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第一章
第25話 神の抜け道
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我が家の朝は早い……というより、獣耳幼女たちが日の出とほぼ同時に目を覚ます。
数日前から三人は、微睡む俺の上に乗って起こすようになった。とても楽しいらしく、目を開けると真っ先に輝くような笑顔を見られる。おかげで、とても寝覚めがいい。
続いては、『あさゴハン!』の大合唱。
基本は目玉焼きトーストなど、日によってメニューは違えど簡単なもので済ませている。あと幼女たちには、バナナやキウイなどのフルーツも出すようになった。飲み物は牛乳。好き嫌いせず、しっかり食べてくれている。
今朝からはサリアさんも一緒なので、とりあえず同じメニューを提供した……のだが、食材をもっとたくさん買い込んでおかないとダメそうだ。
「美味いっ、美味すぎる! なんと贅沢な食事だ! まるで王侯貴族ではないか!」
スウェット姿のサリアさんが、グレーアッシュのふさふさ尻尾を興奮気味に揺らしながら、バクバクと恐ろしい勢いで朝食をかき込んでいる。
もはや焼くのが間に合わず、食パンにいちごジャムを乗せてそのままいっちゃっている。牛乳なんて、1リットルパックを一息で飲みきってしまった。
これが、無双の餓狼たる由縁……冗談はさておき、我が家のエンゲル係数が本気でヤバイ。昨夜の晩飯でも痛感していたが、日本サイドでもお金を稼がないと食費でたちまち破産しちゃいそうだ。
「おーこーきぞく……?」
「リリ、しってる! ラクスジットのリョーシュサマのことでしょ!」
よく食べるのは、幼女たちも同じ。サリアさんの発言に頭の獣耳を傾けつつも、手を止めず食事を続けるエマとリリである。ルルも、黙々と口を動かして……ああ、そんなにケチャップをはねさせないで。またパジャマの染み抜きをしないと。
境遇ゆえか、三人とも本当によく食べる。あの小柄な体のどこに入っていくのか不思議に思うほどだ。でもこれ、注意しておかないと肥満になりかねないな。
幼女たちの体型に気を配らねば、と俺はホットコーヒーを飲みながら密かに決意する。
と、そこで。
顎に届く長さの黒髪に寝癖をつけたルルが、尻尾をゆらゆらさせながらこちらへやって来た。
そのまま、あぐらをかく俺の懐へスルリと潜り込む。おまけにこちらを見上げ、口をパクパクと動かす。
テーブルには、キウイフルーツとバナナをカットして盛った小ぶりな皿が。
まだフォークをうまく使えないので、俺に食べさせてもらおうとやってくるのだ。食事時には、すっかり定番の光景である。
甘やかしてばかりなのは良くない、と理解はしている……でもまあ、今日くらいはいいよね、の精神である。これも、もはや定番だ。
もちろん、羨ましがって騒ぎ出すエマとルルにも順番に食べさせてあげる。なぜかサリアさんまで「私にも食べさせてくれ!」と便乗してくるが、さらっと流して朝食を終えた。
その後、短い食休みを挟んでお出かけの準備に取り掛かる。
本日は、異世界の街である『ラクスジット』の観光へ向かう予定だ。
サリアさんはけっこう詳しいそうで、快くガイドを請け負ってくれた。加えて、「私がいれば安全も確保できる」と胸を張って豪語していた。かなり楽しみにしていたので、今からもうワクワクである。
「うん、いいね。三人とも、今日もお姫様みたいだよ」
「えへへ……サクタローさん、ありがとうございます!」
「わーい、お姫さまだって!」
歯磨きや洗顔などの身支度を済ませ、幼女たちを着替えさせた。
衣服はそれぞれ、オータムカラー系のトップスやキュロットスカートなどを選んである。姪の夏実ちゃんのお下がりではあるものの、よそ行きのちょっと上等なやつだ。
悪いけど、新品はまだおあずけ。尻尾穴を開けるのに慣れてないからね。
それでもエマとリリは弾んだ声をあげ、ルルは飛び跳ねて喜びを表現してくれた。
「ふむ……本当に貴族の令嬢と見紛うばかりだな。いいか? 街を歩くときは、絶対に私とサクタロー殿のそばを離れてはダメだぞ」
スウェット姿のままのサリアさんが言うには、裕福な家の子だと思われて誘拐される恐れがあるそうだ。
しまった、また異世界サイドの治安レベルを失念していた……腰のベルトに装着するタイプの『手つなぎリング』はネットで注文しておいたけど、これで対策になるだろうか?
「そう深刻に考えなくても大丈夫だ。この私の目の届く範囲にさえいてくれれば、何があっても守り通してみせよう」
「そっか。なら、頼りにしてるね。それで……サリアさんは、その格好でいいの?」
「うむ。快適で動きやすく、不思議とシックリくる」
どうやら、グレーのスウェットのままお出かけするらしい。
おまけに足元は、クロッグサンダル。庭に出る用として置いてあったものだが、なぜか気に入ったみたい。
美しすぎる外見を除けば、やはりそのままドンキ・ホーテにでも向かいそうなスタイルだ。
まあ、成人女性向けの服なんて我が家にないしね。仕方ないね。
「あの……サンダルで本当に大丈夫?」
「問題ない。歩きやすいし、足裏が心地いい」
履き心地を尋ねたわけじゃないんだけどな……せめてスニーカーでもと思ったが、結局は「何かあれば裸足で対応する」と言われて納得した。
とりあえず、俺も私服に着替えて準備オーケー。皆で我が家の納戸へ向かい、謎の地下通路の出入り口で靴を履いて異世界へ向かう。無論、虹色ゲートは依然として健在だ。
「じゃあ、三人で『じゃんけん』してね。約束通り、勝った人から順番に肩車するからね」
「はーい! せーの、じゃんけんぽんっ――やったー、わたしの勝ち! サクタローさん……!」
「はいよ……っと、そういえば『神の抜け道』ってなんだったの?」
覚えたばかりのじゃんけんに勝って大はしゃぎするエマを肩車し、揃って頬をふくらませるリリとルルにしっかり手つなぎリングを握らせる。次いで俺は、昨夜聞きそびれたままだった疑問を口にした。
「ああ、説明し忘れていたな。では、歩きながら語ろう」
私もそう詳しいわけではないが、と前置きしてサリアさんは教えてくれた。
かつて、この大地には果てなき争いが満ちていた。戦火は荒れ狂い、時に一国の栄華すら灰に帰すほどであったという。
ある時、ひとつの街が敵の軍勢に包囲された。逃げ道は閉ざされ、援軍も望めぬ絶望の淵にあった。人々は、嘆きの中で滅びの刻を待つほかなかった。
だがそのとき、一人の無垢な少女が天へと祈りを捧げた。ただ真摯に、静かに祈ったのだ――やがて、その祈りにある神が応えたという。
『汝、密なる抜け道を進みて救いを得よ』
神の声、すなわち神託を受けた少女はその指示に従い、包囲された街の外れへと人々を導いた。そうして眼前に現れたのは、美しき虹の門であった。その門を通り抜け、人々は無事に別の街へと逃れ去ったという。
「その後、もぬけの殻となった街に敵の軍勢が押し寄せた。当然、虹の門はすぐに見つかった。だが、誰一人として通過することができなかった。まるで昨日の私のように――それゆえ、『神の抜け道』と呼ばれている」
そう話を締めくくったサリアさんは、先ほど一緒に潜った虹色ゲートを一瞬だけ振り返り、廃聖堂へ続く階段を上がっていく。俺もやや遅れて足を進めながら、「なるほどねえ」と相槌を打つ。
聖書にでもありそうな逸話だ。ちなみに、神の抜け道にも様々なバリエーションが存在するという。どうやら異世界の神々は、わりと自由奔放に奇跡を振る舞っているらしい。
「もっとも、異なる世界へ通じる門は二つとあるまいが――ではサクタロー殿、ここでしばし待機だ。私は付近の様子を確認してくる」
気の抜けた態度から一転、鋭さを帯びた表情のサリアさんが一人で先に廃聖堂へ足を踏み入れる。周囲の安全チェックを行ってくれるのだ。
と、ここで肩車していたエマの声が柔らかく耳に届く。
「あ、あの……わたし、神さまにまいにちおれい言ってます。サクタローさんと会わせてくれてありがとう、って!」
先ほどの話に触発されたようだ。続けてリリも、元気よく「リリも言ってるよ! シャンプーで目つぶってるときに!」とアピールしてくれた。さらにルルが『わたしも!』とでも言いたげに、俺の足にぴたりとくっついてくる。
堪らなく嬉しくなり、「俺も一緒だよ」と応えつつ足元の二人の頭を順番に撫で回す。最後に感覚だけでエマの頭を撫でようとしたら、獣耳に触れたらしく「きゃー!」とくすぐったそうな声があがった。
ほどなく、サリアさんから「問題ない」と声がかかった。
幼女たちを連れて、俺は廃聖堂へ足を踏み入れる。最高の気分の中、いよいよ異世界の観光スタートだ。
数日前から三人は、微睡む俺の上に乗って起こすようになった。とても楽しいらしく、目を開けると真っ先に輝くような笑顔を見られる。おかげで、とても寝覚めがいい。
続いては、『あさゴハン!』の大合唱。
基本は目玉焼きトーストなど、日によってメニューは違えど簡単なもので済ませている。あと幼女たちには、バナナやキウイなどのフルーツも出すようになった。飲み物は牛乳。好き嫌いせず、しっかり食べてくれている。
今朝からはサリアさんも一緒なので、とりあえず同じメニューを提供した……のだが、食材をもっとたくさん買い込んでおかないとダメそうだ。
「美味いっ、美味すぎる! なんと贅沢な食事だ! まるで王侯貴族ではないか!」
スウェット姿のサリアさんが、グレーアッシュのふさふさ尻尾を興奮気味に揺らしながら、バクバクと恐ろしい勢いで朝食をかき込んでいる。
もはや焼くのが間に合わず、食パンにいちごジャムを乗せてそのままいっちゃっている。牛乳なんて、1リットルパックを一息で飲みきってしまった。
これが、無双の餓狼たる由縁……冗談はさておき、我が家のエンゲル係数が本気でヤバイ。昨夜の晩飯でも痛感していたが、日本サイドでもお金を稼がないと食費でたちまち破産しちゃいそうだ。
「おーこーきぞく……?」
「リリ、しってる! ラクスジットのリョーシュサマのことでしょ!」
よく食べるのは、幼女たちも同じ。サリアさんの発言に頭の獣耳を傾けつつも、手を止めず食事を続けるエマとリリである。ルルも、黙々と口を動かして……ああ、そんなにケチャップをはねさせないで。またパジャマの染み抜きをしないと。
境遇ゆえか、三人とも本当によく食べる。あの小柄な体のどこに入っていくのか不思議に思うほどだ。でもこれ、注意しておかないと肥満になりかねないな。
幼女たちの体型に気を配らねば、と俺はホットコーヒーを飲みながら密かに決意する。
と、そこで。
顎に届く長さの黒髪に寝癖をつけたルルが、尻尾をゆらゆらさせながらこちらへやって来た。
そのまま、あぐらをかく俺の懐へスルリと潜り込む。おまけにこちらを見上げ、口をパクパクと動かす。
テーブルには、キウイフルーツとバナナをカットして盛った小ぶりな皿が。
まだフォークをうまく使えないので、俺に食べさせてもらおうとやってくるのだ。食事時には、すっかり定番の光景である。
甘やかしてばかりなのは良くない、と理解はしている……でもまあ、今日くらいはいいよね、の精神である。これも、もはや定番だ。
もちろん、羨ましがって騒ぎ出すエマとルルにも順番に食べさせてあげる。なぜかサリアさんまで「私にも食べさせてくれ!」と便乗してくるが、さらっと流して朝食を終えた。
その後、短い食休みを挟んでお出かけの準備に取り掛かる。
本日は、異世界の街である『ラクスジット』の観光へ向かう予定だ。
サリアさんはけっこう詳しいそうで、快くガイドを請け負ってくれた。加えて、「私がいれば安全も確保できる」と胸を張って豪語していた。かなり楽しみにしていたので、今からもうワクワクである。
「うん、いいね。三人とも、今日もお姫様みたいだよ」
「えへへ……サクタローさん、ありがとうございます!」
「わーい、お姫さまだって!」
歯磨きや洗顔などの身支度を済ませ、幼女たちを着替えさせた。
衣服はそれぞれ、オータムカラー系のトップスやキュロットスカートなどを選んである。姪の夏実ちゃんのお下がりではあるものの、よそ行きのちょっと上等なやつだ。
悪いけど、新品はまだおあずけ。尻尾穴を開けるのに慣れてないからね。
それでもエマとリリは弾んだ声をあげ、ルルは飛び跳ねて喜びを表現してくれた。
「ふむ……本当に貴族の令嬢と見紛うばかりだな。いいか? 街を歩くときは、絶対に私とサクタロー殿のそばを離れてはダメだぞ」
スウェット姿のままのサリアさんが言うには、裕福な家の子だと思われて誘拐される恐れがあるそうだ。
しまった、また異世界サイドの治安レベルを失念していた……腰のベルトに装着するタイプの『手つなぎリング』はネットで注文しておいたけど、これで対策になるだろうか?
「そう深刻に考えなくても大丈夫だ。この私の目の届く範囲にさえいてくれれば、何があっても守り通してみせよう」
「そっか。なら、頼りにしてるね。それで……サリアさんは、その格好でいいの?」
「うむ。快適で動きやすく、不思議とシックリくる」
どうやら、グレーのスウェットのままお出かけするらしい。
おまけに足元は、クロッグサンダル。庭に出る用として置いてあったものだが、なぜか気に入ったみたい。
美しすぎる外見を除けば、やはりそのままドンキ・ホーテにでも向かいそうなスタイルだ。
まあ、成人女性向けの服なんて我が家にないしね。仕方ないね。
「あの……サンダルで本当に大丈夫?」
「問題ない。歩きやすいし、足裏が心地いい」
履き心地を尋ねたわけじゃないんだけどな……せめてスニーカーでもと思ったが、結局は「何かあれば裸足で対応する」と言われて納得した。
とりあえず、俺も私服に着替えて準備オーケー。皆で我が家の納戸へ向かい、謎の地下通路の出入り口で靴を履いて異世界へ向かう。無論、虹色ゲートは依然として健在だ。
「じゃあ、三人で『じゃんけん』してね。約束通り、勝った人から順番に肩車するからね」
「はーい! せーの、じゃんけんぽんっ――やったー、わたしの勝ち! サクタローさん……!」
「はいよ……っと、そういえば『神の抜け道』ってなんだったの?」
覚えたばかりのじゃんけんに勝って大はしゃぎするエマを肩車し、揃って頬をふくらませるリリとルルにしっかり手つなぎリングを握らせる。次いで俺は、昨夜聞きそびれたままだった疑問を口にした。
「ああ、説明し忘れていたな。では、歩きながら語ろう」
私もそう詳しいわけではないが、と前置きしてサリアさんは教えてくれた。
かつて、この大地には果てなき争いが満ちていた。戦火は荒れ狂い、時に一国の栄華すら灰に帰すほどであったという。
ある時、ひとつの街が敵の軍勢に包囲された。逃げ道は閉ざされ、援軍も望めぬ絶望の淵にあった。人々は、嘆きの中で滅びの刻を待つほかなかった。
だがそのとき、一人の無垢な少女が天へと祈りを捧げた。ただ真摯に、静かに祈ったのだ――やがて、その祈りにある神が応えたという。
『汝、密なる抜け道を進みて救いを得よ』
神の声、すなわち神託を受けた少女はその指示に従い、包囲された街の外れへと人々を導いた。そうして眼前に現れたのは、美しき虹の門であった。その門を通り抜け、人々は無事に別の街へと逃れ去ったという。
「その後、もぬけの殻となった街に敵の軍勢が押し寄せた。当然、虹の門はすぐに見つかった。だが、誰一人として通過することができなかった。まるで昨日の私のように――それゆえ、『神の抜け道』と呼ばれている」
そう話を締めくくったサリアさんは、先ほど一緒に潜った虹色ゲートを一瞬だけ振り返り、廃聖堂へ続く階段を上がっていく。俺もやや遅れて足を進めながら、「なるほどねえ」と相槌を打つ。
聖書にでもありそうな逸話だ。ちなみに、神の抜け道にも様々なバリエーションが存在するという。どうやら異世界の神々は、わりと自由奔放に奇跡を振る舞っているらしい。
「もっとも、異なる世界へ通じる門は二つとあるまいが――ではサクタロー殿、ここでしばし待機だ。私は付近の様子を確認してくる」
気の抜けた態度から一転、鋭さを帯びた表情のサリアさんが一人で先に廃聖堂へ足を踏み入れる。周囲の安全チェックを行ってくれるのだ。
と、ここで肩車していたエマの声が柔らかく耳に届く。
「あ、あの……わたし、神さまにまいにちおれい言ってます。サクタローさんと会わせてくれてありがとう、って!」
先ほどの話に触発されたようだ。続けてリリも、元気よく「リリも言ってるよ! シャンプーで目つぶってるときに!」とアピールしてくれた。さらにルルが『わたしも!』とでも言いたげに、俺の足にぴたりとくっついてくる。
堪らなく嬉しくなり、「俺も一緒だよ」と応えつつ足元の二人の頭を順番に撫で回す。最後に感覚だけでエマの頭を撫でようとしたら、獣耳に触れたらしく「きゃー!」とくすぐったそうな声があがった。
ほどなく、サリアさんから「問題ない」と声がかかった。
幼女たちを連れて、俺は廃聖堂へ足を踏み入れる。最高の気分の中、いよいよ異世界の観光スタートだ。
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