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それが罰
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「ドラゴ。君は侯爵と魔女の子だ。ドラゴニア王国の王族の血など一滴も入っていない。正式には妾の子。本妻に成り代わり、自分の産んだ子を嫡出子として偽ったのだ。お前の場合の問題は、自分の出自を驕り、学園では随分傲慢に過ごしていたということだ。」
「………っ!そんなっ………俺が、妾の…っ。犯罪者の、悪い魔女の子……っ!」
「侯爵は王位継承権をはく奪し、王家との縁を切る。そして、爵位を下げて伯爵にする。領地も少し王家に戻してもらおう。それ以上の罪を与えずとも、侯爵家はこれから厳しくなるだろう。社交界での目、うまくいかない経営。女神が大切にしている愛し子を虐めて追い出すように自ら手放したのだから、運などない。人々に蔑まれ、貧しい暮らしをしたくなければ、地道に汗をかけ。誰からの助けも期待できないと思うように。」
「はっ…。」
「お父様!!」
「ドラゴも必死に勉強しろ。そうでなければ、どんどん貧しくなるぞ。そこの父親はティアのおこぼれでうまくいっていただけの俗物だ。こいつを絶対視するな。過去の過ちには誠心誠意償え。自分のこれからのふるまいで示せ。なにせ、元王女の夫になるのだから………君にはしっかりしてもらわねば困る。ララを管理すること。それが君への一番の罰だ。」
「……えっ⁉……あ、あぁ……。はい……………。」
「これでもだいぶ温情なのだよ。死を賜ることだけが罰ではない。君たちは領民を虐げてはいないからな。やり直せ。」
「エドワード様ッ!どうして私が、あのような男に嫁がなければなりませんのッ!私は先の王の娘ですっ!貴方様に嫁いで子を産めば、王統も一つになりますし、全て丸くおさまりますっ!あんな平民の血が入った男など、わたくしにふさわしくありませんわっ!大体、男では子が孕めませんでしょ!私が産んで差し上げますのよ!それなのにっ!さてはそこのトカゲの子の入れ知恵ねっ!私を排除しようというのねっ!」
「ララ!あなたは陛下と王妃陛下になんていうことをッ!」
フラ王女が即座にララの頬をはたく。
「お姉さまッ!酷いわ!お姉さまも私に嫉妬しているのね!お姉さまのような地味な女では、側妃にもなれないでしょうから!」
「お母さまに毒された人形のような貴女を哀れに思いこそすれ、嫉妬したことはありません!」
「妹の無礼をお許しくださいませ……!あれは両親や兄上に毒されているのです。」
サンディ王子も手足を床につけ、頭を床につく程に下げた。
「君たちの苦労が偲ばれるな。あれ程まで酷いとは。サンディ王子とフラ王女は理解していようが、私の母ももとはと言えば魔女の森の魔女で平民だし、ベラドンナもロゼも同郷の魔女だ。違いは、私の母が良き魔女で、ベラドンナとロゼが悪い魔女だったということ。平民の血が入っているのはみなお互い様だ。そこを蔑めば、自分にブーメランで返ってくるぞ。」
「それに、トカゲの子っていうけど、それを言ったら流石に国際問題になるよ。この子は一切表にださないようにしてね、ドラゴ。こういうタイプは絶対に死ぬまで変わらないから…。ララ、陛下に側妃は要らないんだ。何故なら、ファイアーバード王国のフェニックス殿下の秘術で、僕は男でありながら子を孕めるようになったから。僕はきちんと、妃として、エドワードの子を産みます。」
「実際にフェニックス殿下の妃は男で、子どもを産んでいる。お前の心配は不要だ。そもそも私はティアしか要らない。」
「………っ、なによっ、なによぉおお!」
「スネーク王国の秘術で特定の行動をすれば体に電流が走るような呪いを仕込むことができる。不平不満を言って暴れたり、余計なことを言わないように処置して侯爵家には送るので、面倒を見るように。それから前後したが、三人からもまた、王位継承権を永久に剥奪する。三人はこれから別の人間として生きるように。王家の者であるという痕跡は一切残さない。記録もだ。あとから子孫が王位継承権を主張することも一切できないようにする。神獣の力もけして君たちの子孫からは現れない。ティアがそう願えば、そのようになるからな。その代わり、君たちにはそれ以上の罰を与えない。」
「……………あああ!陛下!!ありがとうございます!!」
「君たちは自由だよ。サンディ、フラ、ララは、サンド、フラーレン、ラティスに名を改め、平民として生きること。ただし、サンドはその頭脳をジョージの部下として事務で生かしてほしい。フラーレンは神殿の巫女として。二人とも結婚しても構わないが、よからぬ相手でないかだけ確認させてくれ。君たちは幸せになって欲しい。」
「ありがとうございます。」
「国民のため、精いっぱい務めます!」
「あああ!なによ!私はあんなのと強制的に結婚させられるのにっ!」
これで、処罰は終わった。
「………っ!そんなっ………俺が、妾の…っ。犯罪者の、悪い魔女の子……っ!」
「侯爵は王位継承権をはく奪し、王家との縁を切る。そして、爵位を下げて伯爵にする。領地も少し王家に戻してもらおう。それ以上の罪を与えずとも、侯爵家はこれから厳しくなるだろう。社交界での目、うまくいかない経営。女神が大切にしている愛し子を虐めて追い出すように自ら手放したのだから、運などない。人々に蔑まれ、貧しい暮らしをしたくなければ、地道に汗をかけ。誰からの助けも期待できないと思うように。」
「はっ…。」
「お父様!!」
「ドラゴも必死に勉強しろ。そうでなければ、どんどん貧しくなるぞ。そこの父親はティアのおこぼれでうまくいっていただけの俗物だ。こいつを絶対視するな。過去の過ちには誠心誠意償え。自分のこれからのふるまいで示せ。なにせ、元王女の夫になるのだから………君にはしっかりしてもらわねば困る。ララを管理すること。それが君への一番の罰だ。」
「……えっ⁉……あ、あぁ……。はい……………。」
「これでもだいぶ温情なのだよ。死を賜ることだけが罰ではない。君たちは領民を虐げてはいないからな。やり直せ。」
「エドワード様ッ!どうして私が、あのような男に嫁がなければなりませんのッ!私は先の王の娘ですっ!貴方様に嫁いで子を産めば、王統も一つになりますし、全て丸くおさまりますっ!あんな平民の血が入った男など、わたくしにふさわしくありませんわっ!大体、男では子が孕めませんでしょ!私が産んで差し上げますのよ!それなのにっ!さてはそこのトカゲの子の入れ知恵ねっ!私を排除しようというのねっ!」
「ララ!あなたは陛下と王妃陛下になんていうことをッ!」
フラ王女が即座にララの頬をはたく。
「お姉さまッ!酷いわ!お姉さまも私に嫉妬しているのね!お姉さまのような地味な女では、側妃にもなれないでしょうから!」
「お母さまに毒された人形のような貴女を哀れに思いこそすれ、嫉妬したことはありません!」
「妹の無礼をお許しくださいませ……!あれは両親や兄上に毒されているのです。」
サンディ王子も手足を床につけ、頭を床につく程に下げた。
「君たちの苦労が偲ばれるな。あれ程まで酷いとは。サンディ王子とフラ王女は理解していようが、私の母ももとはと言えば魔女の森の魔女で平民だし、ベラドンナもロゼも同郷の魔女だ。違いは、私の母が良き魔女で、ベラドンナとロゼが悪い魔女だったということ。平民の血が入っているのはみなお互い様だ。そこを蔑めば、自分にブーメランで返ってくるぞ。」
「それに、トカゲの子っていうけど、それを言ったら流石に国際問題になるよ。この子は一切表にださないようにしてね、ドラゴ。こういうタイプは絶対に死ぬまで変わらないから…。ララ、陛下に側妃は要らないんだ。何故なら、ファイアーバード王国のフェニックス殿下の秘術で、僕は男でありながら子を孕めるようになったから。僕はきちんと、妃として、エドワードの子を産みます。」
「実際にフェニックス殿下の妃は男で、子どもを産んでいる。お前の心配は不要だ。そもそも私はティアしか要らない。」
「………っ、なによっ、なによぉおお!」
「スネーク王国の秘術で特定の行動をすれば体に電流が走るような呪いを仕込むことができる。不平不満を言って暴れたり、余計なことを言わないように処置して侯爵家には送るので、面倒を見るように。それから前後したが、三人からもまた、王位継承権を永久に剥奪する。三人はこれから別の人間として生きるように。王家の者であるという痕跡は一切残さない。記録もだ。あとから子孫が王位継承権を主張することも一切できないようにする。神獣の力もけして君たちの子孫からは現れない。ティアがそう願えば、そのようになるからな。その代わり、君たちにはそれ以上の罰を与えない。」
「……………あああ!陛下!!ありがとうございます!!」
「君たちは自由だよ。サンディ、フラ、ララは、サンド、フラーレン、ラティスに名を改め、平民として生きること。ただし、サンドはその頭脳をジョージの部下として事務で生かしてほしい。フラーレンは神殿の巫女として。二人とも結婚しても構わないが、よからぬ相手でないかだけ確認させてくれ。君たちは幸せになって欲しい。」
「ありがとうございます。」
「国民のため、精いっぱい務めます!」
「あああ!なによ!私はあんなのと強制的に結婚させられるのにっ!」
これで、処罰は終わった。
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