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呪い
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遠征から戻ってきた翌日、1日の休暇が与えられた。
隊長に言われた通り私は自分に呪いがかかってないか確認しに、王宮の魔術師の部屋を訪れた。
薄暗い部屋で、深くフードを被った魔術師が
怪しげな水晶玉を覗き込み、目を細めると、
「おや、こいつは面白い呪いにかかってるね。」
心臓が跳ねたが、続く言葉に拍子抜けした。
「不完全な呪いでね。男から女に帰る呪いだよ。
…まあ君には関係なさそうだが?」
確かに女の私にはなんの意味もなさそうだ。
魔術師は真顔で続けた。
「これから身体がふっくらしたり、胸が膨らむしれないが、まあ、大した影響はないだろう」
正直この呪いを受けたのが私で良かった。
もし他の団員、ましてや団長にかかったら、
騎士団は大騒ぎになっていただろう。
その夜、久しぶりにリュートと酒場に繰り出した。
薄暗い店内に響く笑い声と、木のテーブルに置かれたエール盃の苦い香りが心地よかった。
私は盃を握りしめ、切り出した。
「実は、呪いにかかってたんだ。…まあ、大したことないんだけど、国から補償金が出るらしい。それで、騎士団を辞めようと思う」
リュートは目を丸くし、すぐに豪快に笑った。
「は! お前らしいや。で、辞めて何するんだ?」
「まだ決まってないけど…港町にでも住もうかな。海の匂い、嫌いじゃないし」
彼は盃を傾け、しばらく黙った後、
静かに言った。
「お前、散々苦労してきたもんな。好きなことやれよ。
…でも、引っ越したら手紙よこせ。遊びに行くからな」
その言葉に、胸が熱くなった。
私は笑って頷いたが、どこかで別れの重さが心に沈んでいた。
翌日、いつも通り出勤したが、丈夫が取り柄の私が体調を崩し、早退した。
念のため呪いの影響か確認すべく、リュートに付き添われて王宮の魔術師を訪れた。
「呪いの影響で身体が変化に追いついていないようです。1~2週間は安静にし、異変があればすぐに来なさい。」
魔術師の言葉に、リュートは真剣な顔で頷き、私を家まで送ってくれた。
「メルフィス団長に報告しておくから、ゆっくり休めよ。」
面倒見の良い彼らしい言葉に、つい笑みがこぼれた。
その後、熱や頭痛に悩まされ、1週間は寝込んでいた。
リュートが仕事の合間に看病してくれて、2週間後にはだいぶ回復した。
団長からは「仕事は気にせず休め」と言われていたけど、そろそろ堕落しそうなので、明日から復帰しようとリュートに伝えた。
「まだ早いだろ? 体調も完璧じゃないし…なんつーか、行かない方がいいぞ。」
リュートにしては歯切れが悪い。
「行かないで欲しいって何!?」
「お前、最近自分の身体見たか?」
「は? セクハラ?」
「ちげーよ! ほら、鏡!」
リュートに腕を引っ張られ、姿見の前に立たされた。
映った自分に目が釘付けになった。胸がある。つるぺただった私の胸が、ふっくらと豊かに膨らんでいる。
「うそ、何これ…!」
恐る恐る触ってみると、柔らかな感触。間違いない。本物だ。
「リュート! 私、胸あるよ!」
興奮で叫ぶと、彼は呆れたように額を押さえた。
「なんで今まで気づかねえんだよ。てか、揉むな!」
「だって、服ゆるいし、太っただけかと…!」
「それで出勤したらどうなると思う? 騎士団、大騒ぎだぞ。」
「でも、私元々女だし、勝手に男だと勘違いしてる方が悪いじゃん?」
「その誤解を放置してたお前も悪い。」
ぐうの音も出なかった。
リュート曰く、最近の私は「妙に目立つ」らしい。
自分じゃ全然わからないけど、確かに服の胸元がパツパツだ。
結局、復帰は延期。
「でも、ずっとこのままってわけにもいかないよ。」
「そうだな…もういっそ、騎士団辞めたら? 元々そのつもりだったんだろ? ちょっと早まっただけじゃん。」
確かに。けど、黙って辞めるのも気が引ける。せめて団長に挨拶したい、と言ったら、
「手紙で十分だよ。胸でっかくて色気ダダ漏れのヘイゼルが騎士団行ったら、パニックだぞ。」
渋々、手紙で退職の意思を伝えた。
呪いの補償金で好きなことを始めると書き、団長への感謝と、騎士団での日々を少し振り返った。
手紙はリュートに届けてもらった。
後日、団長から「体に気をつけろよ」と少し寂しそうな伝言が届いた。
隊長に言われた通り私は自分に呪いがかかってないか確認しに、王宮の魔術師の部屋を訪れた。
薄暗い部屋で、深くフードを被った魔術師が
怪しげな水晶玉を覗き込み、目を細めると、
「おや、こいつは面白い呪いにかかってるね。」
心臓が跳ねたが、続く言葉に拍子抜けした。
「不完全な呪いでね。男から女に帰る呪いだよ。
…まあ君には関係なさそうだが?」
確かに女の私にはなんの意味もなさそうだ。
魔術師は真顔で続けた。
「これから身体がふっくらしたり、胸が膨らむしれないが、まあ、大した影響はないだろう」
正直この呪いを受けたのが私で良かった。
もし他の団員、ましてや団長にかかったら、
騎士団は大騒ぎになっていただろう。
その夜、久しぶりにリュートと酒場に繰り出した。
薄暗い店内に響く笑い声と、木のテーブルに置かれたエール盃の苦い香りが心地よかった。
私は盃を握りしめ、切り出した。
「実は、呪いにかかってたんだ。…まあ、大したことないんだけど、国から補償金が出るらしい。それで、騎士団を辞めようと思う」
リュートは目を丸くし、すぐに豪快に笑った。
「は! お前らしいや。で、辞めて何するんだ?」
「まだ決まってないけど…港町にでも住もうかな。海の匂い、嫌いじゃないし」
彼は盃を傾け、しばらく黙った後、
静かに言った。
「お前、散々苦労してきたもんな。好きなことやれよ。
…でも、引っ越したら手紙よこせ。遊びに行くからな」
その言葉に、胸が熱くなった。
私は笑って頷いたが、どこかで別れの重さが心に沈んでいた。
翌日、いつも通り出勤したが、丈夫が取り柄の私が体調を崩し、早退した。
念のため呪いの影響か確認すべく、リュートに付き添われて王宮の魔術師を訪れた。
「呪いの影響で身体が変化に追いついていないようです。1~2週間は安静にし、異変があればすぐに来なさい。」
魔術師の言葉に、リュートは真剣な顔で頷き、私を家まで送ってくれた。
「メルフィス団長に報告しておくから、ゆっくり休めよ。」
面倒見の良い彼らしい言葉に、つい笑みがこぼれた。
その後、熱や頭痛に悩まされ、1週間は寝込んでいた。
リュートが仕事の合間に看病してくれて、2週間後にはだいぶ回復した。
団長からは「仕事は気にせず休め」と言われていたけど、そろそろ堕落しそうなので、明日から復帰しようとリュートに伝えた。
「まだ早いだろ? 体調も完璧じゃないし…なんつーか、行かない方がいいぞ。」
リュートにしては歯切れが悪い。
「行かないで欲しいって何!?」
「お前、最近自分の身体見たか?」
「は? セクハラ?」
「ちげーよ! ほら、鏡!」
リュートに腕を引っ張られ、姿見の前に立たされた。
映った自分に目が釘付けになった。胸がある。つるぺただった私の胸が、ふっくらと豊かに膨らんでいる。
「うそ、何これ…!」
恐る恐る触ってみると、柔らかな感触。間違いない。本物だ。
「リュート! 私、胸あるよ!」
興奮で叫ぶと、彼は呆れたように額を押さえた。
「なんで今まで気づかねえんだよ。てか、揉むな!」
「だって、服ゆるいし、太っただけかと…!」
「それで出勤したらどうなると思う? 騎士団、大騒ぎだぞ。」
「でも、私元々女だし、勝手に男だと勘違いしてる方が悪いじゃん?」
「その誤解を放置してたお前も悪い。」
ぐうの音も出なかった。
リュート曰く、最近の私は「妙に目立つ」らしい。
自分じゃ全然わからないけど、確かに服の胸元がパツパツだ。
結局、復帰は延期。
「でも、ずっとこのままってわけにもいかないよ。」
「そうだな…もういっそ、騎士団辞めたら? 元々そのつもりだったんだろ? ちょっと早まっただけじゃん。」
確かに。けど、黙って辞めるのも気が引ける。せめて団長に挨拶したい、と言ったら、
「手紙で十分だよ。胸でっかくて色気ダダ漏れのヘイゼルが騎士団行ったら、パニックだぞ。」
渋々、手紙で退職の意思を伝えた。
呪いの補償金で好きなことを始めると書き、団長への感謝と、騎士団での日々を少し振り返った。
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