くず勇者にざまあ。虐げられた聖者に一目ぼれした魔王の側近はやり直す

竜鳴躍

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デイユの公爵令息 ミカエル=エンジェリゼ

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マロン陛下とルシフェル様は、芋づる式に人身売買組織を壊滅させ、購入した者も厳罰に処した。

法整備とともに、ルシフェル様の一声が何気に効果的だったらしい。

『デイユの民やその血が入っている者を粗末に扱うようなことがあれば、関わった者には罪の大小関係なく、今後一切の神の加護がなくなって神罰が下るからね?』

ルシフェル様は凄いなあ。
そう言われれば、買う人はいない。
買う人がいないなら、捕まえようとする人は減るだろう。


「私も、しっかりアフターケアしないとなあ。人手が欲しい。」

カルディは机の上で突っ伏した。



「カルディ。」
ユースが部屋に入ってくる。

「あの人、ミカエルさん。親御さんに連絡とれた?」

「エンジェリゼ公爵家に連絡は取れたよ。ただ……まだ売られてはいなかったけど、傷物にされていたから。公爵も困惑していて。デイユは狭いから、向こうにもう戻れないかも。」

「噂が広まるのが早いんだね。」

ユースは悲しげにまつげを落とした。

「体調はどんな感じ?」


「意外なんだけど、グラディウスが甲斐甲斐しく付き添ってるんだよ。」

「彼も大分、良い風に変わったみたいだね。」






中庭では、ミカエルとグラディウスが日なたぼっこしていた。

「だいぶ顔色が良くなったな。普通の生活にすぐ戻れるだろう。」

「…………もう、行ってしまうのですか?」

ミカエルの瞳は揺れる。
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