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娼婦のような女
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「こんばんはっ。私、リンゼ=パープですっ。実は……折り入ってお話が……。少し人目のつかないところにいきたいんですけどぅ。」
目を潤ませながら、リンゼは目の前の麗しい王子を見つめた。
ああ。
やっぱりカッコイイ。
スラリとした体躯。
程よく着いた筋肉のラインは美しく、顔も凛々しくてかっこいい。
間近で見るとちょっと違うわぁ。
大人の色気を感じる。
セクシィー♡♡
「なんだい?完全に二人っきりはちょっと…。少しバルコニーに出るくらいなら…。」
2人でそっとバルコニーに出る。
月明り。
そして、夜の香りの中、薔薇のフレグランスが漂う。
「それで、話とは…。」
「これを…。」
リンゼはたわわに零れそうな胸を揺らし、すっと手紙を取り出した。
それは、ポーネ先生からアムールへのラブレター。
「お妃さまは浮気をしてらっしゃるのですわっ!昔の男が忘れられないのですっ!かわいそうな王太子殿下、私がお慰めいたしますわっ!!!」
あえて隙を見せると、この痴女は突進してきた。
本当はなんてことない重みだけど…。わざと押しつぶされ、彼女に押し倒された形に持ってきた。
「……なんてこと!」
サンベリル殿下の声。
倒れた瞬間に、弟殿下に見つかったらしい。
キャアアアア!と悲鳴も聞こえている。
ふふふ。そこまでのつもりはなかったんだけど、できちゃった?既成事実!?
リンゼの頭の中はバラ色だ。
「大丈夫?ネニュファール!」
「ネニュ!!」
………えっ?
サンベリル殿下が見守る中、殿下の婚約者とハーバード公爵夫人が倒れた彼を起こす。
うそ…。
さっき見たときは確かに王太子だったわ!
髪の色もストロベリーブロンドだったもの!
なんで!なんでぇ??
私が押し倒していたのは、オレリアン公爵である三男のネニュファール殿下だった。
「……あいたた。私の顔はお兄様にそっくりですからね。間違えたようですよ。」
「まあ、間違えたって言ってもねぇ…。側妃狙いだとしても品がないのではくて?」
「ああ、あの子はお姉さまと違って、出来が悪いのよ。」
クスクス言われて、両親も赤くなったり青くなったり顔色が忙しい。
「なっ、なによぉ!!!王太子妃にはねえ!思いあってる方がいたのよ!不貞よ!お妃には相応しくないわ!」
「何バカなことを言ってるんですか?この手紙のことです?ポーネ先生…。マルコポーネ侯爵令息は王太子妃の幼馴染で友人ですよ。男爵令嬢が王太子妃を嵌めようなどと…。」
「愛しい旦那様。大事がなくて何よりです。蛾の鱗粉がせっかくの衣装についてしまって…。王太子のレイプ未遂に王族への不敬に傷害。王太子妃への侮辱罪ですか。せっかくのお祝いの日に残念ですね。」
ハーバードとネニュファールは寄り添った。
「ポーネ???マルコポーネ侯爵令息ですって???何を言っているの…??」
「あなたから押し付けられたこの手紙ですよ。ちょっとした行き違いがあったようで、誤解を与える文面を書いてしまったからと直接お城に本人がいらっしゃいましたよ。幼馴染をよろしく頼むとのことでした。最近、お兄様の側妃にっていう圧力がかなりありましたからね。その噂を聞いて、大事な幼馴染が大事にされていないのでは…と、思い余ってしまっていたようで。誤解も解けましたし、これでこの手紙も不要ですね。」
ネニュファールは、手紙を破って火魔法を使い、目の前で燃やした。
「でっ、でも、確かにポーネ先生は王太子妃を…。」
汗を掻きながら狼狽えるリンゼに対し、サンベリルが指し示す。
「マルコポーネ侯爵令息ならあちらに。」
見れば、艶やかな黒髪を後ろに流し、端正な面持ちの美形の男性が灰色のスーツにスモーキーピンクのハンカチーフをあわせて、スモーキーピンクの髪の女性とダンスをしている。
ええええ!???うそ!あれがあああっ!?
どうせ平民だろうとバカにしていた野暮ったい男があんなに素敵なんて。
しかも侯爵だなんて。
一緒にダンスをしているのは誰なのかしら。あんなに綺麗な人、見たことがない。
みんな口々に素敵だ、美男美女だとほめたたえており、二人はまんざらでもなく見つめあっては頬を染めている。
「あの女性は貴方のお姉さんですよ。あなたとは月とすっぽん、なんとも素晴らしい女性だ。マックイーン伯爵家の養女になられて、エトワーゼ=マックイーン。あなたとはもはや他人ですね。マックイーン家の勤める神殿で聖女候補として勤めている心も体も美しく、賢い女性です。」
「あ~あ。それに比べてあなたはやらかしたものだ。男爵家も丸ごと破滅でしょうね。」
ハーバードがにっこりとほほ笑む。
「嘘よ、嘘!お姉さまはあんなに美しくなかったわ…!」
「お姉さまはあなたみたいに股が緩くなかったから、自分を飾るより勉学に力を入れていただけですよ。同じようにドレスアップすれば……その気になればいつでも綺麗になれたのです。本当は、あなたよりもうんと美しかったのですよ。」
くすくすと令嬢たちの笑い声が聞こえる。
なによ、あんたたちだって!あんたたちだって似たようなものじゃないのよ!
自分はもうおしまいだ。
股の緩い、下品でバカな女だと認定されてしまった。
本当は優良物件が目の前に転がっていたのに、気づくこともできなかった…。
唇をかみしめ、両親を見ると、目を背けられた。
そして、ファンファーレが鳴り、陛下妃殿下と、王太子と王太子妃がお目見えとなった。
目を潤ませながら、リンゼは目の前の麗しい王子を見つめた。
ああ。
やっぱりカッコイイ。
スラリとした体躯。
程よく着いた筋肉のラインは美しく、顔も凛々しくてかっこいい。
間近で見るとちょっと違うわぁ。
大人の色気を感じる。
セクシィー♡♡
「なんだい?完全に二人っきりはちょっと…。少しバルコニーに出るくらいなら…。」
2人でそっとバルコニーに出る。
月明り。
そして、夜の香りの中、薔薇のフレグランスが漂う。
「それで、話とは…。」
「これを…。」
リンゼはたわわに零れそうな胸を揺らし、すっと手紙を取り出した。
それは、ポーネ先生からアムールへのラブレター。
「お妃さまは浮気をしてらっしゃるのですわっ!昔の男が忘れられないのですっ!かわいそうな王太子殿下、私がお慰めいたしますわっ!!!」
あえて隙を見せると、この痴女は突進してきた。
本当はなんてことない重みだけど…。わざと押しつぶされ、彼女に押し倒された形に持ってきた。
「……なんてこと!」
サンベリル殿下の声。
倒れた瞬間に、弟殿下に見つかったらしい。
キャアアアア!と悲鳴も聞こえている。
ふふふ。そこまでのつもりはなかったんだけど、できちゃった?既成事実!?
リンゼの頭の中はバラ色だ。
「大丈夫?ネニュファール!」
「ネニュ!!」
………えっ?
サンベリル殿下が見守る中、殿下の婚約者とハーバード公爵夫人が倒れた彼を起こす。
うそ…。
さっき見たときは確かに王太子だったわ!
髪の色もストロベリーブロンドだったもの!
なんで!なんでぇ??
私が押し倒していたのは、オレリアン公爵である三男のネニュファール殿下だった。
「……あいたた。私の顔はお兄様にそっくりですからね。間違えたようですよ。」
「まあ、間違えたって言ってもねぇ…。側妃狙いだとしても品がないのではくて?」
「ああ、あの子はお姉さまと違って、出来が悪いのよ。」
クスクス言われて、両親も赤くなったり青くなったり顔色が忙しい。
「なっ、なによぉ!!!王太子妃にはねえ!思いあってる方がいたのよ!不貞よ!お妃には相応しくないわ!」
「何バカなことを言ってるんですか?この手紙のことです?ポーネ先生…。マルコポーネ侯爵令息は王太子妃の幼馴染で友人ですよ。男爵令嬢が王太子妃を嵌めようなどと…。」
「愛しい旦那様。大事がなくて何よりです。蛾の鱗粉がせっかくの衣装についてしまって…。王太子のレイプ未遂に王族への不敬に傷害。王太子妃への侮辱罪ですか。せっかくのお祝いの日に残念ですね。」
ハーバードとネニュファールは寄り添った。
「ポーネ???マルコポーネ侯爵令息ですって???何を言っているの…??」
「あなたから押し付けられたこの手紙ですよ。ちょっとした行き違いがあったようで、誤解を与える文面を書いてしまったからと直接お城に本人がいらっしゃいましたよ。幼馴染をよろしく頼むとのことでした。最近、お兄様の側妃にっていう圧力がかなりありましたからね。その噂を聞いて、大事な幼馴染が大事にされていないのでは…と、思い余ってしまっていたようで。誤解も解けましたし、これでこの手紙も不要ですね。」
ネニュファールは、手紙を破って火魔法を使い、目の前で燃やした。
「でっ、でも、確かにポーネ先生は王太子妃を…。」
汗を掻きながら狼狽えるリンゼに対し、サンベリルが指し示す。
「マルコポーネ侯爵令息ならあちらに。」
見れば、艶やかな黒髪を後ろに流し、端正な面持ちの美形の男性が灰色のスーツにスモーキーピンクのハンカチーフをあわせて、スモーキーピンクの髪の女性とダンスをしている。
ええええ!???うそ!あれがあああっ!?
どうせ平民だろうとバカにしていた野暮ったい男があんなに素敵なんて。
しかも侯爵だなんて。
一緒にダンスをしているのは誰なのかしら。あんなに綺麗な人、見たことがない。
みんな口々に素敵だ、美男美女だとほめたたえており、二人はまんざらでもなく見つめあっては頬を染めている。
「あの女性は貴方のお姉さんですよ。あなたとは月とすっぽん、なんとも素晴らしい女性だ。マックイーン伯爵家の養女になられて、エトワーゼ=マックイーン。あなたとはもはや他人ですね。マックイーン家の勤める神殿で聖女候補として勤めている心も体も美しく、賢い女性です。」
「あ~あ。それに比べてあなたはやらかしたものだ。男爵家も丸ごと破滅でしょうね。」
ハーバードがにっこりとほほ笑む。
「嘘よ、嘘!お姉さまはあんなに美しくなかったわ…!」
「お姉さまはあなたみたいに股が緩くなかったから、自分を飾るより勉学に力を入れていただけですよ。同じようにドレスアップすれば……その気になればいつでも綺麗になれたのです。本当は、あなたよりもうんと美しかったのですよ。」
くすくすと令嬢たちの笑い声が聞こえる。
なによ、あんたたちだって!あんたたちだって似たようなものじゃないのよ!
自分はもうおしまいだ。
股の緩い、下品でバカな女だと認定されてしまった。
本当は優良物件が目の前に転がっていたのに、気づくこともできなかった…。
唇をかみしめ、両親を見ると、目を背けられた。
そして、ファンファーレが鳴り、陛下妃殿下と、王太子と王太子妃がお目見えとなった。
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