最強で美人なお飾り嫁（♂）は無自覚に無双する

俺が天才だから伯爵家がうまくいっているんだ

「ねぇ～。ドライドぉ。いつ私をお嫁さんにしてくれるのぉ？奥さんオメガのくせにすっごいブスでバカなんでしょ～？」


顔はまあまあ、体は極上の娼婦のような女。

どこぞの子爵令嬢だったか。

もう、この女も切り時だな、とドライド＝フィッシュ伯爵は思う。

遅くに出来た子で、両親は３年前に鬼籍に入った。

要領が悪く、人が良すぎる両親は借金をこさえ、伯爵家も傾いて。


公爵家のオメガを嫁に迎えて、信用を得、なんとか家は持ちこたえて今では潤っている。



当座の資金を調達するため、信用を得るためにもらった嫁は男で、美しくもない。

見たくもないし、自分の愛を期待されても嫌だから書面のみで結婚した。

一生手を出すつもりはないが、王家に連なる公爵家の血筋というのは有用だ。


だから、離婚するつもりはない。


女は愛人として囲うか、子さえ生まれれば用済みで手切れ金を渡して別れるつもりなのに、子が出来る前に勘違いをする女が多すぎる。

子どもは夫婦との間の子にしなければならないんだ。


なんでそれが分からない？



また女を見繕ってこなければ。






女が屋敷から出れば、朝食をとって執事に今日の報告を受ける。

うちの使用人は優秀だ。

適材適所、報告を受けて命令すれば私が領地経営をしなくてもうまくいく。

トップは自ら汗を掻く必要はない。


人を使うのが大事なんだ。


私は天才だ。





妻となった男を押し込めた離れ。

全く、養ってやってるだけでもありがたく思ってほしい。