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3年1学期
59話:初めての誕生日を君に①
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ペア決めから始まった大騒動はおさまったけれど、俺の中にはこの春にやらないといけない重要な事がまだ残っていた。それは――
(ルカの誕生日プレゼントどうしよう……)
ルカから教えてもらった日付まで、まだ少しだけ猶予があるけど、今までルカとエリオ君のペア授業を何とかするのに手一杯だったから何も用意できてない。
「……フレンと食べるとおいしい」
「そう?ならよかった」
俺がああでもないこうでもないと考えている傍ら、パンを咀嚼中のルカが声をかけてくる。ちなみに俺は今、前回のペア授業でのルカとの約束である中庭での一週間のランチタイムの真っ最中。もっと言うと中庭のベンチに座ったルカの膝の上でお弁当を食べている所。膝に人を乗せながら食事ってしにくくない?とは思いつつルカの希望なので俺は大人しく座っている。
ルカとエリオ君のペア騒動がおさまって数日、俺のペア監督の頻度は週に一度に変更になった。それも来月までで、あと少し様子を見て問題なければ以降は監督終了だとミチル先生から言われている。
「そろそろ授業だから行こっか、ルカ」
「……まだこのままでいい」
次はちょうどペア授業だから俺はルカに声をかけたんだけど、ルカはのんびりとした動きで俺を抱きしめて動こうとしない。校庭まで結構距離があるし本当に大丈夫かなと俺が心配になってきたところで
「こんな所で何してるんですか!授業の事忘れてないですよね?」
「あ!エリオ君!」
と中庭に駆け込んできたエリオ君が俺を引っ張り、そのまま芋蔓式にルカもついてきたので結果として授業には間に合った。ルカはぼんやりしている所があるし、しっかり者のエリオ君がペアになって良かったなぁなんて俺がしみじみ思っていると
「先輩はこういう時しか役に立たないんですから、もっとしっかりしてください」
と、エリオ君から容赦ない一言をかけられてしまった。確かに俺は授業じゃ役に立たないけど、相変わらずあんまりな言い分だと思う。だけど俺は彼のその発言の裏、構われたがりな本心を知ってるので宥めるように声をかけた。
「ごめんね、1人で待たせて。寂しかった?」
「べっ、別に寂しいわけないですけど、準備とか……色々あるでしょう」
素直じゃないけど、前みたいに弱い人の言葉なんて一切聞きませんとかは言わないようになった所に彼の成長を感じる。そのまま授業が始まり、その合間で彼と話してる中で俺はふと思いつく。
(ルカの誕生日……エリオ君と一緒に祝うのいいかも)
ルカの家庭は複雑そうで、前にルカは一度も誕生日を祝われた事がないと言っていた。そのご両親をどうにかするのは難しそうだけど、今のエリオ君ならもしかしたら話くらいは聞いてくれるかもしれない。唐突な思いつきだけど、我ながら名案な気がして俺はペア授業が終わった後にこっそりエリオ君の教室に行って声をかけることにした。
「エリオ君いる?ちょっと話したい事があって」
「……何の用ですか?僕貴方と違って忙しいんですが」
最近のペア授業中の雑談の中で聞いたんだけど、エリオ君は学級委員長をやっているらしい。普段の言動や思想はともかく、優等生の彼らしいそれのお陰で1年生とはいえ結構スケジュールが詰まっているとか。
「突然で悪いんだけど、明日のお休み空いてたりしない?一緒に街にお出かけできたらなって」
「おっおお、お出かけ!?な、なんで、僕に、」
俺の申し出を聞いた途端、エリオ君はさっきまでのツンツンした態度が嘘みたいに動揺し始める。別に俺は変な誘い方をしたつもりはないんだけど、何か悪いこと言っちゃったかな?って思うくらい明確に視線が泳いでて、いつものクールさが保ててない。
もしかしてエリオ君って友達と出かけたり遊びに誘われた経験ないとか?なんて少し失礼なことを考えながら俺は続きを話す。
「ルカの誕生日近いでしょ?一緒に祝いたいからプレゼント買うの手伝ってほしくて」
「そそ、そうでしたっけ?……ま、まあ、貴方がどうしてもっていうなら、付き合ってあげなくもないですけど」
(あ……)
エリオ君の返答から、ルカが実の弟にすら正確に誕生日を把握されてないという現実が目に見えて心が少し苦しくなる。エリオ君に他意がない分その反応はとてもリアルだ。
「ありがとうエリオ君。待ち合わせとか話したいから連絡先交換しよ?」
でもここでそんな事を言っても何も変わらない。
それよりもそんな状況でもエリオ君が断らず了承してくれた事の方が意味がある気がした。きっとこれはエリオ君とルカがペアになって曲がりなりにもぶつかった事で起きた変化だ。
「それじゃまた明日!よろしくねエリオ君」
必要なことは伝えたし、連絡先の交換もできた。俺はまだどこか少し挙動不審なエリオ君に手を振って教室を後にする。
まだ何を買うかは決めてないけど、小さな一歩は踏み出せた。あとは明日とびきりのプレゼントを探すだけ、だよね!
(ルカの誕生日プレゼントどうしよう……)
ルカから教えてもらった日付まで、まだ少しだけ猶予があるけど、今までルカとエリオ君のペア授業を何とかするのに手一杯だったから何も用意できてない。
「……フレンと食べるとおいしい」
「そう?ならよかった」
俺がああでもないこうでもないと考えている傍ら、パンを咀嚼中のルカが声をかけてくる。ちなみに俺は今、前回のペア授業でのルカとの約束である中庭での一週間のランチタイムの真っ最中。もっと言うと中庭のベンチに座ったルカの膝の上でお弁当を食べている所。膝に人を乗せながら食事ってしにくくない?とは思いつつルカの希望なので俺は大人しく座っている。
ルカとエリオ君のペア騒動がおさまって数日、俺のペア監督の頻度は週に一度に変更になった。それも来月までで、あと少し様子を見て問題なければ以降は監督終了だとミチル先生から言われている。
「そろそろ授業だから行こっか、ルカ」
「……まだこのままでいい」
次はちょうどペア授業だから俺はルカに声をかけたんだけど、ルカはのんびりとした動きで俺を抱きしめて動こうとしない。校庭まで結構距離があるし本当に大丈夫かなと俺が心配になってきたところで
「こんな所で何してるんですか!授業の事忘れてないですよね?」
「あ!エリオ君!」
と中庭に駆け込んできたエリオ君が俺を引っ張り、そのまま芋蔓式にルカもついてきたので結果として授業には間に合った。ルカはぼんやりしている所があるし、しっかり者のエリオ君がペアになって良かったなぁなんて俺がしみじみ思っていると
「先輩はこういう時しか役に立たないんですから、もっとしっかりしてください」
と、エリオ君から容赦ない一言をかけられてしまった。確かに俺は授業じゃ役に立たないけど、相変わらずあんまりな言い分だと思う。だけど俺は彼のその発言の裏、構われたがりな本心を知ってるので宥めるように声をかけた。
「ごめんね、1人で待たせて。寂しかった?」
「べっ、別に寂しいわけないですけど、準備とか……色々あるでしょう」
素直じゃないけど、前みたいに弱い人の言葉なんて一切聞きませんとかは言わないようになった所に彼の成長を感じる。そのまま授業が始まり、その合間で彼と話してる中で俺はふと思いつく。
(ルカの誕生日……エリオ君と一緒に祝うのいいかも)
ルカの家庭は複雑そうで、前にルカは一度も誕生日を祝われた事がないと言っていた。そのご両親をどうにかするのは難しそうだけど、今のエリオ君ならもしかしたら話くらいは聞いてくれるかもしれない。唐突な思いつきだけど、我ながら名案な気がして俺はペア授業が終わった後にこっそりエリオ君の教室に行って声をかけることにした。
「エリオ君いる?ちょっと話したい事があって」
「……何の用ですか?僕貴方と違って忙しいんですが」
最近のペア授業中の雑談の中で聞いたんだけど、エリオ君は学級委員長をやっているらしい。普段の言動や思想はともかく、優等生の彼らしいそれのお陰で1年生とはいえ結構スケジュールが詰まっているとか。
「突然で悪いんだけど、明日のお休み空いてたりしない?一緒に街にお出かけできたらなって」
「おっおお、お出かけ!?な、なんで、僕に、」
俺の申し出を聞いた途端、エリオ君はさっきまでのツンツンした態度が嘘みたいに動揺し始める。別に俺は変な誘い方をしたつもりはないんだけど、何か悪いこと言っちゃったかな?って思うくらい明確に視線が泳いでて、いつものクールさが保ててない。
もしかしてエリオ君って友達と出かけたり遊びに誘われた経験ないとか?なんて少し失礼なことを考えながら俺は続きを話す。
「ルカの誕生日近いでしょ?一緒に祝いたいからプレゼント買うの手伝ってほしくて」
「そそ、そうでしたっけ?……ま、まあ、貴方がどうしてもっていうなら、付き合ってあげなくもないですけど」
(あ……)
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それよりもそんな状況でもエリオ君が断らず了承してくれた事の方が意味がある気がした。きっとこれはエリオ君とルカがペアになって曲がりなりにもぶつかった事で起きた変化だ。
「それじゃまた明日!よろしくねエリオ君」
必要なことは伝えたし、連絡先の交換もできた。俺はまだどこか少し挙動不審なエリオ君に手を振って教室を後にする。
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