「助けてみろ」
松崎凪咲(まつざき なぎさ)。この四月から高校三年生になる彼は、心に届く〝声〟が聴こえる体質。
動物は当たり前で、人間ならば赤子や、まだあまり話せないらしい幼児、老人など。植物や虫たち、モノは〝声〟のような〝気配〟が伝わってくる。
それから、人間でないヒトの〝声〟も届く。
人でないヒト、ファンタジーな存在。
色々様々なヒトと出会ってきた凪咲は、四月の直前に。
助けを求める〝声〟を聴き、助けようとした存在も、人間ではなかった。
銀色の耳と、銀色の長い尻尾が九本。長い髪も銀色で、見目麗しいご尊顔の彼は、千年以上前に生まれた九尾の狐らしい。
助けろと言われ、助けると答えた凪咲は。
噛みつくようなキスを彼から受けた。
※不定期更新
文字数 115,559
最終更新日 2025.11.30
登録日 2025.10.31
人外と呼ばれていた『幻想の存在』が人間として暮らす時代。幻想の存在だった『人種』の一つ、ヴァンパイアの血を引くメア。
彼女は高校最初のハロウィンを楽しむはずが、異常事態に巻き込まれた。
文字数 9,201
最終更新日 2025.11.26
登録日 2025.11.26
生まれた国で『夜火の魔物』と呼ばれていた。
その国は帝国の属国となった。
夜火の魔物──彼女は、帝国に渡った。
彼女を救ってくれた存在、帝国の『秘宝』に会うために。
文字数 9,499
最終更新日 2025.11.13
登録日 2025.11.13
グレイフォアガウス王国の第二王女、シャーロット。
フォーサイス公爵家の次期公爵、セオドア。
二人は婚約者であるけれど、婚約者であるだけだった。
形だけの婚約者。二人の仲は冷め切っているし冷え切っている。
そもそも温度など、最初から存在していない。愛も恋も、友情も親しみも、二人の間には存在しない。
周知の事実のようなそれを、シャーロットもセオドアも否定しない。
お互いにほとんど関わりを持とうとしない、交流しようとしない、シャーロットとセオドアは。
婚約者としての親睦を深める茶会でだけ、顔を合わせる。
親睦を深める茶会だというのに、親睦は全く深まらない。親睦を深めるつもりも深める意味も、二人にはない。
形だけの婚約者との、形だけの親睦を深める茶会。
今日もまた、同じように。
「久しぶりに見る君が、いつにも増して愛らしく見えるし愛おしく思えて、僕は今にも天に召されそうなほどの幸福を味わっている。──?!」
「あたしのほうこそセオ様とお顔を合わせること、夢みたいに思ってるんですからね。大好きなセオ様を独り占めしているみたいに思えるんですよ。はっ?!」
顔を合わせて確認事項を本当に『確認』するだけの茶会が始まるはずが、それどころじゃない事態に陥った。
文字数 52,021
最終更新日 2025.09.23
登録日 2025.09.17
そもそもとして、コイツは猫なのか。
◇
地元からだいぶ遠い大学を受験して、合格して、その大学へ通うため、地元から遠くて大学に近いアパートへ引っ越した。
引っ越した先のアパートで、ファンタジーな存在と出会った。
ファンタジーな存在──片手に収まる大きさの、猫。
大きさ、毛色、眼の色、時折見せる仕草とかも、よくいる『猫』のそれじゃない。
あと、目で語ってくるし、潮の香りを放ってくる、そんな猫。他にも色々猫っぽくないことがあったりする猫。
成人してる男の俺を小童って(目で)言ってくるメス、女の子の猫。
そういうお前は何歳なんだと言いたいが、二歳いってるかどうからしい。二歳だとして人間年齢へ換算したら俺より確実に年上になるから、なんとも微妙な気分になる。
そんな感じで、ファンタジーな存在に思えるこの猫は。
そもそもの話として。
猫なのか、猫じゃないのか。
一緒に暮らしてるけどさ、お前、なんなんだろうね?
文字数 22,695
最終更新日 2025.08.26
登録日 2025.08.19
少女は、桃源郷へ贈られた。
少女の父と母が信じている、何かの神様。
桃源郷にいるという、その神様へと、贈られた。
文字数 6,288
最終更新日 2025.08.23
登録日 2025.08.23
国民から絶大な支持と憧れを向けられる、王立騎士団。
平民の青年エリスは、『彼女』と同じ王立騎士団員となることを、そしてその先を目指して、ずっと自分を鍛えてきた。
なぜ彼女は騎士を目指したのか。なぜ彼女はあんなことになったのか。
彼女が目指した『騎士』とはなんだったのか。
その答えを得るために。
そして、平民区分の入団試験のうち、剣術での試験にて。
対戦相手である現役の騎士団員に勝利したエリスの、ちょうど次に呼ばれ、出てきたのは。
「次、ロロファ」
「はい!」
肩ほどまでの黒髪と小柄な体躯、純真そうで曇りのないつぶらな緑の瞳を持った、子供──
に、見える、女性の受験者だった。
『彼女』と同じ、女性騎士になろうとしている受験者だった。
文字数 8,010
最終更新日 2025.08.04
登録日 2025.07.25
文字数 1,036
最終更新日 2025.07.14
登録日 2025.07.14
「お前さんは死んだんじゃ」
「……え?」
日本人の星羅真由(せいら まゆ)は、謎の空間で猫の姿をした『神』にそう告げられた。猫姿の神曰く、彼女は「天文学的な確率の不幸」によって突然死したらしい。
地球に生まれ直すのは難しいということで、他の神が管理する世界に転生することになった彼女。
転生した先はケモノの耳や尻尾、翼などを持つ獣人が人間として暮らす、魔法あり魔物ありのファンタジーな異世界。しかもこの世界の神が地球好きで、地球由来の文明・文化要素も盛り込まれているのだとか。
今世の名前はマユゥ・セイラン。ロゼジャガー&ルビーキャット系ミックスの女の子。性格は『好奇心旺盛』。
家族と友人たちに囲まれて、世界の謎に迫ったり迫られたりしながら、人生楽しく生きていきます!
(※R15は保険です)
文字数 36,365
最終更新日 2025.07.09
登録日 2025.06.26
その土地では日照りが続いていた。
領主の娘でありながら忌み子として生まれ育った少女は、父から「水神様のお力となれ」と、生贄として捧げられることになる。
その身を捧げ、この地に雨を齎して頂くためにと、少女は水神様へ会いに行く。
そして出会った水神──白い大蛇に、自分と引き換えに雨を降らせてほしいと乞い願った。
文字数 2,774
最終更新日 2025.07.06
登録日 2025.07.06
上野美雨(うえの みう)、十五歳、高校一年生。彼女には長年片思いしている相手がいる。その片思い相手は高崎真夏斗(たかさき まなと)。美雨の二つ年上、高校三年生。
幼い頃からずっと好きだった真夏斗に告白されて、「よろしくお願いします!」と、勢い込んで返事をした。
その一週間後、真夏斗と初めてキスをした、その日から。
真夏斗は姿を消した。
文字数 8,076
最終更新日 2025.06.30
登録日 2025.06.30
南野奏夜(みなみの そうや)、総合大学の一年生。彼には同じ大学に通う同い年の幼馴染がいる。橘圭介(たちばな けいすけ)というイケメンの権化のような幼馴染は、イケメンの権化ゆえに女子にモテ、いつも彼女がいる……が、なぜか彼女と長続きしない男だった。
彼女ができて、付き合って、数ヶ月しないで彼女と別れて泣く圭介を、奏夜が慰める。そして、モテる幼馴染である圭介なので、彼にはまた彼女ができる。
そんな日々の中で、今日もまた「別れた」と連絡を寄越してきた圭介に会いに行くと、こう言われた。
「そーちゃん、キスさせて」
その日を境に、奏夜と圭介の関係は変化していく。
文字数 117,342
最終更新日 2025.04.16
登録日 2025.03.29
この春から都内の大学に通うため、田舎から東京に出てきた勅使河原冴紅(てしがわら さく)。彼女は、同郷の出であり東京郊外に住んでいる京屋眞央(きょうや まひろ)とシェアハウスをすることになった。
その、京屋眞央という男。何やら謎めいた事情を抱えているらしい。
幼い頃に眞央に助けられた過去がある冴紅は、そんな眞央の力になりたいと思っているが──
◇◇◇
※他サイトにも投稿しています。
◇◇◇
文字数 6,466
最終更新日 2024.11.09
登録日 2024.11.09
ベルガー領アンドレアスの街に店を構える、魔法使いのメアリー。彼女は、常連客の一人である、聖騎士のディアンから、
「失恋したんだ。もう、今にも死にそうで、新たに恋に縋るしか、乗り切る道を思い描けない」
だから、自分で飲むための、惚れ薬を作ってくれないか。
そんな依頼を受け、作ったそれを渡したら、
「何やってんですか?!」
メアリーの目の前で、ディアンは惚れ薬を飲んだ。
◇◇◇◇◇
※他サイトにも投稿しています。
文字数 23,465
最終更新日 2024.10.26
登録日 2024.10.24
春休み。4月になったら高校2年になる成川光海(なりかわみつみ)は、2年の予習をしようと、図書館に来た。そしてそこで、あり得ないものを見る。
同じクラスの不良、橋本涼(はしもとりょう)が、その図書館で、その学習席で、勉強をしていたのだ。
「勉強、教えてくんねぇ?」
橋本に頼まれ、光海は渋々、橋本の勉強を見ることに。
何が、なんで、どうしてこうなった。
光海がそう思う、この出会いが。入学して、1年経っての初の関わりが。
光海の人生に多大な影響を及ぼすとは、当の本人も、橋本も、まだ知らない。
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なるべく調べて書いていますが、設定に緩い部分が少なからずあります。ご承知の上、温かい目でお読みくださると、有り難いです。
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他サイトでも掲載しています。
文字数 412,968
最終更新日 2024.09.30
登録日 2024.05.23
ウェスカンタナ大陸にある大国の一つ、グロサルト皇国。その国の東の国境の山に、アルニカという少女が住んでいた。ベンディゲイドブランという老人と二人で暮らしていたアルニカのもとに、突然、この国の第一皇子、フィリベルト・グロサルトがやって来る。
彼は、こう言った。
「ベンディゲイドブラン殿、あなたのお弟子さんに、私の専属魔法使いになっていただきたいのですが」
文字数 56,723
最終更新日 2024.09.18
登録日 2024.08.31