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怖いもの
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子供の頃…成長するために隔離された狭いコミュニティの中。性別も、性格も、容姿も、何もかもが違うもの達の集まりで、皆生きていかなけらばならなかった。
それは、まだ発達が不完全な言葉も足らない頃から始まっていて、傷付いたり、傷付けられたりして学んでいくものだと周りは言う。
でも、学ぶこと以上に傷が大きくなってしまったら、その先に残るのは恐怖しかないんじゃないか。
「なつくん!ボクとあそぼ!」
「うん!あそぼ!」
小学生になったばかりの頃。篠井那月はどちらかと言うと活発な明るい男児だった。よく友達と遊んでいて、勉強は可もなく不可もなし。悪ガキと言うわけではないから、活動する時以外は大人しい方だ。
そして、那月と一番仲のいい男友達も似たような性格だった。よく行動を共にしていたし、学校終わりに遊ぶ事も多い。それほど気の合う友達ができたことが那月は嬉しく思っていたが……
「ねぇ、それするのやめて?」
小学2年生になった時、那月はその友達のスキンシップが激しくなっていることに疑問を抱いていた。他の人とは明らかに違う体への触れ方が気になっていたのた。
でも、幼いが故にそんなことを親に相談する勇気も出ず、疑問に思う理由も明確に分からなかったので、気になった時に「やめて」と伝えることしかできなかった。
「なつくん、ボクのこと嫌い?」
だが、ある日、学校のトイレでその友達にそう聞かれた那月は咄嗟に「嫌いじゃないよ!」と答えた。それを聞いた友達は、嬉しそうに笑って那月をギュッと抱きしめる。
そして、躊躇なく那月の下半身をまさぐるようにして触れた。
「!?っいやだ!」
突然のことに訳が分からず、思わず力任せに友達を突き飛ばした。そこに運悪く、他の男子生徒達が来てしまったのだ。
突き飛ばされたショックのせいか、泣き出してしまった友達は、混乱する那月を指差して他の生徒に訴える。
「なつくんが…ボクのこと嫌いって…転ばせてきた……」
「え……?」
「ひどい!なつ!先生に言ってやる!」
「最低だ!」
「ち、違う……違うよ……」
その場面だけを見た生徒は那月が悪いと教師に話し、親も呼ばれてしまった。だが、触られた恐怖も混乱も残っていて、何があったかなんて幼い那月には上手く話す事もできず、結局友達の家に親共々謝罪をしに行ってその件は収められた。
言葉も配慮も、経験も足りない幼い時期。その件は収まっても変わりなく生活できる訳もなく……
友達に酷いことをしたと他の男子生徒に周りに言い広められ、那月はクラスで孤立するようになってしまった。そしてそれはエスカレートしていき、先生にバレない所で数人に蹴られたり、石を投げられたり、ノートを破られたりした。
あの友達も、那月に拒絶されたせいかそれ以降話しかけてくることは無く。那月が嫌なことをされている様子を黙って遠くから見ていた。
一一一一どうして?なんで?ごめんなさい。
一一一僕が悪いの?
一一一どうしたらよかったの?
一一一友達じゃなかったの?なんであんなことしてきたの?
考えるほどに、暗い沼に落ちていくような感覚。
「那月、学校辛い?正直に言ってみて」
そんなことが続き、孤立しながらも5年生まで耐えた。だけど、そろそろ限界だった。普段通りにしていたつもりだったが、察した母にそう聞かれた那月は、「ごめんなさい」とだけ呟いた。
そして、5年生になってすぐ、その学校を転校することにした。転校する日まで同級生の誰にも告げずに。
そうして、あの場所から解放されたはずだ。だが、那月の心の中は、あの頃の恐怖心と周りから向けられた嫌悪感から解放されることはなかった一一一。
それは、まだ発達が不完全な言葉も足らない頃から始まっていて、傷付いたり、傷付けられたりして学んでいくものだと周りは言う。
でも、学ぶこと以上に傷が大きくなってしまったら、その先に残るのは恐怖しかないんじゃないか。
「なつくん!ボクとあそぼ!」
「うん!あそぼ!」
小学生になったばかりの頃。篠井那月はどちらかと言うと活発な明るい男児だった。よく友達と遊んでいて、勉強は可もなく不可もなし。悪ガキと言うわけではないから、活動する時以外は大人しい方だ。
そして、那月と一番仲のいい男友達も似たような性格だった。よく行動を共にしていたし、学校終わりに遊ぶ事も多い。それほど気の合う友達ができたことが那月は嬉しく思っていたが……
「ねぇ、それするのやめて?」
小学2年生になった時、那月はその友達のスキンシップが激しくなっていることに疑問を抱いていた。他の人とは明らかに違う体への触れ方が気になっていたのた。
でも、幼いが故にそんなことを親に相談する勇気も出ず、疑問に思う理由も明確に分からなかったので、気になった時に「やめて」と伝えることしかできなかった。
「なつくん、ボクのこと嫌い?」
だが、ある日、学校のトイレでその友達にそう聞かれた那月は咄嗟に「嫌いじゃないよ!」と答えた。それを聞いた友達は、嬉しそうに笑って那月をギュッと抱きしめる。
そして、躊躇なく那月の下半身をまさぐるようにして触れた。
「!?っいやだ!」
突然のことに訳が分からず、思わず力任せに友達を突き飛ばした。そこに運悪く、他の男子生徒達が来てしまったのだ。
突き飛ばされたショックのせいか、泣き出してしまった友達は、混乱する那月を指差して他の生徒に訴える。
「なつくんが…ボクのこと嫌いって…転ばせてきた……」
「え……?」
「ひどい!なつ!先生に言ってやる!」
「最低だ!」
「ち、違う……違うよ……」
その場面だけを見た生徒は那月が悪いと教師に話し、親も呼ばれてしまった。だが、触られた恐怖も混乱も残っていて、何があったかなんて幼い那月には上手く話す事もできず、結局友達の家に親共々謝罪をしに行ってその件は収められた。
言葉も配慮も、経験も足りない幼い時期。その件は収まっても変わりなく生活できる訳もなく……
友達に酷いことをしたと他の男子生徒に周りに言い広められ、那月はクラスで孤立するようになってしまった。そしてそれはエスカレートしていき、先生にバレない所で数人に蹴られたり、石を投げられたり、ノートを破られたりした。
あの友達も、那月に拒絶されたせいかそれ以降話しかけてくることは無く。那月が嫌なことをされている様子を黙って遠くから見ていた。
一一一一どうして?なんで?ごめんなさい。
一一一僕が悪いの?
一一一どうしたらよかったの?
一一一友達じゃなかったの?なんであんなことしてきたの?
考えるほどに、暗い沼に落ちていくような感覚。
「那月、学校辛い?正直に言ってみて」
そんなことが続き、孤立しながらも5年生まで耐えた。だけど、そろそろ限界だった。普段通りにしていたつもりだったが、察した母にそう聞かれた那月は、「ごめんなさい」とだけ呟いた。
そして、5年生になってすぐ、その学校を転校することにした。転校する日まで同級生の誰にも告げずに。
そうして、あの場所から解放されたはずだ。だが、那月の心の中は、あの頃の恐怖心と周りから向けられた嫌悪感から解放されることはなかった一一一。
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