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「どっちもやってみたら?」
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次の日も休んでも良い、と言われてたけど、真面目な慶は休む事で迷惑かけるのが気になったんだろう……
一昨日から自転車漕いで、バイト復帰してる。
今日はもうケガしてから5日目になるから、だいぶ傷みも無くなって来たみたいだった。
顔の傷はもうすっかり消えたし、腕の痛みもほぼ無くなったらしい。
後は、足首の捻挫だけが少し。
今は午後2時。
今日は「新作メニューの事で早めに行かないといけない」と言って、俺が先に家を出た。
まぁ、これは、嘘なんだけど。
本当の目的は、慶の誕生日に渡すモノを探しに行こうとしてる。
慶に嘘つくのは少し良心が痛んだけど、そうでもしないと1人で行ける時間が無いからな。
だいたい、決めてる。
色々考えた。
今日から12月……なのに、慶はまだあの薄いアウターしか持ってないから、もう少し防寒出来るアウターはどうか、とか、財布もすんげぇボロボロになってるの使ってるから、慶に似合いそうな良い感じの財布はどうか、とか……後は、鞄とか靴とか……色々。
で、結果、辿り着いたのは「ネックレス」
俺も、気に入って前からずっと着けてるのがあって、割とシンプルなデザインのものが多いメンズブランドで、慶にも似合いそうだなって思ったから。
何より、プレゼントの定番ランキングなら上位に入るだろうしさ。
12月ともなれば、どこともクリスマス商戦真っ只中だ。
いつの間にか、街全体がクリスマス仕様になっててちょっと焦る。
まぁ、時間もそんなに無いし目当てのショップに急ぐ。
しょっちゅう買う訳じゃ無いから、前に来たのは今着けてるネックレスを買った時。
……軽く2年くらい前かな…。
服はちょこちょこ買うけど、アクセサリー類や香水などは気に入った物をヘビロテするタイプ。
ほとんど変えない。
久々に来た店内は、やはりクリスマス仕様。
メンズとレディースを6:4ぐらいの割合で置いてるから、店内には女の人も結構居て……彼氏と一緒に選んでる率がけっこう高い。
まぁ、それなら、相手が気に入った物を渡せるから失敗が無いだろう。
過去の彼女の誕生日は、俺もそのタイプで、一緒に見に行く事がほとんどだった。
…慶ぐらいだわ、こんな……今までの俺のパターンを崩して来んのは。
メンズの方はちらほら。
ほとんどレディースの方に偏ってるから、割とゆったり見れた。
全体を見たけど………
正直、もう決めた。
一番、慶が着けてんのが想像出来たやつ。
艶を抑えたシンプルなクロス。
そのクロスの縦ラインが幅が広くなってて、下の隅っこか小さく丸く空いてる。
「お客様、これ、この隅の窪みに好きな石を入れて頂けるようになってるんです」
上品なスーツの店員さんが説明してくれた。
クロス部分も何種類か素材を選べるとの事だった。
「クリスマスプレゼントですか?」
「いえ、誕生日です」
「レディースはご覧にならなくて良いですか?」
「はい」
だって、渡す相手、メンズですから。
店員さんが、ラッピングしてくれるのを待つ。
店内に沢山居るカップル。
ほとんどが指輪を見に来てる。
指輪は、試しに着けてみる回数がすげぇ多い。
俺も昔買った事あるけど、その時の彼女はあれもこれも着けまくってたから、もう最終的にどれが良いのか俺は全く分からなくなって、とにかく気に入ったのあったら言って、みたいになった。
今ここに居るカップルも大半がそんな感じだろうな…。
「お待たせしました」
ラッピングの確認をして、店を出た。
我ながら、決断力はある方だと思う。
所要時間の短さに、自分でもちょっとビビったし。
クロスはシルバーにした。
隅っこの小さな石は、王道だけどダイヤモンドに決めた。
慶には、ダイヤモンドが似合うんじゃないか、って思って。
あいつ、ハイレベルだし。
とにかく、早く買えて良かった。
後は家のどこに置いておこう……当日までバレないようなとこ、考えないとな…。
店を出て、とりあえず車に戻った。
仕事に行くにはまだ早すぎる時間。
とりあえず、携帯をチェックすると……ちょっと前に慶からメッセージが入ってた。
『旅行決めたっ!温泉がいいっ!旅館に泊まるやつ~』
今かよっ、て突っ込みたくなったけど、同時に旅館=浴衣みたいな妄想が浮かんで来て、突っ込むのなんかどうでも良くなった。
『いいじゃん、温泉』
そう送ると、少しして返事が来た。
『ねっ。楽しみだな~』
……あー……可愛い奴。
ねっ、とかさ。
『また、決めたの見せて』
『うん!』
『日にち決めたら予約するわ』
『わぁい』
わぁい、とかさ。
………はぁ……もう、今日プレゼント渡してやろうか、って思うくらい、俺は慶が可愛く感じるんだ。
さて、出勤までどうするかな…。
時間はまだ3時前。
微妙な空き時間。
車で寝てても良いけど……とか思ってたら、巴流からLINE。
『侑利、今何してる?』
ん?
『今、用事済ませて、まだ時間あるから仕事まで外にいる~。どした?』
送信するとすぐ電話がかかって来た。
「はいよ~」
『お~悪ぃな、急に』
「いや、良いよ、微妙な空き時間だからどうしようかと思ってたから。それよりどした?」
巴流から電話なんて珍しい。
『あ~…うん…その……あれだ』
「何だよ」
大凡、検討はついたけど…。
『大和から返事…もらった』
そうだろうな、とは思ったけど、ちょっと俺もドキドキして来たわ…。
どんな返事だったのか…。
「どうだった?」
『うん…』
少し沈黙…。
……ダメだったのか?
『大和は、今までそんな風に俺を見て無かったから気持ち切り替えるのに時間かかったって』
「気持ち切り替え?」
『…俺を、恋愛対象として見るっていう』
「切り替えたの?」
『……一応』
「…良かったじゃん」
『…おぅ』
何で…重いの。
「嬉しくねぇの?」
『嬉しいよ』
「すげぇ重いじゃん」
『や、その、さぁ…』
何が引っ掛かってんだよ。
『大和も俺も、お互い意識するようになって、じゃあ付き合おうってなったけど……その…』
はっきりしねぇな…
「何だよ、はっきり言えって」
それが言いたくて電話して来てんだろ?
『…どっちがどうなの?ってなってさ』
あ~~……そういう問題ね。
要するに、男側と女側ね。
『俺はさっ、攻めたいんだよっ』
「…あぁ」
『だけど、大和がさ、俺だって攻める方がいいって言ってさ、』
「そりゃ困ったな」
『だろ?……大和に、俺を抱きたいの?とか言われてさぁ……』
「何て言ったの?」
『え、まぁ、そりゃ好きだし抱きたいけど…って』
「そしたら?」
『受け入れられる自信がない、って…』
……大問題じゃねぇかっ。
『…侑利、どうしたら良いと思う?』
それ、聞かれても……俺も困るけど…。
「そうだな………え~と、…」
しばらくフル回転させた頭に、これしか浮かんで来なかった答えを一応言ってみる。
「どっちもやってみたら?」
『え?』
……そう言われると思ったわ…。
「とりあえずさぁ……どっちも攻めたいんだったら、どっちもが両方やってみるしかないんじゃねぇ?」
『侑利~~~』
半べそか。
「それでさぁ、どっちか決まれば良いし、決まらなかったらさぁ……まぁ、今日は俺こっち、みたいな感じでさ…」
『………やっぱそれしかねぇよな…』
お前もそれに辿り着いてたんかいっ。
「案外…決まるかも知れねぇよ?…意外と巴流が受ける方が良かったり…」
『それ多分ねぇから。…でもさぁっ、………イメージ的には、受け身は大和じゃねぇ?』
「……まぁ、確かに、巴流に受け身のイメージが無いから、消去法で…大和かな…」
『だろぉ?……せっかくお互い付き合うって決めてさぁ、やったーって思ったのに、こんなとこで躓くと思ってなくてさぁ……凹んでんの、俺』
確かに……
それ決まらねぇと、モヤモヤすんな。
「付き合うって決めたのいつ?」
『昨日。で、今日さぁ…大和も休みだから、うち来る事にしてんの』
「あー……俺、気になって仕事集中出来ねぇわ、多分」
『侑利~~~……マジ、凹む』
巴流……頑張れ。
俺はそう言うしかねぇよ…。
だって、俺が大和に「受け身になってやれ」って頼むのも変だし…。
「でも……自然に…決まるんじゃねぇ?」
『……そうかなぁ……』
「雰囲気だよ、雰囲気。最初に押し倒した方が攻めで良いじゃん」
『…先手必勝?』
「それそれ」
『……う~……つれぇ』
……が、頑張れ、巴流。
「俺は巴流を応援するわ」
『マジで?』
「巴流に攻めて欲しい」
『やれそうな気がして来た』
「意外と押しに弱いかも知れねぇしな、大和」
『もう、分かった。先手必勝で行くわ』
何か、巴流がやる気になった。
「そうしろっ、マジ応援するわ」
『侑利、俺マジでお前の事好きだ』
「はぁ?」
『そう言えば、大和に告ったら「巴流は侑利を好きだと思ってた」って言われたわ』
「あはははっ」
『めっちゃ笑ってんじゃん』
「お前に告白される度、毎回振ってんのにな」
『告白する頻度がすげぇからだな、多分。振られても行くっていう』
「でも、そう大和に言われてお前何て言ったの?」
『侑利は俺ん中でアイドルだって』
…出た。
『大和が侑利を好きなのと同じ感情だけど、ただそれが大和よりちょっと強いだけ、って』
「……それ、どうなの」
『でも、大和が、その説明分かりやすいって言ってたよ?』
大和…わりと、巴流のバカさ加減に付き合うよな。
どっちかって問題はあるけど、何だかんだで多分うまく行くだろうな。
『とにかく、今日、頑張るわ』
「そうだな、応援してる」
『…また、報告する』
「ソワソワするんですけど」
『俺だってしてるよ』
「あはは、そうだな」
一番ソワソワすんのは巴流だな…。
『…ありがとな、侑利。ずっと、大和の事相談してたし、こんなの侑利にしか言えねぇわ』
「天馬に言っても同じ答えだと思うけどな」
『だろうな。ははっ』
「あはは」
『とにかく、サンキュー。頑張るわ』
「了解。頑張れよ」
お互い「じゃあな」と言って電話を切った。
……まさかの展開。
大和、けっこう、攻めるタイプなの?
今日で決まれば良いけど……とにかく、俺は応援するしかねぇわ。
俺と慶……そして、多分、天馬と奏太にも起こらなかった問題だろうな、これ…。
慶と奏太が攻めて来るイメージなんか皆無だわ。
~~~~~~~~
*小田切 光side *
今日は、久しぶりにBIRTHに来てて、ちょっとした事件が起きた。
純(じゅん)……あ、俺がいつも一緒に来てる黒瀬さんファンの友達なんだけど……
純と2人でトイレ行ってたら……あろうことか酔っ払いのおっさんに絡まれたんですけどっ!!
酔っ払ってるおっさんには俺達が女の子に見えたみたいで…
「おっさん、止めろよっ、触んなっ!」
行き成り抱き付いて来て、動けない…。
押し返そうとしても無駄にデカいおっさんの腕は全く解けず……
「光っ、誰か呼んで来るからっ」
純が助けを呼びに行ってくれた。
もう、泣きそうな顔してたけど、大丈夫かな…。
飛び出して行ったけど、時間を置かずに戻って来た。
しかもっ!!
久我さんの腕を掴んで引っ張って来たんですけどっ!!
おっさんに抱きしめられてもがいてるうちに、だんだん体が押されて個室に押し込まれてしまってた俺と、おっさんの肩越しに目があった久我さんは、つかつかと歩いて来たかと思うと…
「お客さん、そういう事されると困ります」
おっさんの後ろから肩を掴んで、自分の方を向かせた。
「あぁ?何だお前」
どうしよう……
ケンカとかになったら……どうしよう……
今のおっさんの言葉聞いて、久我さん……ちょっと顔怒ってるし……
ってか、怒った顔もイケメンすぎて泣きそうだけど……
「店員です。こいつ俺の知り合いですけど、何かしましたか?」
「え…」
ちょっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってよーー!!
こいつ俺の知り合いですけど、って……
ダメだ………
カッコ良すぎて倒れそう……。
おっさんはキモいけど、久我さんにそんな風に言って貰えるなんて……おっさんにちょっと感謝だよ……
久我さんは、酔っ払ってふらついてるおっさんの腕を掴んで個室から引っ張り出すと、俺とおっさんの間に入ってくれた。
俺の事、守ってくれてるんだよね、今……
マジで…もう、落ちる……ってか、既に落ちてるんだけど……でも、これはダメだよ。
こんなのされて、好きにならない奴居ないよーっ!
「可愛いお姉ちゃんだからさぁ、ちょっと相手してもらおうと思っただけだよ」
泥酔オヤジめ。
「お客さん、男と女の区別もつかないくらい酔ってんだったら、もう帰った方が良いですよ」
久我さんが最もな事を言う。
そこへ、おっさんの連れと思われる人が入って来た。
「えっ、あっ、何かありましたかっ?」
ちょっと焦ってる。
「あぁ、お連れ様ですか?」
「はい、トイレからなかなか帰って来ないんで様子見に来たんですけど…」
「だいぶ酔ってるみたいなんで、もう帰られた方が良いと思いますよ」
連れと久我さんのやり取りの間中、おっさんはぐだぐだとまだ何か言ってたけど、同僚だか部下だか分からないけどその連れに引き取られて出て行った。
何があったか分からないけど、俺達を見て何か迷惑をかけたんだろうと、とりあえずその連れは謝ってくれた。
おっさん…何杯飲んだんだよっ!!
「…大丈夫か」
久我さんが俺を振り返った。
迷惑をかけてしまったのと、何か安心したのとで、泣きそうになるのを必死で堪えた。
純は半泣き…。
「ちょっと、とりあえずこっち」
久我さんが俺と純の腕をそれぞれ掴んで、そのまま俺達はカウンターまで連れて行かれた。
「あれ、どした?」
カウンターに居た黒瀬さんがすぐに気付いて来てくれる。
「トイレで酔っ払いのおっさんに絡まれてた」
「そうなの?大丈夫?」
久我さんが説明するのを聞いて、改めて申し訳ない気持ちが込み上げて来て、俺も純も俯いてしまった。
「何か飲む?」
久我さんがそう言ってくれたけど、お酒を飲む気にはなれなくて、俺も純も首を振る。
「じゃあ食べる?」
……お腹は……空いてる気がする…。
首を振った純とは逆に、思いっきり頷いた俺を見て久我さんが笑う。
「どうぞ」
笑顔のままでメニューを渡してくれる。
……もう……ほんとに………俺は久我さんが大好きで……でも、久我さんにはあの人が居るから、諦めないといけないのに……。
「……久我さん…………、です」
「ん?」
俺の声が小さすぎて聞き取れなかったみたいで、久我さんが俺を覗き込む。
「久我さんっ、カッコ良すぎですっ!!」
やば……。
めっちゃデカい声で言っちゃったーーっ!!
カウンターのお客さん何人かがこっち見てるしっ!!
「あははっ、ボリュームすげぇな、おい」
黒瀬さんが可笑しそうに笑う。
う~~……恥ずかしい…
「……だって…ほんとに…」
「あぁ、それは…どうも」
久我さんがペコリと頭を下げた。
何やってもカッコいいよ……。
「何もされてないの?」
「はいっ」
「ん。良かった」
「ほんとに、ありがとうございました」
「別にそんな礼言われるような事じゃないけど…悪酔いしてる人も居るから、今度から気を付けるように」
久我さんからの忠告。
先生に注意された生徒のように、俺と純が「はいっ」と返事すると、久我さんはまた笑ってくれた。
はぁ……
久我さんと付き合えるあの人が羨ましいよ……
あの人の前では……久我さんはどんな表情するんだろう…。
スーパーで一緒にいるのは見た事あるけど、2人っきりになったら……どんな感じなんだろう…。
ダメだ……俺は……諦めないといけないのに…。
でも……やっぱり……好きだよ…。
どうにもならないって分かってるけど………だけど……ここでの時間は……あの人も知らない俺との時間なんだし……
少しだけ……ドキドキしてても良いよね…。
一昨日から自転車漕いで、バイト復帰してる。
今日はもうケガしてから5日目になるから、だいぶ傷みも無くなって来たみたいだった。
顔の傷はもうすっかり消えたし、腕の痛みもほぼ無くなったらしい。
後は、足首の捻挫だけが少し。
今は午後2時。
今日は「新作メニューの事で早めに行かないといけない」と言って、俺が先に家を出た。
まぁ、これは、嘘なんだけど。
本当の目的は、慶の誕生日に渡すモノを探しに行こうとしてる。
慶に嘘つくのは少し良心が痛んだけど、そうでもしないと1人で行ける時間が無いからな。
だいたい、決めてる。
色々考えた。
今日から12月……なのに、慶はまだあの薄いアウターしか持ってないから、もう少し防寒出来るアウターはどうか、とか、財布もすんげぇボロボロになってるの使ってるから、慶に似合いそうな良い感じの財布はどうか、とか……後は、鞄とか靴とか……色々。
で、結果、辿り着いたのは「ネックレス」
俺も、気に入って前からずっと着けてるのがあって、割とシンプルなデザインのものが多いメンズブランドで、慶にも似合いそうだなって思ったから。
何より、プレゼントの定番ランキングなら上位に入るだろうしさ。
12月ともなれば、どこともクリスマス商戦真っ只中だ。
いつの間にか、街全体がクリスマス仕様になっててちょっと焦る。
まぁ、時間もそんなに無いし目当てのショップに急ぐ。
しょっちゅう買う訳じゃ無いから、前に来たのは今着けてるネックレスを買った時。
……軽く2年くらい前かな…。
服はちょこちょこ買うけど、アクセサリー類や香水などは気に入った物をヘビロテするタイプ。
ほとんど変えない。
久々に来た店内は、やはりクリスマス仕様。
メンズとレディースを6:4ぐらいの割合で置いてるから、店内には女の人も結構居て……彼氏と一緒に選んでる率がけっこう高い。
まぁ、それなら、相手が気に入った物を渡せるから失敗が無いだろう。
過去の彼女の誕生日は、俺もそのタイプで、一緒に見に行く事がほとんどだった。
…慶ぐらいだわ、こんな……今までの俺のパターンを崩して来んのは。
メンズの方はちらほら。
ほとんどレディースの方に偏ってるから、割とゆったり見れた。
全体を見たけど………
正直、もう決めた。
一番、慶が着けてんのが想像出来たやつ。
艶を抑えたシンプルなクロス。
そのクロスの縦ラインが幅が広くなってて、下の隅っこか小さく丸く空いてる。
「お客様、これ、この隅の窪みに好きな石を入れて頂けるようになってるんです」
上品なスーツの店員さんが説明してくれた。
クロス部分も何種類か素材を選べるとの事だった。
「クリスマスプレゼントですか?」
「いえ、誕生日です」
「レディースはご覧にならなくて良いですか?」
「はい」
だって、渡す相手、メンズですから。
店員さんが、ラッピングしてくれるのを待つ。
店内に沢山居るカップル。
ほとんどが指輪を見に来てる。
指輪は、試しに着けてみる回数がすげぇ多い。
俺も昔買った事あるけど、その時の彼女はあれもこれも着けまくってたから、もう最終的にどれが良いのか俺は全く分からなくなって、とにかく気に入ったのあったら言って、みたいになった。
今ここに居るカップルも大半がそんな感じだろうな…。
「お待たせしました」
ラッピングの確認をして、店を出た。
我ながら、決断力はある方だと思う。
所要時間の短さに、自分でもちょっとビビったし。
クロスはシルバーにした。
隅っこの小さな石は、王道だけどダイヤモンドに決めた。
慶には、ダイヤモンドが似合うんじゃないか、って思って。
あいつ、ハイレベルだし。
とにかく、早く買えて良かった。
後は家のどこに置いておこう……当日までバレないようなとこ、考えないとな…。
店を出て、とりあえず車に戻った。
仕事に行くにはまだ早すぎる時間。
とりあえず、携帯をチェックすると……ちょっと前に慶からメッセージが入ってた。
『旅行決めたっ!温泉がいいっ!旅館に泊まるやつ~』
今かよっ、て突っ込みたくなったけど、同時に旅館=浴衣みたいな妄想が浮かんで来て、突っ込むのなんかどうでも良くなった。
『いいじゃん、温泉』
そう送ると、少しして返事が来た。
『ねっ。楽しみだな~』
……あー……可愛い奴。
ねっ、とかさ。
『また、決めたの見せて』
『うん!』
『日にち決めたら予約するわ』
『わぁい』
わぁい、とかさ。
………はぁ……もう、今日プレゼント渡してやろうか、って思うくらい、俺は慶が可愛く感じるんだ。
さて、出勤までどうするかな…。
時間はまだ3時前。
微妙な空き時間。
車で寝てても良いけど……とか思ってたら、巴流からLINE。
『侑利、今何してる?』
ん?
『今、用事済ませて、まだ時間あるから仕事まで外にいる~。どした?』
送信するとすぐ電話がかかって来た。
「はいよ~」
『お~悪ぃな、急に』
「いや、良いよ、微妙な空き時間だからどうしようかと思ってたから。それよりどした?」
巴流から電話なんて珍しい。
『あ~…うん…その……あれだ』
「何だよ」
大凡、検討はついたけど…。
『大和から返事…もらった』
そうだろうな、とは思ったけど、ちょっと俺もドキドキして来たわ…。
どんな返事だったのか…。
「どうだった?」
『うん…』
少し沈黙…。
……ダメだったのか?
『大和は、今までそんな風に俺を見て無かったから気持ち切り替えるのに時間かかったって』
「気持ち切り替え?」
『…俺を、恋愛対象として見るっていう』
「切り替えたの?」
『……一応』
「…良かったじゃん」
『…おぅ』
何で…重いの。
「嬉しくねぇの?」
『嬉しいよ』
「すげぇ重いじゃん」
『や、その、さぁ…』
何が引っ掛かってんだよ。
『大和も俺も、お互い意識するようになって、じゃあ付き合おうってなったけど……その…』
はっきりしねぇな…
「何だよ、はっきり言えって」
それが言いたくて電話して来てんだろ?
『…どっちがどうなの?ってなってさ』
あ~~……そういう問題ね。
要するに、男側と女側ね。
『俺はさっ、攻めたいんだよっ』
「…あぁ」
『だけど、大和がさ、俺だって攻める方がいいって言ってさ、』
「そりゃ困ったな」
『だろ?……大和に、俺を抱きたいの?とか言われてさぁ……』
「何て言ったの?」
『え、まぁ、そりゃ好きだし抱きたいけど…って』
「そしたら?」
『受け入れられる自信がない、って…』
……大問題じゃねぇかっ。
『…侑利、どうしたら良いと思う?』
それ、聞かれても……俺も困るけど…。
「そうだな………え~と、…」
しばらくフル回転させた頭に、これしか浮かんで来なかった答えを一応言ってみる。
「どっちもやってみたら?」
『え?』
……そう言われると思ったわ…。
「とりあえずさぁ……どっちも攻めたいんだったら、どっちもが両方やってみるしかないんじゃねぇ?」
『侑利~~~』
半べそか。
「それでさぁ、どっちか決まれば良いし、決まらなかったらさぁ……まぁ、今日は俺こっち、みたいな感じでさ…」
『………やっぱそれしかねぇよな…』
お前もそれに辿り着いてたんかいっ。
「案外…決まるかも知れねぇよ?…意外と巴流が受ける方が良かったり…」
『それ多分ねぇから。…でもさぁっ、………イメージ的には、受け身は大和じゃねぇ?』
「……まぁ、確かに、巴流に受け身のイメージが無いから、消去法で…大和かな…」
『だろぉ?……せっかくお互い付き合うって決めてさぁ、やったーって思ったのに、こんなとこで躓くと思ってなくてさぁ……凹んでんの、俺』
確かに……
それ決まらねぇと、モヤモヤすんな。
「付き合うって決めたのいつ?」
『昨日。で、今日さぁ…大和も休みだから、うち来る事にしてんの』
「あー……俺、気になって仕事集中出来ねぇわ、多分」
『侑利~~~……マジ、凹む』
巴流……頑張れ。
俺はそう言うしかねぇよ…。
だって、俺が大和に「受け身になってやれ」って頼むのも変だし…。
「でも……自然に…決まるんじゃねぇ?」
『……そうかなぁ……』
「雰囲気だよ、雰囲気。最初に押し倒した方が攻めで良いじゃん」
『…先手必勝?』
「それそれ」
『……う~……つれぇ』
……が、頑張れ、巴流。
「俺は巴流を応援するわ」
『マジで?』
「巴流に攻めて欲しい」
『やれそうな気がして来た』
「意外と押しに弱いかも知れねぇしな、大和」
『もう、分かった。先手必勝で行くわ』
何か、巴流がやる気になった。
「そうしろっ、マジ応援するわ」
『侑利、俺マジでお前の事好きだ』
「はぁ?」
『そう言えば、大和に告ったら「巴流は侑利を好きだと思ってた」って言われたわ』
「あはははっ」
『めっちゃ笑ってんじゃん』
「お前に告白される度、毎回振ってんのにな」
『告白する頻度がすげぇからだな、多分。振られても行くっていう』
「でも、そう大和に言われてお前何て言ったの?」
『侑利は俺ん中でアイドルだって』
…出た。
『大和が侑利を好きなのと同じ感情だけど、ただそれが大和よりちょっと強いだけ、って』
「……それ、どうなの」
『でも、大和が、その説明分かりやすいって言ってたよ?』
大和…わりと、巴流のバカさ加減に付き合うよな。
どっちかって問題はあるけど、何だかんだで多分うまく行くだろうな。
『とにかく、今日、頑張るわ』
「そうだな、応援してる」
『…また、報告する』
「ソワソワするんですけど」
『俺だってしてるよ』
「あはは、そうだな」
一番ソワソワすんのは巴流だな…。
『…ありがとな、侑利。ずっと、大和の事相談してたし、こんなの侑利にしか言えねぇわ』
「天馬に言っても同じ答えだと思うけどな」
『だろうな。ははっ』
「あはは」
『とにかく、サンキュー。頑張るわ』
「了解。頑張れよ」
お互い「じゃあな」と言って電話を切った。
……まさかの展開。
大和、けっこう、攻めるタイプなの?
今日で決まれば良いけど……とにかく、俺は応援するしかねぇわ。
俺と慶……そして、多分、天馬と奏太にも起こらなかった問題だろうな、これ…。
慶と奏太が攻めて来るイメージなんか皆無だわ。
~~~~~~~~
*小田切 光side *
今日は、久しぶりにBIRTHに来てて、ちょっとした事件が起きた。
純(じゅん)……あ、俺がいつも一緒に来てる黒瀬さんファンの友達なんだけど……
純と2人でトイレ行ってたら……あろうことか酔っ払いのおっさんに絡まれたんですけどっ!!
酔っ払ってるおっさんには俺達が女の子に見えたみたいで…
「おっさん、止めろよっ、触んなっ!」
行き成り抱き付いて来て、動けない…。
押し返そうとしても無駄にデカいおっさんの腕は全く解けず……
「光っ、誰か呼んで来るからっ」
純が助けを呼びに行ってくれた。
もう、泣きそうな顔してたけど、大丈夫かな…。
飛び出して行ったけど、時間を置かずに戻って来た。
しかもっ!!
久我さんの腕を掴んで引っ張って来たんですけどっ!!
おっさんに抱きしめられてもがいてるうちに、だんだん体が押されて個室に押し込まれてしまってた俺と、おっさんの肩越しに目があった久我さんは、つかつかと歩いて来たかと思うと…
「お客さん、そういう事されると困ります」
おっさんの後ろから肩を掴んで、自分の方を向かせた。
「あぁ?何だお前」
どうしよう……
ケンカとかになったら……どうしよう……
今のおっさんの言葉聞いて、久我さん……ちょっと顔怒ってるし……
ってか、怒った顔もイケメンすぎて泣きそうだけど……
「店員です。こいつ俺の知り合いですけど、何かしましたか?」
「え…」
ちょっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってよーー!!
こいつ俺の知り合いですけど、って……
ダメだ………
カッコ良すぎて倒れそう……。
おっさんはキモいけど、久我さんにそんな風に言って貰えるなんて……おっさんにちょっと感謝だよ……
久我さんは、酔っ払ってふらついてるおっさんの腕を掴んで個室から引っ張り出すと、俺とおっさんの間に入ってくれた。
俺の事、守ってくれてるんだよね、今……
マジで…もう、落ちる……ってか、既に落ちてるんだけど……でも、これはダメだよ。
こんなのされて、好きにならない奴居ないよーっ!
「可愛いお姉ちゃんだからさぁ、ちょっと相手してもらおうと思っただけだよ」
泥酔オヤジめ。
「お客さん、男と女の区別もつかないくらい酔ってんだったら、もう帰った方が良いですよ」
久我さんが最もな事を言う。
そこへ、おっさんの連れと思われる人が入って来た。
「えっ、あっ、何かありましたかっ?」
ちょっと焦ってる。
「あぁ、お連れ様ですか?」
「はい、トイレからなかなか帰って来ないんで様子見に来たんですけど…」
「だいぶ酔ってるみたいなんで、もう帰られた方が良いと思いますよ」
連れと久我さんのやり取りの間中、おっさんはぐだぐだとまだ何か言ってたけど、同僚だか部下だか分からないけどその連れに引き取られて出て行った。
何があったか分からないけど、俺達を見て何か迷惑をかけたんだろうと、とりあえずその連れは謝ってくれた。
おっさん…何杯飲んだんだよっ!!
「…大丈夫か」
久我さんが俺を振り返った。
迷惑をかけてしまったのと、何か安心したのとで、泣きそうになるのを必死で堪えた。
純は半泣き…。
「ちょっと、とりあえずこっち」
久我さんが俺と純の腕をそれぞれ掴んで、そのまま俺達はカウンターまで連れて行かれた。
「あれ、どした?」
カウンターに居た黒瀬さんがすぐに気付いて来てくれる。
「トイレで酔っ払いのおっさんに絡まれてた」
「そうなの?大丈夫?」
久我さんが説明するのを聞いて、改めて申し訳ない気持ちが込み上げて来て、俺も純も俯いてしまった。
「何か飲む?」
久我さんがそう言ってくれたけど、お酒を飲む気にはなれなくて、俺も純も首を振る。
「じゃあ食べる?」
……お腹は……空いてる気がする…。
首を振った純とは逆に、思いっきり頷いた俺を見て久我さんが笑う。
「どうぞ」
笑顔のままでメニューを渡してくれる。
……もう……ほんとに………俺は久我さんが大好きで……でも、久我さんにはあの人が居るから、諦めないといけないのに……。
「……久我さん…………、です」
「ん?」
俺の声が小さすぎて聞き取れなかったみたいで、久我さんが俺を覗き込む。
「久我さんっ、カッコ良すぎですっ!!」
やば……。
めっちゃデカい声で言っちゃったーーっ!!
カウンターのお客さん何人かがこっち見てるしっ!!
「あははっ、ボリュームすげぇな、おい」
黒瀬さんが可笑しそうに笑う。
う~~……恥ずかしい…
「……だって…ほんとに…」
「あぁ、それは…どうも」
久我さんがペコリと頭を下げた。
何やってもカッコいいよ……。
「何もされてないの?」
「はいっ」
「ん。良かった」
「ほんとに、ありがとうございました」
「別にそんな礼言われるような事じゃないけど…悪酔いしてる人も居るから、今度から気を付けるように」
久我さんからの忠告。
先生に注意された生徒のように、俺と純が「はいっ」と返事すると、久我さんはまた笑ってくれた。
はぁ……
久我さんと付き合えるあの人が羨ましいよ……
あの人の前では……久我さんはどんな表情するんだろう…。
スーパーで一緒にいるのは見た事あるけど、2人っきりになったら……どんな感じなんだろう…。
ダメだ……俺は……諦めないといけないのに…。
でも……やっぱり……好きだよ…。
どうにもならないって分かってるけど………だけど……ここでの時間は……あの人も知らない俺との時間なんだし……
少しだけ……ドキドキしてても良いよね…。
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