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アルトリア帝国
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「ふむ。成る程な…アルトリア帝国はコルカサスを征服できた」
アルトリア帝国。正式名称は崇高なるアルトリア帝国である。自意識が何とも過剰な名前であるが、史実オスマン帝国の正式名称も《崇高なるオスマン家の国家》で《オスマン帝国》であったので、何の問題もないだろう。
史実のオスマン帝国枠ではあるが、この帝国はどうもヴァルガン半島に進出することよりも、同じ宗教を立てている国への侵略を、つまりは中東と地球海諸国、更にはメソポタニアへの進出を本格化していた。
帝都の守りは、ブルガール、アルテーネ、アーバニスタを征服したことで盤石である。
しかも、アルテネ、ブルガール、アーバニスタの全てが山岳と河川という険しい自然で防御力にも秀でている素晴らしい立地にあるのだ、帝都だけではなく、国境の守りも少ない兵力でこなせるなんとも魅力的な立地だった。
確かに、海洋進出する上で、アルテネのグレタ島やロドス島を支配していたトリエステ貴族共和国は商売敵として厄介であったが、それで奥の国たちを殺気立たせてしまえば、戦略的な敗北は必定である。
それよりも、同じ宗教を掲げている大地を帝国に統合するべきなのだ。
火薬庫であるヴァルガン半島に進出することは、それもよりも後で良い。
帝国のカリフは全てのムハンマド教の統合者たるべきである。ムハンマド=カリフの下に諸国を統合せしめ、宗教的領域を統一した大ムハンマド帝国を!
その目的のために、多くのムハンマド教の国に侵略を開始し、常勝軍にて征服した。そして、海洋帝国としてヴェルーシや地中海諸国と貿易を続け、着々と国力を蓄えているのだ。
そのためにボッタクリ価格での香辛料の販売を止め、適正価格で販売させているのだ。欧州の植民地獲得は、熱心じゃない方が助かるのだから。
アルトリア帝国が帝国たらしめているのは、それが国家連合という側面を有しているからだろう。各地各民族に自治権が認められ、独自の法運用もある。独自の軍の組織も認められている。
しかし、代わりに関税や移住の自由が認められており、大国家連合という形で、帝国の盟主としてアルトリア半島を征服している帝国が君臨しているのだ。
つまりはムハンマド教による大規模な国家連合。現代で例えるのであれば、アルトリア半島を支配する帝国を中心にした大規模国家連合。
それが崇高なるアルトリアの帝国という名を用いている理由なのだ。
コルカサスには、未来のための資源が詰まっている。下のシルナイ半島も同様だ。さらにファラオ王国には広大な運河予定地のスウェーズが存在しており、これを開拓することは帝国の使命である。
すでに、国家予算の三割を毎年拠出し続け、運河の建設はスタートしていた。
それ故、メシア教が広まっている地域ではアルトリア帝国は近くの遠い隣人としての付き合いを続けていた。
何なら、史実では第六次墺土戦争なんてモノがあったシュヴァーベルクの仲も、比較的良好である。大量のコーヒー、紅茶がアルトリア帝国を通じて《適正価格》で輸出されており、それによって経済的にも繁栄を遂げている。
何せ、欧州人はこのコーヒーやお茶をこよなく愛するのだ。それにかこつけて大量の茶、コーヒーを栽培して売り捌くのは当然である。
…この世界のオスマン帝国は、どうやら商業主義的な側面が強いらしい。そう言った意味では地球のベネティアに似た精神性をしているのかも…
「……クハハ。相も変わらず欧州情勢は複雑怪奇と言ったところかな?」
ポラーブが宣戦布告ナシで越境したと思ったら三国でフルボッコにされて地図から消滅…したわけではないが、立憲王国としての残骸を残すのみとなってしまったのだ。
一見すると、穀倉地帯のオクライナとベラルシアを征服できたヴェルーシ帝国が一番得をしたように見えるが…
「一番得をしたのは、恐らくはプロイセンだな」
本来なら、大プロイセンで済んでいたのだ。それをバルト地域にまで領域を広げ、本来なら三分割されていた立憲王国の領域まで確保せしめた。
自分の知っている情報を換算すれば、おそらくもっとも得をしているのがヴァロイセン王国であると言えるだろう。
宮殿の中で、思案が続けられる。偉大なる帝国は、着々と力を蓄え続けている。
海洋共和国も歯噛みをしながら、中継貿易で利益を上げる堅実な貿易網を張り巡らせ、更にかつての東のアウグスト帝国の本質的な国家領域を統べる大帝国なのだ。
しかし、かつての東のアウグスト帝国を占める領域を征服せしめても、なお足りない。ムハンマド教の統合もぶっちゃけると領域の拡大のための方便に過ぎないのだ。
モローコもすでに征服し、かつてのアウグスト帝国の領域の半分以上を改修せしめた帝国は、更なる力を蓄えるためにその牙を突き立てる先を探すのだ。
「次に進出するのはステープの草原だ。未だ残るムハンマドの原始的な遊牧民たちに文明を享受して差し上げよう」
経済侵略は進んでいる。遊牧民族が遊牧民族たらしめている、牧畜と清貧によって守られる高い規律と結束感はすでに崩壊した。このために10年も策謀し、連中に貨幣経済を教え、堕落させたのである。
後は結束を失った部族を各個撃破するだけの極めて楽な仕事である。更に、これを近衛軍団に組み込めば、強力な騎兵としての運用が叶うだろう。
シャーの王国はすでに征服せしめ、次に狙うのは大草原の大地。天然資源が眠る未来の帝国のための土地にして、ヴェルーシ帝国に決して取られないための防波堤だ。連中が《南下》する前に、こちらは《北上》してやろうではないか。
…そのために、オクライナには手を付けていないのだから。
「その次はパキスタンにアフガニスタン、そして新彊。そうして絹の志那帝国、香辛料のムルガル帝国に辿り着けば、帝国の経済はますます繁栄を一途を辿るであろう。そうして、余力が生まれれば…」
そこまでして、知っているオスマン帝国が成しえなかった欧州制覇を成し遂げるのだ。大トルコ戦争の前世の屈辱は、今世でようやく果たされるのだ。
宮殿の中で、クスクスと笑い声が響く。
グラウスが、やけに不調であると判断していたアルトリア帝国は、ヴァロイセン王国よりも更に不穏に、そして強力な力を蓄えて。その野望を叶えるために邁進していた。
アルトリア帝国。正式名称は崇高なるアルトリア帝国である。自意識が何とも過剰な名前であるが、史実オスマン帝国の正式名称も《崇高なるオスマン家の国家》で《オスマン帝国》であったので、何の問題もないだろう。
史実のオスマン帝国枠ではあるが、この帝国はどうもヴァルガン半島に進出することよりも、同じ宗教を立てている国への侵略を、つまりは中東と地球海諸国、更にはメソポタニアへの進出を本格化していた。
帝都の守りは、ブルガール、アルテーネ、アーバニスタを征服したことで盤石である。
しかも、アルテネ、ブルガール、アーバニスタの全てが山岳と河川という険しい自然で防御力にも秀でている素晴らしい立地にあるのだ、帝都だけではなく、国境の守りも少ない兵力でこなせるなんとも魅力的な立地だった。
確かに、海洋進出する上で、アルテネのグレタ島やロドス島を支配していたトリエステ貴族共和国は商売敵として厄介であったが、それで奥の国たちを殺気立たせてしまえば、戦略的な敗北は必定である。
それよりも、同じ宗教を掲げている大地を帝国に統合するべきなのだ。
火薬庫であるヴァルガン半島に進出することは、それもよりも後で良い。
帝国のカリフは全てのムハンマド教の統合者たるべきである。ムハンマド=カリフの下に諸国を統合せしめ、宗教的領域を統一した大ムハンマド帝国を!
その目的のために、多くのムハンマド教の国に侵略を開始し、常勝軍にて征服した。そして、海洋帝国としてヴェルーシや地中海諸国と貿易を続け、着々と国力を蓄えているのだ。
そのためにボッタクリ価格での香辛料の販売を止め、適正価格で販売させているのだ。欧州の植民地獲得は、熱心じゃない方が助かるのだから。
アルトリア帝国が帝国たらしめているのは、それが国家連合という側面を有しているからだろう。各地各民族に自治権が認められ、独自の法運用もある。独自の軍の組織も認められている。
しかし、代わりに関税や移住の自由が認められており、大国家連合という形で、帝国の盟主としてアルトリア半島を征服している帝国が君臨しているのだ。
つまりはムハンマド教による大規模な国家連合。現代で例えるのであれば、アルトリア半島を支配する帝国を中心にした大規模国家連合。
それが崇高なるアルトリアの帝国という名を用いている理由なのだ。
コルカサスには、未来のための資源が詰まっている。下のシルナイ半島も同様だ。さらにファラオ王国には広大な運河予定地のスウェーズが存在しており、これを開拓することは帝国の使命である。
すでに、国家予算の三割を毎年拠出し続け、運河の建設はスタートしていた。
それ故、メシア教が広まっている地域ではアルトリア帝国は近くの遠い隣人としての付き合いを続けていた。
何なら、史実では第六次墺土戦争なんてモノがあったシュヴァーベルクの仲も、比較的良好である。大量のコーヒー、紅茶がアルトリア帝国を通じて《適正価格》で輸出されており、それによって経済的にも繁栄を遂げている。
何せ、欧州人はこのコーヒーやお茶をこよなく愛するのだ。それにかこつけて大量の茶、コーヒーを栽培して売り捌くのは当然である。
…この世界のオスマン帝国は、どうやら商業主義的な側面が強いらしい。そう言った意味では地球のベネティアに似た精神性をしているのかも…
「……クハハ。相も変わらず欧州情勢は複雑怪奇と言ったところかな?」
ポラーブが宣戦布告ナシで越境したと思ったら三国でフルボッコにされて地図から消滅…したわけではないが、立憲王国としての残骸を残すのみとなってしまったのだ。
一見すると、穀倉地帯のオクライナとベラルシアを征服できたヴェルーシ帝国が一番得をしたように見えるが…
「一番得をしたのは、恐らくはプロイセンだな」
本来なら、大プロイセンで済んでいたのだ。それをバルト地域にまで領域を広げ、本来なら三分割されていた立憲王国の領域まで確保せしめた。
自分の知っている情報を換算すれば、おそらくもっとも得をしているのがヴァロイセン王国であると言えるだろう。
宮殿の中で、思案が続けられる。偉大なる帝国は、着々と力を蓄え続けている。
海洋共和国も歯噛みをしながら、中継貿易で利益を上げる堅実な貿易網を張り巡らせ、更にかつての東のアウグスト帝国の本質的な国家領域を統べる大帝国なのだ。
しかし、かつての東のアウグスト帝国を占める領域を征服せしめても、なお足りない。ムハンマド教の統合もぶっちゃけると領域の拡大のための方便に過ぎないのだ。
モローコもすでに征服し、かつてのアウグスト帝国の領域の半分以上を改修せしめた帝国は、更なる力を蓄えるためにその牙を突き立てる先を探すのだ。
「次に進出するのはステープの草原だ。未だ残るムハンマドの原始的な遊牧民たちに文明を享受して差し上げよう」
経済侵略は進んでいる。遊牧民族が遊牧民族たらしめている、牧畜と清貧によって守られる高い規律と結束感はすでに崩壊した。このために10年も策謀し、連中に貨幣経済を教え、堕落させたのである。
後は結束を失った部族を各個撃破するだけの極めて楽な仕事である。更に、これを近衛軍団に組み込めば、強力な騎兵としての運用が叶うだろう。
シャーの王国はすでに征服せしめ、次に狙うのは大草原の大地。天然資源が眠る未来の帝国のための土地にして、ヴェルーシ帝国に決して取られないための防波堤だ。連中が《南下》する前に、こちらは《北上》してやろうではないか。
…そのために、オクライナには手を付けていないのだから。
「その次はパキスタンにアフガニスタン、そして新彊。そうして絹の志那帝国、香辛料のムルガル帝国に辿り着けば、帝国の経済はますます繁栄を一途を辿るであろう。そうして、余力が生まれれば…」
そこまでして、知っているオスマン帝国が成しえなかった欧州制覇を成し遂げるのだ。大トルコ戦争の前世の屈辱は、今世でようやく果たされるのだ。
宮殿の中で、クスクスと笑い声が響く。
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