眠れる石像の献身

音羽夏生

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石像、目覚める

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 百年間、白亜の石像だったアーネスト。
 その間、師の体を自室のベッドに横たえていたギルバート。
 面倒くさい師弟関係には立ち入りたくもない月読だったが、それでもアーネストは大切な友人である。立ち入りたくはないが、問いたださなければ帰れない。
 持参した子供服一式を手渡すと、アーネストは礼を言って受け取り、いそいそと着替え始めた。

「月読が来てくれて本当に助かったよ。バーティーが意地悪をして、僕の気の流れを塞ぐんだ。おかげでこの姿にもなれなかった」
「ギルバートは今や魔法界随一の名医にして医療魔法の権威、『塔』の教授でもある。あなたの同僚ですよ」
「小児性愛者を『塔』に入れるのはどうかと思うね、教授会に諮るべきだ」

 憤懣やるかたないといった少年の声の呟きは、勿論聞かなかったことにする。
 百年前、アーネストの体を──少年の石像の所有を主張して譲らなかったあの時、若き国家魔法士の胸に宿る想いに、月詠は気づいていた。
 しかし相手は、魔法界の最高学府『ザ・タワー』随一の奇人として名を馳せる旧友──の石像だ。しかもいつ目覚めるかもわからない。
 後になって、自宅の管理費を百年分前払いしていたことが判明し、目覚めは百年後だろうという目星はついたが、それは残された弟子にとって酷な事実だった。
 魔法族の寿命は、その魔力に比例する。
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