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第97話 似た様な感覚
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「随分と、慣れてるのね」
「伝えた通り、俺は俺で絡まれることが多かったので」
漫画に出てくるチョロインの様に、あっさりとアストに惚れた……なんて展開はなく、ただ……穏やかな雰囲気に反して、荒々しい止め方にほんの少し驚いていた。
「ただ、俺に嫉妬して絡んできただけであれば、もっと優しく対応する。自分で言うのもあれだが、俺は恵まれてる部類だからな」
アストの功績をある程度把握しているヴァレア、その態度が驕りだとは一切思わなかった。
「けど、あぁいったいい歳してバカな絡み方をしてくる連中は、もう完全に根が腐ってしまってる。だから、さっさと終わらせるには刃を抜いて、別にこっちは殺し合いをしても構わないという態度を魅せるのが手っ取り早い」
「……仮に、あの場で連中が引かなければ、どうしたの?」
「その時は、手首や脚を一本ぐらい切断する。そうすれば、向こうも引き下がるだろう」
(………………本当に、強い人なのね)
快楽故に潰すことを楽しむ……そういった者の眼ではない。
アストは、バカは実際に痛みを感じなければ反省することはないと、前世から思っていた。
ただ、前世では相手がバカな真似をしたからといって、実際に手を出せば法や世論が
許さない。
しかし……この世界では、そこらへんの法がかなりガバガバである。
仮にあそこで下手くそナンパ男が引かず、刃を抜いて斬り掛かかり……宣言通りアストが腕か足を切断しても、周りの者の証言もあってアストが衛兵に捕まることはない。
「本当に、あぁいった連中の行動は理解に苦しむ。美女と飯を食べたい、共に酒を呑みたいという気持ちは解るが……あまりにも方法がバカ過ぎる。そう思わないか?」
「えぇ、そうね。貴族の令息であっても下手くそ人はいたけれど、冒険者になってから何度も思ったけど…………どうして、こう……取り繕ろう? としないのかしら」
美少女、美女と育ってきたヴァレアがナンパ、恋愛的な意味で声を掛けられた回数は数知れず。
そのどれもが真剣な態度、行動での接し方であればまだしも……思わず親指を下に向けたくなるようなナンパは珍しくなかった。
「……ナンパする連中は、そもそも成功するとは思ってない。もしくは、自分の物理的な実力に自信を持ってるから……かもしれないな」
「一つ目の理由は、それならばと解らなくはないけれど、二つは…………どう考えても犯罪者の思考と思うのだけれど」
「………………同じ男でも、全く庇えないな」
もっと言葉を選べなかったと思うも、アストがこの世界で見てきたナンパの光景を思い出す限り……それ以上当てはまる言葉は思い付かなかった。
「顔に自信がないからこそ、他の部分に頼ろうとするのかもしれない」
「他に頼る部分はないのかしら」
「ナンパ程度の誘いなら、金か力かの二択になるな。まぁ、そこはそこでヴァレアには解らない悩みではあると思うが」
一ミリたりとも先程のナンパ迷惑男たちを擁護するつもりはない。
ただ、ザ・言い寄られる側であるヴァレアには、言い寄るしかない男たちの気持ちが解らないというのも、また事実だった。
「解らない悩み、ねぇ…………それはそうと、庇ってくれたことに関しては感謝してるわ。でも、次からは自分で対処するわ」
「……その時によるかな」
「? どういうことかしら」
「物凄く単純な話だ。臨時とはいえ、パーティーを組んでるメンバーが、どう考えてもダルい野郎に絡まれてたら、男としてなんとかしたいって思ってしうかもだろ」
「そういう、ものなのかしら」
一ミリもカッコつけてる空気感がなく、自然体で伝えられた言葉に、一切の不快感を感じない。
「そうだな…………ヴァレアは、クランに所属してるんだよな」
「えぇ、そうよ」
「後ろに後輩がいて、目の前に殺意前回のモンスターがいたら、自然と私が……って気持ちにならないか?」
「それは確かにそういった気持ちになるけれど、でも……同じ感情、なのかしら?」
「全く同じとは言わない。ただ、似た様な感覚ってだけだよ」
「…………そうなのね」
こうして二人は良いか悪いかで言えば、良い感じの状態で過ごし……二日後には目的の街に到着。
因みに、ナンパ下手くそ迷惑男とその仲間たちは、翌日には二人をどうにかしてやろうと、街中を必死で探すも、二人は朝食を食べ終えたら速攻で街を出ていたので、無駄に動き回って一日を無駄にすることになった。
「それじゃあ、明日から探索するわよ」
「あぁ、分かった」
目的の街に到着し、夕食を食べ終えた二人。
ヴァレアは大浴場へと向かう。
そしてアストは……風呂よりも先に、店を開いた。
(新しい街に滞在するとなれば、やはり一度は開かないとな)
明日から探索……それは解っている。
しかっし、アストは店を開いた翌日に依頼を受けるといったスケジュールは日常茶飯事。
特に問題はなく、現在パーティーを組んでいるヴァレアに相談することもなく……店を開いた。
「伝えた通り、俺は俺で絡まれることが多かったので」
漫画に出てくるチョロインの様に、あっさりとアストに惚れた……なんて展開はなく、ただ……穏やかな雰囲気に反して、荒々しい止め方にほんの少し驚いていた。
「ただ、俺に嫉妬して絡んできただけであれば、もっと優しく対応する。自分で言うのもあれだが、俺は恵まれてる部類だからな」
アストの功績をある程度把握しているヴァレア、その態度が驕りだとは一切思わなかった。
「けど、あぁいったいい歳してバカな絡み方をしてくる連中は、もう完全に根が腐ってしまってる。だから、さっさと終わらせるには刃を抜いて、別にこっちは殺し合いをしても構わないという態度を魅せるのが手っ取り早い」
「……仮に、あの場で連中が引かなければ、どうしたの?」
「その時は、手首や脚を一本ぐらい切断する。そうすれば、向こうも引き下がるだろう」
(………………本当に、強い人なのね)
快楽故に潰すことを楽しむ……そういった者の眼ではない。
アストは、バカは実際に痛みを感じなければ反省することはないと、前世から思っていた。
ただ、前世では相手がバカな真似をしたからといって、実際に手を出せば法や世論が
許さない。
しかし……この世界では、そこらへんの法がかなりガバガバである。
仮にあそこで下手くそナンパ男が引かず、刃を抜いて斬り掛かかり……宣言通りアストが腕か足を切断しても、周りの者の証言もあってアストが衛兵に捕まることはない。
「本当に、あぁいった連中の行動は理解に苦しむ。美女と飯を食べたい、共に酒を呑みたいという気持ちは解るが……あまりにも方法がバカ過ぎる。そう思わないか?」
「えぇ、そうね。貴族の令息であっても下手くそ人はいたけれど、冒険者になってから何度も思ったけど…………どうして、こう……取り繕ろう? としないのかしら」
美少女、美女と育ってきたヴァレアがナンパ、恋愛的な意味で声を掛けられた回数は数知れず。
そのどれもが真剣な態度、行動での接し方であればまだしも……思わず親指を下に向けたくなるようなナンパは珍しくなかった。
「……ナンパする連中は、そもそも成功するとは思ってない。もしくは、自分の物理的な実力に自信を持ってるから……かもしれないな」
「一つ目の理由は、それならばと解らなくはないけれど、二つは…………どう考えても犯罪者の思考と思うのだけれど」
「………………同じ男でも、全く庇えないな」
もっと言葉を選べなかったと思うも、アストがこの世界で見てきたナンパの光景を思い出す限り……それ以上当てはまる言葉は思い付かなかった。
「顔に自信がないからこそ、他の部分に頼ろうとするのかもしれない」
「他に頼る部分はないのかしら」
「ナンパ程度の誘いなら、金か力かの二択になるな。まぁ、そこはそこでヴァレアには解らない悩みではあると思うが」
一ミリたりとも先程のナンパ迷惑男たちを擁護するつもりはない。
ただ、ザ・言い寄られる側であるヴァレアには、言い寄るしかない男たちの気持ちが解らないというのも、また事実だった。
「解らない悩み、ねぇ…………それはそうと、庇ってくれたことに関しては感謝してるわ。でも、次からは自分で対処するわ」
「……その時によるかな」
「? どういうことかしら」
「物凄く単純な話だ。臨時とはいえ、パーティーを組んでるメンバーが、どう考えてもダルい野郎に絡まれてたら、男としてなんとかしたいって思ってしうかもだろ」
「そういう、ものなのかしら」
一ミリもカッコつけてる空気感がなく、自然体で伝えられた言葉に、一切の不快感を感じない。
「そうだな…………ヴァレアは、クランに所属してるんだよな」
「えぇ、そうよ」
「後ろに後輩がいて、目の前に殺意前回のモンスターがいたら、自然と私が……って気持ちにならないか?」
「それは確かにそういった気持ちになるけれど、でも……同じ感情、なのかしら?」
「全く同じとは言わない。ただ、似た様な感覚ってだけだよ」
「…………そうなのね」
こうして二人は良いか悪いかで言えば、良い感じの状態で過ごし……二日後には目的の街に到着。
因みに、ナンパ下手くそ迷惑男とその仲間たちは、翌日には二人をどうにかしてやろうと、街中を必死で探すも、二人は朝食を食べ終えたら速攻で街を出ていたので、無駄に動き回って一日を無駄にすることになった。
「それじゃあ、明日から探索するわよ」
「あぁ、分かった」
目的の街に到着し、夕食を食べ終えた二人。
ヴァレアは大浴場へと向かう。
そしてアストは……風呂よりも先に、店を開いた。
(新しい街に滞在するとなれば、やはり一度は開かないとな)
明日から探索……それは解っている。
しかっし、アストは店を開いた翌日に依頼を受けるといったスケジュールは日常茶飯事。
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