くず勇者にざまあ。虐げられた聖者に一目ぼれした魔王の側近はやり直す

素敵な人

明るいはちみつ色の髪。

筋肉質で逞しくて。


ちょっと摺れた感じはするけど、端正な顔に無精ひげ。



勇者さま？



悪い奴をあっという間に倒しちゃった。



倒された悪者を、騎士のような姿の人たちが拘束していく。





えっ？


こっちにくる？




ふぁさっ。




僕に上着を…。



とくん。






「災難だったな…。でも人生は長いんだ。嫌なことは忘れてしまえ。お前は何も悪くないんだから。」




「あっ、あなたの名前は…。勇者さま。」


「勇者グラディウス。勘違いしてやらかして、どクズの勇者だよ。そんなキラキラした目で見られるようなものじゃない。勇者っていっても、ただの罪人だ。罪人だけど勇者だから、普通の刑罰じゃなくて人助けをさせられているんだから。」


グラディウス様は照れくさそうに、申し訳なさそうに、そしてすごく苦しそうで寂しそうで。








どうしよう。


僕、もう、穢されちゃったのに。


こんな状況なのに、勇者様のことが好きかも。