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石像、目覚める
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額に月の紋を戴く、今は魔法界に一人しかいない魔導師。
魔法界第二位の強大な魔力を持つ月読にとって、師弟の淫靡な修羅場など、取るに足らないことのようだ。この部屋に出現した時、二人が何をしていたのか──正しくは、アーネストがどんな姿で何をされていたのかを承知しているだろうに、一切触れることもない。
テーブルの上にちらりと目を向けると、月詠はやわらかく微笑む。日だまりの藁色と称される髪と瞳を持つ優美な魔導師だったが、──その目はまったく笑っていなかった。
「どうやら、結構な朝食を堪能したようですね。腹が満たされたのなら、説明してもらいましょうか」
「説明って……?」
書き置きを残したのに、他に何か説明しなければいけないことがあっただろうか。
背に流した藁色の長い髪を撫でて先を促すと、どうにか笑みの形を保っていた月読の口元がぴりっと引き攣った。
ふわりと髪が広がり、苛立ちを表すように周囲に火花が弾ける。普段は寛容で温厚な魔導師の珍しい感情の乱れに、強大な魔力が呼応しているのだ。
それでも声を荒げることなく、偉大なる魔導師は、表面上は穏やかに言葉を重ねた。
「あなたが百年も石像に変化していた理由についてです」
魔法界第二位の強大な魔力を持つ月読にとって、師弟の淫靡な修羅場など、取るに足らないことのようだ。この部屋に出現した時、二人が何をしていたのか──正しくは、アーネストがどんな姿で何をされていたのかを承知しているだろうに、一切触れることもない。
テーブルの上にちらりと目を向けると、月詠はやわらかく微笑む。日だまりの藁色と称される髪と瞳を持つ優美な魔導師だったが、──その目はまったく笑っていなかった。
「どうやら、結構な朝食を堪能したようですね。腹が満たされたのなら、説明してもらいましょうか」
「説明って……?」
書き置きを残したのに、他に何か説明しなければいけないことがあっただろうか。
背に流した藁色の長い髪を撫でて先を促すと、どうにか笑みの形を保っていた月読の口元がぴりっと引き攣った。
ふわりと髪が広がり、苛立ちを表すように周囲に火花が弾ける。普段は寛容で温厚な魔導師の珍しい感情の乱れに、強大な魔力が呼応しているのだ。
それでも声を荒げることなく、偉大なる魔導師は、表面上は穏やかに言葉を重ねた。
「あなたが百年も石像に変化していた理由についてです」
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