お姉様は一途でいたいのに妖艶美魔女に狙われています

那須野 紺

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故郷の味(梨々香SIDE)

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容子様の身体に触れられない夜には、当然の如く自慰をする。
それは確認せずとも、私と愛美の共通認識だ。

時には二人で慰め合う事もない訳じゃないけど、あまりそういった事はしないように心がけていて、そこも愛美と同じ考えのはずだ。

小さな頃からずっとずっと、大好きな人。
本当に親子になるだなんて思いもしなかったけれど、結果私はとても幸せだ。

「容子…様…っ」

清潔なベッドシーツに体を包み、着ていたはずの寝巻を全て脱いでしまう。
裸の素肌をシーツに擦り付けるようにしながら、あの肌の温もりを思い出して太腿を擦り合わせる。
すぐに弄ってしまうのは勿体ない気がして、しばらくもじもじと身体をよじり続けた。

容子様の花びらはどんな匂い、味がするんだろうと、それが現実になる前からずっと妄想していたが、現実になってみれば私の妄想などなんともあさはかだったと、自覚せざるを得ないくらいにその味も匂いも濃密だった。
知ってしまえばもう、それ以外イメージできなくなってしまったけれど。

「…」

別に私も愛美も、容子様が年齢不相応なぐらいに若々しく美しい事を、求めている訳ではない。
例えそんな見た目でなくなったとしても、全く問題はない。
私も、愛美も、そんな理由だけであの人に人生を捧げている訳ではないのだから。

*-*-*-*-*-

まだ私が幼く、両親も健在だった頃。
勿論その時私は日本に居なかった。
容子様と初めて会ったのは、両親と容子様の会食の席だったと記憶している。
彼らは確かにビジネスの話もしていたかもしれないが、食事の席はプライベートなもので気楽な雰囲気だった。

年はいくつなんだろう?
それが容子様に対して抱いた第一印象だったけど、きっと私はその時からずっと、容子様に一目惚れしていたのではないかと思う。

今よりももう少し短く、顎のラインで切りそろえられた黒髪。
ぱっちりとした黒目がちの瞳は、高校生か大学生にも見えるくらいに幼さを感じさせる。
でも、どこかにほんの少しオリエンタルと言うか、エキゾチックな妖艶さも、子供ながらに私は感じ取っていたのではないかと思う。

「わ~、可愛いお嬢さんですね」

当時少し人見知りだった私は母親の後ろに隠れていたのだけれど、失礼になるからご挨拶をと言われておずおずと容子様の前に出た時、そんな風に声をかけられた。
子供とは言え会食の場だからと、普段よりもちょっとドレスアップした、小花柄のワンピースを着た私を見て、容子様は「お人形みたいに可愛い娘なのね」と笑顔で語りかけてくる。

色々な人からそんな風に褒められた事はあったけれど、何故か容子様にストレートに褒められたその瞬間、恥ずかしさに顔が赤くなっていくのを感じるくらいに頬が火照った。

名前を名乗ると容子様は両手で私の手を握ってくれたのだけど、その手はとても温かくて、ちょっとだけだけど私はびっくりしてしまった。
生足?同然の脚を膝上まで晒す黒のミニスカートに、同じく黒のインナーとベージュのショートジャケット姿という、ともすると下品になりかねない服装を何気なく、当たり前のように着こなしていて、けれども脚の露出が多いから、この人はきっと寒いのを我慢しているのではないかと勝手に思うぐらいだったのに。
…真相は多分逆で、有り余るエネルギーが体温にでも化けて、とてもじゃないけど放出しきれないからそんな恰好をしていたと言われる方が、よほどしっくりくるように思う。

当時、容子様がどういう立場の人で、両親とどういう関係があったのかは全く知らなかったけれど、以来私は彼女を「ヨーコ、ヨーコ」と呼んで慕い、そして日本という国に強く興味を持つようになった。
私たちとは英語で会話している容子様が、時々日本語で電話しているのを聞いて、どうしてもその内容がわかるようになりたくて、私はいきなり日本語を勉強するんだと騒ぎ、難しいのよと諭されるのも聞かずに独学で勉強を始めた。

知れば知るほど奥が深くて、例え日本語検定の一番上に合格しても、流行語や略語などが日々生まれ、日本で生活するならそれもわかっていないとダメだとか、そんな事を知る事ができるくらいに詳しくはなったけど、これはもう日本人の友達を作らなくてはダメだと思って、わざわざインターナショナルスクールに通わせてくれと両親に頼み、彼らを呆れさせた事もある。
結局転校はしなかったけど、それでも両親がビジネスの為に日本を訪れる際、たまには私を連れて行ってくれるようになって、私は本当にそれが嬉しくて仕方なかったのを覚えている。

日本はあらゆる食の宝庫だと聞いていた。
中でも当時は欧米でラーメンが大流行していて、日本人は世界一多彩なファストフードを常食している民族だと、認知されてもいたから、私は是非その中のどれかを楽しみたいと願望していた。

勿論流行に乗ってラーメンというのも悪くないが、どうもそれはちょっとミーハーな感じがして、それに私が日本への思い入れをどれだけ強く持っているのか表現するにしては短絡的で面白くないからというのもあり、私は初めて日本を訪れた際、容子様にチェーン店のうどん屋に行きたいと持ち掛けたのだ。

今にして思えば、生粋のお嬢様である容子様が、そんな店になど多分一度として足を運んだ事はなかったのではないかと思うから、無茶な要求だったに違いないのだけれど、それでも容子様は「そうね」と極力平静を装ってその店に私を連れて行ってくれた。

あの時妙に焦った様子で、当時の家政婦である大和田さんが「お嬢様」とひそひそ声をかけていたのが変だなと思っていたけれど、真相は多分、そういう店の作法を、容子様自身が全く知らないであろう事を危惧しての声かけではなかったかと思う。
この時の事だけは、何度思い出しても可笑しくて、容子様の前でも笑ってしまうのが申し訳ないぐらいだ。

「貴女がいつか一人で日本へ旅行しに来るかもしれないしね」

そう、きっとあの国で大学生にでもなっていればそうして休暇の度に日本へ遊びに来ていた事だろう。

うどん屋の事は事前にじっくり調べていたし、少しだけど日本語もわかるようになっていたから、きっと一人でも何とかできたはずなのだが、さすがに外国人の子供を一人で行かせる訳にもいかなかったのだろう、容子様は店まで同行してくれた。
店の看板を見ただけで、私は胸にどきりとするほどの喜びを感じたが、それをあまり表に出すのは良くないかもしれないと考えて必死でそれを抑え込んでいた。

情報にあった通り、半分セルフサービスで注文から会計を済ませるシステムなのはわかっていたが、実際に店を訪れて知ったのは、その店内に充満する、何とも言えない美味しそうな匂いだった。

「この匂い…何?」
「…つゆの事?」
「…ただの醤油じゃない、美味しそうな匂いがする」

私の手を引いた容子様が、私の質問に苦労しながら答えてくれた。
日本ではだしと言う、料理の基本のスープ。主に魚介や昆布、しいたけなどから取るものと知ったのはその時だった。
この「だし」はラーメンのスープにも様々に違うものが使われているのだと言われたけれど、私にとって日本を印象づけるもの、それはあのうどん屋に充満していただしの匂いと、そこで食べた釜揚げうどんの味に他ならない。

ねぎや生姜の薬味も取り放題になっていて、サーバーからつゆが出て来る事も私は事前の調べで知っていたが、実物を目の前にすると感動もひとしおだった。
本当は写真にでも撮っておきたかったけど、あまり居座るのはマナー違反だとも聞いていたので、しぶしぶ写真は諦め少しでも記憶に留めておこうとして、周囲の客からすれば不自然なぐらいにセルフ薬味&つゆコーナーを凝視していたと思う。

「美味しい」

箸を使ってうどんを食べるのは難易度が高いと聞いていたが、私は案外苦労なく箸を使いこなせた。
日本人にしてみれば大したものではないのかもしれないが、私にとっては容子様と一緒に食べたその釜揚げうどんの味が、忘れられないほどに美味しかったのだ。

第二の故郷を持つ事が許されるなら、私はそれを絶対に日本にしたいと、その時強く思った。
きっと当時の容子様は既に会社経営を始めていて、多忙極まりない立場だったに違いないのに、日中も時間を作っては私をあちこち連れて行ってくれた。
それらのどれも、私にとっては素晴らしいものだったし、もっとずっとここに居たいと思えるほど、何一つ嫌な思いはしなかった。

うどんは特に気に入ったので、滞在中は容子様にねだって何度も同じ店に連れて行ってもらったのだけれど、店の人は私が来るのを喜んでくれているようで、でもその他の客は私が変に器用にうどんを食べているのが可笑しかったのか、ぎょっとした視線を向けられる事もあった。
確かに私は店の雰囲気にそぐわぬ風体かもしれないけれど、それでも私は容子様の国である日本を嫌いになったりはしなかったし、お店の人や二度、三度と会う客にお勧めを教えてもらったりもして、日本人もきっと私と同じで人見知りだけど、親しい人には優しいものなんだろうと解釈していた。
概ね、その解釈は間違っていないと今も思っている。

だから私の好物は、日本食なら断然うどんなのだけれど、愛美にも、他の日本人にもそれを言うと相当の確率でびっくりされて、笑われた。
そして私がうどんを食べている様子はやはり日本人にとって奇妙な絵面らしく、じろじろと見られる事も多い。

今はメイドとしてほとんど家に居る暮らしをしているのであまり外には出ないけれど、日本で最初に覚えた料理も、私の場合は温かいうどんとこだわりの手作りつゆだったりする。
あの店のうどんは、私と容子様にとっては大切な、思い出の食べ物なのだ。

そうやって実際に日本を訪れてから私はますます日本への思いを強くし、語学の勉強にも力が入った。
とは言え子供のする事だから、たかが知れてはいるのだけれど。

でもそれがまるでその先の不幸を引き寄せたのではないかと思えるほど、何の前触れもなく両親が居なくなってしまった。

全く現実感はなかった。
そのうちひょっこり帰って来るんでしょ、と信じて疑わなかった。
それは両親の葬儀の後でもなお続いていて、多分そうでもしないとどうしたらいいのかわからないし、ただ怖いのもあって、そんな風にしか受け止められなかったのだろうと思う。

誰もがそんな私を責めたりもしなかったし、「そうかもね」などと言って励ましてくれた。
でもやっぱり、刻一刻と状況は変わり、私がいよいよ誰に引き取られるかという段階になってやっと、もう私はあの両親とは暮らせないんだと悟った。

私は何も言うべきではないのかもしれないと、ずっと黙っていたけれど、ある時ふいに「貴女はどうしたい?」と尋ねられて、やっと発した一言は「ヨーコの所へ行きたい」という言葉だった。

*-*-*-*-*-

「ん…あ、は……」

身体を仰け反らせて、せり上がる快感を逃がそうとするけれど、下半身に溜まった熱は簡単には消えてくれない。
知らない間に私は指を秘部の奥深くに差し込みながら、もう片方の手ではまだ硬さの残る自分の乳房を掴み、揉みしだいていく。

…もどかしい、指では物足りない。
いや…せめて自分ではない誰か他人の指か舌ならばまだ良いのだが。
私は枕の下に隠していたピンクローターを取り出し、慌ただしくスイッチを入れながら楕円形の振動部を秘部にあてがった。

指では得られない細かな刺激によって一気に官能が駆け巡っていく。
渇望していた刺激だと言うのに、存分に享受するのは惜しい気がして、ローターを秘部から浮かせたり、そうかと思えば強めに押し当てたりなどして、刺激の変化に身悶えした。

「…っん、んんぁ…」

一気に覚醒した萌芽を手探りで暴き、その外周をなぞるようにローターの先端でくすぐると、萌芽はますます硬さを増してぱんぱんに膨れ上がっていく。
ぬめる淫蜜をまぶしながらローターを握る手に力を入れるが、蜜の量は制御できずに、ローターのコードも、それを持つ自分の指も、そして身体を包んでいるシーツも汚してしまった。

…いや、構わない。どうせこれらは自分たちで世話する事なのだ。
それと同時に、容子様と誰かが交わった後の、情事の痕跡がありありと残るシーツでさえ、私と愛美は幾度となく交換し洗濯している。
そんな事はもう日常のものとなっているが、容子様に処女を捧げる決意を固めた頃には、そんな乱れたベッドを見ているだけでもあれこれと妄想が広がってしまい困ったものだった。

一時期容子様は、木下様という女性を可愛がっていた事がある。
木下様は、若くして経営の道を志し、後ろ盾もない中でベンチャービジネスを軌道に乗せる事のできた女性。
容子様に対して、何か思う所がなかった訳ではないだろうが、容子様は木下様に対して明らかに、畏敬の念を抱いていた。

自分にはないものを、彼女は持っているのだと。
でもその事に木下様自身が気付いていないのだとも言っていた。

「奔放」とは、容子様を表現するのにぴったりの言葉だ。
でも、これだけの規模の会社を率いてそんな事ができる人は、かなり稀であろう。

だからなのか、容子様は何度も木下様を誘っては身体の関係を結んでいた。
私がそのうちの何度かをこっそり覗き見していたのは、後になって容子様に打ち明けたのだけれど、交わる二人の姿には、衝撃と言うよりももっと違う何か、特別な美しさを感じた。

「あ、あ…っ、は…それ…いいっ」

艶めかしい喘ぎ声は木下様のものだ。
それもそのはず、開かれた木下様の下半身にはすがりつくように容子様がまとわりついて、ねっとりとした口淫を施している。

木下様は本当に気持ち良さそうに喘いでいて、それだけでも羨ましくなるほどだった。
一度か二度、容子様の口淫で達した後なのかもしれないが、声に恥ずかしさや後ろめたさの気配は一切感じられない。
…だからなのか、それが余計に良いと思った。

いやらしい行為に興じる事も、それに夢中になり快感を訴える事も、あるいはそれを求める事でさえも。
何も、恥ずかしいものではないと私は思った。
だってこんなにも美しく尊いものが、隠しておくべき事だなんてちっとも理解できないから。

あの情事には多分、他の意味は含まれてはいない。
ただ互いの性的な満足を求めての行為でしかないはずだった。
でも、互いにそこだけを求め合う事のできる相手に恵まれていない…のかもしれない、という気もする。
噛み合えばこんなにも純粋で美しい行為であるにも関わらず、だ。

世間体や立場という鎧を脱ぎ捨て、ただ快楽に身を投じるだけの時間を、木下様は上手く作れていない人なのかもしれないと思った。
それを容子様が引き出しつつ、容子様もまた木下様に快楽を求めていくという情欲の交換。
単に気持ち良くなりたいというだけの目的で行われるセックスは、世の中にはあまり存在しないのだろうか。

ともすると二人は事の最中に「好き」「愛してる」などという言葉まで交わしているけれど、それは双方にとってその瞬間のみのものでしかないという合意の上に交わされているもののようだった。
その分なのか、木下様も素直に快感を伝え、時には求めていく事ができているようである。

波打つ二人の身体が重なり、唇同士が重なり合う。
ふいに音のなくなった室内には、擦れ合う肌が立てる微かな音と、息遣いのみが響く。
覗いているこちらの呼吸や、メイド服の生地が擦れる音さえ、彼女たちに聞こえてしまいそうで身体が硬直した。

「ん、んく…ふ」

おとなしいキスはさほど続かず、貪り合うような激しいものへとすぐに変化していく。
喘ぎ声に混じり、唇を吸い合う音や舌と唾液の絡まる音がいやらしく響き、その音もまた互いを興奮させる材料になっているようだった。

「んふ…素直になれば本当に可愛い娘なのに」
「い、言わないで…」
「どうして?」

至近距離で見つめ合う二人だが、程なくして木下様の表情だけが不自然に歪む。
おそらく、容子様の指先が木下様の秘部に刺さったか、萌芽を捉えたのだろう。

「指なのに…なんでそんな…っ、あ、あんっ」
「貴女も、触って…?」

頷いた木下様は容子様の胸に触れた。
丁寧に揉んでいるようだが、その指の隙間からは勃起した容子様の乳首が飛び出していて、ものすごく卑猥である。

「…自分は中まで掻き回されているのに、焦らすのね」
「…いけませんか?っん…んは……っ」
「ほら…」
「あ、もっと…ぐちゃぐちゃに、掻き回して…」
「…こう?」
「ん、あ、あ…そうそれ…また…あぁっ」
「うふふ」

焦らすように木下様の唇を啄みながら、容子様は指技で木下様を追い詰めていく。

「そ、それぁ、あ、あ…っ、いやぁん」
「…これ?」

…凄い、指だけであんなに、感じさせて。
木下様が恐ろしく妖艶に乱れる様を、意のままに引き出す容子様は間違いなくテクニシャンだ。

覗き見していた私は堪らなくなり、スカートの上から股間をぐっと押さえていた。
いや、実際には強くスカートを握り締めてしまい酷いしわが残ってしまったのだけれど。

「…あ、あくっ…ん」

もつれ合うようにまた二人の身体がベッドに沈み、波打ちながら重なっていく。
その、ドサリという音に紛れて私はその場を退散した。

恐ろしくショーツを濡らしてしまったのが怖くなり、その後私はショーツを脱いだまま、いわゆるノーパン状態で残りの時間を過ごしたのだけれど、当たり前だがそんな変な事をすればかえって身体はおかしくなって、内腿をべっとりと濡らした状態でその日を追える事となった。

後日、木下様との行為を覗き見した事について容子様に打ち明けた時、容子様は全く怒らなかった。
見られるような場所で、見られるような状態でしているこちらの問題なのだと言いつつ、実際問題容子様自身がそういう事を気にはしないから、との事。

「…でも、さっき愛美にも同じ事で謝られたのよね」
「……?」
「ふふ、貴女たち、鉢合わせはしてないわけね」
「は、はい…」
「まあ、どちらでも構わないけど」

多分理屈はこうだ。
私と愛美が二人とも同じ時間にメイドとしての仕事を抜けて休憩する事はほとんどない。
基本、小休止程度は示し合わせて交代で取っている。
そういう事もあって、私が覗き見した時間と愛美が覗き見した時間が重ならなかったという事のように思われた。

当然の事と言えなくもないが、そんな、容子様と木下様との美しくも淫らな光景を何度か覗き見するうちに、私はオナニーを覚えた。

大和田さんからは、容子様は性に対して大らかな方であると聞いていたが、さすがに当の大和田さんも、まさか容子様が常時を覗き見されても全く気にしない女性である事は、知らずにいたのではないか。

オナニーを覚えた後はそれなりに自分で自分を高みへ導く事も、軽く絶頂する事もできるようにはなっていたけれど、あの時の木下様のように我を忘れるほどに乱れる感覚には至らなくて、それを愛美に相談した事があった。
その時から、練習と称して愛美と二人で互いの身体をまさぐり合うような、常時の真似事を始めた事になる。

「あぁ…っ、は、あ…ん」

記憶は自由自在に時間を超える。
私の二十歳の誕生日に容子様の目の前で愛美と睦み合った時の事、それに容子様に初めて貫かれた夜の事。
どれもこれも鮮明に思い出す事ができる。

容子様に処女を捧げた夜に容子様が施してくれた指での愛撫を思い出しながら、それを再現するように自身の襞をかき分け弄っていく。
恥ずかしくて恥ずかしくて、あんなにも求めていたはずの行為なのに私は緊張しきりだった。
愛美と二人でならあんなに勇気が出たものが、容子様と二人きりで向かい合っているとどうにもこうにも、思考がストップしてしまう。

「梨々香、怖くない?」

私は左右に首を振る。

「寂しくない?」

また左右に首を振る。

私は怖くも寂しくもない。そんな気持ちになった事は、この国へ来てから一度としてないと断言できる。

「…じゃあどうして震えてるの?」
「わ、かりません…緊張してしまって」

容子様に髪を撫でられ、優しくキスされてもなお、私の身体は小刻みに震えていたと思う。
処女を失う事そのものは全く怖くなかったが、それはどうやらかなりの痛みを伴うものらしいと聞いていたから、強いて言うならそれは怖かった。

その日こそセックスは痛い、という印象でしかなかったけれど、その後三日と空けず繰り返し、容子様は私の中を奥深くまで何度も穿つような挿入で慣らしてくれたから、私はあっという間に膣内で快感を得られるようになり、ふとした瞬間あの日の木下様と自分が重なるような思いがして、その時こそ我を忘れて乱れる事ができたように思う。

…それに。

新たに招かれたお客様である所のあのお二方。
容子様をも凌駕するかのような迫力と、淫靡な雰囲気があった。
何と言っても特筆すべきは二宮冴子様だろう。
私や愛美とさほど年も変わらないはずなのに、身体全体から漂う雰囲気は、容子様のそれに限りなく近しい。

そんな彼女は容子様と、奪い合いでもするかのように松浦様を蹂躙し合っていた。
容子様のテクニックに溺れるように乱れていく木下様は、純粋に美しいと思ったが、二宮様はそれとは違う。

当然の事だが私よりはるかに経験を重ねているだろうし、二宮様が容子様と愛し合うように交わる場面はなかなか想像しにくい。
そうではなくて何故か、私自身が容子様にではなく、二宮様に抱かれる場面を無意識的に想像してしまって、自分で狼狽えてしまった。

…もしも彼女に抱かれるとしたら?どうなるのだろう。
容子様は到底やらないような行為--つまり私や愛美の身体も心もボロボロにしてしまうぐらいに激しくしてくれるのではないか、と勝手な想像が膨らんでいく。

…激しく、してくれる?
いや、私が求めていると言うのか、そんな荒々しい行為を。

「……」

知らず知らずのうちにピンクローターのスイッチを最も強い振動にまで変え、私は手の痺れも堪えて握り込んだ玩具を、腫れあがった萌芽に擦り付けた。
同時に空いた片手の指を三本か四本か、まとめて秘穴に挿入し、ばらばらに動かしていく。

「ひぃぁぁっ…あぁ」

下半身に当てているはずのローターはうるさいぐらいにビービー言っているし、秘部はどうなっているのかもわからないほどぐちゃぐちゃになってしまっている。

…これ、何?
二宮様に、後先構わず壊されるように抱かれたいとでも思っているみたいで。
でももし、そういう乱暴なぐらいの交わりをするのであれば、私から容子様に求めるのも違う気がするし、容子様からもそんな事は絶対提案されないだろう。
血が繋がらないとは言え私と容子様とは親子なのだから。

「……っあ」

容子様によって暴かれ、開かれた私の隘路はもう、少々の事で音を上げたりはしない。
今日は指とローターだけれど、時には生々しいほどにいきり立つ偽竿でもって、自身を慰め愛美や容子様にもそういう物をねじ込まれて悦びを得られるぐらいにはなっているのだ。

「は、あ…っ」

達したのかどうか、あまり良くわからない。
でも、下半身への刺激を止める気はしなくて、相変わらず指とローターでその場所をクチュクチュと弄り回している。

「…あ、あんっ、あ…」

二宮様の事を想像したのは私の頭の中だけの事で、言葉にはしていないけれど。
でも、あの時の私と同じように、この場面を容子様や愛美に覗かれていたらと思うと、強烈な罪悪感が羞恥に、そして官能へと変化し私の全身を駆け巡った。

「あん、いくっ、いく…っんん…っ」

一瞬の硬直と痙攣、そしてその後に襲ってくる倦怠感。
そういう時にやっぱり、電気振動の音は妙にやかましく聞こえるから、煩わしいがローターのスイッチだけは切って身体を投げ出すようにして眠りに落ちた。
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