128 / 131
番外編
番外編②クロードの休日
しおりを挟む
7月の期末試験前の休日
試験対策で朝から殺気立ってる寮内の談話室に勉強をする為立ち寄った俺は、その中に見慣れた濃茶色を見つけて声をかける。
「クロードもここで勉強?珍しいね」
「ああ、寮生に頼まれてな」
「寮生……?」
クロードの答えを聞いた後改めて俺が彼の周囲を見ると、彼の同級生が死屍累々といった有様で床に転がっていた。
「もしかして徹夜?」
「そうでもしないと間に合わないと泣きつかれてしまって、実技と合わせてさっきまでは頑張っていたが限界が来たみたいだ」
なるほど、うちの学校の試験は実技と筆記だけど、その対策を一気にやったならこの惨状も理解できる。ここまで話を聞いて俺はあることに気がついた。
「てことはクロードも徹夜してたんだよね?」
「ああ、久しぶりにしたな。この後少し鍛錬してから自分の対策をするつもりだ」
この談話室に集まってる寮生は皆試験対策に追われて、身嗜みなんて二の次の修羅の形相になっている。かくいう俺もここ数日はヘアケアする時間が取れなくて少し髪が跳ねてしまっている。そんな中周りに頼まれて自分の時間を削って徹夜までしてるクロードは、俺と同じ条件かそれより大変なはずなのに
「なんでクロードそんなにかっちりしてるの」
「え?」
彼はしっかりと髪を上げ、皺一つない服に身を包んでいる。徹夜明けなのに清潔感さえ感じるその姿に俺は軽く慄いていた。
「徹夜と言っても合間にシャワーは浴びたから……かな?」
「え、じゃあその後髪あげ直したの?」
俺の質問に疑問符を浮かべながら答えるクロードに俺はさらに問いかけた。クロードはいつも騎士らしくしっかり髪を纏め上げてるけど、休日の、それも徹夜の日でもそれを徹底してるのは凄いというかなんかこだわりを感じる。
「そんなに手間でもないからな」
「そうかもだけど、本当クロードってちゃんとしてるよね」
俺なんて今日は髪の跳ねを誤魔化すためにラフに纏めてるのになぁ……
そんな事を考えていた俺は試験からの現実逃避も兼ねてある事を思いついた。
「ねえ、たまにはクロードも髪型変えてみない?」
クロードが返事を返す前に俺は軽く彼の前髪に手を触れる。やっぱり休日だから纏めてはいてもいつもよりは固め方が柔らかい。これなら結構簡単にできそう。流石に同じ寮内で生活してたら夜に髪下ろしてるのは見るけど、オフのそれとしっかりアレンジするのとでは全然違う。
「ね?ちょっとだけいいでしょ?」
「か、構わないが……お手柔らかに頼むな」
「任せて!」
すっかりやる気になった俺はダッシュでヘアケア用品を部屋から取ってくる。
どんなアレンジにしようかな?クロードはかっこいいからどんな髪型でも似合いそう。
◇
「じゃじゃーん!どう?」
数分の格闘の後、完成した髪型を見てもらうため俺はクロードに手鏡を渡す。
「前髪があるのは少し落ち着かないな……ん、これって」
クロードが少し所在なさげに前髪に触れながら俺を振り向く。
「そう!俺とお揃い!どう?いい感じじゃない?かっこいいよクロード!」
「うん、そうだな。ありがとう。今日はこれで過ごそうかな」
俺と同じ片寄の下ろした前髪越しに優しい海色の瞳が見える。クロードのいつもの真っ直ぐ視線が見えるスタイルもいいけど、こういうのも似合うよね。
「クロードまだここで勉強する?俺も一緒にしていい?」
「いいぞ。わからない所があったら教えるよ」
「わーい!ありがと!助かる」
俺達はお揃いの前髪で机に並んで座って勉強を始める。ちょっとした事だけどなんだかそれが嬉しい。今度は俺がサプライズで前髪あげてみようかな?あんまり上げたことないからクロードがどんな反応をするのか今から楽しみ。
試験対策で朝から殺気立ってる寮内の談話室に勉強をする為立ち寄った俺は、その中に見慣れた濃茶色を見つけて声をかける。
「クロードもここで勉強?珍しいね」
「ああ、寮生に頼まれてな」
「寮生……?」
クロードの答えを聞いた後改めて俺が彼の周囲を見ると、彼の同級生が死屍累々といった有様で床に転がっていた。
「もしかして徹夜?」
「そうでもしないと間に合わないと泣きつかれてしまって、実技と合わせてさっきまでは頑張っていたが限界が来たみたいだ」
なるほど、うちの学校の試験は実技と筆記だけど、その対策を一気にやったならこの惨状も理解できる。ここまで話を聞いて俺はあることに気がついた。
「てことはクロードも徹夜してたんだよね?」
「ああ、久しぶりにしたな。この後少し鍛錬してから自分の対策をするつもりだ」
この談話室に集まってる寮生は皆試験対策に追われて、身嗜みなんて二の次の修羅の形相になっている。かくいう俺もここ数日はヘアケアする時間が取れなくて少し髪が跳ねてしまっている。そんな中周りに頼まれて自分の時間を削って徹夜までしてるクロードは、俺と同じ条件かそれより大変なはずなのに
「なんでクロードそんなにかっちりしてるの」
「え?」
彼はしっかりと髪を上げ、皺一つない服に身を包んでいる。徹夜明けなのに清潔感さえ感じるその姿に俺は軽く慄いていた。
「徹夜と言っても合間にシャワーは浴びたから……かな?」
「え、じゃあその後髪あげ直したの?」
俺の質問に疑問符を浮かべながら答えるクロードに俺はさらに問いかけた。クロードはいつも騎士らしくしっかり髪を纏め上げてるけど、休日の、それも徹夜の日でもそれを徹底してるのは凄いというかなんかこだわりを感じる。
「そんなに手間でもないからな」
「そうかもだけど、本当クロードってちゃんとしてるよね」
俺なんて今日は髪の跳ねを誤魔化すためにラフに纏めてるのになぁ……
そんな事を考えていた俺は試験からの現実逃避も兼ねてある事を思いついた。
「ねえ、たまにはクロードも髪型変えてみない?」
クロードが返事を返す前に俺は軽く彼の前髪に手を触れる。やっぱり休日だから纏めてはいてもいつもよりは固め方が柔らかい。これなら結構簡単にできそう。流石に同じ寮内で生活してたら夜に髪下ろしてるのは見るけど、オフのそれとしっかりアレンジするのとでは全然違う。
「ね?ちょっとだけいいでしょ?」
「か、構わないが……お手柔らかに頼むな」
「任せて!」
すっかりやる気になった俺はダッシュでヘアケア用品を部屋から取ってくる。
どんなアレンジにしようかな?クロードはかっこいいからどんな髪型でも似合いそう。
◇
「じゃじゃーん!どう?」
数分の格闘の後、完成した髪型を見てもらうため俺はクロードに手鏡を渡す。
「前髪があるのは少し落ち着かないな……ん、これって」
クロードが少し所在なさげに前髪に触れながら俺を振り向く。
「そう!俺とお揃い!どう?いい感じじゃない?かっこいいよクロード!」
「うん、そうだな。ありがとう。今日はこれで過ごそうかな」
俺と同じ片寄の下ろした前髪越しに優しい海色の瞳が見える。クロードのいつもの真っ直ぐ視線が見えるスタイルもいいけど、こういうのも似合うよね。
「クロードまだここで勉強する?俺も一緒にしていい?」
「いいぞ。わからない所があったら教えるよ」
「わーい!ありがと!助かる」
俺達はお揃いの前髪で机に並んで座って勉強を始める。ちょっとした事だけどなんだかそれが嬉しい。今度は俺がサプライズで前髪あげてみようかな?あんまり上げたことないからクロードがどんな反応をするのか今から楽しみ。
27
あなたにおすすめの小説
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
先輩たちの心の声に翻弄されています!
七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。
ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。
最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。
乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。
見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。
****
三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。
ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️
転生したが壁になりたい。
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中
油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。
背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。
魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。
魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。
少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。
異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。
今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。
激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は未定
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
・本格的に嫌われ始めるのは2章から
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
