穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ

文字の大きさ
60 / 131
3年1学期

60話: 初めての誕生日を君に②

しおりを挟む
「遅いです、貴方待ち合わせくらいちゃんとできないんですか?」
「ごめんごめん!信号に捕まっちゃって……」

 開口一番飛んできた言葉に俺は手を合わせて謝る。エリオ君との待ち合わせ、俺はいつも使ってる道が工事中で遠回りになった上、長い信号に捕まってしまい5分ほど遅刻してしまった。一応道が工事中の段階でエリオ君に連絡を入れていたんだけど、それでもまあ怒るよね。

「それで、何買うんです?」
「うーん、まだ決めてない。エリオ君と一緒に考えられたらなって」
「は?無計画すぎません?僕兄さんの好きな物とか知りませんよ」

 呆れたような声で返されるエリオ君の言葉は、想定の範囲内だ。兄弟についてルカが話してこないってことは、そこまで深い親交が無かったことを示しているし、俺もそこを頼りにするつもりはない。俺がエリオ君に求めてるのは、今から一緒にルカのことを考えてプレゼントを買うこと、それと――

「俺、竜族の事よく知らないから定番のプレゼントとか、あとは絶対避けたほうがいいものについてアドバイスもらえたら嬉しい!」
「……それなら、まあ、いいですけど」

 俺がまだよく知らないルカに関することを教えてもらうことは必須だ。前提として、邪竜に関してのみならず、竜族は秘密に包まれた種族だ。全種族中トップクラスの圧倒的な魔力に、強靭な肉体を持つプライドの高い種族とは聞いた事あるけど、彼らは珍しい種族な上基本的に同族以外と関わろうとしないから、俺はその他のことを何も知らない。エリオ君の高飛車な態度も(思うところはあったけど)、竜族としてのプライドの高さだと思えば納得できる。彼の場合はそれに追加してルカへのコンプレックスもあったから余計にあれな感じになってただけで。

「竜族の中でも僕達は翼竜なので、贈り物のモチーフとしては空に関するものがポピュラーですね。逆に海に関する物は、海竜がよく使うので好んでは使われません」
「えーっ!2人って翼竜だったの?翼とかあるの?見たーい!」

 様々な種族が集ううちの学園では、形態変化で仕舞える種族特性は隠すのが校則だ。ツノとか肌の色とかはそのままでいいけど、人にぶつかりやすい翼や、大きすぎる尻尾とかはしまっておかなきゃいけない。ちなみに、社会に出たら校則はなくなるけど、良識に則って適宜種族特性をしまいつつ生活するのがマナーではある。だから、俺は竜族のような大きな翼を見た事はなくてその興味からこう発言したんだけど……

「ちょ、こんな往来でやめてください!貴方露出狂ですか?」
「え?」
「竜族は人前で種族特性を見せることはありません。聖なる姿は同族にのみ見せる物だからです」

俺の言葉にエリオ君が信じられないと言った表情を向ける。その必死さに、早速俺は竜族のタブーに触れかけた事に気がついた。

「ごめん知らなかった!教えてくれてありがと」

 翼一つとっても種族によって考え方が全然違う。妖精族には特にそういう決まりはないし、むしろ社会人とかならチャームポイントとして見せてる人も多い。学生でも休日とかならおしゃれ感覚で出す子が普通にいるくらいだ。俺の場合は羽に夢魔の特徴が混ざっているから出せないだけで、基本的に羽は他の種族でも出す事の多い種族特性。だから俺は、その感覚で何気なく聞いただけなんだけど、どうやら竜族にとっての翼は妖精族とは全く別の意味を持つ神聖な物らしい。
 こんな風に、ある種族では普通な事が別の種族だとタブーだったりするから、俺は竜族についてちゃんと把握しておきたいと思ったんだよね。まあルカはあんまり気にしなさそうだけど。

「……せ、先輩は、何族なんですか?僕だけ知られてるのはフェアじゃ無いですし……」

 エリオ君の言葉に俺は少しだけ緊張する。ちなみに種族について聞くのは、ある程度仲が良ければ問題のない行為だから彼は全く悪くない。
 だからこの質問はエリオ君なりに俺の事が知りたいって意図で、彼にはきっとその思いしかない。ただ、俺の方が勝手に気にしてるだけ。その事に少しだけ罪悪感を感じながら俺は

「俺は半妖精。俺も羽あるけど小さくて恥ずかしいから…見せるのは無しね?」
「小さ……っ!べ、別に気になってませんけど!!」

そう言って冗談めかして背中を隠した。このフレーズは夢魔の血を隠すために昔から言ってる俺の常套句。妖精族は羽が綺麗な種族だから見せてって言われることも多くてそれをうまくかわすために考えた言葉なんだよね。こうして冗談っぽくしたら相手の気を悪くすることなく羽を見せずに済むし、俺の羽が小さいのは本当だからまるっきり嘘ってわけじゃない。
 ちょっと苦手な自分の種族に関する話題だからエリオ君の反応が怖かったけど、彼は特に突っ込んではこなかったので俺はそっと胸を撫で下ろす。

 そうしているうちに今日の目当ての店が近づいてきたので俺はそれとなく話題を変えて、なんでもないように話を続けた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

先輩たちの心の声に翻弄されています!

七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。 ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。 最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。 乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。 見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。 **** 三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。 ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️

転生したが壁になりたい。

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。 ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!

俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中

油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。 背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。 魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。 魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。 少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。 異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。 今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。 激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ

最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??

雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。 いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!? 可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

処理中です...