くず勇者にざまあ。虐げられた聖者に一目ぼれした魔王の側近はやり直す

竜鳴躍

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なんだこいつら

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あいつらからの連絡を受けて、近くの魔物を払っていた俺は、その足で光る蝶の示す方へ向かった。


俺も、だいぶ本当の意味で『勇者』になれたと思う。

最初は、ただ、贖罪だった。



一度目も二度目も、俺は過ちを犯したから。


父親からは、『なんでもう少し早く…目を覚ましてくれなかったんだ…。』と泣かれた。

自分を溺愛した父親は、好きで俺を突き放したわけではなかった。



一人で各地を回り、ペンダントが反応する相手を、魔物を、倒していった。



最近では、魔物に出会うほうが少ない。
もっぱらモンスターや、人間の悪人を狩っている方が多い。




今夜のように。





人間狩り。

奴隷商人。


オークション。




……全く反吐がでるぜ。

でも俺だって、昔はあっちだったんだよな。



会場を見つけて、剣圧で壁をぶっ飛ばして乗り込んだ。







ステージには、あいつらの子どもたち。銀髪の方が、ここへ俺を誘導した子どもか。


そして、その中央には、ピンクのベビードールを着せられて拘束されている若い男がいた。





綺麗な顔をしているけれど、泣きはらして真っ赤になった瞳と瞼。






みんな、助けてやるからな!





剣を振り、奴らをなぎ倒せば、奴らはこっちに意識が集中する。


そこで、キースがにやりと笑い、ルースが動いた。



武器を隠し持って、タイミングを窺っていたのか。

短剣を持っていたルースが若い男の拘束を解く。





そこに、ようやくやつらも来た。

この国の騎士団と、ディユの兵。それに二人の親であるカルディとユースが。


「ディスペル!!!!」

ユースが大声で叫び、会場に魔法陣が展開する。





「もう、魔法が使えるはずだよ!」

「お母さま!」


子どもたちの下にかけよったカルディの槍が、月夜に光った。
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