トゥモロウ・スピーチ

音羽夏生

文字の大きさ
192 / 237
16章※

12

しおりを挟む
「にぃさん、もう、だめっ……」
「風呂に行くまで我慢するんだ。好きなだけ出させてやる。前も後ろも」
「は、やく……!」

 慎重に身を起こし、目の前の男の首に両腕で縋る。掬うように腰と膝裏に手が回り、しっかりと抱き上げられた。力強い腕は男一人を抱き上げても揺らぐことなく、一洋は確かな足取りで歩き出す。

「う、くっ、……ふぅッ」

 粗相をしてはいけないと尻に力を入れると、中の葡萄がじゃれ合うように蠢く。弱いところを刺激されて首に回した腕から力が抜け、すっかり身を預ける格好になってしまった。

(こんなの……子供の抱っこじゃないか……)

 情けなさのあまり俯いた志貴に、一洋も同じことを思っていたらしい。懐かしむような口調で声を掛けてくる。

「こうして抱っこしてやるのは何年振りだ? 子供の頃は、近所の悪ガキに転ばされた志貴を、抱いて帰ったこともあったな。あの頃お前は体も小さくて、女の子とよく間違われてた。――本当に可愛かった」
「そのせいで、苛められたんだから……何もいいことは、なかったよ」
「……あいつらみんな、本当は志貴を可愛がりたがってたんだがな……」
「え、……何?」
「何でもない。昔からお前は性質が悪いって話だ」

 そうして浴室に運ばれた志貴は、浴槽に入れられ、立ったまま壁に手を突いて尻を向けるように指示された。その尻たぶに、一洋の手が掛かる。男の意図を知り、あまりの羞恥と恥辱に目が眩むが、拒むこともできないほど体は追い詰められている。
 迷いのない手つきで双丘を割り広げ、狭間を剥き出しにさせると、男は冷徹に命じた。

「――出せ」
「……はァッ、ぁあぁぁんっ」

 噛み殺そうとしたが果たせず、か細い悲鳴が迸った。
 つぷ、ぬぷり、と温まった葡萄の粒が一つずつ肉の輪をくぐり、浴槽の底へとこぼれ落ちる。排泄そのものの一部始終を、背後の男に観察されている。
 おぞましさに震えながらも、止められなかった。我慢に我慢を重ねた末の解放は、身の毛がよだつほど深く、魂に刻まれるような愉悦だったのだ。

「く、ぅんっ、……はぁ、ぁ、あうっ……っ」

 それでも、はしたなく全部出してしまいたいのを懸命に堪え、泣きながら尻の穴を窄め、緩める。葡萄が穴をくぐり抜けるたびに、ビクッと腰が跳ねた。一粒ずつ産み落とすような妖しい快感に、都度高く声が上がってしまう。

「ア、……ァア、……んくっ、はぁ、はあぁ……」

 半分ほどが出たところで、腰を掴まれ向かい合わせで立たされた。一洋の首に手を回すように促され従うが、立っているにも足が震えてしまい、男の体にしなだれ掛かるように縋りついてしまう。
 易々と受けとめた一洋は、汗で湿った志貴の髪を梳きながら、もう片方の手で、放ったらかしにされている哀れな志貴の欲望を包んだ。

「産卵してるみたいだな……次は本物の卵を入れてみるか?」
「……にぃさんが、のぞむなら……」
「俺は志貴が望むことしかしてないだろう……ほら」

 耳元で囁かれ、その吐息にすら感じ、志貴は艶かしく喘いだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

帰宅

pAp1Ko
BL
遊んでばかりいた養子の長男と実子の双子の次男たち。 双子を庇い、拐われた長男のその後のおはなし。 書きたいところだけ書いた。作者が読みたいだけです。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

処理中です...