもないし…。
俺の言葉に、巴流と大和が顔を見合わせる。
そして、2人同時に俺に向き直り、代表して大和が言った。
「じゃあ、侑利は今、幸せ?」
……めっちゃ返事待ってる……。
興味津々じゃんか。
「…あぁ…まぁ……そう…」
曖昧に答えたけど、2人には「幸せ」だと解釈されたようで……
「良かったな、侑利」
大和に肩をバシバシ叩かれ、上体がグラつく。
痛ぇし。
「いやー、これで侑利が辛いとか言ったら、マジで相手の奴ぶん殴ってやるとこだったわ」
巴流が物騒な事を言う。
「いやいや、女の子殴ったらヤバいでしょ」
「あぁ、女の子か」
「そりゃ女の子でしょ、なぁ、侑利」
「え、…」
急に話を振られて、思わず「え」としか言えなかった。
「え?」
これは大和。
「えっ?」
これは巴流。
「え?」
これは俺。
「「ええぇーーーーーーっ!!?」」
これは、大和と巴流。
2人の叫び声に、店内に散らばってた全員がこっちを見てる。
「ちょっと、侑利っ、男なのかっ?」
「それ何っ?彼氏?それとも侑利が彼氏?」
2人に左右から肩を組まれて、ひそひそと言われる。
「…………俺が…彼氏」
シーーーーーン……
「何か言えよっ」
沈黙に耐えられそうになくて、俺が突っ込んだ。
「マジかぁーーー!!」
頭を抱えてしゃがみ込む巴流に、「何だよ」と言ってみる。
「俺にもチャンスあったんじゃん…」
悔しそうに言うなよ…
「いや、ねぇよ。お前の事は沖縄の水族館で振っただろ」
「あ………」
ははっ、思い出したな。
「…彼氏で良かったわ………侑利が彼女だったら…何か俺複雑…」
大和がしみじみ言う。
「俺は、侑利を彼女に出来るなら、一生女は要らねぇぞ」
「や、お前は振ったから」
「あ……」
落ち込んだ。
バカだ。
「衝撃的すぎて午前中の作業、集中出来る気がしないけど……でも、侑利が幸せなんだったら俺良いや」
大和が噛みしめる様に言う。
「何やってんだよ、お前ら」
後ろから天馬が来た。
俺らのバカなやり取りは、天馬なら内容の想像は出来てるに違いない。
「天馬ーっ」
巴流が天馬に飛び付く。
「侑利が他の男のもんになった…」
よしよし、と適当に巴流を宥めて、そのままその体を引っぺがす。
「……どんな奴が会わせろよっ」
巴流がすんげぇ鋭い目付きで言う。
「あ、俺も会いたい~。会わせてよっ」
大和もキラキラしてるし……
「天馬は見た事あんの?侑利の相手」
「超・絶・美・人」
ためて言うなよ…。
「「おおおぉ~~~~~」」
どよめいてる。
「とにかく、早く会わせる段取りするように」
「そうだよっ、俺らの事も紹介して欲しいしっ」
何だよ……めっちゃグイグイ来るじゃん…
「……あぁ、またな」
適当に言う。
ここは、適当にあしらうに限る。
「何適当にあしらってんの」
バレた。
「…ちゃんと…紹介するよ」
近い内……するつもりだったし。
だってさ……やっぱ、隠す理由もねぇし…。
聞かれなかったら別に言わねぇけど……思いっきり聞かれてるし。
…会う事だってあるだろうしな…。
「侑利が選んだ人だから、間違いは無いと思うけどさっ」
「超絶美人なら見てみたいわっ」
「おーーい、お前ら、何も作業やってねぇだろーっ」
向こうから桐ケ谷さんが叫んだ。
「あ、はーい、やりまーす」
大和がヒラッと手を上げて応えた。
「とにかく、早く段取りなっ」
大和が俺に念押しして、隣であーだこーだ言ってる巴流を引っ張って作業に戻った。
「…バレんの早っ」
天馬に笑われた。
「………」
何も言えず……
俺って何でこうもすぐバレんだろうなぁ……
「ま、正直なんだな、侑利は。…俺は、嘘が吐けない侑利が好きだぞ」
よしよしされる。
「うぜぇわ…」
その手を払い除けて、近くにあった段ボール箱を開ける。
「風邪良くなったみたいだな」
俺の隣に立ち、開けた段ボールに詰めてあったカウンター内で使う備品を取り出しながら天馬が言う。
「あぁ、最短で復活したわ」
二ッと笑って言った。
「じゃあさぁ………使った?」
……一瞬にして、何の事か理解する。
昨日の、慶の悶える姿が脳裏に浮かんで顔が熱くなった。
天馬を見ると、やたらニヤニヤしてるし…。
「……その顔は使ったな」
嘘が吐けないからな、俺は。
「1個じゃ足らなかっただろ?」
………顔が、熱いったらねぇわ。
「侑利の嘘吐けねぇとこ、好きだわ~~」
クスクス笑いながら備品を出して行く。
当たってるだけに、何も言い返せず…。
「どんな気分?」
それは……深い関係になる前となった後でどう違うかって事だよな。
「……ハマってる」
正直に答える。
だってそうなんだからさ…。
「ははっ、分かる」
天馬もそうだったんだろうか。
「もう、頭ん中がバカみてぇにアイツの事しか考えられなくなってる」
備品を取り出してるけど、その作業にさえ集中出来ないくらい、俺は慶の事を考えている。
例えば、今は何をしてるんだろうか、とか…。
「あー……そりゃ重症だな」
分かってるよ、俺だって。
今朝、玄関を出て車に乗った時にはもう既に「会いたい」って思ってたぐらいなんだからさ……
気が付いたら昼で、休憩時間になった。
結局、午前中、俺はほとんど作業に参加していない…。
ただ、慶の事で頭が一杯だっただけだ…。
昼飯は、天馬、奏太、巴流、大和、俺という、お決まりのメンバーになった。
今日の話題が手に取るように分かるわ…。
今は、近くの定食屋に全員で徒歩で移動中。
携帯を見ると、慶からメッセージが入ってた。
「慶」という文字だけで異常にドキドキする俺って…。
『求人誌とりにコンビニ行きたいけど……歩き方変だから行こうかまよう~』
朝の歩き方を思い出して、あれでコンビニまで行くのかと思ったら、思わず笑いそうになった。
『求人誌取りに行ったの?』
送信したら、割とすぐに既読になった。
『今行ってるとこ~』
行ってんだ。
歩けてんのかな、アイツ。
『歩けてる?』
『なんとか。ふつうの顔して歩いてる』
……面白ぇ奴。
『侑利くんは何してるの?』
今度は慶からの質問。
『天馬達と定食屋に歩いて向かってる』
『今からお昼?』
『そう。午前中なんにもしなかったわ、俺』
『えーなんで?何してたの?』
何してたの、と聞かれたから……
『お前の事ばっか考えてた』
と、答えた。
そりゃ、こう答えてしまうだろう、今の俺なら。
『会いたくなるじゃん、バカ』
あぁ、可愛い…。
悶絶しそうなレベル…。
やべぇ、俺、ほんとに重症だわ。
『4時ごろには終わるみたいだから、終わったら早く帰る』
新婚か。
『うん、まってるね』と、返事が来たのと同時に定食屋に着いた。
一番後ろから、携帯を弄りながら付いて行ってた俺を、前を歩いてた巴流と大和が振り返る。
「彼女とLINEばっかしちゃって!」
わざとらしく拗ねたように巴流が言う。
「…彼女じゃねぇし」
携帯をポケットに仕舞う。
ほんとは昼の間、ずっとメッセージやり取りしてたいような気分だ。
平日昼飯時の定食屋は混んでる。
少し待って、ちょうど空いたテーブル席に全員で座れた。
注文を済ませ待ってる間、予想通り、話題は「俺」だ。
「ねぇねぇ、彼女名前何て言うの?」
大和が嬉しそうに聞いて来る。
「だから、彼女じゃねぇって」
改めて名前を聞かれて少し恥ずかしくなった。
「良いから名前名前」
めっちゃ楽しそうだよね、大和…。
「……慶」
「けい?」
大和と巴流が顔を見合わせる。
「旅行の時、寝言で言ってた名前じゃん」
そう言う事は、よく覚えてんなぁ……
「寝言で言ってたんですか?」
突如、奏太が食い付いて来た。
「そうなんだよ。しかも2回も。けい~って」
「ええ~久我さん、可愛い~~」
奏太が加勢したぞ……天馬、止めてくれ。
「奏太も会った事あんの?」
「はい、あります、超絶美人ですよ」
……また出た、超絶美人。
……そりゃ、俺も、付き合ってる訳だし……慶の事は天馬や奏太が思うよりもずっと前から、超絶美人だと思ってるよ。
オマケにスタイルも抜群で、ちょっとした芸能人よりキレイなんじゃないかって思ってるよ。
まぁ、そんな恋人が美人だと言われる事は、彼氏としては正直めっちゃ嬉しくて全国民に慶を見せびらかしてやりたいような衝動に駆られるけどさ……ま、そこは我慢。
「マジで早く会わせて。どんな奴が侑利を持ってったのか知りてぇ」
巴流が真剣な顔で言う。
持ってったって……巴流の俺愛が炸裂してるじゃねぇか…。
「侑利、巴流が待てねぇってさ」
天馬が巴流の肩を叩いて「まぁまぁ、」と窘めてる。
「俺もそう長くは待てないよ?」
「大和も限界近いわ」
天馬め……完全に楽しんでんな、俺のこの状況を…。
「今日は?」
思いついた様に巴流が言う。
「え?」
「今日の夜、このメンバーで飲みに行くのはどう」
「いいね。侑利は彼女連れて来てよ」
「天馬と奏太も来れる?」
「あぁ、俺らは、別に大丈夫だけど…」
巴流と大和でさくさく進めようとしてる。
「侑利、どんな感じ?」
天馬が一応俺の賛否を聞いて来る。
慶の事を知ってるが故の確認でもあるんだろう……緊張しぃだからな、慶は。
まぁ、近い内、巴流達にも紹介しようと思ってたしな……慶も、天馬や奏太が居た方が緊張もマシか……
とは言え、天馬や奏太にもまだ慣れて無いのに、こんな騒がしい2人を会わせたら、ぶっ倒れてしまうんじゃないかと思えなくもない。
まぁ、でも、この2人はいつ会わせても騒々しいか……
「……大丈夫だと思うけど…多分」
一応、心の準備が必要な慶に、メッセージを送ってみた。
『きんちょうでまっすぐ歩けない』
あはは…足にキテんのか…。
しかももう、今から緊張してんの?
早く帰って、抱きしめてやろう。
10時半頃に来るつもりで起きてたんだけど、結局到着したのは今…11時半前。
予定より1時間遅く着いた。
と、言うのも……
リビングの俺に、寝室から声がかかり……行ってみたら、慶が「動けない」って言うもんだから…。
腰は痛いわ股関節は痛いわで「起き上がれない」「歩けない」「全身痛い」って、慶の世話に時間を費やしてしまったのが、遅くなった理由。
まぁ、そうさせたのは俺であって、嫌がる慶に風呂で2回目を要求したのも俺だから……そこは少し罪悪感あるわ…。
歩き方、すげぇ変でちょっとウケたけど…。
出て来る前に「早く慣れて貰わねぇと、する度にこうなられても困る」って言ったら「じゃあ今日もする?」とか笑顔でぶち込んで来やがった。
慶にハマってんな、とは思ってたけど……実際、昨日、もっと深い関係になって……正直、今俺は、もう慶が居ない生活なんて考えらんねぇって思うぐらいバカになってんなって、今朝起きて横で寝てる慶を見た時に気付いた。
頭ん中に慶が満タンすぎて……暴発しそうだわ…。
「…おぉ」
入り口を開けて、新しいBIRTH店内に思わず驚きの声が出た。
面影皆無っ!!
超オシャレ!!
「あっ、侑利―っ」
…一番に俺を見付けたのは巴流だった。
めっちゃ駆け寄って来たし。
「侑利―っっ」
「ぅわーっ」
そのままの勢いで飛び付いて来られ、よろけた挙句絡まってコケた。
「いっ、て、お前っ!!」
「侑利っ、会いたかったぞ」
「減速しろよっ」
「元気だったか?」
「ってか、いい加減退けよっ」
「可愛いな、お前はやっぱり」
噛み合ってねぇし。
答える気ねぇな…。
「ちょっと、何やってんの」
呆れた顔でやって来た大和が、俺と巴流にそれぞれ手を伸ばし引っ張って立たせてくれた。
「侑利の顔見たらつい」
「ついじゃねぇよ、バカ」
殴ってやった。
「おー、侑利来たか~」
桐ケ谷さんだ。
「あ、遅くなりました」
「あー、良いよ、時間適当ってなってただろ?」
店内はほんとに前の店の雰囲気とはガラッと変わってて、黒と赤を基調にちょっとアジアンテイストな感じになって……
「めっちゃ良いですね」
見渡してしみじみ言う。
「だろ?全員その反応だったわ」
「や、なりますって」
「黒赤がちょっと賭けだったけどな…これにして良かった」
「賭けだったんですか?」
「いやー、イメージ湧かねぇじゃん、実際見ないと」
賭けでこのリフォームをやってしまうとこが怖ぇし……
でも、顔の広い桐ケ谷さんだけに、建築関係にも仲の良い先輩がいるとかで、今回のデザインから施工まで全部頼めたらしくて、細かいとこまで注文を聞いてくれたらしい。
「とりあえず、備品の運び込みから頼むわ」
「オッケーです」
「12時で昼休憩だから」とヒラッと手を振って、桐ケ谷さんはまた続きの作業に戻って行った。
「侑利、落ち着いた?」
「え?」
大和にそう言われてちょっと焦った。
「予定変えてまで東京帰ったらさぁ……何かあったんだなって誰だって思うじゃん」
「そうだよ。俺がこんなに心配してんのに」
2人がそれぞれに言って来る。
そりゃ、そうだな……あんな帰り方して、翌日の2人からのLINEに答えはしたものの、詳しい事は報告していないまま、今に至る。
「…あぁ……ごめん」
声が小さくなってしまった。
「別に、謝って欲しくて言ってんじゃねぇよー」
申し訳無さそうに見えたんだろう……巴流が少し声色を上げて言う。
「侑利が苦しいんだったらヤダなって思ってさ」
「逆に言ったら、お前が幸せだったらそれで良い、って事だよ」
大和と巴流の様子が変だ…。
何か、男前モード出して来る…。
反応に困るんですけど…。
「まだ言えない?」
大和が、キラースマイルを向けて聞いて来る。
このクールな感じの笑顔に、何人の女がやられた事か……。
「そんな事ねぇよ」
ちょっとボソボソ言ってしまったけど……隠す事でもないし…。
俺の言葉に、巴流と大和が顔を見合わせる。
そして、2人同時に俺に向き直り、代表して大和が言った。
「じゃあ、侑利は今、幸せ?」
……めっちゃ返事待ってる……。
興味津々じゃんか。
「…あぁ…まぁ……そう…」
曖昧に答えたけど、2人には「幸せ」だと解釈されたようで……
「良かったな、侑利」
大和に肩をバシバシ叩かれ、上体がグラつく。
痛ぇし。
「いやー、これで侑利が辛いとか言ったら、マジで相手の奴ぶん殴ってやるとこだったわ」
巴流が物騒な事を言う。
「いやいや、女の子殴ったらヤバいでしょ」
「あぁ、女の子か」
「そりゃ女の子でしょ、なぁ、侑利」
「え、…」
急に話を振られて、思わず「え」としか言えなかった。
「え?」
これは大和。
「えっ?」
これは巴流。
「え?」
これは俺。
「「ええぇーーーーーーっ!!?」」
これは、大和と巴流。
2人の叫び声に、店内に散らばってた全員がこっちを見てる。
「ちょっと、侑利っ、男なのかっ?」
「それ何っ?彼氏?それとも侑利が彼氏?」
2人に左右から肩を組まれて、ひそひそと言われる。
「…………俺が…彼氏」
シーーーーーン……
「何か言えよっ」
沈黙に耐えられそうになくて、俺が突っ込んだ。
「マジかぁーーー!!」
頭を抱えてしゃがみ込む巴流に、「何だよ」と言ってみる。
「俺にもチャンスあったんじゃん…」
悔しそうに言うなよ…
「いや、ねぇよ。お前の事は沖縄の水族館で振っただろ」
「あ………」
ははっ、思い出したな。
「…彼氏で良かったわ………侑利が彼女だったら…何か俺複雑…」
大和がしみじみ言う。
「俺は、侑利を彼女に出来るなら、一生女は要らねぇぞ」
「や、お前は振ったから」
「あ……」
落ち込んだ。
バカだ。
「衝撃的すぎて午前中の作業、集中出来る気がしないけど……でも、侑利が幸せなんだったら俺良いや」
大和が噛みしめる様に言う。
「何やってんだよ、お前ら」
後ろから天馬が来た。
俺らのバカなやり取りは、天馬なら内容の想像は出来てるに違いない。
「天馬ーっ」
巴流が天馬に飛び付く。
「侑利が他の男のもんになった…」
よしよし、と適当に巴流を宥めて、そのままその体を引っぺがす。
「……どんな奴が会わせろよっ」
巴流がすんげぇ鋭い目付きで言う。
「あ、俺も会いたい~。会わせてよっ」
大和もキラキラしてるし……
「天馬は見た事あんの?侑利の相手」
「超・絶・美・人」
ためて言うなよ…。
「「おおおぉ~~~~~」」
どよめいてる。
「とにかく、早く会わせる段取りするように」
「そうだよっ、俺らの事も紹介して欲しいしっ」
何だよ……めっちゃグイグイ来るじゃん…
「……あぁ、またな」
適当に言う。
ここは、適当にあしらうに限る。
「何適当にあしらってんの」
バレた。
「…ちゃんと…紹介するよ」
近い内……するつもりだったし。
だってさ……やっぱ、隠す理由もねぇし…。
聞かれなかったら別に言わねぇけど……思いっきり聞かれてるし。
…会う事だってあるだろうしな…。
「侑利が選んだ人だから、間違いは無いと思うけどさっ」
「超絶美人なら見てみたいわっ」
「おーーい、お前ら、何も作業やってねぇだろーっ」
向こうから桐ケ谷さんが叫んだ。
「あ、はーい、やりまーす」
大和がヒラッと手を上げて応えた。
「とにかく、早く段取りなっ」
大和が俺に念押しして、隣であーだこーだ言ってる巴流を引っ張って作業に戻った。
「…バレんの早っ」
天馬に笑われた。
「………」
何も言えず……
俺って何でこうもすぐバレんだろうなぁ……
「ま、正直なんだな、侑利は。…俺は、嘘が吐けない侑利が好きだぞ」
よしよしされる。
「うぜぇわ…」
その手を払い除けて、近くにあった段ボール箱を開ける。
「風邪良くなったみたいだな」
俺の隣に立ち、開けた段ボールに詰めてあったカウンター内で使う備品を取り出しながら天馬が言う。
「あぁ、最短で復活したわ」
二ッと笑って言った。
「じゃあさぁ………使った?」
……一瞬にして、何の事か理解する。
昨日の、慶の悶える姿が脳裏に浮かんで顔が熱くなった。
天馬を見ると、やたらニヤニヤしてるし…。
「……その顔は使ったな」
嘘が吐けないからな、俺は。
「1個じゃ足らなかっただろ?」
………顔が、熱いったらねぇわ。
「侑利の嘘吐けねぇとこ、好きだわ~~」
クスクス笑いながら備品を出して行く。
当たってるだけに、何も言い返せず…。
「どんな気分?」
それは……深い関係になる前となった後でどう違うかって事だよな。
「……ハマってる」
正直に答える。
だってそうなんだからさ…。
「ははっ、分かる」
天馬もそうだったんだろうか。
「もう、頭ん中がバカみてぇにアイツの事しか考えられなくなってる」
備品を取り出してるけど、その作業にさえ集中出来ないくらい、俺は慶の事を考えている。
例えば、今は何をしてるんだろうか、とか…。
「あー……そりゃ重症だな」
分かってるよ、俺だって。
今朝、玄関を出て車に乗った時にはもう既に「会いたい」って思ってたぐらいなんだからさ……
気が付いたら昼で、休憩時間になった。
結局、午前中、俺はほとんど作業に参加していない…。
ただ、慶の事で頭が一杯だっただけだ…。
昼飯は、天馬、奏太、巴流、大和、俺という、お決まりのメンバーになった。
今日の話題が手に取るように分かるわ…。
今は、近くの定食屋に全員で徒歩で移動中。
携帯を見ると、慶からメッセージが入ってた。
「慶」という文字だけで異常にドキドキする俺って…。
『求人誌とりにコンビニ行きたいけど……歩き方変だから行こうかまよう~』
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『求人誌取りに行ったの?』
送信したら、割とすぐに既読になった。
『今行ってるとこ~』
行ってんだ。
歩けてんのかな、アイツ。
『歩けてる?』
『なんとか。ふつうの顔して歩いてる』
……面白ぇ奴。
『侑利くんは何してるの?』
今度は慶からの質問。
『天馬達と定食屋に歩いて向かってる』
『今からお昼?』
『そう。午前中なんにもしなかったわ、俺』
『えーなんで?何してたの?』
何してたの、と聞かれたから……
『お前の事ばっか考えてた』
と、答えた。
そりゃ、こう答えてしまうだろう、今の俺なら。
『会いたくなるじゃん、バカ』
あぁ、可愛い…。
悶絶しそうなレベル…。
やべぇ、俺、ほんとに重症だわ。
『4時ごろには終わるみたいだから、終わったら早く帰る』
新婚か。
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一番後ろから、携帯を弄りながら付いて行ってた俺を、前を歩いてた巴流と大和が振り返る。
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わざとらしく拗ねたように巴流が言う。
「…彼女じゃねぇし」
携帯をポケットに仕舞う。
ほんとは昼の間、ずっとメッセージやり取りしてたいような気分だ。
平日昼飯時の定食屋は混んでる。
少し待って、ちょうど空いたテーブル席に全員で座れた。
注文を済ませ待ってる間、予想通り、話題は「俺」だ。
「ねぇねぇ、彼女名前何て言うの?」
大和が嬉しそうに聞いて来る。
「だから、彼女じゃねぇって」
改めて名前を聞かれて少し恥ずかしくなった。
「良いから名前名前」
めっちゃ楽しそうだよね、大和…。
「……慶」
「けい?」
大和と巴流が顔を見合わせる。
「旅行の時、寝言で言ってた名前じゃん」
そう言う事は、よく覚えてんなぁ……
「寝言で言ってたんですか?」
突如、奏太が食い付いて来た。
「そうなんだよ。しかも2回も。けい~って」
「ええ~久我さん、可愛い~~」
奏太が加勢したぞ……天馬、止めてくれ。
「奏太も会った事あんの?」
「はい、あります、超絶美人ですよ」
……また出た、超絶美人。
……そりゃ、俺も、付き合ってる訳だし……慶の事は天馬や奏太が思うよりもずっと前から、超絶美人だと思ってるよ。
オマケにスタイルも抜群で、ちょっとした芸能人よりキレイなんじゃないかって思ってるよ。
まぁ、そんな恋人が美人だと言われる事は、彼氏としては正直めっちゃ嬉しくて全国民に慶を見せびらかしてやりたいような衝動に駆られるけどさ……ま、そこは我慢。
「マジで早く会わせて。どんな奴が侑利を持ってったのか知りてぇ」
巴流が真剣な顔で言う。
持ってったって……巴流の俺愛が炸裂してるじゃねぇか…。
「侑利、巴流が待てねぇってさ」
天馬が巴流の肩を叩いて「まぁまぁ、」と窘めてる。
「俺もそう長くは待てないよ?」
「大和も限界近いわ」
天馬め……完全に楽しんでんな、俺のこの状況を…。
「今日は?」
思いついた様に巴流が言う。
「え?」
「今日の夜、このメンバーで飲みに行くのはどう」
「いいね。侑利は彼女連れて来てよ」
「天馬と奏太も来れる?」
「あぁ、俺らは、別に大丈夫だけど…」
巴流と大和でさくさく進めようとしてる。
「侑利、どんな感じ?」
天馬が一応俺の賛否を聞いて来る。
慶の事を知ってるが故の確認でもあるんだろう……緊張しぃだからな、慶は。
まぁ、近い内、巴流達にも紹介しようと思ってたしな……慶も、天馬や奏太が居た方が緊張もマシか……
とは言え、天馬や奏太にもまだ慣れて無いのに、こんな騒がしい2人を会わせたら、ぶっ倒れてしまうんじゃないかと思えなくもない。
まぁ、でも、この2人はいつ会わせても騒々しいか……
「……大丈夫だと思うけど…多分」
一応、心の準備が必要な慶に、メッセージを送ってみた。
『きんちょうでまっすぐ歩けない』
あはは…足にキテんのか…。
しかももう、今から緊張してんの?
早く帰って、抱きしめてやろう。
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「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
三ヶ月だけの恋人
perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。
殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。
しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。
罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。
それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛
中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。
誰の心にも触れたくない。
無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。
その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。
明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、
偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。
無機質な顔の奥に隠れていたのは、
誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。
気づいてしまったから、もう目を逸らせない。
知りたくなったから、もう引き返せない。
すれ違いと無関心、
優しさと孤独、
微かな笑顔と、隠された心。
これは、
触れれば壊れそうな彼に、
それでも手を伸ばしてしまった、
不器用な男たちの恋のはなし。
不器用に惹かれる
タッター
BL
月影暖季は人見知りだ。そのせいで高校に入って二年続けて友達作りに失敗した。
といってもまだ二年生になって一ヶ月しか経っていないが、悲観が止まらない。
それは一年まともに誰とも喋らなかったせいで人見知りが悪化したから。また、一年の時に起こったある出来事がダメ押しとなって見事にこじらせたから。
怖い。それでも友達が欲しい……。
どうするどうすると焦っていれば、なぜか苦手な男が声をかけてくるようになった。
文武両道にいつも微笑みを浮かべていて、物腰も声色も優しい見た目も爽やかイケメンな王子様みたいな男、夜宮。クラスは別だ。
一年生の頃、同じクラスだった時にはほとんど喋らず、あの日以降は一言も喋ったことがなかったのにどうして急に二年になってお昼を誘ってくるようになったのか。
それだけじゃない。月影君月影君と月影攻撃が止まない。
にこにことした笑顔になんとか愛想笑いを返し続けるも、どこか夜宮の様子がおかしいことに気づいていく。
そうして夜宮を知れば知るほどーー
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