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第四章 森の精霊
第64話 翻弄される少女と赫夜の影
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リーファが光の弓矢を引いて、アマトに狙いを定めて叫んだ。
「言え……お前はどうしてここにいる!」
緊張が走る。
アマトはリーファの方に顔を向けて、ただ静かにリーファを見つめ返した。
一瞬の沈黙ーーそこへ、グラントが
「待て待て、リーファ。いま、わしらはこの人に助けてもらったところじゃろ」
と割って入る。
「……確かにそうかもしれない」
そう言いながらも、リーファは弓矢を構え続ける。
「でも、さっき襲ってきたのも異世界人よ。裏でつるんでいることだって考えられるわ」
グラントが、やれやれ、と肩をすくめた。
すると、ルダルが一歩前へ出て、リーファが弓矢で狙い定めたアマトの前に立ちはだかった。
「あなた、魔物なのに……なぜ異世界人の肩を持つの?異世界人の見方をするなら魔物でも容赦しないわよ」
とリーファは引かない。
その剣幕にグラントが、
「リーファよ。残念ながらお前ではこの男には勝てんぞ。なにせ、セルヴァス10傑の男だからな」
と言ってほくそ笑んだ。
「なんですって?」
固唾を呑み、目を見開いたリーファの視線が、その10傑の男をとらえた。
「ルダルだ」
と男が短く答える。
かつて、異世界人を数十人同時に倒した伝説を持つ男がリーファの前に立っていたのだ。
(うそ……牙咆の……あのルダル……さん!?)
リーファは心の中で呟くと、少し尖った耳がピクつき、構えている弓の弦が少し緩んだ。
そこへーー
「ミィナ、気絶しちゃうしな……」
「まったくだぜ。おかげで出遅れちまったじゃねぇか」
「だって……そもそも、あなたたちがいけないんじゃない!」
「ルクーゥッ」
ミィナ、ルノア、エメルダそしてルクピーがガヤガヤ言いながら森から駆け込んできた。
「アマト様ぁーっ! ルダルぅーっ! 遅れてごめんなさ~い!」
大声でルノアが叫び、手を振る。
ミィナはアマトの姿を見つけると、顔を真っ赤にしてはにかみながら駆け寄ってきた。
「ん? なんか……取り込み中じゃねぇか?」
エメルダが目を凝らす。
「えっ?」
「あっ、本当だ」
と、ミィナは驚き、ルノアも同意した。
三人は顔を見合わせると、同時に魔物の姿へと変身し、一足飛びでアマトとルダルの前へと飛び込んだ。
「おい、そこのお前。何やってんだ?」
とルノアが露骨にリーファを威圧する。
そこへエメルダ。
「なんだ。ガキじゃねぇか」
突如割り込んできた二人の魔物を見て、呆気に取られたリーファ。
徐々に気を取り戻すと、
「ガ、ガキですって!?」
エメルダの発した言葉に反応する。
「あなた、私はこう見えても200歳近いのよ。多分、あなた達より上だわ!」
そう言うと、リーファは光の弓を解き、腰に手を当て胸を張った。
その姿を見たルノアとエメルダが
「ぷっ……はっ、はっはっはっ!」
と笑い出した。
「な、何がおかしいのよ!」
二人の思わぬ反応に狼狽えるリーファ。
「だって、なぁ。ルノア」
エメルダがリーファを指さしてルノアを見た。
「あぁ、お前。どう見ても子供だよな」
とルノアが無神経なことを言う。
「な、なんですって!」
リーファには、まだ何のことを言っているのかがわからない。
「よく見ろよ。大人ってのはオレたちみたいな体のことを言うんだぜ」
ルノアが腰に手を当て、誇らしげに胸を突き出す。
そして、エメルダも負けじと同じポーズをとった。
確かにリーファとエメルダのそれに比べれば、はるかに立派ではあった……が、その態度、どう見ても“大人”とは言えなかった。
リーファは、ルノアとエメルダが言わんとしていることをようやく理解して、自分の明らかに膨らみのない胸を見ると、頬がみるみる赤くなった。
この様子を見ていたミィナが慌てて、
「もう、あなたたち! 失礼よ!」
と二人の間に入り、たしなめるように言った。
そしてリーファの方へ向き直ると、静かに頭を下げた。
「ごめんなさい。この人たち、ちょっと無神経すぎるの」
その仕草は柔らかく、どこか温かい光を帯びていた。
ミィナの長い髪がふわりと揺れ、ルクピーが彼女の腕の中で「ルクゥッ」と鳴く。
リーファはその光景を見て、言葉を失った。
まるで美の女神の如く穏やかな気配。
(な、なんて綺麗な人なの……い、いや、別に仲良くなりたいとかじゃないけど!)
尖った耳がピクつく。
そして、腕の中で瞬きをする小さな生き物。
(か、かわいい……かわいすぎるっ……!で、でも、決して、抱っこしてみたいなんて思ってないわよ)
あまりに突然の出会いに、思考が完全にショートした。
リーファはその場で固まったまま動けなくなっていたが、なぜかエルフ特有の長い耳だけがぴくぴくと動いていた。
「ん……?」
ミィナが心配そうに首を傾げる。
そして……ルクピーも、キョトンとしつつも、そのつぶらな瞳でじっとリーファを見続けていた。
「グラント……こいつ、もしかしてミルファの妹か?」
ルダルが、リーファのピクついている耳を見ながら言った。
「あぁ、ミルファと同じで、筋金入りのツンデレじゃ」
「なるほどな。表と裏の気持ちの間で動けなくなったか」
ルダルが微笑む。
「しかし、そろそろこっちへ戻してやるかのぉ」
とグラントが、リーファの方を向くと、大きく息を吸い、慣れた感じに大声で一言。
「リーファッ!」
びくんっと肩を跳ねさせ、リーファが我に返る。
と同時に、彼女の周囲に漂っていたオーラらしきものが弱まり、長かった耳が短く縮んでエルフの姿が消え、本来の人間の姿に戻った。
その直後だったーーリーファの顔を見たアマトが息を呑む。
「――ッ!」
アマトの表情が俄かに強張り、視界のすべてが一瞬、白く弾けたーー
その白の中に、かつて見慣れた顔が重なる。
『赫夜ーーっ!?』
アマトの叫びが、精神空間にこだました。
一瞬の静寂ーー次の瞬間。
『な、なんだとぉぉぉぉっ!?』
『えっ? えぇぇぇぇ~っ!?』
ゼルヴァスとティアマトの叫びも、追いかけるように響き渡ったのだ。
「言え……お前はどうしてここにいる!」
緊張が走る。
アマトはリーファの方に顔を向けて、ただ静かにリーファを見つめ返した。
一瞬の沈黙ーーそこへ、グラントが
「待て待て、リーファ。いま、わしらはこの人に助けてもらったところじゃろ」
と割って入る。
「……確かにそうかもしれない」
そう言いながらも、リーファは弓矢を構え続ける。
「でも、さっき襲ってきたのも異世界人よ。裏でつるんでいることだって考えられるわ」
グラントが、やれやれ、と肩をすくめた。
すると、ルダルが一歩前へ出て、リーファが弓矢で狙い定めたアマトの前に立ちはだかった。
「あなた、魔物なのに……なぜ異世界人の肩を持つの?異世界人の見方をするなら魔物でも容赦しないわよ」
とリーファは引かない。
その剣幕にグラントが、
「リーファよ。残念ながらお前ではこの男には勝てんぞ。なにせ、セルヴァス10傑の男だからな」
と言ってほくそ笑んだ。
「なんですって?」
固唾を呑み、目を見開いたリーファの視線が、その10傑の男をとらえた。
「ルダルだ」
と男が短く答える。
かつて、異世界人を数十人同時に倒した伝説を持つ男がリーファの前に立っていたのだ。
(うそ……牙咆の……あのルダル……さん!?)
リーファは心の中で呟くと、少し尖った耳がピクつき、構えている弓の弦が少し緩んだ。
そこへーー
「ミィナ、気絶しちゃうしな……」
「まったくだぜ。おかげで出遅れちまったじゃねぇか」
「だって……そもそも、あなたたちがいけないんじゃない!」
「ルクーゥッ」
ミィナ、ルノア、エメルダそしてルクピーがガヤガヤ言いながら森から駆け込んできた。
「アマト様ぁーっ! ルダルぅーっ! 遅れてごめんなさ~い!」
大声でルノアが叫び、手を振る。
ミィナはアマトの姿を見つけると、顔を真っ赤にしてはにかみながら駆け寄ってきた。
「ん? なんか……取り込み中じゃねぇか?」
エメルダが目を凝らす。
「えっ?」
「あっ、本当だ」
と、ミィナは驚き、ルノアも同意した。
三人は顔を見合わせると、同時に魔物の姿へと変身し、一足飛びでアマトとルダルの前へと飛び込んだ。
「おい、そこのお前。何やってんだ?」
とルノアが露骨にリーファを威圧する。
そこへエメルダ。
「なんだ。ガキじゃねぇか」
突如割り込んできた二人の魔物を見て、呆気に取られたリーファ。
徐々に気を取り戻すと、
「ガ、ガキですって!?」
エメルダの発した言葉に反応する。
「あなた、私はこう見えても200歳近いのよ。多分、あなた達より上だわ!」
そう言うと、リーファは光の弓を解き、腰に手を当て胸を張った。
その姿を見たルノアとエメルダが
「ぷっ……はっ、はっはっはっ!」
と笑い出した。
「な、何がおかしいのよ!」
二人の思わぬ反応に狼狽えるリーファ。
「だって、なぁ。ルノア」
エメルダがリーファを指さしてルノアを見た。
「あぁ、お前。どう見ても子供だよな」
とルノアが無神経なことを言う。
「な、なんですって!」
リーファには、まだ何のことを言っているのかがわからない。
「よく見ろよ。大人ってのはオレたちみたいな体のことを言うんだぜ」
ルノアが腰に手を当て、誇らしげに胸を突き出す。
そして、エメルダも負けじと同じポーズをとった。
確かにリーファとエメルダのそれに比べれば、はるかに立派ではあった……が、その態度、どう見ても“大人”とは言えなかった。
リーファは、ルノアとエメルダが言わんとしていることをようやく理解して、自分の明らかに膨らみのない胸を見ると、頬がみるみる赤くなった。
この様子を見ていたミィナが慌てて、
「もう、あなたたち! 失礼よ!」
と二人の間に入り、たしなめるように言った。
そしてリーファの方へ向き直ると、静かに頭を下げた。
「ごめんなさい。この人たち、ちょっと無神経すぎるの」
その仕草は柔らかく、どこか温かい光を帯びていた。
ミィナの長い髪がふわりと揺れ、ルクピーが彼女の腕の中で「ルクゥッ」と鳴く。
リーファはその光景を見て、言葉を失った。
まるで美の女神の如く穏やかな気配。
(な、なんて綺麗な人なの……い、いや、別に仲良くなりたいとかじゃないけど!)
尖った耳がピクつく。
そして、腕の中で瞬きをする小さな生き物。
(か、かわいい……かわいすぎるっ……!で、でも、決して、抱っこしてみたいなんて思ってないわよ)
あまりに突然の出会いに、思考が完全にショートした。
リーファはその場で固まったまま動けなくなっていたが、なぜかエルフ特有の長い耳だけがぴくぴくと動いていた。
「ん……?」
ミィナが心配そうに首を傾げる。
そして……ルクピーも、キョトンとしつつも、そのつぶらな瞳でじっとリーファを見続けていた。
「グラント……こいつ、もしかしてミルファの妹か?」
ルダルが、リーファのピクついている耳を見ながら言った。
「あぁ、ミルファと同じで、筋金入りのツンデレじゃ」
「なるほどな。表と裏の気持ちの間で動けなくなったか」
ルダルが微笑む。
「しかし、そろそろこっちへ戻してやるかのぉ」
とグラントが、リーファの方を向くと、大きく息を吸い、慣れた感じに大声で一言。
「リーファッ!」
びくんっと肩を跳ねさせ、リーファが我に返る。
と同時に、彼女の周囲に漂っていたオーラらしきものが弱まり、長かった耳が短く縮んでエルフの姿が消え、本来の人間の姿に戻った。
その直後だったーーリーファの顔を見たアマトが息を呑む。
「――ッ!」
アマトの表情が俄かに強張り、視界のすべてが一瞬、白く弾けたーー
その白の中に、かつて見慣れた顔が重なる。
『赫夜ーーっ!?』
アマトの叫びが、精神空間にこだました。
一瞬の静寂ーー次の瞬間。
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※小説家になろう様にも掲載しています。
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