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陛下と王妃と青い眼の側妃
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「あぁ、どうしよう。このお酒、美味しいですね。」
前世のあざとい系女子に今、僕はなりきる!
カナリアのとこもカナリアのとこで、このカス王子に放置された令嬢がハニトラしようとしているみたい。
<大丈夫?ミリオン。>
頭の中で念話で会話。
<大丈夫大丈夫。ちょっとおえーって感じだけど。そっちは?>
<こっちも。香水きつすぎ。化粧濃すぎ。嗅覚が壊れそう。>
<まあちゃっちゃと終わらせよ。>
<オッケー。>
「いい酒でしょう。ちょっとアルコール度数は高めですけど、飲みやすいし。」
(ちょっとじゃないだろ、これ。LV99の解毒が毒扱いしてるんだけど。)
「ふふ、なんだか酔っちゃったみたい~。」
「向こうに休憩場所がありますよ。一緒に行きませんか?」
「えぇ、休憩?大丈夫ですよぉ、場所さえ教えてくれたら一人で行きますよ。あ、侍女さんに聞いてみますね。」
「ふふ、上手だなぁ。休憩に一人で行っても仕方ないでしょ?」
「ええ、休むんだから一人でしょう?」
「分かってるくせに……♡」
「私は既婚者です。オメガで、夫と番なんですが。」
「番持ちのオメガでも、私は気にしませんよ。」
「困ります!僕が愛しているのは夫だけです。大体僕たちはフェニックス王国の王族ですよ!いくら王太子殿下でもこの僕を娼婦扱いするなんて許せません!僕だけじゃなく、王国のこともバカにしてるんですね!」
「あた!あたたたたた!!!!!!!!」
手首を縛り上げて、会場の隅から大声で話した。
向こうでも。
「なんて失礼な女性だ!これが筆頭公爵家のご令嬢だなんて信じられない!まるで場末の娼婦のようだ!この国では新婚の王子に女性をあてがうのか!?母親も母親だ!諫めるどころか関係を勧めるなど!我が王国は側妃を娶る習慣はない!」
やったね、カナリア!
僕はずるずるアンドレとかいう下半身ゆるゆるを引きずって、阿婆擦れの隣に突き出す。
「下半身ゆるゆるのお似合いの二人だ。二人は婚約者なのでしたね。全くこの国の将来が不安でならない。」
「第二王子のスカイ様は仕事熱心で優しいお人柄なのに。」
「ううう!!!」
「なによ、失礼ね!私は公爵令嬢よ!」
残念、僕は王子妃なんだよな。というか、国では僕も一応公爵家出身なんだけど。
少なくとも、君にそんなふうに言われる筋合いはないな。
「王妃よ。残念ながら、アンドレはあれでは王太子にはさせられないな。」
陛下はしれっと王妃を見た。
赤いドレスの妃がアンドレの母親。帝国の王女か。
側妃だろう人は青いマーメイドラインのドレスを着ている。
「致し方ないようですね…。」
ざわっ。
騒めきとともに歓声があがる。
ふわふわとした清楚な青のドレスの裾が揺れる。
左手でエスコートするスカイ殿下。
お城の侍女が整えて、磨いて、スカイ殿下が用意したドレスに身を包んだオリーブ嬢が進む。
「オリーブ=モスグリーン公爵令嬢だわ!」
「最近お目にかかれませんでしたが、やはり本物の公爵令嬢は違う!」
茶色の髪を結い上げて、緑色の瞳。
2人の登場に、表情を醜く歪めたのは、もちろん不埒男とあばずれだ。
前世のあざとい系女子に今、僕はなりきる!
カナリアのとこもカナリアのとこで、このカス王子に放置された令嬢がハニトラしようとしているみたい。
<大丈夫?ミリオン。>
頭の中で念話で会話。
<大丈夫大丈夫。ちょっとおえーって感じだけど。そっちは?>
<こっちも。香水きつすぎ。化粧濃すぎ。嗅覚が壊れそう。>
<まあちゃっちゃと終わらせよ。>
<オッケー。>
「いい酒でしょう。ちょっとアルコール度数は高めですけど、飲みやすいし。」
(ちょっとじゃないだろ、これ。LV99の解毒が毒扱いしてるんだけど。)
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「ええ、休むんだから一人でしょう?」
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「困ります!僕が愛しているのは夫だけです。大体僕たちはフェニックス王国の王族ですよ!いくら王太子殿下でもこの僕を娼婦扱いするなんて許せません!僕だけじゃなく、王国のこともバカにしてるんですね!」
「あた!あたたたたた!!!!!!!!」
手首を縛り上げて、会場の隅から大声で話した。
向こうでも。
「なんて失礼な女性だ!これが筆頭公爵家のご令嬢だなんて信じられない!まるで場末の娼婦のようだ!この国では新婚の王子に女性をあてがうのか!?母親も母親だ!諫めるどころか関係を勧めるなど!我が王国は側妃を娶る習慣はない!」
やったね、カナリア!
僕はずるずるアンドレとかいう下半身ゆるゆるを引きずって、阿婆擦れの隣に突き出す。
「下半身ゆるゆるのお似合いの二人だ。二人は婚約者なのでしたね。全くこの国の将来が不安でならない。」
「第二王子のスカイ様は仕事熱心で優しいお人柄なのに。」
「ううう!!!」
「なによ、失礼ね!私は公爵令嬢よ!」
残念、僕は王子妃なんだよな。というか、国では僕も一応公爵家出身なんだけど。
少なくとも、君にそんなふうに言われる筋合いはないな。
「王妃よ。残念ながら、アンドレはあれでは王太子にはさせられないな。」
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赤いドレスの妃がアンドレの母親。帝国の王女か。
側妃だろう人は青いマーメイドラインのドレスを着ている。
「致し方ないようですね…。」
ざわっ。
騒めきとともに歓声があがる。
ふわふわとした清楚な青のドレスの裾が揺れる。
左手でエスコートするスカイ殿下。
お城の侍女が整えて、磨いて、スカイ殿下が用意したドレスに身を包んだオリーブ嬢が進む。
「オリーブ=モスグリーン公爵令嬢だわ!」
「最近お目にかかれませんでしたが、やはり本物の公爵令嬢は違う!」
茶色の髪を結い上げて、緑色の瞳。
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