最強で美人なお飾り嫁（♂）は無自覚に無双する

押しつけよう

「使用人が全員いなくなったのよ！私、あんな情けない人とは暮らせないわ！」

帰ってくるなりぷりぷり怒っているマチルダに唖然とする。


どうしよう。この不良債権…………。


「こんなこと言っても、貴方もう純潔をあの人にあげてしまった後じゃないの！」

「でも、お金持ちでもなかったのよ！お金持ちはミリオンだったの！冒険者で稼いでたんですって！領地経営もミリオンがしてたの！あの人かっこいいけど何もできないのよ！」


ミリオン！？

私の中にふつふつと闇だまりができた。

お姉様の子。
学校に行かせなかったのに。
オメガなのに。

「マチルダ！あの子に出来たのなら、貴女にだって出来ます！使用人がいないなら、あなたが気に入る使用人を一から揃えたらいいのよ！借金はないのだし、領地は栄えているんだから、税収だけでも相当なはずよ！足りなきゃちょっとくらい増税したらいいわ！それに、旦那さまが頼りないくらいいいじゃない！貴方が主導権を握れるわよ！」

「そう？そっか！」


マチルダはその気になってくれた。

よかった。


お姉様の子に出来たことなら、私の子に出来ないはずはないわ。

お姉様の子に負けてなるものですか！



「お母様。ちょうどいいからすぐ結婚式をあげましょう。親族なのだから、ミリオンも呼んで祝い金を奮発させなくては。」

ルイーダが現れて、ニコリと笑った。

そうね！

そうだわ！


マチルダには嫁いで家から離れてもらわなくちゃ困るし。
純潔も捧げたのだから、責任を取らせないと。






僕が公爵になるのに、障害になるものは撤去しなきゃ。

普通では僕は公爵になれなかった。

アルファを産む前に伯母夫婦が亡くなり、僕がアルファだったから、僕たちは此処に来られた。

お父様はアルファだけど、婿だから継げない。
だから、この家の公爵は本当は僕で、お父様は代理。


オメガは後を継げない。

唯一継げるのは、王族のアルファが夫になる場合。
王族だけは、婿でも後を継げる。


だから、念には念を入れて、ミリオンも追い出した。


そこまでして手に入れたのに、身内にケチをつけられたら、たまらないんだよ。


天使のような顔の裏で、ほくそ笑む。