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★番外編01 運命の番 side 千早
運命の番17
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瀬名悠人に言われたことが頭の中で繰り返される。
このままあの男に奪われる?
琳太郎を。
それは耐えられない。
琳太郎は俺の物だ。誰にも渡しはしない。
なのに――あの男の言葉で俺は動揺している。
本当にあの男は気に入らない。
俺が琳太郎に手を出さなければ、あいつは琳太郎に興味をもたなかった?
厄介な男だ。
セフレがいるのだから彼ら彼女らの相手をしていたらいいのに。
なぜ琳太郎に関わるんだ。
そんな男に言われた言葉に、俺は今心をかき乱されている。
あいつの言葉は俺の中でぐるぐるとまわる。
壊れた音声ファイルのように。
そうか、これが俺の罰なのだろうか。
わかっていたことじゃないか。
歪な関係はいつか崩れる。
わかっていても俺は……この現実の中、何をしたらいい。
取り返しに行けと本能が訴える。
けれど理性はそれを阻む。
壊したのは誰?
琳太郎を不安定にさせたのは誰?
本能と理性の狭間で、俺は揺れ動いている。
あいつは、どう思っているんだろうか。
俺が話したのは瀬名悠人だけだ。
あいつの意思は? 琳太郎の意思はどうなんだ。
瀬名悠人の家の場所はわかっている。
うちとは駅を挟んで反対側にあるマンションだ。
いこうと思えばすぐにでも行ける。
連絡する? 会いたいと言える? そんなことを言う資格が、俺にあるのか?
迷いはおさまらず、頭痛がして来て気持ち悪さを感じ始める。
この罪を償う方法はどこにあるんだろうか?
このまま俺は、琳太郎と距離を置くべきじゃないのか?
何が正しくて何が間違いなのか。
答えがどこにも見当たらない。
今、琳太郎はあの男の手の中だ。
そして琳太郎は自分の意思でそこにいるのだろうか?
あいつは瀬名悠人を選ぶ?
俺はあの男が大嫌いだが、琳太郎がそれを選ぶなら俺はそれを受け入れられるだろうか。
琳太郎に確かめないと。
そう思うのは俺のエゴだろうか。
わからないからこそ、確認したい。
琳太郎の意思は? どうなんだと。
「そんなの、決められないか……」
ぐるぐると思考が回り、俺の中で何も決まらない。
俺の中ではっきりしていることは、あいつに渡したくない、ということだ。
でも今それが必要なら?
俺ではなくあいつなら……俺はそれを受け入れるしかない。
夜中に琳太郎に会い、なんとか話をすることができた。
琳太郎の泣く顔。苦しげな表情。そして、叫びが今も耳の奥に残る。
これが、正しかったのか。
何が、正しいのか。
今の俺には何も判断できない。
今は何も考えられない、と琳太郎は言っていた。
そしてあの男――瀬名悠人は、辛い時に大事なことを決めるものじゃないと。判断を見誤ると。
その言葉には納得するしかなかった。
それは俺も同じだろう。
心を病んでいるのは俺も琳太郎もいっしょなのだから。
誰もいない部屋。
何もない部屋。
この一か月以上、俺はここで琳太郎を抱いて過ごした。それがずっと続くものじゃないとわかっていても。
あいつが寝ている間にうなされても、苦しげな顔を何度も見せても。
俺はそれを見ない様にしてきた。
そして今に至る。
琳太郎と離れる。
それは俺への罰だろう。ならば俺はどうやって償えばいい?
琳太郎に償う方法があるのだろうか。
――この心の痛みは、きっとすぐにはなくならないだろう。
運命を欲しすぎた俺が作った状況がこれだ。そしてそれに琳太郎を巻き込んだ。
あれに琳太郎を託すのは癪と言うか、不安しかないが、彼はきっと琳太郎を離しはしないだろう。
アルファ特有の執着心。
今の俺は、彼に抗うことができない。
俺はスマホを見つめる。
この罪が赦されるまで俺は――連絡を絶つべきだろうな。
琳太郎のあんな苦しそうな顔を見た後では俺は、強引な行動に出られなかった。それでも俺は連れ去るべきだっただろうか。そうしたら琳太郎は――いいや、やめよう。考えても答えなんてわかりようはないから。
大学は一緒だが、学部が違うため会おうとしない限りは顔を合わせない。
食堂さえ避ければ会うことはないだろう。
きっと会ってしまったら俺は、琳太郎を閉じ込めたくなってしまう。あいつに取られないように。
そうしたら琳太郎はもっと心を病むだろう。そう思うと俺は動けない。琳太郎をこれ以上傷つけたくはないから。
琳太郎のいない週末はなんて空虚なんだろうか。
この時間を俺は、どう過ごしたらいい?
このままあの男に奪われる?
琳太郎を。
それは耐えられない。
琳太郎は俺の物だ。誰にも渡しはしない。
なのに――あの男の言葉で俺は動揺している。
本当にあの男は気に入らない。
俺が琳太郎に手を出さなければ、あいつは琳太郎に興味をもたなかった?
厄介な男だ。
セフレがいるのだから彼ら彼女らの相手をしていたらいいのに。
なぜ琳太郎に関わるんだ。
そんな男に言われた言葉に、俺は今心をかき乱されている。
あいつの言葉は俺の中でぐるぐるとまわる。
壊れた音声ファイルのように。
そうか、これが俺の罰なのだろうか。
わかっていたことじゃないか。
歪な関係はいつか崩れる。
わかっていても俺は……この現実の中、何をしたらいい。
取り返しに行けと本能が訴える。
けれど理性はそれを阻む。
壊したのは誰?
琳太郎を不安定にさせたのは誰?
本能と理性の狭間で、俺は揺れ動いている。
あいつは、どう思っているんだろうか。
俺が話したのは瀬名悠人だけだ。
あいつの意思は? 琳太郎の意思はどうなんだ。
瀬名悠人の家の場所はわかっている。
うちとは駅を挟んで反対側にあるマンションだ。
いこうと思えばすぐにでも行ける。
連絡する? 会いたいと言える? そんなことを言う資格が、俺にあるのか?
迷いはおさまらず、頭痛がして来て気持ち悪さを感じ始める。
この罪を償う方法はどこにあるんだろうか?
このまま俺は、琳太郎と距離を置くべきじゃないのか?
何が正しくて何が間違いなのか。
答えがどこにも見当たらない。
今、琳太郎はあの男の手の中だ。
そして琳太郎は自分の意思でそこにいるのだろうか?
あいつは瀬名悠人を選ぶ?
俺はあの男が大嫌いだが、琳太郎がそれを選ぶなら俺はそれを受け入れられるだろうか。
琳太郎に確かめないと。
そう思うのは俺のエゴだろうか。
わからないからこそ、確認したい。
琳太郎の意思は? どうなんだと。
「そんなの、決められないか……」
ぐるぐると思考が回り、俺の中で何も決まらない。
俺の中ではっきりしていることは、あいつに渡したくない、ということだ。
でも今それが必要なら?
俺ではなくあいつなら……俺はそれを受け入れるしかない。
夜中に琳太郎に会い、なんとか話をすることができた。
琳太郎の泣く顔。苦しげな表情。そして、叫びが今も耳の奥に残る。
これが、正しかったのか。
何が、正しいのか。
今の俺には何も判断できない。
今は何も考えられない、と琳太郎は言っていた。
そしてあの男――瀬名悠人は、辛い時に大事なことを決めるものじゃないと。判断を見誤ると。
その言葉には納得するしかなかった。
それは俺も同じだろう。
心を病んでいるのは俺も琳太郎もいっしょなのだから。
誰もいない部屋。
何もない部屋。
この一か月以上、俺はここで琳太郎を抱いて過ごした。それがずっと続くものじゃないとわかっていても。
あいつが寝ている間にうなされても、苦しげな顔を何度も見せても。
俺はそれを見ない様にしてきた。
そして今に至る。
琳太郎と離れる。
それは俺への罰だろう。ならば俺はどうやって償えばいい?
琳太郎に償う方法があるのだろうか。
――この心の痛みは、きっとすぐにはなくならないだろう。
運命を欲しすぎた俺が作った状況がこれだ。そしてそれに琳太郎を巻き込んだ。
あれに琳太郎を託すのは癪と言うか、不安しかないが、彼はきっと琳太郎を離しはしないだろう。
アルファ特有の執着心。
今の俺は、彼に抗うことができない。
俺はスマホを見つめる。
この罪が赦されるまで俺は――連絡を絶つべきだろうな。
琳太郎のあんな苦しそうな顔を見た後では俺は、強引な行動に出られなかった。それでも俺は連れ去るべきだっただろうか。そうしたら琳太郎は――いいや、やめよう。考えても答えなんてわかりようはないから。
大学は一緒だが、学部が違うため会おうとしない限りは顔を合わせない。
食堂さえ避ければ会うことはないだろう。
きっと会ってしまったら俺は、琳太郎を閉じ込めたくなってしまう。あいつに取られないように。
そうしたら琳太郎はもっと心を病むだろう。そう思うと俺は動けない。琳太郎をこれ以上傷つけたくはないから。
琳太郎のいない週末はなんて空虚なんだろうか。
この時間を俺は、どう過ごしたらいい?
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