家族に捨てられた公爵令嬢、精霊王に見初められて、世界を救い、ついでに愛も手に入れます。

タマ マコト

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第11話 境界の宮廷での試練

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 境界の宮廷は、最初の一歩から「ここは世界じゃない」と告げてきた。

 足元にあるはずの床は、夜空だった。

 踏みしめた場所から、きらきらと星がにじむ。
 靴底を通して伝わる感触は、たしかに“固い”のに、目に見えるのは、果てのない深い闇と星の川。

 視線を上へ上げれば――天井は、深海みたいに揺らめいている。

 どこかから差し込む淡い光が、水面の裏側みたいにきらめき、
 泡のような粒がゆっくりと昇っては消え、昇っては消えていく。

 光と闇が、ここでは“上下”を決めていない。
 どちらが空で、どちらが地面なのか。
 見ているうちに、感覚がおかしくなりそうだった。

(……落ちない。落ちないから大丈夫)

 エリシアは、心の中で自分に言い聞かせる。

 ルシアンが隣に立っている。
 肩の上には、ピクシアの軽い重みがある。

 それだけが、今の自分をぎりぎり“この場”につなぎとめていた。

「……見られてる」

 小さく呟いた声が、喉の奥で震える。

 境界の宮廷の円卓をぐるりと囲んでいるのは、人間だけじゃない。

 光の精霊たち。

 闇の精霊たち。

 そして、そのどちらでもない、境界に近い色を纏った存在たち。

 彼らすべての視線が、今、ひとりの人間――エリシアに注がれていた。

 光の精霊たちは、透き通るような姿で宙に浮かんでいる。
 髪は風や炎や水そのもので、瞳には昼間の空の色。
 彼らの視線には、あからさまな好奇心が宿っていた。

「へぇ、人間の娘が……」

「境界の魂?」

「本当に? こんなに小さいのに?」

「細い。すぐ折れそう」

 ひそひそと、人間には直接届かない、色と波の言葉が飛び交う。
 それでも、エリシアにはなんとなく意味が分かった。

 好奇心。興味。期待。少しの侮り。
 それらが、混ざり合った視線。

 対して、闇側の精霊たちの視線は、もっと冷たい。

 影そのもののような姿。
 黒い霧を纏った男の姿。
 瞳に光はなく、底の見えない深い闇が揺れている。

「人間が」

「境界の宮廷に立つとは」

「どれほどのものかと思えば……」

 嘲るような笑みすら浮かべる者もいた。

 エリシアの背中に、じっとりと冷たい汗が滲む。

(怖い……)

 世界のすべての“視線”が、そこで交錯しているみたいだった。

 人間の代表たちは――視線を合わせることさえできずにいる者も少なくない。

 アルセリア王は硬い表情で口を結び、
 クラウドは拳を握りしめて前を向き、
 アルディネス公爵は、顔色の悪さを笑みで隠そうとして失敗していた。

 その中で、エリシアは、自分がこの場で“いちばん弱い”存在であることをいやというほど自覚する。

 魔力もない。
 肩書きも、もうない。
 剣も、盾も、何もない。

「足、震えてる」

 肩の上のピクシアが、小声で囁いた。

「……震えますよ、こんな状況で」

「それでも逃げてないの、えらいよ」

 さらっと言われて、少しだけ呼吸が楽になる。

「あんたさ、昔から“

誰 ( ・ ) も ( ・ ) 見 ( ・ ) て ( ・ ) な ( ・ ) い ( ・ )

”場所でしか泣かなかったでしょ」

「……」

「今は、“世界中が見てる場所”で立ってる。
 それって、けっこうとんでもないことだからね?」

 ピクシアの言葉は、やけに静かに胸に染みた。

 そのとき――

「ふん」

 低い鼻で笑う音がした。

 エリシアが顔を上げると、闇側の席のひとつから、黒い霧を纏った男の姿の精霊が身を乗り出す。

 瞳の中は、夜の底みたいに暗い。

「人間ごときが」

 言葉は冷たく、空気の温度を数度下げるようだった。

「境界に触れられると思うな」

 胸の奥が、ズキ、と痛む。

「境界の魂? 笑わせる」

 その精霊は、唇の端を吊り上げた。

「人間はいつもそうだ。
 自分たちが少し“特別”だと思った瞬間、ろくでもないことを始める」

 その言葉は、エリシアに向けられたものというより、“人間という種全体”への嫌悪にも近かった。

「光の恩恵を受ければ、自分たちが世界の中心だと勘違いし。
 闇の深さに触れれば、“自分は理解している”と勘違いする」

 闇の精霊の視線が、エリシアを射抜く。

「境界の膜は、君のような薄い人間ひとりで支えられるほど、軽くはない」

「……」

 言い返せなかった。

 怖いとか、傷ついたとか、そんな感情よりも先に、
 「ああ、この人はきっと、何度も人間に裏切られてきたんだ」と分かってしまったから。

(……そうだよね)

 自分だって、家族に。
 幼馴染に。
 王太子に。

 “人間に裏切られた”と思っている。

 だったら、精霊たちが人間に対して同じ感情を抱いていても、おかしくない。

「その通りだ」

 ルシアンの声が、静かに落ちた。

 え、とエリシアは思わず彼を見る。

(庇ってくれるんじゃないの……?)

 闇の精霊は、一瞬驚いたように瞳を細め、それから薄く笑った。

「さすが王。人間の娘を庇うつもりはないと?」

「私は事実を否定しない」

 ルシアンは、あっさりと言う。

「人間は何度も境界を傷つけてきたし、
 境界色を持つ魂を、何度も見逃し、傷つけ、使い潰してきた」

 その言葉は、エリシアの胸にも鋭く刺さる。

(“境界色の魂”――わたしの前にもいた人たち)

 世界に気づかれないまま、疲弊して消えていった魂たち。

 ルシアンは、一度だけエリシアのほうへ視線を向けた。

「だが」

 その言葉に、空気が少し揺れる。

「だからこそ、ここで“何を選ぶか”を見たい」

 金の瞳が、エリシアを見つめる。

「ここで君がどう語るかを、私は見たい」

 庇わない。

 守りきらない。

 彼は、あえてエリシアをこの場にひとり立たせようとしていた。

(……怖い)

 正直に言えば、逃げ出したい。

 精霊たちの視線から隠れたい。
 父の顔も、元婚約者の顔も、見たくない。

 でも――

(ここから逃げたら、きっとずっと逃げ続ける)

 森の中で泣いていた自分。
 門の前で立ち尽くしていた自分。

 あのときの自分から、何も変われない気がする。

 喉の奥が、カラカラに乾いている。
 舌が張り付いて、うまく動かない。

 それでも、エリシアは小さく息を吸いこんだ。

「……わたしは、エリシア・アルディネスです」

 声が、境界の宮廷に広がる。

 震えていて、弱々しくて。
 それでも、確かに“届く”声。

「つい最近まで、公爵家の令嬢でした。
 でも、“魔力ゼロの無能”だと判断されて……」

 自分で言葉にするのは、ひどく苦しい。

「婚約者である王太子殿下に、皆の前で婚約を破棄されて。
 家族にも、“家の足を引っ張るだけ”って言われて、屋敷から追い出されました」

 人間側の席が、ざわっと揺れた。

 クラウドの顔から血の気が引き、ラティナは手を口元に当てて震えている。
 アルディネス公爵は、見慣れた“微笑み”を維持しようとしているが、その目は明らかに動揺していた。

 それでも、エリシアはそちらを見ない。

 視線は、まっすぐ前――精霊たちへ向けた。

「……正直に言えば」

 喉が震える。
 心臓が、耳の内側でどくどく鳴っている。

「わたしは、自分をずっと“いらない人間”だって思ってました」

 言葉にした瞬間、胸の奥がじん、と痛む。

「魔力もない。
 誰かを護る力もない。
 家の役にも立てない。
 いるだけで迷惑なんだって、何度も言われて……」

 視界がにじむ。

 ピクシアが肩の上で、そっと髪に手を置いた。

「だから、境界の亀裂を見たときも」

 あの森の中の光景が、鮮明に脳裏に浮かぶ。

「“触っちゃいけない”って分かってたのに。
 それでも、“わたしにも、何かできるかもしれない”って――」

 愚かだ。
 危険だ。
 無謀だ。

 それでも、そのときの自分の気持ちは、嘘じゃなかった。

「……思ってしまいました」

 一瞬、境界の宮廷が静かになる。

 光の精霊たちの視線から、好奇心だけじゃない、違う色が混ざり始めていた。

 共感。
 疑い。
 自分を重ねるような、微妙な揺らぎ。

「わたしは、本当に弱くて、臆病で」

 エリシアは、逃げない。

「家族のことも、幼馴染のことも、王都の人たちのことも、
 本当は全部恨みきれなくて。
 “それでもどこかで分かってほしい”って、未練も捨てられなくて」

 自分の醜い部分も、全部包み隠さず晒していく。

 心の中のどろっとしたものを、ひとつひとつ外へ出していくみたいに。

「それでも――」

 ここからが、一番怖い部分だった。

「森で泣いていた夜。
 ピクシアと出会って、境界の揺らぎを知って」

(ああ、世界も苦しんでいるんだって)

 初めてそう感じた。

「“わたしみたいに、捨てられる誰か”が、これから増えていく世界は――」

 声が震える。

 泣きそうになる。

 それでも、逃げずに言葉を続ける。

「……嫌だなって、思ってしまいました」

 境界の宮廷の空気が、ふっと揺れた。

「わたしには、世界を救う力があるわけじゃないです」

 本音だ。

「魔法も使えない。
 剣も持てない。
 賢くもないし、度胸もない」

 ひとつひとつ挙げていくと、悲しくなる。

 でも、それがスタートラインだと思った。

「でも、“わたしみたいに捨てられた誰か”を、少しでも減らせるなら」

 胸の奥に、ほんの少しだけ灯った光を、今度は隠さない。

「今度こそ、“誰かの役に立ちたい”って思ってしまったんです」

 精霊の席から、かすかな気配が変わる。

 光の精霊のひとり――水を纏う透明な少女の姿をした精霊が、そっと目を細める。

「……自分が傷ついたから、他人が傷つくのを見たくない、か」

 別の光精霊が、静かに呟く。

 闇の席の一部でも、嘲笑は少し鳴りを潜めている。

 それでも、先ほどの黒い霧の精霊は、冷たく吐き捨てた。

「綺麗事だ」

 その視線は、未だ容赦がない。

「“誰かを救いたい”と言いながら、自分を救えなかった人間など、何度も見てきた」

 胸がちくりと痛い。

「お前は、世界を救うためではなく、“自分の居場所が欲しい”だけだろう」

 図星だった。

 エリシアは、反射的に否定しそうになって――やめる。

 逃げる言葉を飲み込む。

「……そうかもしれません」

 正直に認める。

「わたし、自分の居場所が欲しいです。
 誰かに“いていいよ”って言ってもらえる場所が欲しい」

 その言い方は、情けなくて。
 聞く人によっては「じゃあ世界のことなんて考えるな」と笑われてもおかしくない。

「でも、それが……」

 それでも、と続ける。

「世界のどこかに、自分の居場所を見つけようとする人を、減らすことにも繋がるなら」

 エリシアは、拳を握りしめた。

「“自分のため”と“誰かのため”が、一緒になってても――いけませんか」

 境界の宮廷は、静かだった。

 光の精霊の誰かが、小さく笑った。

「面白い」

 そう言ったのは、風を纏う青年姿の精霊だった。

「自分を美化しない人間は、嫌いじゃない」

「“いけませんか”か……」

 水の精霊が、肩をすくめるように揺れる。

「光の加護を願う人は、大抵、“純粋でありたい”と口では言うのにね」

「この娘は、自分の欲もちゃんと認めている」

 闇側の席からも、別の声がした。

 先ほどの黒い霧の精霊ではない。
 もっと深く、低い響きの声。

「それが、いずれ“歪み”に変わるか、“芯”に変わるか」

 エリシアは、声の主を探して、闇の席の奥を見つめた。

 そこにいたのは――他の精霊たちよりも、ずっと古い闇を纏った存在だった。

 姿は、はっきりしない。

 黒い外套を幾重にも重ねたような輪郭だけが見える。
 顔も、髪も、何もかもが闇に溶けているのに、なぜか“目”だけがあると分かった。

 底なしの夜の色をした瞳。

 その視線が、エリシアを貫く。

「……あの方は?」

 小声でピクシアに尋ねると、彼女は珍しく真面目な顔になった。

「“奈落の翁”」

「おきな……?」

「闇側でも、かなり古い精霊。
 “終わり”とか“底”とか、そういうものを見てきたやつ」

 軽口を叩かないピクシアの様子に、エリシアはごくりと喉を鳴らす。

 “奈落の翁”と呼ばれたその精霊は、ゆっくりと身を起こした。

 彼が動いた瞬間、闇側の精霊たちの空気が一斉に引き締まる。

「精霊王よ」

 低い声が、境界の宮廷に響く。

 ルシアンが、その声の方へ顔を向けた。

「……奈落」

 短く名前を呼ぶ。

「この娘を、境界の魂と認めるのは、まだ早い」

 翁は、エリシアから目を逸らさないまま言った。

「言葉は面白い。
 傷も、痛みも、嘘ではないだろう」

 彼の瞳は、エリシアの内側を隅々まで見透かしているようだった。

「だが、“境界の魂”は言葉で測るものではない」

 その言葉に、ルシアンも即座に反論しない。

「……続けろ」

「“境界の魂”とは、世界そのものに触れたときに、その揺れをどう受け止めるかで決まる」

 翁の視線が、じりじりと重くなる。

「この娘が、ただの傷ついた人間なのか。
 それとも本当に境界に座る器を持っているのか」

 空気が、きゅっと張り詰めた。

「試してみるといい」

 翁は、さらりと言う。

「この娘が本物かどうか。
 世界に“触れさせて”みるといい」

 世界に、触れる。

 言葉の意味が、エリシアの背筋を冷たく撫でた。

「……どういう意味ですか」

 喉から出た声は、自分でも驚くほど小さかった。

 奈落の翁は、エリシアを真っ直ぐに見たまま、ゆっくりと口角を上げた。

「“境界の魂の試練”だ」

 その名を口にした瞬間、光側・闇側問わず、何体もの精霊がざわついた。

「試練……」

「久しいな、そんなものをやるのは」

「本当にやるつもりか、翁?」

「世界に触れる試練は、魂を壊す危険もある」

 エリシアの膝が、ほんの少し震える。

 ピクシアが、肩の上でぎゅっとエリシアの髪を掴んだ。

 ルシアンは、しばらく沈黙していた。

 黄金の瞳が、奈落の翁とエリシアの間を何度か往復する。

「境界の魂の試練を――」

 やがて、彼は静かに口を開きかけて。

 そこで、この場は一度、“提案された”ところで止まった。

 世界に、触れさせる試練。

 それが何を意味するのかも分からないまま――
 エリシアは、次の扉の前に立たされていた。
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