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烈情と喪失感(愛美SIDE)

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私は容子様から「男好きする身体をしている」と言われた事がある。
でもそれだけではなく、「但し相手のサイズを選ぶという条件付きで」とも言われた。

容子様と過ごした、初めての夜の事を思い出してみる。

なぜか、私の方が年上だからという理由で、梨々香よりも先に私が抱かれる事となった。

その時、確かに私は容子様に処女を捧げたはずだったが、びっくりするほど痛みはなくて出血もしなかった。
だから容子様は急遽、使用する玩具のサイズを改めたのである。

私は幼い頃から何とはなしに自慰を覚えていたし、思春期に入った頃には女性誌などで特集されているセックス関連の記事や、そればかりでなく高校を卒業した後くらいには本格的にエッチな雑誌や映像にも手を出すようになっている。

また、出会った頃から梨々香に日本語や勉強を教えてきたし、こういう事も含めて、いつか梨々香に尋ねられた時に教えなければならないかもしれない、などというよくわからない使命感も持っていたりして。

梨々香が自慰を覚えたと打ち明けてきた事と、どうしても容子様に処女を捧げたいと言い出した時、私ははっとした。
きっと、梨々香の素直でストレートな願いに当てられたのだろう。

それまでに私は容子様が誰かを屋敷に連れ込んで逢瀬を重ねる様子をちらりと覗いた事はあったけど、その行為を私はただ罪悪感を伴いながら、それでもやめられずにいるばかりでどうしようかと悩んでいたのだ。

梨々香に「容子様とセックスしたいと思うのはおかしい事だろうか」と尋ねられ、私はちっともおかしくないと、なぜか必死で否定した。
早々に処女は捨ててしまいたいと思っていた私だが、よく知らない男性に、あるいは真面目に交際を求められてもあまり気乗りしなかったし、仮に真面目なお付き合いの先には結婚などというものがあって、そこがとにかく現実的に考えられないでいた。

誰かと結婚して新たな家庭を持つ事になど、実際は全く興味がない。
容子様を置いて自分がここを去る事など、一切想像した事もない。
とにかく自分は、容子様の命が尽きるまで、あるいはそれ以降も含めてずっと、容子様の傍にいて役に立つ事をしていたいのだ。
できる事なら梨々香と二人で、ずっと。

皆が当然のように感心を持つ事に対してあまりに興味がなさすぎて、すっかり身体が覚え始めた欲望とのギャップに悩む日々が続いていた。
だから、梨々香がその事を口にするまで、自分の中にそういう発想がなかった事がショックだったのだと思う。

思いついたのは梨々香が先なのに、完全に便乗で容子様との逢瀬を望んだ私が先に経験する事になったのは実に複雑な気分だった。
しかもそれまでの間に、練習と称して梨々香とさんざんいやらしい戯れに興じてしまってその味にけっこう夢中になっていたし、そんな背景もあってどうにも申し訳ない気持ちでいっぱいだったのを覚えている。

まあそれについても、一度容子様に梨々香との睦み合いを見せてしまって以降罪悪感も薄れてきたし、何なら容子様に見られている事にかなり興奮もした。
行為を見られるのがこんなにも興奮するだなんて、思わなかったから。
もっともそれは見ているのが容子様だったから、というのが要素として大きいのかもしれないけれど。

*-*-*-*-*-

「案外余裕そうね?」

初めての夜、容子様を自室に迎えて、手持無沙汰になるのも嫌で自分から裸になりベッドに横ズ割して待っていると、容子様にそんな風に言われた。

「そういう訳でもないんですけど」

容子様に裸を見られる事などちっとも恥ずかしくないし、むしろ見られたいのもあって私は胸も隠さないままに答える。

「…堂々としてる割に憂い顔だから。でもそういう感じはかえってそそるわね」

無造作に私の隣に腰掛けた容子様は、ボルドーカラーのシンプルなナイトドレスを身に着けている。
それだけならうっとりとその姿を眺めていれば良いのだが、ドレス越しにもわかるのは、いかにも男性器がいきり立っているかのような屹立である。

「大丈夫?」

容子様にそっと肩を抱かれて囁かれたが、全然大丈夫ではない。
大丈夫ではないけど、私は黙って頷く事しかできなかった。

…だって。
大丈夫でない理由はとてもじゃないけどその場で容子様には話せない。
距離を詰めて見つめられた瞬間、私はもう自分が自分ではなくなってしまうほど狼狽していたのだ。

…今私こそが容子様に性の対象として見られているのだと思うと、それだけで何も考えられないぐらいに気持ちが昂ぶってしまって。

その時までにアダルトな動画もたくさん見てきたし、記憶は薄いが産みの親がそれぞれに繋がっていたいわゆるセフレとの逢瀬も、期せずして覗いた事はあった気もする。
それに何より容子様と他の誰かの逢瀬でさえ、私は覗き見していたと言うのに。

容子様本人が、私に性的な目を向けているというのがまるで事実ではないような気がしてとにかく信じられない。
信じられないが、嬉しくて、ただ嬉しいというだけでは表現しきれないほど、胸の中がいっぱいになったような、苦しいような感覚だった。

「…容子様」

至近距離で、私が少しでも落ち着くのを待つように見つめてくれていた容子様に何と言えばいいのかわからず、それでもこれから行う行為は心から歓迎しているという事を伝えたくて、私は愛しい人の名前を呼んだ。

そんな私の気持ちを察してくれたらしく、容子様はそっと私の身体を抱きしめてくれた。
でもその時、私の身体に触れた容子様の素肌の感触がとにかく魅惑的なぐらいに滑らかで、でもしっとりしていて、私はたちまち自分の中に沸き起こった烈情に突き動かされるかのように容子様の身体に腕を回して肌を密着させていく。

「愛美、肌が綺麗なのね」

何を言っているんだろう。それはこっちの台詞なのに。

穏やかに私の背中をさすっている容子様とは裏腹に、私はめいっぱい手を動かして容子様の身体中に触れてしまう。
肩も、腕も、背中も、首筋も。

ドレス越しに撫でているのはもどかしくなり、華奢なストラップを肩口から外して、私は容子様の素肌に遠慮なく触れていく。

「…愛美?」

強く抱き合っているから触っていられるのは背中だけだし、ストラップも片方しか下ろしていない。
微妙に乱れたドレスの内側に手を差し込んで容子様の背中を撫で下ろしていくと、本当に胸が焦げてしまうほどドキドキした。

…どうしたんだろう、私。
ついさっき、どうでも良さそうな憂い顔をしていてそれを指摘されたばかりなのに。
でも、容子様の肌は絶対に、他の人とは比較にならないぐらいに触り心地が良い事を、他をあまり知らない私でさえもはっきりと認識できた。

「容子様」

早く、全部に触りたいし、触って欲しい。
私は密着させた身体をそっと離して、まだ容子様の肩にかかっているもう一方のストラップをすっと肩口から外した。
ナイトドレスの布地はするすると容子様の身体を滑り落ちていき、重力のままに太腿の上に固まっている。
初めて直視した、こういう時の容子様の上半身は、遠くから覗いて見ている時よりずっと迫力があった。
でも、形の良い胸はぷるんとしていて柔らかそうだし、グラマラスな胸元に比べて腰にかけてはくびれがあって、本当に女性らしい、色気のあるラインを形作っている。

容子様が愛用しているローズのフレグランスと、少し甘い汗の匂いが混じり合い何とも官能的な空気が満ちている。
でもそれは半径50センチ以内の世界の話だ。こうなる今までそういう空気の存在する事を、私は知らなかったのだから。

「あぁ…容子様…」

思うままに容子様に触りたい。
それ以外は何も考える余裕などなくなっている。

私は容子様の身体をベッドに押し倒して、その太腿あたりにまたがるような態勢になり、目の前にある胸をしゃにむに揉んで、頬ずりした。
許されてもいないのに、頬ずりしながら容子様の肌に舌も這わせた。

「うふふ、愛美ったら…積極的なのね」
「だって容子様の肌…ん、凄くすべすべしてて…」

胸の丘も先端も舐め回したいが、そうすると自分の唾液という汚物で容子様の肌を汚してしまう事になる。
だから私はその思いと葛藤しながらも、我慢できずに所々を唇でなぞりチロリと舌先を使って愛撫した。

男性でもそこまでやるかどうかと思われるぐらいに、私は容子様の胸を揉み回し、その谷間に顔を埋めて息を吸った。
顔を浮かせると同時に胸の丘を舌先で舐め上げていき、とうとうその頂上にある若々しいピンク色の粒をぱくりと咥えて舐め転がしてしまう。

「…あんっ、愛美…」


絶対に何の味もしないはずの場所なのに、何か甘酸っぱい果実のような香りが鼻の奥から抜けていく。
それがこの行為の背徳感を薄めてくれたような気がして、私は休む事なく手を動かしながら、容子様の胸の先端をいやらしく舐め続けた。

「あ、そんな…したら、気持ち良くなっちゃうわ」

頭上から聞こえてくるのは、吐息と喘ぎ声の中間のような、甘く緩慢な容子様の息遣い。
当たり前だが、呼吸と連動して胸の下の嵩も変化する。

「……」

容子様の下肢が少し動き、太腿を擦り合わせているような動きが感じられた。
ちょうど私のお腹の前には、まだ中途半端にドレスに包まれた屹立が存在している。

最初から玩具の形は変わらないはずだけど、容子様のリアクションが加わると、何だか本当に男性器を持っていて、胸を愛撫されてそれが勃起したかのように見えてくるから不思議だった。

「…容子様、もっと…舐めていたい…」
「いいわよ」

初めて言葉による許しを得て私は俄然やる気が湧いた。
嫌がるかもしれない場所--それこそ脇の下も、耳の後ろも触って舐めさせてもらった。
どこを愛撫しても、容子様は性感に変換できる身体を持っていて、いちいちこちらを興奮させるような甘い息使いで応じてくれるものだから、私は止まらなくなる。

もう、一般的な順番というものなどどうでも良かった。
私は、唯一容子様の唇には触れないままでそれ以外の上半身を、それこそ髪の毛の一部まで口に含んで指で撫でた。

よく、自身の子供の事を「目に入れても痛くない」と言うけれど、私自身が容子様の目の中に入ってしまいたいと思うぐらい、どの場所も愛おしいと思った。
わずかな隙もなく徹底的に手入れされた身体だから、なのかもしれないが、そんな身体を思うままに貪っていられる事に言い知れぬ征服欲のようなものが満たされていく。

私が夢中で容子様の肌に顔を埋めている間、容子様はそっと私の頭や肩に手を添えていた。
時折本当の母親がするように、落ちてくるサイドの髪を耳にかけてくれたけど、やっている行為は母娘のしていいものではない。

別に容子様は私を咎めるつもりでそうしていたわけではないはずだし、私自身もその時にはとっくに、容子様を義理の母だなどと思うのも忘れて、一人の女として容子様の身体から放たれる魅力の虜になっていた。

容子様の乳首は、ただでさえそれなりに尖っていたように思えたが、私がたっぷりと舌で愛撫していくと、ピンク色から更に赤みを増していき、果実が熟れていくようで本当に不思議だった。
赤くなったらもっと甘くなるのだろうかと、自然にまた口がそちらに向かっていき、だんだんと口での愛撫は穏やかなものからチュパチュパと音を立てて吸いつくような、激しいものへと変化していく。

「あん、あ…愛美、そんな…強く吸っちゃ…やん」

私は容子様の言葉など一切気にしない。
嫌なら私の頭を掴んで、引き剥がせばいいだけの事なのだから。

「……」

しかし私はふと我に返る。
今この瞬間こそ、容子様は私のものだけど、さほど日を置かずに容子様は梨々香とも肌を重ねる予定なのだ。
それに限らず容子様にはいつでも、身体を重ねて楽しむ為の相手がいる。

よその人に義理立てするつもりはそれほどないが、梨々香だけは別だ。
いかにも私と派手に交わった痕跡を、容子様の身体に刻んでしまうのは得策ではない。
梨々香にあさましいと思われたくないし、大決心して処女を捧げようという梨々香に、余計な事で雑念を抱いて欲しくはない。

「…容子様」

そろそろ、という言葉は濁して私は指先を滑らせ容子様の腰から下腹部を撫でた。
薄布ではあるが、ナイトドレスの生地に包まれた屹立を、まだ直接拝んではいない。

私は、くしゃくしゃに固まって容子様の下半身にまとわりついているナイトドレスを、丁寧に引き下ろしていく。
容子様が軽く腰を浮かせるのに合わせて、それをすっかり抜き取りベッドの下にはらりと落とした。

「……」

考えてみれば当たり前だが、容子様はその下にショーツの類は履いておらず、一応肌の色に近いけれども容子様のとは違う肌色の物体に視線を注ぐ。
そして考えているのは、これを舐める分には、容子様の身体に痕跡は残らないだろう、という事だけだった。

「…あぁっ、愛美…それ…」

やった事もないのに、気が付くと私はその屹立した無機物を咥えてズボズボと口内に出し入れしていた。
一応洗ったか消毒はしてあるだろうが、その消毒液のものなのか、容子様の肌とは違う、化学物質のような苦さを感じる。

…そう言えば男性の精液も苦いとかいう噂があったような、とよくわからない記憶を引っ張り出しながら、その苦みを薄めるように唾液をまぶし、そこに唯一足りない生々しさを、少しでも加えるように努力した。

それ自体をしゃぶられた所で、容子様本人に何か刺激が伝わる訳ではないのかもしれないが、一応双頭ディルドのようでもあり、間接的に私のしゃぶる動きに伴って容子様の膣内に埋まった部分もわずかに動き、膣内が刺激されているようである。
ただ容子様はそれ以上に、私という人間に自分が装着した偽竿をしゃぶられているという絵面そのものに興奮しているようだった。

「初めてなんでしょ?愛美…」
「…はい」
「でも、とても上手だわ、見ているだけでも伝わるぐらいに、いやらしいわよ」

「いやらしい」との言葉は純粋な褒め言葉として私の脳は処理していく。
嬉しくなってますます大きく頭を振り、ジュボジュボと音を立てて偽竿を出し入れしていった。

「愛美、凄い…そんなに…しちゃうのね」

フェラチオというものは顎が疲れるとか、大して楽しくないとかいう話を聞いた事もあるが、私には全く意味がわからない、という感覚である。
顎も別に疲れないし、いやらしいものを口に含んでいる感覚はそれだけで気分が高揚してぼーっとしてしまう。

いわゆるディープスロートと呼ばれる技術も、映像などでは苦しそうにむせる女性の姿を見た事はあるが、どういう訳だか私の場合は、根元まで飲み込んでも拒絶反応も起きず、喉置くまでそれを飲み込んだ状態でも容易に舌を使う事ができた。

「愛美、貴女…あ、あふ…ん」

容子様はまるで、本当にフェラチオされている男性のように良がっている。
特に喉奥いっぱいにまでものを咥え込み、竿の側面や裏側を舌先でくすぐるように嘗め回した時などは反応が顕著だった。

こちらまでそれにつられてしまい、竿のどこが感じるのかと本気で探るように、あちこちに舌を這わせたり唇でしごいたりしながら、容子様の反応を伺う始末である。

「は、初めてなのにこんな…やらしいフェラしちゃって…私の…ん、あぁん」

なんとなく、言葉にされずともわかる気がした。
本当に自分の遺伝子を受け継いでいるのかも、もしくはそうではないが同年代の頃の容子様より進んでいる、と言いたかったのではないか。

「あぁっ、あ…外れちゃう」

何がだろうと思っていたら、容子様の膣から偽竿そのものが外れた。
私が強く吸い込み過ぎたのかと驚いたが、ふと見ると容子様の内腿は愛蜜でべっとりと濡れている。
…強く締めるあまり締め出してしまったのか、逆に膣が緩んで滑り出てしまったのか、私には判然としない。

どうしたらいいのかわからなくて、外れた偽竿を両手で包むように持ち上げてみると、容子様側の先端から蜂蜜のように粘りのある糸が伸びて、容子様と繋がっていた。
それは重力に従いすぐに切れてしまったけど、この蜜は本当に甘いのだろうかと疑問に思う間もなく、私はその糸が伸びていた先端部分をぺろぺろと舐めてしまう。

「愛美、そんな…いやらしい事して…」

容子様の手が無造作に私の手首を掴んで引き寄せる。
私は握っていた偽竿をベッドの上に取り落としたが、容子様は意に介さず私の身体を引き寄せながら上半身を起こした。

「…ちょっと約束と違うけど、こっち、しよう…?」

一瞬にして容子様の脚が私の脚に絡んだかと思うと、次の瞬間には容子様の花弁と私のそれが重ねられていた。
勿論太腿も、上半身も、全て密着している。
鍵のように噛み合わされた脚の間だけが、ヌルヌルとして温かくて、いやらしい。

「…ん」

事態に戸惑っている間に、容子様は私の唇に自身の唇を重ねてくる。
…私なんかよりずっとずっと繊細で、それなのに大胆に私の口内を容子様の舌が這い回る。
その巧みさに思わず身震いしたが、次の瞬間には全てがばらばらに溶けてなくなるぐらいに、身体から力が抜けた。
唯一硬さを持つ部位があるとするならば、ちょうどがっちりと噛み合わされている下肢の中心、今は容子様と自分の愛液に塗れているクリトリスが、それに該当する。

「……っ」

容子様のキスにぎこちなく応じる事しかできないうちに、その唇は離れていってしまった。
代わりに容子様は両手をベッドにつき軽く胸を反らせて腰を使い始める。

私もそれを真ねるように、腰の後ろに手を置き容子様の動きに応えた。

「ごめんね、愛美…そんなつもりじゃなかったでしょうけど…っんはぁ…あ、いいっ」
「いいんです…容子様なら…どんな事だって…」

快感というよりも、身体に与えられる刺激をどう解釈すれば良いのか、私は迷っていた。
でも、慣れた動きで腰を小刻みに振る容子様の、ちょっと必死な、そして私にもわかるくらいに官能に支配されている表情を見て、私はそれだけで感激していた。

「これ、貝合わせ…ですか…?あんっ」
「そうよ…ヌルヌルで気持ちいいでしょ?」
「…ん、よく…わかりません」

腰だけではない。容子様の胸も、髪も、瞳も、全てが細かく揺れている。

「あら、じゃあ…こっちの方がいいかしらね?」

ズン、と容子様の腰が強く押し出されて更に私の下肢と密着する。
骨が擦れるぐらいにぐりぐりと密着した肌の間で、剥き出しになった萌芽や花弁の内側の粘膜が直に擦れる感覚があり、その瞬間全身に電流のような、感じた事のない何かが走った。

「あ!…あぁ、ん…あはぁ」
「あら…愛美はこういうのが好きなのね♪」
「あん、そこ…ぐりぐりって…いやぁん」
「愛美、いい顔してるわよ…すごく気持ち良さそう」

もう、大事な部分がぐちゃぐちゃになっていて、何がどうなっているのかわからないはずなのに、私のその場所はまるで意識を持っているかのように、容子様に対して自身の感じる場所を差し出していく。

半分くらいは目も閉じかけているが、それでも私が見た容子様の表情は上気していて、感じる私の姿を眺めて興奮しているようだった。
その証拠に、さきほどよりずっと腰の動きは激しいままで、止まる気配もない。

「あぁ…愛美…いいわよ、凄く…」
「はい、あぁ…ん、おまんこが…ひくひくしちゃう…」
「わかるわよ…全部…」
「容子様、容子様っ、あ、あ…い、っちゃうっ…」

自分の声だけではない。同じくらい容子様も喘ぎ声をあげている。
そして二人で動かす腰の間からは、何とも言えない卑猥な、粘着質な音が絶え間なく聞こえてくる。

私の蜜と、容子様のそれが混じり合っていると思うだけでも脳が爆発しそうなぐらいに興奮するのに。
それを媒介にして、私の粘膜と、容子様のそれが触れ合い、互いに官能を高め合っている。

それがこんなにも幸せな事だなんて、想像もしなかった。

「愛美、もう少し…激しくするよ…?」

私は身体を揺すりながらもこくこくと頷いた。
容子様が少し本気を出すんだ、となんとなく思った。
ここから少しの間、容子様は私の為にではなく自分が達する為に身体を使うという意味を、私は察知し全てを任せる。

「あぁっ、あ、…い、くぅっ……」

二人でほとんど同時に果てた後、私は一気に意識が引き戻されるような感覚を得る。
そして、まさか容子様が達する姿を目前で拝めるとは思っていなかったから、私は一瞬固まるぐらいにその姿に見入ってしまった。

「……」

仰臥したままはぁはぁと呼吸する容子様に、どんな風に接したらいいのかわからず困ったけれど、自分がされたい事をしてみようと思いそっと容子様の胸に手を乗せた。
どこか、身体にそっと触れていて欲しいのではないか、と自分なりに思ったからである。

「は…ん、愛美…」

切れ切れに呟いた容子様に導かれるまま、私は容子様と優しいキスを交わす。
その最中にも、容子様の指先が触れた場所は火がついたように火照り、おさまったはずの烈情がまた復活するような気がして少し不安になった。

これは、絶頂からゆっくりと落ち着くまでのキスなのだと自分に言い聞かせ、貪りたい衝動をこらえつつ容子様のフェイスラインにそっと手を添えた。
既に唾液以上の分泌物を交換してしまったからか、キスによる唾液の交換など、まるで日常のようだとさえ感じる事に自分で驚く。

「ん…」

さっきよりは多少自然に、容子様と舌を絡め合う事ができてほっとする。
そうすると色々と感覚が開いていき、容子様の舌の柔らかさや、面積の割に少し厚みがある事などがわかって嬉しくなった。
特に唇の端を舌先でくすぐられるのが弱いらしく、そこを攻めると容子様は笑うように息を吐いてじわっと唾液をこぼした。
それが全然だらしなくは見えなくて、私は執拗にそこばかりを刺激しては、溢れた唾液を舐めたり口内で掻き回したりして遊んでしまう。

「ん、もう…愛美の方がタフかもね」
「…?」
「…それじゃ約束通り…」

そうだった。本題はこれからなのだ。
もう、割とその件はあってもなくてもいいような気もしていたけれど、ここまで来てそうも言っていられない感じがする。

それに、この時の私は処女喪失というものに対して、何の感慨も抱いてはいなかった。
かつてはあんなに焦っていたはずなのに、今はどうでもいいとさえ思っている。
容子様とはもう、それ以上の事をしたという自信が、そう思わせたのかもしれない。

「……」

さきほど、さんざん私がしゃぶり続けていた偽竿が再び容子様の下肢に収まり、私はそれを受け入れた。
でも、痛いという感覚もなく、中で軽く動かされても、さほどの衝撃も感じなかった。
ほんの少しめりめりした感じはあったけど、なじんでしまったのか何なのか、圧迫感というものが感じられず物足りない気がする。

「容子様、あの…もしかして私って…」

何かの雑誌で読んだ、膣の緩い女性は男に嫌われるといった記述を思い出す。
「緩いという事なんでしょうか」とは言葉に出せなかった。

容子様は「ちゃんと手ごたえはある、入れてる側としてはね…でも、愛美は物足りないのね?」と慎重に尋ねてきた。
恥ずかしいけど私は頷いて、そうだという事を伝える。

「待ってて…」

容子様は事前に用意していたのか、ポーチから別の玩具を取り出した。
見るからに色の違うもので、大きさも全然違って見えた。
私があまりにも不安そうにしていたからか、容子様はにこりと笑って告げてくる。

「処女だからと思って、ちょっと控えめなものにしてたけど…ちょっと大きいの、使ってみるね」
「はい…」

私は急に色々な事が気になってしまった。
そもそも容子様の好みのサイズって、どれくらいなんだろうとか、今度は大きすぎて痛くなったらどうしようとか、色々な方面から不安が尽きない。

でも容子様はあっけらかんとして言う。

「一発でベストなものになんて出会えないわ、でも幸いたくさんあって選べるんだから…愛美にとっていいものを使いましょうね」
「はい…」
「無理そうだったら、言ってね、また変えるから」

そうは言われても、正しく理解できるかどうか自信がない。
そして容子様が身に着けてみると、その偽竿は黒々としていて、明らかにさきほどのものより長さもあった。
それ以上に気になったのは、色による見え方の問題ではなく、明らかにそれは太いのである。

容子様は、私の動揺を誘いたいのか何なのか、可笑しそうに呟いた。

「これ…海外製なのよ」
「……」
「上級者向けなんだって」
「…」

何だろう。何か良くないのだろうか。
私は何か言わなければと思い、さして思考もせずに口を開いた。

「お話した通り…指でしか、触ってないですし…私だけがこっそり違う事してた訳じゃないのに…」
「いいのよ、それは」
「…はい」
「でも一応、初めての人には向いていないとされるものらしいから、まずいと思ったらすぐに言いなさい」
「はい」

何かテンポが狂った気がしたけれど、容子様はさきほどよりもずっと慎重に、挿入を開始する。
けれども私の身体は案外と、苦もなくその極太なディルドを飲み込んでしまった。

「…平気?」

押し戻されないようにする為なのか、容子様がかなり体重をかけて私にのしかかった状態で尋ねてきた。

「中が埋まってる感じとか、あるけど…平気です」
「そう、じゃ動かすわね」

そう言って容子様がゆっくりと腰を引いた時の事だ。
いや、容子様は間違いなく、慎重にゆっくりと腰を引いたはずなのに、私の体内には独特の衝撃が駆け巡ったのだ。

「あ…っ」
「ん?」

痛いのとは違う。そういう事ではない。
みっちりと膣内を埋め尽くしていた異物が立ち去った場所が、強烈な切なさを訴えてくるのだ。
真空状態になって膣壁が引っ張られるような感覚も凄くぞくぞくするけれど、それと共に私の秘部は、その異物に対して「行かないで」「もっと入ってきて、中を埋め尽くして」と叫んでいるようだった。

私は、だめだという意味ではないと伝えたくて首を横に振る。
と言うのも、自分の瞳から涙がこぼれているのが自覚できたからだ。

そして、容子様の腰がまた揺り戻すようにこちらに向かってくる。
さきほどよりはほんの少しだけ、勢いを増している気がするが、これもまた衝撃的だった。
強烈な切なさを覚えていた場所にまた圧力がかかり、その場所が異常なほどに歓喜しているのである。

「…あん、あ…」

自分でも聞いた事のないような甘ったるい声が出た。
驚いて口元を隠そうとしたが、容子様によってその手はゆっくりと取り払われてしまう。

「隠す事ないわ…愛美、気持ちいいんでしょ?」
「…はい、凄く…」
「なら思う存分愉しめばいいのよ」

容子様は、細心の注意を払って、玩具を出し入れしていく。
容子様側のものもそれなりのサイズがあるらしく、腰を突き入れる度に容子様の表情もわかりやすく悦楽に歪んでいく。

ものが出される度に恐ろしいほどの寂しさと切なさを、そして押し入って来られる時にはそれを取り戻す以上の歓喜を、身体は繰り返し伝えてくる。
そのうちに容子様の腰はものすごく速いペースで前後に動いていき、ものが抜かれる時の切なさは消えていって、突き入れられる時の悦びのみが私の身体を支配した。

「あぁっ、あんっ、あ…おっきい…の、いっぱいで…あぁぁ」
「愛美…」
「容子様、いっぱい…突いてください…壊れたりしないから…めちゃくちゃに…っんぅ、んあぁ」

何か、容子様の中から遠慮が消えた瞬間があったような気もするし、そう見えただけで実際はただの錯覚だったのかもしれない。
でも、私が望んだ通りに容子様はその大きな杭で私の膣内を、それこそ子宮口までえぐるぐらいに何度も何度も穿ってくれた。

「よ、容子様…凄いぃ、あ…あふ…ん」

何だか私ばかりが騒いでいるようで恥ずかしいが、下肢全体がおかしくなるほど穿たれ続けた所為もあり、おとなしくなどしていられなかった。
逆に容子様は言葉もなく、淡々と私の膣内に撃ち込むのを止めず、次第に何かを堪えるような様子を見せている。

正直、この独特の圧迫感と、引き出される時の切なさと、何より圧倒的な質量のものを自分が飲み込んでいるという事実に、私の思考は汚染され、溶けていく。

だから具体的に絶頂の感覚を得るどころではなく、まるで何かに振り回されているような、嵐の中にいるような感覚にただ身を任せるよりなかった。

しかし容子様の方は限界が近いらしく、「こっちが先にいっちゃいそう」などと呟いている。

「容子様、気にしないでください…私の事なんて、気にしないで」
「愛美ったら、何言ってるの」
「だって…よくわからなくて…んあぁ…っ」
「…大丈夫よ、完全にとはいかないまでもイった感覚にはさせてあげられるから、安心して」
「はい」

そこからの容子様は、まだこんなギアを隠し持っていたのかというほどの勢いと激しさでガンガン私の中を犯した。
私はまるで言葉も忘れてしまったかのように、ただあんあんと喘いで容子様にしがみつき、与えられる強烈な刺激に意識が飛ばされそうになるのを必死で堪えた。

いわゆる絶頂らしき感覚は得られたのかもしれないが、意識そのものが怪しい状況で、私はあまりはっきりと覚えていない。
少し眠ってその後に、身体には異変が起こった。

あの、空虚な…切なさが、常にじわじわと下肢に貼り付いたような感覚がある。
初めてのセックスの後は膣内と言うか脚の間に違和感を覚えると言うけれど、私の場合はそれが異常な激しさで訪れたのだ。

人に話してわかってもらえるとは思えないけれど、文字通り「あるはずのものがない」感覚。
私の膣には何かが挿入されていて初めて、安定すると言うような、そういう感じ。
喪失感などという生易しいものではなく、もっと決定的な何かを失った感覚なのだ。

私は戸惑った。これでは常時何かを突っ込んでいないと、不安や寂しさでどうにかなってしまいそうだったから。

翌日にはもう一度容子様にお願いをして、最初からたっぷりと、極太のディルドで中を突きまくってもらった。
自慰する時の為に、ほぼ同じ形のバイブや、手に持ったり壁に貼り付けられるタイプのディルドも分けてもらった。

もらった道具を使い、私は吸盤をヘッドボードに取り付けてそこに四つん這いのままバックして、自分で腰を使う様を容子様に見てもらったりもした。

容子様からは、変に我慢せずどんどんオナニーもした方が良いと言われて、数日間はほとんど寝ずにディルドやバイブを相手に自慰しまくった。
このままおかしくなってしまうのではないかと心配だったけど、慣れてくるとあの強烈な喪失感のようなものは薄れていった。

でも、私はそれ以来ずっと、容子様とする時も、自分でする時も、偽竿を使うなら海外製の極太タイプを好んで使っている。
冷静な時に眺めると、大きすぎて自分でもどうかと思うけど、実際問題これでないと気持ち良くなれないのだから仕方ない。

その後一番恥ずかしかったのは、梨々香との慰め合いの時に私がこれを取り出した時の、梨々香の驚き様を目の当りにした時なのだけれど、それでも梨々香は何も言わずに私の好みを尊重してくれたので、ありがたかった。
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