115 / 131
3年2学期
115話: 文化祭、波乱の学園演劇とライブ④
しおりを挟む
「遅くなってごめん!今着替えるね!!」
「前の演奏押してるからまだ大丈夫!フレンの衣装これだよ!」
駆け足で入った会場である体育館の控室ではライブメンバーがバタバタと忙しなく動き回っていた。特にマリアは数人に囲まれて打ち合わせもしててかなり忙しそうだ。
「遅かったな、なんかあったのか?」
「あ、カイ。学園演劇見てたらちょっとね……」
俺が荷物を置いて更衣室の空きを待っていたら、機材の準備をしているカイに声をかけられる。余談だけどカイはいつの間にかすっかり機材係として定着していた。多分このままだと打ち上げにも誘われると思う。
「……ていうかお前、脚……」
「フレン!!個室更衣室開いたよ!!すぐ人来ちゃうから早く!!」
「わかった!!……じゃあまた後でね、カイ!」
俺は衣装を持って開いたばかりの更衣室に飛び込む。狭い更衣室で、ちょっと着るのが難しい衣装を悪戦苦闘しながら身につけて外に出た。
「音源確認して!ローテーション表最後に目を通して頭に入れてね!緊張で飛んだらその時は元気に踊ってくれたらいいから」
マリアがよく通る声でメンバーに声をかける。ローテーションは昨日も確認したけど、最後にちゃんと目を通して安心したい。
「チアライブ出演まで後5分です!入場ゲートに並んでください!」
係員の人の声で俺達は舞台袖の入場ゲートに並ぶ。緊張もすごいけど、どこかワクワクとした高揚感に包まれて俺は入場アナウンスを待った。
◇
チアライブは練習以上に順調に進んでいった。
マリアの心に届く力強い歌声に合わせて、ライブメンバーが全力のチアパフォーマンスを繰り広げる。その動きに合わせて会場は歓声に包まれ、見ている人が皆笑顔になっていく。
(よく見えないけど……あれ、ルカとエリオ君だよね?)
会場の端の方に見慣れた白黒と水色が見える。兄弟でお揃いの緑色の瞳とそれぞれ目があった気がしたので俺はアドリブでその方向に手を振りながら小さく小指を立てるポーズをした。細かい表情までは見えないけど、少しでもこれが学園演劇で頑張った2人の力になったらいいな。
(……え、もしかしてあれ、ミカエラさん!?)
会場のVIP席、満席の会場内でも少し余裕を持って作られたその席で見覚えのあるダークレッドが目に留まる。彼女とは仲がいいというわけでもないし、むしろあんまり好かれてない気もするから下手なことはできない。だけど少しでも楽しんで欲しいからその気持ちを込めて笑いかける。その直後俺はポジションを変えるために振り返ったから彼女がどんな反応をしたのかは確認できなかった。
(あ!クロードも見てくれてる!)
俺は会場の割と前の方の席にクロードを見つける。この距離だと表情がよく見えるんだけど、クロードは心配そうに俺を見つめていた。一応学園演劇会場を抜ける時にライブに行くって連絡のメッセージ入れてたけど、それでもさっきの今で心配かけたままだから仕方ないよね。でも、心配ばかりで楽しめないのは申し訳ないから俺はクロードに向けて特別なアピールをすることにした。ちょっと恥ずかしいけど、マリアからここぞって時にするといいって言われていた投げキッス。歌うパートじゃないから口パクで助けてくれてありがとうって伝えるのも忘れない。まあクロードに上手く伝わったかはわからないけど、やれる事はやったはず。
そんな感じで、全力を尽くしてパフォーマンスをする中、3曲目の俺のジャンプパート。俺は舞台に用意された台から普段通り跳ぼうとして、突如右脚に妙な違和感を感じてバランスを崩す。
(あ……これ、着地まずいかも……)
重心が崩れて上手く着地の脚が出せない。もしかしてこのまま床に落ちてしまうかもしれない。
怖くなって目を瞑った瞬間、俺は温かい感触に包まれていた。
「……え?」
目を開けると俺はカイにお姫様抱っこの体制で受け止められていた。機材ブースが近かったから、異変を察知したカイが咄嗟に助けてくれたみたいだ。
「さっきお前動き変だったから……立てるか?」
「う、うん。ありがと……カイ」
ジャンプはできないけど後の動きは基本のチアだけだからなんとかなりそう。俺はそれを手早く伝えて、カイに下ろしてもらい、何事もなかったかのようにライブを続けた。観客の皆は今のも演出だと思ったみたいで、さっきより歓声も大きくなっている。
そのままの勢いでマリアがラストスパートを歌い上げ、チアライブは大歓声の中幕を閉じた。
「前の演奏押してるからまだ大丈夫!フレンの衣装これだよ!」
駆け足で入った会場である体育館の控室ではライブメンバーがバタバタと忙しなく動き回っていた。特にマリアは数人に囲まれて打ち合わせもしててかなり忙しそうだ。
「遅かったな、なんかあったのか?」
「あ、カイ。学園演劇見てたらちょっとね……」
俺が荷物を置いて更衣室の空きを待っていたら、機材の準備をしているカイに声をかけられる。余談だけどカイはいつの間にかすっかり機材係として定着していた。多分このままだと打ち上げにも誘われると思う。
「……ていうかお前、脚……」
「フレン!!個室更衣室開いたよ!!すぐ人来ちゃうから早く!!」
「わかった!!……じゃあまた後でね、カイ!」
俺は衣装を持って開いたばかりの更衣室に飛び込む。狭い更衣室で、ちょっと着るのが難しい衣装を悪戦苦闘しながら身につけて外に出た。
「音源確認して!ローテーション表最後に目を通して頭に入れてね!緊張で飛んだらその時は元気に踊ってくれたらいいから」
マリアがよく通る声でメンバーに声をかける。ローテーションは昨日も確認したけど、最後にちゃんと目を通して安心したい。
「チアライブ出演まで後5分です!入場ゲートに並んでください!」
係員の人の声で俺達は舞台袖の入場ゲートに並ぶ。緊張もすごいけど、どこかワクワクとした高揚感に包まれて俺は入場アナウンスを待った。
◇
チアライブは練習以上に順調に進んでいった。
マリアの心に届く力強い歌声に合わせて、ライブメンバーが全力のチアパフォーマンスを繰り広げる。その動きに合わせて会場は歓声に包まれ、見ている人が皆笑顔になっていく。
(よく見えないけど……あれ、ルカとエリオ君だよね?)
会場の端の方に見慣れた白黒と水色が見える。兄弟でお揃いの緑色の瞳とそれぞれ目があった気がしたので俺はアドリブでその方向に手を振りながら小さく小指を立てるポーズをした。細かい表情までは見えないけど、少しでもこれが学園演劇で頑張った2人の力になったらいいな。
(……え、もしかしてあれ、ミカエラさん!?)
会場のVIP席、満席の会場内でも少し余裕を持って作られたその席で見覚えのあるダークレッドが目に留まる。彼女とは仲がいいというわけでもないし、むしろあんまり好かれてない気もするから下手なことはできない。だけど少しでも楽しんで欲しいからその気持ちを込めて笑いかける。その直後俺はポジションを変えるために振り返ったから彼女がどんな反応をしたのかは確認できなかった。
(あ!クロードも見てくれてる!)
俺は会場の割と前の方の席にクロードを見つける。この距離だと表情がよく見えるんだけど、クロードは心配そうに俺を見つめていた。一応学園演劇会場を抜ける時にライブに行くって連絡のメッセージ入れてたけど、それでもさっきの今で心配かけたままだから仕方ないよね。でも、心配ばかりで楽しめないのは申し訳ないから俺はクロードに向けて特別なアピールをすることにした。ちょっと恥ずかしいけど、マリアからここぞって時にするといいって言われていた投げキッス。歌うパートじゃないから口パクで助けてくれてありがとうって伝えるのも忘れない。まあクロードに上手く伝わったかはわからないけど、やれる事はやったはず。
そんな感じで、全力を尽くしてパフォーマンスをする中、3曲目の俺のジャンプパート。俺は舞台に用意された台から普段通り跳ぼうとして、突如右脚に妙な違和感を感じてバランスを崩す。
(あ……これ、着地まずいかも……)
重心が崩れて上手く着地の脚が出せない。もしかしてこのまま床に落ちてしまうかもしれない。
怖くなって目を瞑った瞬間、俺は温かい感触に包まれていた。
「……え?」
目を開けると俺はカイにお姫様抱っこの体制で受け止められていた。機材ブースが近かったから、異変を察知したカイが咄嗟に助けてくれたみたいだ。
「さっきお前動き変だったから……立てるか?」
「う、うん。ありがと……カイ」
ジャンプはできないけど後の動きは基本のチアだけだからなんとかなりそう。俺はそれを手早く伝えて、カイに下ろしてもらい、何事もなかったかのようにライブを続けた。観客の皆は今のも演出だと思ったみたいで、さっきより歓声も大きくなっている。
そのままの勢いでマリアがラストスパートを歌い上げ、チアライブは大歓声の中幕を閉じた。
40
あなたにおすすめの小説
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
先輩たちの心の声に翻弄されています!
七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。
ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。
最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。
乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。
見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。
****
三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。
ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️
転生したが壁になりたい。
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中
油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。
背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。
魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。
魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。
少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。
異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。
今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。
激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる