59 / 131
3年1学期
59話:初めての誕生日を君に①
しおりを挟む
ペア決めから始まった大騒動はおさまったけれど、俺の中にはこの春にやらないといけない重要な事がまだ残っていた。それは――
(ルカの誕生日プレゼントどうしよう……)
ルカから教えてもらった日付まで、まだ少しだけ猶予があるけど、今までルカとエリオ君のペア授業を何とかするのに手一杯だったから何も用意できてない。
「……フレンと食べるとおいしい」
「そう?ならよかった」
俺がああでもないこうでもないと考えている傍ら、パンを咀嚼中のルカが声をかけてくる。ちなみに俺は今、前回のペア授業でのルカとの約束である中庭での一週間のランチタイムの真っ最中。もっと言うと中庭のベンチに座ったルカの膝の上でお弁当を食べている所。膝に人を乗せながら食事ってしにくくない?とは思いつつルカの希望なので俺は大人しく座っている。
ルカとエリオ君のペア騒動がおさまって数日、俺のペア監督の頻度は週に一度に変更になった。それも来月までで、あと少し様子を見て問題なければ以降は監督終了だとミチル先生から言われている。
「そろそろ授業だから行こっか、ルカ」
「……まだこのままでいい」
次はちょうどペア授業だから俺はルカに声をかけたんだけど、ルカはのんびりとした動きで俺を抱きしめて動こうとしない。校庭まで結構距離があるし本当に大丈夫かなと俺が心配になってきたところで
「こんな所で何してるんですか!授業の事忘れてないですよね?」
「あ!エリオ君!」
と中庭に駆け込んできたエリオ君が俺を引っ張り、そのまま芋蔓式にルカもついてきたので結果として授業には間に合った。ルカはぼんやりしている所があるし、しっかり者のエリオ君がペアになって良かったなぁなんて俺がしみじみ思っていると
「先輩はこういう時しか役に立たないんですから、もっとしっかりしてください」
と、エリオ君から容赦ない一言をかけられてしまった。確かに俺は授業じゃ役に立たないけど、相変わらずあんまりな言い分だと思う。だけど俺は彼のその発言の裏、構われたがりな本心を知ってるので宥めるように声をかけた。
「ごめんね、1人で待たせて。寂しかった?」
「べっ、別に寂しいわけないですけど、準備とか……色々あるでしょう」
素直じゃないけど、前みたいに弱い人の言葉なんて一切聞きませんとかは言わないようになった所に彼の成長を感じる。そのまま授業が始まり、その合間で彼と話してる中で俺はふと思いつく。
(ルカの誕生日……エリオ君と一緒に祝うのいいかも)
ルカの家庭は複雑そうで、前にルカは一度も誕生日を祝われた事がないと言っていた。そのご両親をどうにかするのは難しそうだけど、今のエリオ君ならもしかしたら話くらいは聞いてくれるかもしれない。唐突な思いつきだけど、我ながら名案な気がして俺はペア授業が終わった後にこっそりエリオ君の教室に行って声をかけることにした。
「エリオ君いる?ちょっと話したい事があって」
「……何の用ですか?僕貴方と違って忙しいんですが」
最近のペア授業中の雑談の中で聞いたんだけど、エリオ君は学級委員長をやっているらしい。普段の言動や思想はともかく、優等生の彼らしいそれのお陰で1年生とはいえ結構スケジュールが詰まっているとか。
「突然で悪いんだけど、明日のお休み空いてたりしない?一緒に街にお出かけできたらなって」
「おっおお、お出かけ!?な、なんで、僕に、」
俺の申し出を聞いた途端、エリオ君はさっきまでのツンツンした態度が嘘みたいに動揺し始める。別に俺は変な誘い方をしたつもりはないんだけど、何か悪いこと言っちゃったかな?って思うくらい明確に視線が泳いでて、いつものクールさが保ててない。
もしかしてエリオ君って友達と出かけたり遊びに誘われた経験ないとか?なんて少し失礼なことを考えながら俺は続きを話す。
「ルカの誕生日近いでしょ?一緒に祝いたいからプレゼント買うの手伝ってほしくて」
「そそ、そうでしたっけ?……ま、まあ、貴方がどうしてもっていうなら、付き合ってあげなくもないですけど」
(あ……)
エリオ君の返答から、ルカが実の弟にすら正確に誕生日を把握されてないという現実が目に見えて心が少し苦しくなる。エリオ君に他意がない分その反応はとてもリアルだ。
「ありがとうエリオ君。待ち合わせとか話したいから連絡先交換しよ?」
でもここでそんな事を言っても何も変わらない。
それよりもそんな状況でもエリオ君が断らず了承してくれた事の方が意味がある気がした。きっとこれはエリオ君とルカがペアになって曲がりなりにもぶつかった事で起きた変化だ。
「それじゃまた明日!よろしくねエリオ君」
必要なことは伝えたし、連絡先の交換もできた。俺はまだどこか少し挙動不審なエリオ君に手を振って教室を後にする。
まだ何を買うかは決めてないけど、小さな一歩は踏み出せた。あとは明日とびきりのプレゼントを探すだけ、だよね!
(ルカの誕生日プレゼントどうしよう……)
ルカから教えてもらった日付まで、まだ少しだけ猶予があるけど、今までルカとエリオ君のペア授業を何とかするのに手一杯だったから何も用意できてない。
「……フレンと食べるとおいしい」
「そう?ならよかった」
俺がああでもないこうでもないと考えている傍ら、パンを咀嚼中のルカが声をかけてくる。ちなみに俺は今、前回のペア授業でのルカとの約束である中庭での一週間のランチタイムの真っ最中。もっと言うと中庭のベンチに座ったルカの膝の上でお弁当を食べている所。膝に人を乗せながら食事ってしにくくない?とは思いつつルカの希望なので俺は大人しく座っている。
ルカとエリオ君のペア騒動がおさまって数日、俺のペア監督の頻度は週に一度に変更になった。それも来月までで、あと少し様子を見て問題なければ以降は監督終了だとミチル先生から言われている。
「そろそろ授業だから行こっか、ルカ」
「……まだこのままでいい」
次はちょうどペア授業だから俺はルカに声をかけたんだけど、ルカはのんびりとした動きで俺を抱きしめて動こうとしない。校庭まで結構距離があるし本当に大丈夫かなと俺が心配になってきたところで
「こんな所で何してるんですか!授業の事忘れてないですよね?」
「あ!エリオ君!」
と中庭に駆け込んできたエリオ君が俺を引っ張り、そのまま芋蔓式にルカもついてきたので結果として授業には間に合った。ルカはぼんやりしている所があるし、しっかり者のエリオ君がペアになって良かったなぁなんて俺がしみじみ思っていると
「先輩はこういう時しか役に立たないんですから、もっとしっかりしてください」
と、エリオ君から容赦ない一言をかけられてしまった。確かに俺は授業じゃ役に立たないけど、相変わらずあんまりな言い分だと思う。だけど俺は彼のその発言の裏、構われたがりな本心を知ってるので宥めるように声をかけた。
「ごめんね、1人で待たせて。寂しかった?」
「べっ、別に寂しいわけないですけど、準備とか……色々あるでしょう」
素直じゃないけど、前みたいに弱い人の言葉なんて一切聞きませんとかは言わないようになった所に彼の成長を感じる。そのまま授業が始まり、その合間で彼と話してる中で俺はふと思いつく。
(ルカの誕生日……エリオ君と一緒に祝うのいいかも)
ルカの家庭は複雑そうで、前にルカは一度も誕生日を祝われた事がないと言っていた。そのご両親をどうにかするのは難しそうだけど、今のエリオ君ならもしかしたら話くらいは聞いてくれるかもしれない。唐突な思いつきだけど、我ながら名案な気がして俺はペア授業が終わった後にこっそりエリオ君の教室に行って声をかけることにした。
「エリオ君いる?ちょっと話したい事があって」
「……何の用ですか?僕貴方と違って忙しいんですが」
最近のペア授業中の雑談の中で聞いたんだけど、エリオ君は学級委員長をやっているらしい。普段の言動や思想はともかく、優等生の彼らしいそれのお陰で1年生とはいえ結構スケジュールが詰まっているとか。
「突然で悪いんだけど、明日のお休み空いてたりしない?一緒に街にお出かけできたらなって」
「おっおお、お出かけ!?な、なんで、僕に、」
俺の申し出を聞いた途端、エリオ君はさっきまでのツンツンした態度が嘘みたいに動揺し始める。別に俺は変な誘い方をしたつもりはないんだけど、何か悪いこと言っちゃったかな?って思うくらい明確に視線が泳いでて、いつものクールさが保ててない。
もしかしてエリオ君って友達と出かけたり遊びに誘われた経験ないとか?なんて少し失礼なことを考えながら俺は続きを話す。
「ルカの誕生日近いでしょ?一緒に祝いたいからプレゼント買うの手伝ってほしくて」
「そそ、そうでしたっけ?……ま、まあ、貴方がどうしてもっていうなら、付き合ってあげなくもないですけど」
(あ……)
エリオ君の返答から、ルカが実の弟にすら正確に誕生日を把握されてないという現実が目に見えて心が少し苦しくなる。エリオ君に他意がない分その反応はとてもリアルだ。
「ありがとうエリオ君。待ち合わせとか話したいから連絡先交換しよ?」
でもここでそんな事を言っても何も変わらない。
それよりもそんな状況でもエリオ君が断らず了承してくれた事の方が意味がある気がした。きっとこれはエリオ君とルカがペアになって曲がりなりにもぶつかった事で起きた変化だ。
「それじゃまた明日!よろしくねエリオ君」
必要なことは伝えたし、連絡先の交換もできた。俺はまだどこか少し挙動不審なエリオ君に手を振って教室を後にする。
まだ何を買うかは決めてないけど、小さな一歩は踏み出せた。あとは明日とびきりのプレゼントを探すだけ、だよね!
17
あなたにおすすめの小説
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
先輩たちの心の声に翻弄されています!
七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。
ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。
最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。
乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。
見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。
****
三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。
ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️
転生したが壁になりたい。
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中
油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。
背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。
魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。
魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。
少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。
異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。
今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。
激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は未定
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
・本格的に嫌われ始めるのは2章から
うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる